5 情報の整理
5.2 予想を的中させる
(1)問題の構成を理解する
問題文は、テーマ、キーワード、記述内容の3要素で構成されています。
当然ですが、これら3要素のうち、最も重要なのが「テーマ」です。
試験本番で、出題されたテーマについて一度も勉強したことがなければお手上げです。
出題されたテーマについて勉強していれば、出題されたキーワードと記述内容が違っていたとしても、何とか対応できる可能性があります。
そもそも、テーマというのは一体何種類くらいあるか。
水道部門について言えば、過去の出題実績から考えると、30種類程度です。
おそらく他の部門も大きく異ならないと思います。
30種類、全てのテーマについて勉強できるでしょうか。
技術士の一次試験対策として、設計指針を読み込んだ人はいるでしょう。
一次試験は択一式ですから、読み込むだけで得点できるかもしれません。
しかしながら、二次試験は記述式です。そう簡単にはいきません。
単に設計指針を読んだだけでは、600~1,800字の文書を作成することは極めて困難です。
文書を作るのは相当なエネルギーが必要になります。
それから、テーマが30種類だとしても、キーワード、記述内容がたくさんあります。
一つのテーマでも、数多くの問題文をつくることができます。
全てのテーマについての勉強をするのは現実的ではありません。
記述試験に合格するためには、試験に出題されそうなテーマを勉強することが求められます。
(2)情報の分析
試験に出題されそうなテーマを予想して的中させるためには、情報の分析を行う必要があります。
この時、便利なのがフレームワークです。
フレームワークとは、現実を観察するため、何らかの概念をまとめるため、一定のルールで作った枠組です。
マトリックス、5W1H、起承転結等、様々なフレームワークが存在します。
これらのうち、最も一般的なのがマトリクッスです。
マトリクッスは、2つの条件で情報を整理することによって、その情報の位置付けを判断するもので、一般には、何が重要かを見極める際に有効です。
例えば、複数のプロジェクトの中から、優先的に取り組むべきものを検討する場合を考えてみます。
重要性の高いプロジェクトを優先的に実施するのが合理的です。
多くのことに言えることですが、行動の重要性というものは「効果」と「緊急性」で判断できます。
これらをマトリックスにすると、下図が完成します。
これを見ると、「効果」が高く、「緊急性」が高いプロジェクト、つまりマトリックスの右上のフレームは、重要性が高いことが一目瞭然です。
何かのプロジェクトを行うとき、右上に該当するものについて優先的に取り組むべきです。
逆に、「効果」が低く、「緊急性」が低いプロジェクト、つまり、マトリックスの左下のフレームは重要ではないことがわかります。
これは後回しにしてもいいわけです。
このように、マトリックスを活用することにより、情報の重要性を判定することが可能になります。
技術士の二次試験でも、マトリックスを活用することにより、試験に出題されるテーマを抽出することができます。
テーマを予想するため、マトリックスを作るわけですが、これまでに述べたように、マトリックスを完成させるためには、2つの条件を設定する必要があります。
技術士二次試験の筆記試験において、2つ条件とは何でしょうか?
1つ目の条件、それは「出題頻度」です。
全ての資格試験に共通して言えることですが、試験には必ず出題頻度の高いテーマが存在します。
こうしたテーマは、重要だからこそ繰り返し出題されるわけです。
出題頻度は、過去問を調査・集計することによって把握できます。
過去の頻出頻度の高いテーマが、重要なテーマになるわけです。
出題傾向が条件の1つになることは予想できたと思います。
それでは、2つ目は何でしょうか?
2つ目の条件、それは「話題性」です。
どんな技術部門でも、話題性の高いテーマが存在します。
話題性が高いということは重要であることを意味します。
なぜなら、技術士はコンサルタントの資格だからです。
コンサルタントは、顧客から相談されたことについて、答を提供する仕事です。顧客は、最近話題になっているテーマについて質問したいと思っているはずです。
このため、試験官サイドとしては、有資格者としてコンサルタントを世に送り出す以上、試験の合格者が最新技術に疎いようではまずい、そう考えているわけです。
話題性の高いテーマというのは、今日的なものです。こうしたテーマは、過去に何度も出題されているようなものではありません。
極端な話、一度も出題されていない可能性もあります。
話題性の高いテーマは、過去問を使っても、抽出できません。
別の方法で情報収集する必要があります。これについては後述します。
下図に示すように、「出題頻度」と「話題性」の2条件でマトリックスを作ることによって、各テーマを整理します。
このマトリックスにより、試験で出題される可能性が高い、重要なテーマ、そして、極めて重要なテーマを抽出することができます。
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