技術士合格法(3.2 二次試験の勉強法) | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

3 技術士試験勉強法

 

3.2 二次試験の勉強法

●問題文の3要素

過去に出題された問題を見ると、技術士試験の問題文というのは、以下の3要素で構成されていることが解ります。

 

 ①テーマ

 ②キーワード

 ③記述内容

 

 

テーマは、施設単位や取組単位で分類したものです。

キーワードは、そのテーマをさらに細かく分類したもので、記述内容は問題文が何につて述べるかを示した事柄です。

例えば、以下のような問題があったとします。

 

管路の漏水調査を実施する上での留意点を述べよ。

 

この場合、テーマが「管路」、キーワードが「漏水調査」で、記述内容は「実施する上での留意点」になります。

テーマ、キーワード、記述内容の中で、最も重要なのはテーマです。

 

●テーマに関する分析

試験に合格するためには、できるだけたくさんのテーマについて勉強するのが理想です。

しかしながら、全てのテーマを勉強するのは時間が必要です。

そうなると、勉強するテーマの見極めが必要になります。

出題されそうなテーマを絞り込んで上で、そのテーマを重点的に勉強することが重要になります。

出題されそうなテーマを見極めるためには、まずは、自分が受験する部門、専門において、どのようなテーマがあるのか、知っておく必要があります。

例えば水道のテーマでは、施設区分で見ると、取水場、凝集、沈殿、高度浄水処理、急速ろ過、膜ろ過、管路、給水装置等のがあります。

それから、取組で分類すると、災害対策、事故対策、地球環境、水質管理等のテーマがあります。

このように、まずは、どんなテーマがあるのか知る必要があります。

その上で、過去にどんなテーマが出題されているのか整理を行う必要があります。

過去問をテーマ毎に整理すると、毎年のように出題されているテーマと、ほとんど出題されてないテーマがあることがわかります。

毎年のように出題されているテーマは、重要だから出題されるわけですから、また出題される可能性があるわけです。

こうしたテーマは重点的に勉強するべきです。

一方、ほとんど出題されていないテーマもあるわけです。

当然ですが、こうしたテーマを重点的に勉強しても合格に直結しないです。

このように、過去問は極めて重要な情報源なのです。

そして、過去問を使って勉強をするためには、過去問の整理表が必要になります。

試験問題は、上下水道部門の場合なら、1年で10問あります。

過去10年なら100問です。

これらの問題について、それぞれテーマを見極めます。

これをエクセルに入力して、テーマ別に並びかえれば、整理表の完成です。

この整理表により、毎年のように出題されているテーマと、ほとんど出題されてないテーマがあることが一目瞭然になります。

繰り返しになりますが、毎年のように出題されているテーマは、重要だから出題されるわけです。

また出題される可能性があるわけですから、重点的に勉強するべきです。

それから、過去問を読み込む際、新しい年度から古い年度の順に読んでいってしまいがちですが、これは効率的ではありません。

テーマ毎に読み込むべです。

この作業を行う時、整理表を目次にすれば便利です。

テーマ毎に勉強を進めることが可能になります。

テーマ毎に勉強すれば、集中して勉強できますし、記憶にも残りやすいです。

 

●記述内容の指定

R1年度以降の二次試験では、問題文の中に記述内容に指定があります。

年度によって若干違いがあるかもしれませんが、概ね下表のようになっています。

 

  この記述内容を踏まえて、勉強する必要があります。

ところで、上の表を見ると、必須と選択Ⅲには、記述内容の中に、課題と解決策という指定があります。

課題とは何でしょうか?

課題とは目標と現状との間に存在する差(ギャップ)です。

目標と現状が同じレベルであれば課題は存在しません。目標があるからこそ、取り組むべき課題が生じるわけです。

つまり、課題を知ることと、目標を知ることは、同じ意味になります。

そう考えると、技術部門全体に係る課題を理解するためには、その技術部門全体の目標を理解しておけばいいわけです。

それでは、技術部門全体の目標とは何でしょうか?

それは、国が掲げている施策す。

水道なら新水道ビジョン、下水道なら下水道ビジョンです。

 

つまり、その部門の課題を知るためには、その部門のビジョンを読み込んでおく必要があるわけです。

ビジョンについては、国のホームページにアップされています。

以下で確認してみてください。

 

水道ビジョン(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/newvision/1_0_suidou_newvision.htm

下水道ビジョン(国土交通省)

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000106.html

 

 それから、解決策についてです。

 一般に解決策と言ったら、オリジナリティーあふれる独自のアイデアやこれまでにはない斬新なアイデアを示すことが期待されているように思われます。

 しかし、資格試験における解決策は意味が違います。

 技術士試験は国家試験です。

 有資格者として認定する責任は国にあります。

 技術士になった後も、国の施策や基準を理解したうえで、コンサルティングする必要があるわけです。

 

このため、試験で求められている解決策とは、国のビジョン、要綱・要領等に書いてあることを、体系的に説明すればいいわけです。

 

ただし、この試験は、単なる解決策ではなく技術士の試験です。

過度に、経済的、社会的な解決策を説明するの良くありません。

例えば、予算確保、法令整備、組織改正等の対策を提示したのでは不適切です。

あくまでも技術的な側面を説明する必要があるため、例えば、コスト縮減、基準値設定、維持管理の効率化、技術的な相違工夫が主体になることを提示する必要があります。

また、必須Ⅰと選択Ⅲだけではなく、選択Ⅱ-2についても記述内容に指定があります。

具体的には、①調査・検討事項、②手順・留意点・工夫点、③関係者との調整方策です。

これらの行為は、水道施設工事の設計業務や計画策定等の基本検討業務を実施することを意味しています。

試験本番、特定のテーマについてある程度の知識があったとしても、制限時間があるなかで、設計や計画策定の手順や留意点を記述するのは難しいです。

このため、自分が勉強するテーマについて、水道施設設計指針、水道維持管理指針、国が作成した手引き等に書いてある内容を理解し、文書を作成してておく必要があります。

 

 

 

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●過去問と解答例

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