考察:マーダーミステリーの必要構成要件とは? | マーダーミステリー・オンラインセッション!

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 最近流行り始めている『マーダーミステリー』をDiscordを使ってオンラインで遊ぶやり方などについて紹介しています。
「マーダーミステリーってなに?」「Discordってなに?」「イケメンさんすてき抱いて!」などの疑問にお答えできるようがんばります

 

 イィヤッホォウ子猫ちゃんたちイケメンだよ! 主にセッション時の説明を簡略化するために書き始めたblogも、放置し狂っていたらPVがもりもり落ちてきて、それはそれで寂しくなったので何か書くね!

 と言っても今日はクソ面倒くさいやつがクソ面倒くさい事を小難しくつらつら書くだけなので、興味ない子猫ちゃんはスルーして大丈夫だよ! 

 今日は、イケメンが日頃考えてた事をTwitterでつらつら書いたこと、ちょっとわかりづらすぎるし誤字も酷いのでまとめなおしてみるよ! お出かけ中の合間合間にぽつぽつ書いてたからね!
  『マーダーミステリーの最小構成要件とは何か?』という考察。どこまで削ったらマーダーミステリーでは無くなるのか、何が残ればマーダーミステリーと言えるのか? について考えてみたよ。

 

「マーダーミステリー」って何よ? というお話から

 確か話の発端は、「『マーダーミステリー』を知らない人に説明する時『マーダーミステリー』という呼称が足枷になる」みたいなお話だったんじゃないかと思う。実際のところ、マーダーミステリーというゲームの呼称として『マーダーミステリー』という単語がその本質を言い表していないのは確かだ、と思う。

 僕だってマーダーミステリーを説明する時「プレイヤーは殺人事件の容疑者になって、その中で話し合いで犯人は誰か探すんだよ」って言うし、実際言ってる

 

 だけど、このゲームにおいて「マーダー(殺人事件)」は必須ではない。人が死んでいなくてもマーダーミステリーというゲームは成立するのは皆さんご存知の通りかと思う。そして何より「ミステリ(推理小説)」はマーダーミステリーという多人数で遊ぶ前提のゲームと根本的な部分で相反する要素になる(この点は改めて)。

 では、マーダーミステリーというゲームにおいて、削ることの出来ない要素、必要構成要件とは一体何だろう? というのが本稿における考察である。

 

マーダーミステリーの必要構成要件

 これについては先に自分の辿り着いた結論から述べてしまうと、『投票』『ロールプレイ』の二つだ。この二点こそがマーダーミステリーというゲームの本質部分に存在し、削る事の出来ない要件となっている、というのが自分なりの結論である。他の要素はすべてこの二つから派生し、あるいは制限されることでゲームを構成している。逆に言ってしまえば、この二つ以外は無くてもマーダーミステリーたり得る、と考えられる。

 何故そういった結論に辿り着いたか、いかなる理由でその二点こそが本質であると断ずるのか、については、それぞれについて以降で解説させて頂く。

 

『投票』というルールが形作るもの

 マーダーミステリーというゲームの性質上、シナリオごとに異なる可能性がある事、キャラクターの目的(勝利条件)によって異なる可能性がある事、を踏まえた上での確認になるが、ごく一般的には「投票で真犯人を最多票にする/犯人は最多票獲得を回避する」というのがごく一般的なこのゲームのあり方であると言えるだろう。そして、この点こそがマーダーミステリーというゲームの方向性の根幹を定めている。

 単なる謎解きや推理クイズであれば、プレイヤーたちは協力して真相を突き止める事が目的となる。そしてマーダーミステリーはそうではない。それぞれに相反する勝利条件が存在し、真相への到達が敗北となるプレイヤーもまた存在するからだ。

 

 そして忘れてはならないのが、マーダーミステリーは「対話」によって成り立つゲームであるということ。

 対話するために投票があるのではなく、投票があるから対話せねばならないのだ。プレイヤーはそれぞれ真相に到達するための情報の断片だけを渡された状態でゲームをスタートし、対話によって情報の交換を行ったり、ノイズを混ぜて情報の流通を阻んだりする。これが何のために行われるかと言えば、真相に到達するためではなく、「真犯人に最多票を集める/自分に最多票を集めない」ために行なうのだ。

 だから、極端な言い方に聞こえるかも知れないが、「真相に到達すること」そのものはゲームの目標ではない。投票の結果で真相に辿り着いたり着かなかったりするだけだ。

 

 対話と言えば、マーダーミステリーゲームにおいて重要な要素の一つに『推理』がある。これは重要な要素だが、ゲームにおいて推理そのものは目的ではなく、手段である。この事は五箇条の方で詳細に述べているので、ここでは概論に留めるが、マーダーミステリーが「みんなで推理して誰が当たっていたか競うゲーム」では決して無い、というのは皆さん同意して頂けるところだと思う。例え自分の推理が正鵠を射ており、正しく真犯人と犯行方法を当てていたとしても、それはこのゲームにおいて直接勝利にはならない(基本的には)。例え推理が間違っていようとも、真犯人に最多票が集まれば勝利であり、そうでなければ敗北だ。「僕は分かっていたのに!!」と嘆いても、票を集められねば負け犬の遠吠えでしか無い。

 つまり、推理が当たっているだけでは不十分なのだ。その推理のロジックを用い、開陳し、利害関係を整理し調整し、他プレイヤーを同調させる行為――すなわち、「説得」が必要になる。

 推理は説得の手段であって目的ではない。この点が、マーダーミステリーと推理ゲーム・謎解きゲームの間に線を引く要素であり、そして『投票』というルールがその根幹にある事はもう言うまでもないだろう。

 

 これらから、マーダーミステリーにおける重要概念の一つ、「協力」が投票というルールの上に成り立っているとお分かり頂けると思う。そして協力の正反対の状態である「疑心暗鬼」もまた、「協力できる相手を探さなければならない」ために生まれるものだ。

 と、ここで面白いことがひとつ発見できる。「対立」という概念その物が、この『投票』という要件によってコントロールされており、つまり、『投票』があるから「対立」が生まれる。逆から言うと、『投票』があるから「対立」をゲームに含めることが出来る。もっと直接的に言えば、『投票』があるから「犯人」をプレイヤーに含めることが出来ているのだ。

 もしこれが推理ゲームや謎解きゲームの中での話だったらどうなるだろう。プレイヤーの中に犯人が含まれていたら、その犯人が透けた時点でそのプレイヤーの発言はすべてノイズとなり、除外すべき対象となってしまう。例え犯人プレイヤーが上手く立ち回って一人勝ちになったとしても、それは用意されたミステリの勝利であって犯人の勝利では無いのではないだろうか? また、これらの要素は(次項でも説明するが)、多人数ゲームにおいて除外するべき最も大きな要素、感情的な対立をも生んでしまう。

 犯人をプレイヤーの中に含める事が出来る(必ずしも存在する必要はない)、という点こそマーダーミステリーの優れた特徴の一つであり、それは『投票』によって担保されている要素であると言えるのだ。

 

 「推理」「対話」「対立」「説得」「協力」「疑心暗鬼」という、マーダーミステリーを構成する重要な要素の数々が、『投票』に起因するものである、という事がお分かり頂けただろうか?

 

『ロールプレイ』というルールが形作るもの

 もうひとつ、『投票』と並んで外す事のできない要因が『ロールプレイ』である。

 なお自分の『ロールプレイ』の定義、重視している点とそうでない点、については別途まとめているのでご参照頂きたい。→ロールプレイ、しよう!(I) プレイ編 / (II) ロール編

 とりあえず、「ロール=役割とはハンドアウトに書いてある勝利条件である」「プレイであってアクト(演技)は必要ではない」という主張だけ汲み取って頂ければと思う。

 

 さて、マーダーミステリーにおいて『ロールプレイ(以下RP)』が削れないということは割と説明が容易だ。

 まず、そもそもキャラクターが割り当てられ、それぞれにシナリオハンドアウトが配布されるのは、そもそも『RP』ありきの話だ。そして『RP』を理由にそれぞれに断片化した情報が与える事が出来る。情報の断片だけを与えられているから、それぞれの情報を交換したり、秘匿したりする理由が生まれる。つまり対話の必要が発生するのだ。そして、「対話」そのものが『RP』となる。

 

 また、『RP』の「ロール」が存在するから対立が生じ、ゲームが成立している。利害の一致と衝突があり、疑い合う要素が生じる。動機については濃淡こそあれ全員等しく持たされており、それを含めたロール=役割であると言える。『RP』無しには成立しない要素が非常に大きい。

 

 更に『RP』によって制限されるのが、いわゆる「メタ推理」だ。持たされている情報の断片からその隙間を推測し、向う側にある真相を見極めようとする行為が「推理」であるとするなら、キャラクターの目線から導き出せない推測はすべて「メタ推理」であると言える。

 無論、自分はメタ推理が悪いと言うつもりはない。そもそも盤外からの思考を完全に脳から追い出す事など出来はしない。このあたりの事は以前まとめた記事があるのでご参照頂きたい。

 

 上記の記事にもあるように、メタ推理を盤内に持ち込めなくしているのが『RP』である。あくまでキャラクターとして発言しなければいけないという縛りがある以上は、盤外からの情報をそのまま伝える事は出来ない。という事は、「説得」に用いることが出来ないわけだ。「説得」が重要な要素である事は前項で既に述べた通りである。

 

 「正体秘匿」という要素があるからこそ、犯人vs残り全員という1vs他の単純な図式を廃し、単純な犯人当てゲームとマーダーミステリーとの間を分けている要因である。そしてこの要素を構成する重要な要件が『RP』である事もまた言うまでもないだろう。

 

「マーダーミステリー」という呼称の妥当性

 以上の考察から、自分がマーダーミステリーの最小構成要件は『投票』と『RP』の二つであり、この二要素は廃する事が出来ない物として結論付けた。

 「完成が遂に訪れるのは、加えるべき物が無くなった時ではなく、削るべき物が亡くなった時である」

 これはサン・テグジュペリの遺したとされる名言だが、「これはどうしても削れない!」という要項まで削ぎ落とした時に見えてくるのが本質だと自分は考えている。よって、マーダーミステリーの「本質」にあたる物がこの『投票』と『RP』だと言い切れる。

 

 そしてここで最後の問題が持ち上がる。

 「"マーダーミステリー"なんだから、本質は"マーダー"で"ミステリ"なんじゃないの?」という、気持ちである。これは言葉から受ける印象として当然だろう。だがしかし、ここまでで述べている通り「マーダー」も「ミステリー」もこのゲームの本質ではない。にもかかわらず、実はこのゲームの呼称としては「マーダーミステリー」という名称が非常にしっくりきてしまうのであるw

 一応「マーダー・ミステリー」でもなく、「マーダー&ミステリー」でもなく「マーダーミステリー」だよ、という言い訳は出来る。というか、言葉遊びではあるが、これが正解なのかも知れない。

 

 結局、「クローズドサークルで」「殺人事件が起こり」「プレイヤーは全員容疑者を演じ」「その中に犯人がいて」「容疑者自身で」「犯人を探さなくてはいけない」という形がマーダーミステリーの王道であり、未経験者に対する説明として最も適当であることは否定しない。

 ただ、王道であれ飛び道具であれ、マーダーミステリーを構成する必要最小要件が『投票』と『RP』であるという事は間違いはないと思う。この本質部分と呼称から受ける印象の乖離についてはいずれまたまとめてみたい。

 

結論として:

 ここまで繰り返した通り、自分の主張の結論としては「マーダーミステリーの本質は『投票』と『RP』にある」という事である。だが、この要素を持たない作品を「マーダーミステリーではない」と断罪したり、良し悪しを論じたりするのが目的ではない。

 そもそも、マーダーミステリーはシナリオごとにルールも前提も変わるものだ。マーダーミステリーは自由である。ただ、「こういうものだ」と期待して来るプレイヤーを裏切るような事があってはいけないな、と思うのみだ。

 マーダーミステリーは、自由である。

 そして自由であるがゆえに予測が付きづらく、プレイのたび驚きを提供してくれる。

 「こうでなくてはいけない」という自縄自縛をする事なく、今後も自由に発展して行ってくれる事を、いちプレイヤーとして切に願うものである。

 

 

蛇足:

 いやじゃあ何でわざわざこんな事書いてんの、という話になってしまうがw

 これは、拙作『蠱毒死病棟』を制作中に繰り返し考えていた事なのだ。

 「マーダーミステリーってのはこうだろう!」という固定観念を持った人がプレイすると、恐らく楽しめない。というか、怒るw だいぶ尖った出来になったので、刺さる人には刺さるが、しかしそうではない人には地雷になりかねない。よって、「マーダーミステリーホラーシナリオ」と銘打って発表させて頂いた。

マーダーミステリー風ホラーシナリオ 蠱毒死病棟 https://ikemen410.booth.pm/items/2181244

 これはもう、「手作りハンバーグって、手作りじゃないじゃん?」という諧謔である。ホラーの方が本体で、マーダーミステリーは「風」に過ぎないよ、と主張することで採ったリスクヘッジだ。プレイした後「こんなのマーダーミステリーじゃないよ!」と言われても「そうですよ?」としか返答せずに済む。

 

 そもそも論ではあるが、ホラーとミステリは本来相反する要素だ。

 ミステリにおいて難題は「解決」されねばならず、それによって「スッキリ」出来なければいけない。読後感の納得力こそがすべてだ。

 しかし、それらはことホラーというジャンルにおいては、犬にでも食わせるべき事柄だ。

 解決とかスッキリとかは糞食らえ。むしろ後味の悪さこそが望ましい。その方が恐怖感も持続するというものだろう。

 つまりホラーとミステリは決して同席できない。ホラージャンルのマーダーミステリーは「ホラーマーダーミステリー」というのが正しい。マーダーミステリーである事を担保するためにホラーはスパイスとして留めている。これは宣伝だから書いてしまうが、拙作はホラーのためにマーダーミステリーの方をブン投げた作品であるw

 

 しかしながら、ここまでで述べてきたように、マーダーミステリーにおいてミステリ要素は不可欠ではない。よって「マーダーミステリー」が成り立つ。手作り風ハンバーグはやっぱり手作りではないけど、結局頑張って手作りっぽくは作られているのだ。つまり、そういう事だ。

 

 ジャンルとしてマーダーミステリーの概念と合致できない(と考える)事柄として、実は「本格ミステリ」がある。「本格」と「マーダーミステリー」は両立できない。この事は近いうちに改めて考察をまとめさせてもらえればと思っている。
→書きました:

 

 

さてそれでは恒例の。

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写真ACさんの写真を利用させて頂いてます。