午後II
再現論文
実際は設問ウの最後が時間が不足し、無理やり校正記号で文章を突っ込んだり、削除して空白ますが生じたりしたが、そういう点に関してはおそらく情報処理技術者試験は比較的緩く受け取ってくれる(減点対象としない)と考えているため、まったく勝負にならないということはないと想定している。
システムの概要。
管理部門向けの情報系システム。
大企業グループ会社にて使用するため、利用会社は100社程度。
設問ア
1.対象業務
本論文ではある大企業グループA社におけるB業務システムを題材とする。B業務はA社グループの各関連会社のC部門にて個別に実施しているB1情報作成処理の結果をB業務システムで収集し、B2処理を行ってB情報を作成するものである。
2.対象情報システムと特徴
既存システムはオンプレミスでシステム化されているが、サーバ老朽化のため、再構築を行うこととした。再構築プロジェクトでは、 新たなシステム(以下、新システムと略す)を運用コスト低減のためにインフラ環境をクラウド化(IaaS)することを前提とした。
設問イ
3.主要な非機能要件と検討内容
3.1.大規模災害発生時の回復時間
(1)C部門から出た要件
要件のヒアリングにおいて、C部門は大規模災害発生時に24時間以内に、災害発生時典までのデータをもって復元を行うこと、という要求が出た。ただし、経営層からは本システムは情報系であり社会的影響を考えても3日程度の停止はやむとえないとの意見が出ていた。
(2)情報システム部門からの修正提案
情報システム部門として、クラウドサービスのサービス内容から複数案を設けて、各構成案で設定可能な非機能要件レベルを検討した。
その結果、信頼性要件を下記とするよう提案した。
・災害発生時は24時間以内に回復
・復旧時点は災害発生前日の24時時点
具体的には、災害時点までのデータ復旧を行う場合はデータベースのレプリケーションによる復元が必要となることが想定されたており、待機系としてリモートサイトにデータベースサーバを用意し、レプリケーションを受け入れる必要が生じる。このため、待機系サーバの運用コストと、メインサイトのデータベースでのレプリケーションによる性能低下が問題となることが分かった
3.2.単一障害によるサービス停止
(1)C部門から出た要件
単一障害によるサービス停止が生じないこと。
(2)情報システム部門からの修正提案
単一障害点は極力排除する方向で構成を行うが、クラウドサービスの構成上、他システムとのデータ連携機能について単一障害点を持つこととなった。このため、データ連携方法を非同期とすることで、データ連携機能の単一障害点で障害があった場合も該当機能のみをサービス停止し、システム全体としてはサービス提供を止めない設計とした。
設定ウ
4.意思決定者に判断してもらうための工夫
本システムにおける最終的な意思決定者は、システムオーナーであるA社のC業務担当役員であった。本項では意思決定者への情報提供において注意をした項目を2点あげて説明する。
(1)IT用語の不使用
コスト面では具体的な金額が見えるため納得いただくことは容易だったが、非機能要件については概念から理解が難しい部分があった。このため、説明用に非機能要件の違いで業務的にどういった影響が生じるのかストーリーを追って説明する形の資料を作成した。
その上で、各案によるコストと非機能要件の違いを表にして意思決定を促した。
(2)実際の動作の提示
特に3.1のシステム動作におけるデータベースのレプリケーションによるメインサイトの負荷については、遅延を数字的に提示していたが判断がわかれる状態だった。このため、概念実証用の環境にプロトタイプを乗せて判断の場にて実際に画面遷移を見てもらうことで状況を確認いただいた。
数値や概念図などを用いての説明で充分と当初考えていたが、実物により認識の相違を解消することができたことから、意思決定者の情報システムに対する理解度が低いプロジェクトにおいては、プロトタイピングなどにより具体的なものを早期に作成して提示していくことで認識の相違を防ぐことが重要であると考える。