将棋を地政学で考える18 竜王戦第5局「小高い丘から後手を見下ろす先手」
将棋は宇宙だ!
アイデス山口@アプリde将棋入門です。
地理的条件で国家の軍事などを考える地政学を、将棋に応用して考えてみよう、というコラムです。
地政学自体、付け焼刃の知識ですし、あくまで私個人的な見解ではありますが、
最終的には、棋力アップの方向にも繋がれば、と思っておりますので、よろしくお願いします。
前回よりプロ棋戦を研究してみよう、ということで、今期竜王戦を題材にしていますが、
3、4局は忙しくてお休みしてしまいました。スイマセン。
気を取り直して、本日スタートしました5局目を取り上げてみましょう。
まず、将棋の地政学は、駒がぶつかったところで、戦場と玉の位置を基準に考えますが、本局はどこが仕掛けか難しい流れ。
1手、1手の重みがありますが、5筋の仕掛けの局面を選んでみました。
本局は矢倉模様ですが、玉が囲いに入る前に、角を使った細かい戦いをしており、この段階では読みづらい状況。
先手は既に2筋の歩を交換して、相手陣まで通していますし、後手も5筋で歩を交換をする流れ。
矢倉と言うことを考えれば、玉を囲い合い、ランドパワーの将棋になって、制圧を目指すパターンになりそうですが、そのまま攻め合う可能性もありそうです。
攻め合えば、囲われていない玉の戦いでエアーパワーの将棋になり、まだまだ地形の見えない展開と言えます。
上記封じ手の局面。
玉を囲い合う形にはならず、小技を掛け合いながら角を交換する流れになりました。
先手は2筋を押さえ、▲2七角と左側へも攻撃しました。
盤面右側は先手がうまく制圧している形なのですが、左側への速い攻めで制圧箇所を広げているように見えます。
玉も後手より1筋囲いに寄っており、ランドパワー的な将棋にも見えるのですが、攻め方は陣形のスキをついて突破するエアーパワーの将棋にも見えます。
いずれにしても、先手は良い意味で主張の多い形になりました。
小高い丘から平地の敵を見下ろして戦っているようにも見えます。歩兵が進むにもスピードが速いし、遠距離射撃もできる形です。
対して後手は、玉が固いわけでなく、どこかの筋を制圧できているわけでもなく、先手の主張に付き合っている形に見えます。
今後は、すぐに角を打つ場所も見えず、3筋の桂は跳ねる場所に歩がおり、スピードでは勝負になりそうもないので、エアーパワーの将棋は厳しそう。
今から固く囲うのは厳しそうですので、先手の攻めに対処しながら、厚みを作っていく流れで勝負か?
2枚の銀を利用して5筋から跳ね返すランドパワーの将棋を目指す可能性が高そう。
後手が悪く感じているなら、左側から仕掛けて火種を作っておくのも1つの手か?
どちらを選んでも、手数が必要な将棋になるので、現局面では先手の方が指しやすそうに見えます。
スピード、制圧のいずれも先手がやや有利だと思うので、後手は予想外の手の用意があるかが、ポイントになりそうです。
結果に関しても、記事を投稿できれば、と思います。