ans005_016 バリアントの流れ | ぼくは占い師じゃない

ぼくは占い師じゃない

易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

ミケ様

にゃんこ先生です。
ちょっと涼しくなりました。
まあでもこれが昔の「夏」の気温です。

   ☆

大成卦をひとつの「事象」として観てみましょう!
な〜んていう話をしています。

易システムではこの事象のことを「バリアント」といいます。

バリアント。

原本があったとして、その異なったバージョン、異本といった意味合いです。

占ってある大成卦を回答として得たとします。

これが原本。

残りの63卦は、この原本のバリアントです。

今目の前にある現実とは別の現実、別の世界線、オルタネイティブな現実といった意味合いも含んでいます。

この原本も実は別の卦(事象・現実)から観ればバリアントです。てことは、すべてはバリアントです。

じゃいったい、「真の」原本ってのは……

もうおわかりですよね。

原本はひとつしかありません。

「ひとつのもの」。

この「バリアント」というコトバは、ロシアのヴァジム・ゼランドという人の著、「トランサーフィン」シリーズからパク……あいや、を参考にしました。

「トランサーフィン」の説明はしないけど、興味があれば調べてみてください。

一時期流行った「引き寄せ」本の一種です。
ほかの引き寄せ本とは、だいぶ毛色がちがいます。

   ☆

前回説明した「十二消長卦」。

この大成卦のグループの基点となっているのは、全部が陰爻でできた「坤」という卦です。

易システムではこれを拡張して、どの大成卦でも基点になりうる、としています。

この基点とする大成卦を「基準卦」といいます。

そして、基準卦から始まって、基準卦にもどる一連のプロセスを「バリアントの流れ」と呼んでいます。

たとえば「地風升」という大成卦があります。

この「升」が基準卦となったバリアントの流れを想定してみると次の絵のようになるでしょう。


【fig043 升を基準卦としたバリアントの流れ】

バリアントの流れは、水が高いところから低いところに流れるような、黙ってるとそうなるよ、という、自然に生じる流れです。

自然の流れにモノイイをつけるのは魔法使いとマッドサイエンティストくらいなものですから、事の運びはふつうは自然の流れになります。

この流れを通常ぼくらは時間の流れとしてとらえます。

バリアントの流れは、易卦というシンボル上では、大成卦の一番下の爻(初爻)から順番に爻の陰陽を反転させていくプロセスをたどります。

このプロセスの基準卦から6段階目には、基準卦の爻の陰陽を全部反転させた大成卦ができます。この大成卦は基準卦と「ツイストペア」になります。

上の例でいうと「升」が基準卦で、「升」とツイストペアになるのが「无妄」という大成卦です。

ここまではいいですよね。

この、基準卦とツイストペアになる大成卦は、バリアントの流れの上では、また下の爻から順番に陰陽を反転させて、また基準卦に戻るわけです。

ということは、バリアントの流れというのは、互いにツイストペアを構成する大成卦の間を行ったり来たりするプロセス、と観ることもできます。

   ☆

このブログのテーマである「ミケさんへのメール」シリーズの最初で書いたように、こういった話はすべて記号上の話であり方便です(「ans003_01ひとつのもの」参照)。

こういったことがなにを意味するか、イメージすることが「観立て」であり、易を利用する際の核だと思います。

では、この「バリアントの流れ」とは、ツイストペアであらわされる事象間をいったりきたりする振り子でしょうか?

それとも、記号、外見的な出来事は同じにみえるけど、実は、その意味・意義を深めていくスパイラルでしょうか?

ミケさんにはなにが観えるでしょうか。

え、説明が悪くて、なんも観えない?

そ、そんなはずは……

じ、じゃ、また。
(そそくさと去ってゆく)


★ことば

<伝統>
十二消息卦、十二消長卦
<易システム>
基準卦、
バリアント、
バリアントの流れ


★LINKS

→ミケさんの質問

→「ans003_01ひとつのもの」

→易システム関連ドキュメントはブログトップ(PC版)のメッセージボードから参照してください。
PDFドキュメントです。
すべて無料、閲覧、複製、配布自由です。
→こちらから。

「(1)易システムハンドブックV2.03」は猫乃電子出版の田邉さんが根性で作成してくれたRomancer版(ブラウザで読める本)もあります(多謝)。
→こちら