<展示品 リャンバン両班ソンビ士大夫>
 

ワンポイントコラム

<韓国朝鮮歴史のトリビア>

203.18世紀ソウルの日常 ユマンジュ日記の世界

 
 
 
スマホで全て片付くので、今やスマホは命の次に大事です(笑)。
 
忙しい時でも思い立ったヒラメキなんかを、メモに書き留める事が出来るので便利ですね♪
繋ぎ合わせれば1本の記事になると言う訳です。
 
斯く言うこの記事もその類い。
後から見直すと何を書こうか分からなくなる場合も有りますが、後はフィーリングです(笑)。
余り根詰めるといい記事になりません。
これ位が良いのかも?なんて言ったら、読んで下さる方々に失礼ですね♪
 
<ダイナミックな外観と1/2模型の日本橋が出迎えてくれる江戸東京博物館内部>
 
今回は筆休めとして、一昨年2019年に東京両国江戸東京博物館で行われた博物館の「展示会」について語りたいと思います。
現在、日本・韓国・中国の3カ国の歴史博物館で、「展示会」を持ち廻りで廻る企画を行って居ます。
 
<展示品の絵画>
 
現在ではコロナ禍で中断して居るでしょうが、これはとても良い企画で、日本の『江戸東京博物館』の企画展が韓国と中国で開催され、韓国の『歴史博物館』の企画展が日本や中国でも開催されると言う訳です。
 
韓国の博物館の企画展が日本で開催されるとは、どれだけ嬉しい事か。
 
<展示会内部の作り>
 
私は博物館が大好きで、特に東京両国に有る江戸東京博物館は大々大好きで、行けば1日過ごせるので、何度と観覧しに行って居るか分かりません。
 
これまた余談ですが、私は江戸マニアでも有り、江戸に関する事ならドーンと来いで、語らせると熱いです(笑)。
歴史散歩も大好きなので、生まれてこのかた仕事の合間や休みの日に、色んな史跡をどれだけ廻った事か知れません。
 
<佃島の風景>
 
勿論東京は震災や空襲、そして開発に見舞われており、歴史の痕跡は京都には足元にも及びませんが、坂道、寺社など今も江戸の名残りが残っており、歴史の跡を巡るのは楽しいです。
江戸時代、100万人都市だった江戸は世界一の都市だったと断言出来ます。
 
再開発により、趣きが失われてしまった部分も有りますが、深川、谷根千、佃島、神楽坂など江戸の雰囲気が残る街並みは出来る限り残って欲しいといつも思っています。
 
 
さて、その江戸東京博物館では、ソウル歴史博物館で企画された『18世紀ソウルの日常 1784,ユマンジュ(兪晩柱)のハニャン漢陽』と言う展示会が開催されました。

展示はユマンジュ(1755~1788)と言う、平凡な青年が書いた日記『フムヨン欽英』を基に行われました。


 
 
<残るユマンジュの肖像画>
 
現在のソウル漢陽ハニャンと呼ばれていた1755年に生まれたユマンジュ(兪晩柱)は、21歳になった1775年1月1日から死没する直前の1787年12月14日までの間、およそ13年間にわたって日記を書き続けました。
 
<彼の日記 フムヨン>
 
ユマンジュは自らの日記に「欽英フムヨン」と名前をつけ、日々の出来事ばかりでなく、心の中の葛藤までも、ありのまま極めて詳しく記録しました。
 
この展覧会では、ユマンジュが遺した貴重な日記のうち、1784年の1年間を取り上げ、彼の暮らしぶりを通してハニャン漢陽(ソウル)の風景や、そこに暮らす人々の日常生活を紹介すると言う、意欲的な展示会でした。
 
地方に赴任した父に代わって家長を務めながら、少しでも良い住環境を求めて新しい家に引っ越そうと奮闘したり、あるいは科挙受験に失敗して打ちひしがれたりしながら、この時代を一生懸命に生きたユマンジュの姿を、当時の社会の雰囲気を表してくれる資料と共に展示すると言う画期的な展示会でした。
 
何処が画期的なのかと言いますと、これまで朝鮮の歴史に於いて、王や著名な歴史人物を取り上げる事は有っても、無名な人物、歴史に生きた市井(しせい)の人物にスポットライトを当てた事は、まず有りませんでした。
 
以前から口を酸っぱくして述べて居ますが、記録大国で有る朝鮮王朝では、国家の記録は多い物の、一般市民の記録が少なく、残った記録を基にした歴史研究が緒に就いたばかりです。
 
市井の人々がどんな思いで、どの様に暮らしたかが、真の歴史の深みを出してくれる重要なポイントになります。


その様な意味で、この様な企画展は非常に貴重でタイムリーな企画だと言えるでしょう。

 
ここで、しばし彼の日記の世界に入って見ましょう。
 
                     <展示品の数々>
 
1775年1月1日、21歳のユマンジュは日記を書き始めます。

日記のタイトル「フムヨン」「花の様な人間の美しい精神を崇拝する」と言う意味です。

自分の日記にこの様な名前を付けるとはコレまた風流で趣きが有ります。
 
<展示品のテードンヨチド大同輿地図>
 
流石(さすが)はソンビ(士大夫)ですね。
 


彼が13年の間に書いた日記の量は凄まじく多いのですが、彼が日記を書く事にした理由は、人が生まれて一日一日、瞬間瞬間と苦しむ時間が経過すると、ぼやけてしまい忘れてしまう事が多い為、昔の事を忘れない為にと有ります。
 
日記の中には、ユマンジュの個人史や自分の心の中だけでなく、当時の朝鮮後期の社会、人々の生活の断面も記録されて居ます。

偉大な人の文章では無く、ごく普通の、私達の様な普通の人が書いた文章なのです。
 

この展示会は、13年の日記の中で1784年という特定の1年を選択して、彼の日記に投影された朝鮮人の1年を示すのが目的でした。
 
1784年は、広く見れば英祖、正祖時代で有り、18世紀の朝鮮後期の社会を表して居ます。
 
全ては紹介し切れないので何点か絞って紹介しましょう。
 
             <当時の彼のソウルの住まい>
 
展示会の対象の1784年、彼はミョンドン明洞に引っ越します。
 
 
 
❶1784年4月20日花見をする
 
<関西名勝図帳>
 
友人6、7人と一緒に新興寺に入ると、すでに言葉では言い表せない程、花が咲いて居た。
水辺に並んで座ると、右も左も全て赤いチンダルレ(ツツジ)が咲いて居る。
丘をひとつ超えて、奉国寺で食事をした。
新しく造られた東池に行って見ると、堤防の柳はまだ小さく、ケナリが見事に咲いて居た。
 
※この時期の花見の風景が伺えます。
 
 
 
<テードンヨチド大同輿地図>
 
❷海州と平壌を遊覧する
 
<旅の友の地図帳>
 
寂しい宿屋の夕方、雨の音を聞き、やがて夜の雨の音を聞いた。
灯火をつけて『水滸伝』に登場する大男(李キ:黒旋風)の伝記を読んで、旅行の寂しさを紛らわせた。
<彼の愛読した三国志演義>
 
※旅行の風景、旅のともなど。
 
 
 
❸ユハンジと共に東へ行き、年老いた眼医者に会った
 
<処方箋>
 
その人の治療で症状の殆どが治まったが、服薬を中断する事は正しく無いと言った。
 
<ホジュンの東医宝鑑>
 
※この時期、既に専門医が居た事が分かります。
 
 
❹9月科挙を受ける
 
科挙の受験の為に家に来て居る人々は試験場の話を紛々とするのに余念が無い。
ただ月を眺めて居るだけの私は、世事に疎い人では無いだろうか。
 
<正祖の下した科挙の命題>
 
※科挙に批判的な彼は、周囲の期待との間の矛盾に苦しんで居ました。
 
これはホンの一部で、紹介したい文章は多いのですが、この様な彼の1年の記録と心の中と一緒に展示品が並んで居ます。
 
そこには、以前にも紹介したキムジョンホ大同輿地図テードンヨチド絵画、書籍、灯籠やタバコ、筆と硯(すずり)などの生活必需品、家の権利書に当たる売買文書など…当時のソウルに住む一般の市民の生活品が展示されました。
 
現代の我々もあの頃のユマンジュの生活と気持ちを疑似体験出来る仕組みと言う訳です。
 
<見返して愉しい公式パンフレット>
 
躊躇いつつ、公式パンフレットを購入しましたが、今も見返して楽しめる仕組みになっており、良い買い物をしたと今も思います。
 
余談ですが、余りに良かったので、10月1日都民の日に博物館が無料になる事を知って居たので、息子を誘い再度展示会を訪ねました。
 
<家屋文書(権利書)と家屋配置図>
 
特に彼は歴史に興味も無く、どこまで感じる事が有ったか定かでは有りませんが、この様な祖国の息吹を、新世代に少しでも味合わせたいです。
 
<息子と食べた深川丼(深川めし)>
 
以上、ユマンジュと彼の日記、そして歴史博物館の催しについて、駆け足で記しました。
 
コロナ禍が収まり、早くこの様な有益な企画が再開し、隣国(我々にとっては母国)の粋な企画展を日本で多くの人が観覧し、文化交流がなされます事を、そして一歩進み、バーチャルなブログ
Facebookのグループでのリアルな博物館での交流会など、企画出来る日が訪れる日を待ち望みます。
是非、次回はお会いしましょう。
 
最後に余談ですが、その企画展の開催の際に、江戸東京博物館で開催された
『えどはくカルチャー』にも参加しました。
 
受講者は200名程。
 
<えどはくカルチャーの様子>
 
展示会の見どころを博物館の学芸員の方が講義され、東大教授で有る吉田光男先生が
『風水の都 漢城と現代ソウル』と言う題名で講演されましたが、3時間がアッと言う間な程、楽しい時間を過ごせました。
幾つになっても勉強を忘れず、自分に糧をあてがいたいです。
 
<参考文献>
한국민족문화대사전
江戸東京博物館ホームページ
1784 유만주의 한양-한양선비의 한해살이『흠영』 - 보통의, 평범한 청년의 일기 / 평범함이 헛되고 하찮은 게 아닙니다
 
#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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<ドラマ 夜を駆ける士(ソンビ)>