ans005_023 バリアント・マトリクス | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

ミケ様

だんだん寒くなります。
そろそろもどろうかな。
居酒屋の空樽の上。

お元気ですか。
にゃんこ先生です。

   ☆

各大成卦を基準卦の位置から眺めたときの基準卦の「バリアント」として観た場合、そこにはどんな眺めが広がっているのでしょうか。

それをあらわしたのが「バリアント・マトリクス」です。


【fig051 マスター・バリアント・マトリクス(「風と羅針盤」P83より)】

このマトリクスは最初、マスターマトリクスと同じ8×8の正方形のマトリクスとして作成しました。

時計の文字盤でいう9時と3時の位置に、バリアントの流れの基準卦と、基準卦とツイストペアを成す大成卦が対置されるように正方形を45度回転させて、最終的にはひし形のデザインになりました。

さらにバリアントの流れをあらわす大成卦をひし形を取り囲む円形に配置。そうすれば周期としての流れをより意識しやすくなるだろうと思ったからです。

もとの正方形のマトリクスでは、バリアントの流れをあらわす大成卦はすべて正方形の端っこ、辺の部分にあらわれます。それらを取り出して、ひし形の周囲に円形に配置。
そんなわけで、中央のひし形の端っこにはところどころ、だれかがかじったみたいにバリアント(大成卦)が欠けたところがあります。そこにはもともとバリアントの流れをあらわす大成卦が置かれていました。

バリアント・マトリクスの観方はカンタンです。ようするに「見たまま」なんですね。

9時の位置にある基準卦から遠ければ遠いほど、その大成卦は基準卦からそれだけ「至り難い」バリアントであることを意味します。

もっとも「至り難い」のは3時の位置にある、基準卦とツイストペアを成す大成卦(バリアント)だということは見て取れると思います。


【fig053 バリアント・マトリクスの構造】

おのおのの大成卦がどうしてのこのような配置になるのか? については「風と羅針盤」をご参照ください。長くなるのでここでは説明を省かせていただきます。すいません。

どちらが基準卦より遠いのか、見ただけでは判別がつきづらいバリアント(大成卦)もありますので、基準卦からの距離を定量的に示したのが次の図です。


【fig054 基準卦から他の63卦への「距離」(「風と羅針盤 P109より)】

9時の位置に「00」と書かれた○が、基準卦がある「原点」です。

バリアント・マトリクスと同じレイアウトで基準卦から他の63卦への距離が、01〜63までの数字で書かれています。
数字が小さければ小さいほど「原点」の00=基準卦に近いということです。
一番遠い3時の位置にある大成卦までの距離が、63というマトリクス中で一番大きな値になっています。

   ☆

バリアント・マトリクスは、9時と3時の位置にあるツイストペアを基準にしています。

fig051の絵では9時の位置にある全部が陰爻の大成卦「坤」が基準卦になっています。

この絵はそのまま反対の3時の位置にある全部が陽爻の大成卦「乾」のバリアント・マトリクスでもあります。

ツイストペアは全部で32対あります。

つまりバリアント・マトリクスも、32種類あるということです。ていうか、32の図すべてをひっくるめて「バリアント・マトリクス」ということです。

この32のマトリクスが、易システムが「コミュニケーション・スペース」(★LINKS参照)を描く「方便」の一種ということです。

ちなみに「風と羅針盤」には32のマトリクスすべては載っておりません。

マトリクスの絵を描くのが結構手間で、途中でくじけてしまったんですね。あいすみませんことです。

fig051の絵には「マスター」・バリアント・マトリクスとありますが、これはこのマトリクスが他の31のマトリクスの鋳型になっていることからそう呼んでいます。

どういうふうに「鋳型」になっているか? これもちょっと説明すると長くなるので、ご興味があれば「風と羅針盤」を参照してください。

この「鋳型」を用いてたとえば「升」を基準卦としたバリアント・マトリクスを描くと下の絵のようになります。


【fig052 升を基準卦としたバリアント・マトリクス(「風と羅針盤」P85 より)】

これが「升」とツイストペアになる「无妄」という大成卦のバリアント・マトリクスでもあることは先にお話ししたとおりです。

さてこのバリアント・マトリクス、どうやって使うかは易システム・ユーザ次第(易システムのマトリクスはみんなそう)ということになりますが、基本は得卦を基準卦としたバリアント・マトリクスを参照して、さらに派生卦の位置をマトリクス上で確認し、相互関係を考慮する……ということになりそうですが、当のマトリクスがきちんと32枚示されてないんじゃハナシになりませんわな(「風と羅針盤」の中では各マトリクスの導き方は説明してあるつもりです)。

だはは。

   ☆

さて。

バリアントの話はそろそろ切り上げて、次回は「テンプレート」の話をしましょう。

それではまた。


★コトバ

バリアント・マトリクス
マスター・バリアント・マトリクス


★LINKS

→ans003_07コミュニケーション・スペース

→ミケさんの質問

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