肥満対策! | 医学ニュースの深層

肥満対策!

 世の中で、最も期待され、莫大な儲けが約束されている医薬品は何か?

実は、癌の特効薬でも難病の画期的な治療薬でもない。

「肥満」をどうにかする薬である。


 今のところ、肥満患者の減量に最も顕著な効果を発揮するのは外科的なアプローチで、20~25%の体重減少が達成できる。薬物を用いない生活改善などの方法もある程度有効だが、長期的な成功率は低い。

 減量薬には長期的な利益が期待できるが、既存の薬剤には、摂取カロリー制限と生活改善の実施による減量を大きく上回る体重減少は期待できない。1年間の治療で既存の減量薬がもたらす体重減少は、オルリスタットが2.9kg、シブトラミンは4.2kg、リモナバンが4.7kgといったレベルだ。有害事象が少なく減量効果がより大きい薬剤を求める声は強い。


 そこで、BMI30~40の肥満患者を対象とした「テソフェンシン」という薬の臨床試験が行われた。摂取カロリー制限とともにテソフェンシンを服用すると、なんと、既存の減量薬の2倍を越える減量が達成できることが示された(Lancet誌2008年11月29日号)。


 ただし、私としては用量依存性の心拍数の増加などの副作用が気になる。怒りっぽくなったりするし・・・。今後、更に規模の大きな試験で、適切な用量を模索していくことになるだろう。


 まあ、BMI30~40の「肥満患者」対象なので、一般の「ちょっとメタボ」程度の方々には、あんまり関係ありませんがね。


 なお、日本人対象の「肥満対策」としては、BMIを25以上を肥満と定義した場合、「食事を満腹になるまで食べ、かつ、早食いの習慣がある人は、そうでない人に比べて、肥満の人が3倍以上多い」(BMJ誌電子版、2008年10月21日)ことから、なるべく「腹八分目で、ゆっくり食べていればいい」でしょう。


 少なくとも、「ちょっとメタボ」程度で、健康食品や薬には、頼らないように。

害が無ければ、ラッキー程度のものなので。