ミケ様
いきなりシツレイなタイトルです。
申し訳ございません。
気分を害されるとこの先遊んでもらえなくなってしまいますので、最初に謝っておきます。
お元気ですか。
にゃんこ先生です。
☆
さて前回は純卦の話でしたが、純卦であらわされる人をたとえて、こんなふうに書きました。
『自分で自分のことがまったく解っていない人、ともいえる』
なぜそういえるのか。
もちろん純卦であらわされる人をバカにしてるわけではありません。
単に記号(コトバ)上の理由なんです。
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大成卦は八卦ふたつ、上下卦からできています。
上下の八卦を爻ごとに対応させて観てみましょう。
プラスとマイナスと同じで、爻は異極(陰陽、陽陰)どうしで引き合い、同極(陰陰、陽陽)どうしでは反発しあう、という性質があります。
反発しあう関係を「応じていない」=「不応」といい、引き合う関係を「応じる」=「応」といいます。
そのように観ると純卦というのはすべての爻が「応じて」いません。
全不応の大成卦だということがわかります。

【fig040 上下卦の不応・応】
自分で描いておいてなんですが、上の絵は例としてはあまりよくありません。
上の絵の例は全不応(乾為天)と全応(地天泰)の例ですが、これはどちらも極端な例で、応爻と不応爻は通常ひとつの大成卦の中で混在しているからです。
さて、この意味を読み解くのが、この場合での「観たて」ということになりますが……
その「観立て」。
今回のお話ではとりあえず以下のようにしましょうということでした(前回記事「ans005_012 純卦」参照)。
大成卦=個人、
上卦=物理的身体、
下卦=魂
この観立てに依るならば、純卦であらわされる人というのは、魂と物理的身体がすべての側面で応じていない「不応の」人ということになります。
とりあえずは、プラス・マイナスの反発、引き合いにたとえて説明しましたが、応・不応というのは、単なるプラマイっていうより、「応答」があるかないか、または、答えるものがいるかどうか、というニュアンスの方が近いかもしれません。
呼びかけに応じるものがいるのが、「応」の関係。
呼びかけてもだれも応じてくれないのが、「不応」の関係。
これが、ひとりのニンゲンという複合体の、タマシーとニクタイの関係だったら……
タマシーの呼びかけに答えないニクタイ。
ニクタイの呼びかけに答えないタマシー。
でもその大成卦(人)をハタから観ると、タマシーの性質そのものが、物理的身体に現れた、純粋な(わかりやすい)人ということになります。
いい/わるいは別にして、いろんなイメージがふくらみます。
それでいいの。
そういうことなんです。
言語の役割って。
「いい/わるい」というジャッジも、結論としてはもちろん大事で、相談者もそれを求めて来るわけですが、だけどまずは、そのふくらんだ中から選び取った基盤になる「イメージ」が大事。
どれだけイメージがふくらむか。
そのバリエーションは占断の経験と……人生経験によるわけです(あ、猫生経験ね)。
基本に据えたイメージが、その先の占断の軸足になります。
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易は言語です。
「おまえバカだにゃあ」も、言語です。
「おまえバカだにゃあ」
どう?腹立つ?
やぶから棒に面と向かって言われたら、そりゃふつう、腹が立ちまさあね。
でもそこに、限りない慈しみと、深い愛情があったとしたら?
相手とは旧知の間柄だったとしたら?
それこそ「戦友」といえるくらいの。
ひょっとしたら、ミケさんが、何かムチャしたあとで、そのことをぜ〜んぶわかっているその人が言ったコトバだったとしたら?
シチュエーションは、ご想像におまかせしますが、おなじ「バカだにゃあ」でも、まったく意味は変わってきます。
同様に、記号上すべてが「不応」ということが、なにを意味するかということも文脈(相談者の質問、占的)によって、ガラリと変わってきます。
一概に不応だから「ワルイ」ということにはなりませんよね。
易もコトバです。
同じことです。
だから易はおもしろいんですね。
☆
言い忘れてました。
「応・不応」というのは伝統ではひとつの大成卦内の、上下卦の関係について言う用語です。
別々の大成卦どうしなんかで、たとえば、ツイストペア(「ans005_010ツイストペア」参照)に関係にある大成卦どうしの間で、すべての爻が「応じてる」とはいいません。
とってつけた最後の解説でした。
ではまた。
★ことば
<伝統>
応、不応
★LINKS
→ミケさんの質問
→「ans005_010ツイストペア」
→「ans005_012 純卦」
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