一葉でっす!やっとここまで来ましたよぉぉо(ж>▽<)y ☆
弊宅500記事を記念してりかちゃん様からお与かり致しました記念リクをお届けいたします。
前話こちらです↓
■ 天使の落とし物 ◇10 ■
「 敦賀さん、重いです!放して下さい 」
「 ……放してもいいけど、落ち着くって約束するね? 最上さん、彼は俺に危害を加えようとした訳じゃないんだ 」
「 っっ!!敦賀さんが何を知っているって言うんですか!私はそれを目撃したんですよ!
あの人は、撮影現場の近くにあったバーベキュー場で敦賀さんが表紙を飾った雑誌だけじゃなく、敦賀さんが載っているあらゆる本を全部火に投じていたんですっ!!
オレが天国に送ってやるって、したたかな笑みを浮かべながら! 」
そうだ。
全部思い出した。
あの日、新しく始まる敦賀さんのドラマ撮影の現場に私がお邪魔をしたのは、社さんからアドバイスをもらったからだった。
私にもいくつかドラマのオファーがあって、その中の一つに、今回、敦賀さんが出演するドラマシナリオを手掛けた人の作品があったのだ。
シナリオライターの中には、初めから演じる人を考慮に入れて作品を作り上げることがあるという。
今後の事も考えたら挨拶していて損は無い。そうアドバイスをもらって訪れていたのだ。
敦賀さんの助けを借りて無事挨拶を済ませた私は、邪魔になってはいけないと考え早々に腰を上げた。
そのとき、晴れた空を見上げていたスタッフさんの呟きでその場の全員が同じように空を見上げた。
「 ……あれ、火事じゃないよな? 」
いつの間にそうなっていたのか、空には白い煙がもうもうと立ち昇っていた。
視線の高度を下げていくと立ち並ぶ木々に邪魔され出元はハッキリ判らない。
これはこの直後に自分が知る事になるのだけど、撮影現場の近くにある森林公園の中に、最近オープンになったばかりのバーベキュー場があったのだ。
けれどその事実を現場にいる誰もが知らなかった。
だから部外者である私が、煙の出所を探るべく様子を見に行って来ますよ…と申し出た。
「 いいよ、最上さん。そんなことしなくても 」
「 でも敦賀さん、煙はあの公園の中から出ているみたいですし、万が一にも火事だったら木々にも燃え移ってしまうかもしれないじゃないですか。
いまだったら白い煙ですから消すのもそれほど大変じゃないと思いますし、本当に火事だったらすぐ消防に電話しないと!!…ということで、私ちょっと行って来ますね! 」
「 あっ、最上さん!! 」
敦賀さんの制止を跳ね除け、私は一人現場を離れた。
その日は平日だったこともあって公園内に人の気配はほとんどなくて、煙の出所を求めて進んだ公園内部は閑散としていた。
少なくとも煙は広い芝生側ではなく、園内のもっと奥から出ているように思えた。
足を進めた先に景色がまるで違う場所があって、そこかしこに配置されているテーブルや複数の蛇口がついた流しを見て、何となくバーベキュー場みたいだなと思った。
立て看板の存在に気付いたのは自分が辺りを見まわしていたからで、それを見てやっぱり、と納得。
想像通り、そこはオープンしたばかりのバーベキュー場だったのだ。
「 ……なんだ。バーベキュー場だったんだ。良かった。何も心配すること無かったんだわ 」
安心した私は、敦賀さんにそれを報告しようと踵を返した。
そのとき、煙の出所が見えたのだ。
誰もいないバーベキュー場で一人佇む男の人。
その人が、明らかに食べ物では無い物を火に投じている姿が見えた。
――――――― やだ。あれまさか放火魔とかじゃないわよね?!
訝しみながら私は足音を忍ばせた。
近付くほどにはっきりと見える景色。
どうやら投じているのは雑誌の様だと思った。
誰の気配も無かったってことと、まさか背後から近づく人間がいるなんて想像もしていなかったのかも知れない。
彼は本を火にくべながら何かを呟いていたのだ。その一部が私の耳に届いた。
「 ……れも、これも敦賀蓮が載っている。ぜんぶ天国に送ってやるよ。敦賀蓮を、全部…… 」
背筋がゾクリと震えた。
敦賀さん?
この人いま、敦賀さんって言った??
敦賀さんを天国に送ってやると…?
目を凝らして焚き火をよく見ればどれも新刊ばかりのようだった。
それも敦賀さんが表紙を飾ったものだけじゃない。
敦賀さんのインタビュー特集が載っている雑誌も、新作ドラマの制作発表が載っている特集記事本も、彼の言葉通り、そこにある本の全てには敦賀さんが載っていたのだ。
間違いない。
欲しかったけど、でも全部を買う事は出来ないから
どれを買おうか…と、私は随分悩んだのだから…。
「 ……これは昨日発売になったやつ。これで最後だ 」
「 やめてっっ!!!! 」
敦賀さんが表紙を飾った最新号の雑誌は、このあと自分が買おうとしていた本だった。
投げ込まれた本を拾おうと私はくべられた雑誌めがけて手を伸ばした。
「 なっ…誰だよ!!やめろ、何すんだ!!! 」
「 やめてはこっちのセリフよ!何てことするのよ!!雑誌は火にくべる物じゃないわ、読むものよっ!! 」
「 やめろっっ!!! 」
手を伸ばしたけど手首を掴まれ雑誌を拾うことは出来ず。
チリチリと焼けていく裏表紙を眺めながら焦燥感が募る。
早く!!早く拾わなければあれもすべて焼けてしまう……。
右へ、左へと暴れながら私は勢い口を開いた。
「 アンタこそ止めなさいよっ!!敦賀さんは私にとって神にも等しい人なの!!こんな扱い許せない。そりゃ、敦賀さんはカッコいい人だから、男の人から見たら嫉妬や羨望の対象になるのかも知れないけど、だからってこんなことするなんて最低よっ!!! 」
「 バカじゃないのか、あんた!どう解釈しようがあんたの勝手だけどな、少なくともこの本は全部オレが買った物だ。だからどう扱おうとオレの自由!とやかく言われる筋合いはない 」
掴んでいた私の手を、まるでごみを捨てる様に手放した男。
私は頭に血が昇るのを感じつつも素早く焚き火に手を伸ばし、まだ形の残っている本を助けた。
手早く叩いて火を消してみたけれど、裏表紙はほとんど燃えてしまっていた。
「 あっ、何してんだお前!! 」
「 冗談じゃない!!この本が出来上がるまでにどれだけの人がどれ程の苦労を背負ったと思っているのよ!?敦賀さんだって、忙しい時間を割いてインタビューに応じているのよ!!
いいわっ!お金を払ったのがアンタだって言うなら、この本の代金、私が払ってあげる。だったら文句ないでしょ?! 」
「 ふざけるな!それはオレが買った物だ。誰にも譲る気はない。お前こそ欲しけりゃ本屋に行け!そしたら好きなだけ手に入る!それ返せよっ!! 」
「 嫌よ、お断りっ!!! 」
助け出した本を両手でしっかりと抱きしめ、男の手を素早く交わして私は力いっぱい駆け出した。
植樹された木々をすり抜け追って来ている男の気配を感じながら、私が敦賀さんのいる現場を目指したのは大勢の人がいたからだ。
放火魔もどきだって人だから
他者の目があればきっと諦めるだろうと考えたのだ。
敦賀さんの撮影現場は車の修理工場を模したガレージになっていて、撮影所門をくぐってすぐの所にあった。
たまたまそこから出て来た社さんと私の目が合ったとき、私は一度後ろを振り返った。
「 ……っ…しつっこいわね!! 」
後方にはまだ放火魔もどきの姿があって、物凄い形相で私を追って来ている。
「 ……あれ?キョーコちゃん… 」
「 …え? 最上さん、戻って来たんですか? 」
社さんの呟きに気付いて顔を上げたのだろうか。敦賀さんはすぐ私を見つけると素早い動きで腰を上げた。
瞬間、私は失敗したと思った。
放火魔と敦賀さんを引き合わせてはいけない。
あの男は敦賀さんを天国に送ってやると言っていたのだ。
ダメよ!
このままでは鉢合わせになってしまう!!!
――――――― だめ!!敦賀さんはこっちに来ちゃダメっ!!!
どうなるか…なんて判り切っていた。
でもこうすればさすがに追って来ないと思った。
私はただ、敦賀さんを守りたかったのだ。
この人に危害を加えようとする人がいるのなら、そんなのいくらだって私が阻止してみせる。
立て掛けてあった木材めがけて
私は力の限りに突っ込んだ。
「 最上さんっ?!危ないっ…… 」
―――――――― 私なら大丈夫。だから敦賀さんは来ないで……
これが、事故の真相だった。
⇒ 天使の落とし物◇11へ続く
全ては愛ですよ、愛。
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