天使の落とし物 ◇12 | 有限実践組-skipbeat-

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 一葉でっす!いつも本当にありがとうございますо(ж>▽<)y ☆

 弊宅500記事を記念して、りかちゃん様からお与かり致しました記念リクの最終話をお届けいたします。


 お楽しみいただけたら嬉しいです!


 前話こちらです↓

 天使の落とし物【11011


■ 天使の落とし物 ◇12 ■






 

 私は結局、最後の最後まで

 人生で五指に入る失態を演じていたのかも知れない。




「 っっ!!敦賀さんが何を知っているって言うんですか!私はそれを目撃したんですよ!

 あの人は、撮影現場の近くにあったバーベキュー場で敦賀さんが表紙を飾った雑誌だけじゃなく、敦賀さんが載っているあらゆる本を全部火に投じていたんですっ!!

 オレが天国に送ってやるって、したたかな笑みを浮かべながら! 」




 私はただ、敦賀さんを守りたかった。


 自分が出来る最大限の努力を惜しまないつもりでいた。



 私なりの精一杯の訴えを聞いた敦賀さんは、不安気に瞬きをした私の肩に両手を添えながらするりと降りて、まるで幼子の顔を覗くように私の前に跪き、とても穏やかな笑顔で私を見つめた。



「 最上さん。このまま…取り敢えず俺の話を聞いて? 」


「 ……っ… 」


「 確かに、実際にそうしていたってことを俺も彼の口から直接聞いた。

 でもね、少し違うんだ 」


「 違わない!それは事実です。変えようのない現実で、本当にあったことです! 」


「 ……ん、そうだね。でも目的が違う。

 最上さん、彼がそれをしていたのは、天国へ住所を移した妹さんに宛てて送り届けるためだったんだ 」



 瞬間、心臓が激しい鼓動を奏でた。



 思いもよらない言葉が届いて

 私は目を見開いた。




「 ――――――― え……? 」


「 妹さん、俺のファンだったんだって。俺がデビューしてからずっと応援してくれていたんだって。亡くなる時も、俺を応援し続けたいって、お兄さんにそう言ってたんだって 」


「 ……え……??……っ???? 」


「 君の悪い癖だ。思い込みの激しいところ。

 最上さんがちゃんと彼の話を聞いていたら、妹さんが最後のお願いと託したそれを、叶えようとした彼の行為を君が邪魔することは無かっただろうし、君は君で、立て掛けてあった木材に突っ込んで骨折することも無かった。もちろん、それで現場の人に迷惑をかける事も…… 」



 私は、頭の中が真っ白になって、眉間にシワを寄せて唾を飲んだ。


 敦賀さんから視線を外して5メートル先の彼を見て、その穏やかな佇まいを確認してからまた敦賀さんを見つめた。



「 ……っ…本当、ですか?それ… 」


「 俺が君に嘘をついてどうする。全部本当のことだよ 」


「 だって……じゃ、私がしたことって…… 」



 敦賀さんを守ったとかじゃなくて

 私が、したことって……



「 最上さん。まずちゃんと彼に謝ろう。

 彼はね、君が持って行った本を返して欲しくて何度か君に接触したと言っていた。でも君は事故前後の記憶を失くしていたから…… 」



 ああ、そうだ。

 あの人とは病院で二度会っていた。


 そう言えば二回とも同じ本を持っていた。



 もしかしたら、私が持って行った雑誌と交換するつもりで用意していた本だったのかも知れない。



 私を見上げる敦賀さんから視線を外し、私は再び彼に向けて顔を上げた。



「 ご……ごめんなさい!!私、勝手にそうだって思い込んで、ご迷惑をお掛けして…… 」



 私が謝罪の言葉を口にすると、彼は何も答えず、ただ口元に小さな笑みを浮かべて控えめに顔を二度横に揺らした。



「 最上さん 」


「 はいっ 」


「 君がケガをしなかったら、君が俺に料理を教えることも無かっただろうね。

 あれはダメ、これはダメって俺から口うるさく言われることも無かっただろうし、楽屋で……あんな酷い事を言われることもきっと無かったんだ 」


「 敦賀さん!!それは私、何とも思っていません! 」



 実際、私は敦賀さんをほぼ一人占めしていたようなものだ。

 嫉妬にかられる人が出たってそれは当然の事だと思う。



 だけど私は、それが判っていながらこの人から離れたくなかったの。

 狡いって理解していながら、自分が歩けないことを理由に私は甘え続けたの。



 敦賀さんと一緒に過ごした時間はかけがえのないものだった。

 治らなくても構わないって、本気でそう思えるほど幸せな時間だった。


 この想いは決して嘘じゃない。

 こんな事が無ければ味わうこともなかっただろう幸福。



「 うん。もう過ぎてしまったことだし今さら言ってもね。

 それに今回の件、俺は君に心から感謝してる 」


「 はい? 」


「 君がこうならなかったら、俺が君の面倒を見ることも四六時中べったりしていることも無かったんだろうね。

 そのあいだ中俺はずっと俺が君を守っているつもりでいたけど、でも反対だったんだって彼の話を聞いて気付いた。

 俺が、ずっと君に守られていたんだね。ありがとう、最上さん 」


「 う?……いえ、そんな。守るだなんて大袈裟です。ただ私がそうしたかっただけで… 」


「 でもね、もう少しだけ考えて欲しい。俺の為に君がケガをするのは俺が嫌なんだよ 」


「 ……すみません…でした 」


「 でも、今回は怪我の功名とでも言うのかな。おかげで俺は、とても大切なことに気付けた 」



 そう言って敦賀さんは愛おしそうに目を細めた。

 満足そうに緩む頬の柔らかさに胸が高鳴る。


 大切なこと…?と問いかけた私のそれに、敦賀さんはそうだよ、と静かに口元を緩めた。



「 大切なこと…? 」


「 そうだよ。結果を出したいと思うのなら、いつも同じ行動を繰り返していてはダメだってこと。

 いつもの自分と違うことをしなければ決して望む結果は得られない 」


「 望む…結果って? 」


「 棚ボタ的に好きな子と一緒に暮らせたことをただ喜んでいたけれど、それだけじゃ君を得ることは出来ないって気付いたんだ。

 だからバラの花束を用意した。君に、愛の告白をするために… 」


「 うえっ?!え?これっ??

 でもこれは、退院おめでとうって言ってくださったものじゃ… 」


「 あのね、言っておくけど、男が女性にバラの花束を贈るならそれは愛の告白以外にあり得ない。

 俺がこんな格好しているのは何のためだと思ったんだ。退院するので迎えに来たってだけならこんな服を選んだりしないよ 」


「 えええっっ?!!だってそれは、人前に出られるからビシッと決めて来られたとかじゃ… 」


「 違う。告白のためだよ。俺は君を愛しているよ。君が俺に対して好意を持ってくれていることは知っている。それが演技の先輩としてでも今は構わない。

 君は、俺と一緒に暮らした4週間、楽しくなかった?俺のこと、少しでも好きって思ってくれたことはあった? 」



 そんなの、聞かなくてもあなたは知っているんじゃないんですか。


 楽しかった。

 敦賀さんの家で過ごせた4週間はとても楽しかったし、とても幸せだった。



 迷惑かけてばかりの私を、あなたは心から心配してくれていた。それが私にも判り過ぎるぐらいに。



「 俺、君が居なくなってから生きた心地がしなかった。こんな思いをするならずっと俺の目の、手の届く所に君を置いておくべきだと思った。

 最上さんは健気に俺を守ろうとしてくれた。そんな君をこれから俺が守っていきたいんだ 」



 私の手にあったバラの花束が風で揺れて、芳香が豊かに気配を振りまく。

 それはまるで敦賀さんの告白は本物だと訴えているかの様だった。



 なんて熱い告白だろう。

 その瞬間、私はふと我に返った。



「 ちょ…ちょっと待ってくださいっっ!!敦賀さん、ここ、どこだか判っていますか?! 」


「 判ってる。病院の敷地内だよね 」


「 そうですけどそうじゃなくてっ!!! 」



 私が慌ててそう言うと、敦賀さんは余裕を漂わせてクスリ…と笑い、私に添えていた大きな手を自分へと引いて行き、私の左手を優しく持ち上げ、その手の甲に唇を寄せた。



「 きゃあぁぁぁっ!! 」


「 ……さすがにそれは色気なさすぎ 」


「 なっ…なっ……う…噂になったらどう…どうする……つもり… 」


「 大丈夫。堂々と宣言するだけだから。俺が君を愛しているってことを… 」


「 ……っ…敦賀さん…… 」



 それ、本気で言ってるんですか。



「 俺ね、今回の件で色々学習したんだ 」


「 はい? 」


「 たとえば、行動を起こす時は常に自分の責任の及ぶ範囲で… 」


「 え? 」


「 …本当に済むのかどうかを深く真剣に考え、常に最悪の事態を想定し、その上で最善策を取るのが大人…とか? 」


「 ????…なに…?? 」


「 俺にとって最悪の事態はこの場で君がイエスと言ってくれないこと。

 だから、最善策を取ろうと思う 」



 ふわりと立ち上がった敦賀さんは、持っていた私の左手を引いて私を引き寄せ、そのまま優雅に私を抱きしめた。



 鼻孔に届く敦賀さんの香り。

 たった一週間離れていただけなのに、こんなにも懐かしいと思うなんて


 私の心はどれだけ贅沢に慣れてしまったのだろうか。


 でも……



「 最上さん 」


「 敦賀さん、ダメです!私はもう足、治ったんです。自分の力で歩けます。なのに、こんな公衆の面前で私を抱きしめたりしたら…… 」


「 なに?この期に及んでまだ文句を言うの?

 これ以上四の五の言うならここで物凄くディープなキスをお見舞いするよ。君がイエスって言ってくれるまで離さない 」


「 ……は?まさかこの場面でそれを言いっっ…… 」





 ―――――――― そのキスは、今までのどれとも違っていた。





 骨折した日の夜

 余りの痛みに意識が浮き、高熱で朦朧となりながら、藁にも縋る思いで敦賀さんからの口移しの水を欲したあのキスとも



 敦賀さんの楽屋で、私如きが敦賀さんの心配をしてゴチャゴチャと口走っていたそれを制する為に敦賀さんの唇で塞がれたキスとも



 何もかもが本当に違っていた――――――― …




 甘い痺れが口内に拡がる。


 逃げ惑う私を敦賀さんが追いかける。



 少しの間、花の蜜を吸っていた蝶々が

 まるで飛び立っていくかのように敦賀さんは私からそっと離れて、私の顔を両手で守る様に抱えると、クスリ…と甘く笑って目を細めた。




「 このセリフ、本当に使える……。

 最上さん、イエスって言う?言わないなら何度でも実行しちゃうけど… 」


「 ……っっ!!! 」



 そのとき、蝶を捉える網が社さんの手から華麗に放たれ、雄々しい蝶は私から顔を逸らした。



「 やめろ、この破廉恥男。ようやくキョーコちゃんが言ってた意味が理解できた 」


「 ……っ…社さん。なんて野暮な真似を… 」


「 これ!!返すんだろ、彼に! 」


「 ……あ、そうでした。忘れていました、ありがとうございます 」



 近付いてきた社さんのカバンから取り出されたのは、あの日、私が火の中から助け出した雑誌だった。


 裏表紙は完全に焼けてしまっている、敦賀さんが表紙を飾ったあの本。



 彼に向かって敦賀さんが手招きをすると彼は静かに歩みを進めた。



「 ありがとう。おかげで彼女の記憶も戻った 」


「 ……こちらこそ、ありがとうございます。妹も喜んでいると思います。こんな幸せそうなオーラを放つ敦賀さんを見たら… 」


「 それなんだけど、君はたぶん誤解していると思う 」


「 え? 」


「 君の妹さんが言った、自分が世界で一番好きな人っていうのは俺のことじゃ無くて君のことだと思う 」


「 ……いえ、違いますよ。妹はずっと敦賀さんのファンで… 」


「 でも、君の妹さんが俺のファンになってくれたのは、俺が自分の兄に似ているから…だろ。君、そう言ったよな? 」


「 ……きっかけは、そうだったかもしれないけど… 」


「 妹さんはきっと、俺の中に兄の姿を見ていたんだと思うよ。でも、天国に旅立って一年が経って、いつまでも自分に縛っていたら兄は幸せになれない。そう思ったんだろうね。

 だからこそ、最後のお願いを君に託したんだと思う 」


「 いや、それは違うと思います。アイツは… 」


「 そして君も、妹さんを愛していたんだよね? 」


「 ……っっ!!ちが… 」


「 家族として、兄として、そして誰よりも身近にいた男として。

 君は、血のつながらない妹さんのことを、心から愛していたんだ 」


「 違っ…オレは、そんな汚い感情は持ってない! 」


「 汚い?どうしてそう思う?それは決して恥ずかしい感情ではないよ。

 人は必ず誰かを愛せる生き物なんだ。君たちの出会いは家族になった所から始まったけど、時間を重ねた事で生まれた特別な愛情は、決して恥ずべき想いではないと思うよ 」


「 ……っっ… 」



 敦賀さんがそう言うと、彼は視線を外して押し黙ってしまった。


 敦賀さんはそれには構わず、社さんから渡された色紙とペンを黙って受け取った。



「 君の妹さんの名前、教えてもらえる? 」


「 いやだ 」


「 え? 」


「 アイツの時間はもうとっくに止まったんだ。なのに、これから先も時を刻み続ける人間にアイツの事を覚えてもらいたいとは思わない。たとえそれが妹の名前だけであっても 」



 彼の強い言葉に圧倒されたのか、敦賀さんは大きく目を見開くと二拍置いて、確かに…と呟いた。



「 なるほど、確かに同感。じゃあ…… 」



 まっさらな色紙に記されたのは、敦賀さんのサインと

 それから、俺のファンになってくれた君へ…の言葉。



 それをあの日、私が持ち逃げしてしまった雑誌の上に重ねると、敦賀さんはその二つを彼に託した。




「 これ、一緒に天国へ送ってあげて 」


「 ……良いんですか?サインなんて。あ……有難うございます!! 」


「 一つだけ言っておくけど、君が妹さんの話をする時の顔は、好きな子を守るナイトそのものだったよ 」


「 …――――――― 妹のことは好きだったよ、もちろん。

 一生オレが守ってやるって、思える程度には、ね 」




 敦賀さんも社さんも何も言わず、もう一度ありがとうと言って頭を下げ、去っていく彼の後姿を見守った。



 詳細は私には判らなかったけれど、でも私も同じ事を思った。


 少なくとも彼は、妹さんのことを愛していたのだろう…と。




「 最上さん、帰ろう。社さん、ありがとうございました。お疲れ様でした 」


「 ……うん。まぁ、俺はこれで帰るけど…。いいか?お前たちのオフは明日までだからな?

 キョーコちゃんも、判ったね?それからケアを絶対怠らないこと! 」


「 は……はいっ 」


「 それと蓮、いいか?!破廉恥な行為はっ!!!お兄さん、絶対に許さないからなぁぁぁ…!!! 」


 社さんは敦賀さんに人差し指を突き出しながらそう言って器用に走って去って行った。




「 最上さん 」


「 は…うきゃあぁっ?! やだ、どうして抱き上げるんですか! 」


「 どうしてって…やっぱりバージンロードを歩くのは結婚式の時がいいかな、と思って 」


「 バ……バージンロード??って、この花絨毯は退院祝いじゃ… 」


「 正確に言うとこれは、彼をここに呼ぶための口実以外の何物でもなかった 」


「 なっ…なのにこれで本当に噂になっちゃったら敦賀さんはどうするつもりなんですか! 」


「 それはさっき答えただろう。堂々と宣言するだけだって 」


「 堂々と…って… 」


「 それより、退院祝いしよう、最上さん。俺、楽しみにしていたんだ 」


「 ……なに、するんです? 」


「 俺ね、君と二人でキッチンに並んで立ちたい。それで、退院祝いのケーキを作りたいんだ。

 もちろん、作り方は教えてくれるだろ? 」


「 まさかスィーツにまで手を出そうって言うんですか。こうなったら三段重ねの豪華なケーキを教えちゃいましょうか。デコレーション激ムズの!! 」


「 ……出来れば、素人でも見栄え良く出来る奴でお願いしたいんだけど。君の退院と快気祝いを兼ねたケーキなんだし 」


「 え?教えを乞おうっていうのにここで文句を言うんですか?

 敦賀さん。四の五の言うならここで物凄くディープなキスをお見舞いしちゃいますよ? 」



 敦賀さんの首に腕を絡めた状態で

 照れながらもまっすぐに敦賀さんを見つめた私を一瞥した敦賀さんは、とっても嬉し楽しそうにクスリと笑った。



「 ……いいよ。して? 」


「 あ、ごめんなさい。ちょっと調子に乗りました、すみません 」


「 謝らなくていいからしてよ、ほら 」


「 なっ……や、ダメです、こんな公衆の面前じゃ……だ……っ……ん…… 」




 敦賀さんの香りに包まれて、甘い痺れが何度も襲う。



 結局私は最後まで

 恋に溺れた愚かな女のままだった。






     E N D


や…やっと終わった♡


りかちゃん様からのリクエストはとっても判り易い箇条書きで頂きました。


キョーコちゃんケガをする⇒ケガが治るまで車イス生活

階段上れない⇒だるまや生活出来ない

蓮さん考える⇒蓮さんの家で生活!

蓮さん考える⇒送迎できる!

蓮さん考える⇒このまま同棲?からの告白してラブラブに!


頂いたリクエストはこれにプラス、スキビのCDがおまけでついていた本誌の表紙を飾ったバラの花束を持った蓮君がその恰好(41巻の表紙参照)で告白…でした。


頂きましたリクエストに一葉がプラスした要素とは、蓮君が告白したくなる『理由』です。

原作沿いでリクエスト通りの流れだとどう頑張っても告白には至れませんでしたので。


想像以上に長くなってしまったのですが、楽しく書かせて頂きました!お付き合い頂きまして有難うございました。

そしてりかちゃん様、リクエスト本当にありがとうございました!!!



最後に社さんのおまけ↓


■ 天使の落とし物・おまけ ■




 蓮も俺も、こうなるだろうな、というのはあらかた予想していた。



 衛生管理の理由から、病院の窓は開かない場所が多い…ということを失念していた訳じゃなかったけれど、窓に鈴なりになっていた人の声はそのとき届いていなかった。



 満床の病院の敷地内で繰り広げた、キョーコちゃんを迎えに行った際の蓮の告白劇は電光石火の如く世間を駆け抜け、もしそうなったら堂々と宣言すると言ったアイツは本当に堂々とインタビューカメラの前に立った。



 蓮一人で…だったのは、キョーコちゃんが未成年だったからだ。


 キョーコちゃんの名は伏せられた形で、未成年に手を出した…なんて一部雑誌で取り沙汰され、けれど蓮はそれを甘んじて受け止めた。



 自分の責任の及ぶ範囲内だと言ってカメラの前に立った蓮はひどく冷静で、そして神妙な顔をしつつもどこか誇らしげだった。



「 このたびはお騒がせして大変申し訳ありません。その件に関しては謝罪します。

 …が、俺が彼女を愛したことは謝りません。そもそも人が人を愛するのに年齢は関係ない。

 そして俺は、愛しいと思える人が、自分の隣で微笑んでくれることの倖せに感謝しながらこれから先もずっと彼女を愛していきたい。

 もちろん、大人として、男として、慎みある行動は選択していきます。ただ、俺が彼女を愛し続けることを、どうか取り上げないで下さい 」



 のちに、やけに実感のこもった蓮のこのフレーズは、誰の心にも深く刻み込まれ、以降、二人をバッシングするような報道は一つとして出なかった。



    END



⇒天使の落とし物◇12・拍手

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