東日本大震災の震災復興には10兆円~20兆円の支出が必要といわれています。そのための財源として、消費税や所得税の増税が叫ばれるようになってきました。
 先日、宮城県知事が復興増税を訴えていましたが、マスコミはそれに反対する岩手県知事より、宮城県知事にスポットをあて好意的に取り上げていたように感じました。

 以前から、増税は言われ続けていたが、今このタイミングで本当に増税を行う必要があるのか、それを考えるための参考として、週末に読んだ三橋貴明氏の書籍は参考になった。参考になった考え方の一部をまとめてみます。

経済ニュースが10倍よくわかる 日本経済のカラクリ (アスコムBOOKS)/三橋 貴明

¥1,000
Amazon.co.jp



 この書籍では「健全なインフレを伴う経済成長が、日本の財政を再建する」と主張されている。本来、銀行は「預金」というかたちで資金を集め、企業等に貸出することにより、利益を生む。しかし現在、民間に資金需要がなく貸出先が限定されているので、銀行は預金で集めた資金を国債で運用しているとのこと。(確かに、国債は1%台と国内での需要は高い気がします。)

 民間に資金需要がないということは、国債を発行して政府がお金を使わないと、経済成長出来なくなってしまう。民間も政府もお金を使わないとお金はまわっていかず、経済成長出来なくなってしまう。民間が使わないと政府が使う以外に国全体での経済成長への道は開けないとの考え方である。

 日本は、借金が過大であるからこれ以上借金ができないとして増税すると、税金という形で民間の資金を吸い上げることとなり、一層民間の資金需要は冷え込み、経済成長出来なくなる。日本全体のGDP(国全体の所得と言ってもいいと思う。)が下がると、今抱えている借金は相対的にますます重くなってしまうこととなる。それを避けるためには適度なインフレにより、経済成長を続けていく必要があるとの考え方である。
 
 また円建てで日本国内で消化されている日本国債は、ユーロという共通通貨建(自国で発行できない通貨)で、ドイツなど他の海外が購入しているギリシャ国債とは違い、破綻のリスクはない。場合によっては、日銀が発行した通貨で国債を購入し、金利を抑制すればいいからとの考え方である。
 


 なるほど、確かに、個人の住宅ローンを考えても、その通りであろう。例えばマンション購入のため2,000万円銀行から借りて、利息も含めて毎月10万円ずつ返済していくとする。仮に毎月の給料が30万円とする。その毎月の給料が、同じ労働をしていてもインフレにより数年後に30万円から40万円にあがると、返済する10万円の借金の額は相対的に小さくなる。つまり、10万円を返済しやすくなる。一方、デフレにより毎年の給料が30万円から20万円に下がると、返済する10万円の借金の額は相対的に重くなり、返済が難しくなる。
 日本国債も同じように考える視点も大事ではないであろうか?つまり経済成長することにより相対的に債務を小さくしていこうとする考え方である。

 おそらく復興増税は近く、決定されるであろう。増税をいうと「責任ある政治家」として世論から評価され、大手マスコミも支持するのが現状だからだ。また今回、反対すると「無責任」という言葉だけでなく、「被災した東北の人のことを考えない冷たい人間」というレッテルも貼られてしまいかねない。「自粛」と同じで、反対出来ない雰囲気を感じてしまう。

 ただ景気が震災により全国的に低迷し、今年はマイナス成長と言われている状況で、民間から増税という形でさらにお金を吸い上げることで、景気がますます弱くなってしまう可能性も高いと考えられます。

 本当に今増税することが正しいのか、難しいことではあるが、一人一人が自分の頭で考える必要があるのではないでしょうか。