実際の事件でも、三番目の被害者が生還できた、ということを知らなかったら、一体、どの分岐で、スヒョンは助かったんだろう、と勘ぐってしまったかも。

 

こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。視聴しながら生じた疑問の考察やら、内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。

ラストまでの完全ネタバレです。

いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。お願い

 

シグナル  시그널 英題:Signal

 (tvN Jan 22, 2016 - Mar 12, 2016 1時間15分×全16話)

対象:15歳以上

脚本:Kim Eun Hee

演出:Kim Won Suk

 

※このドラマは、犯罪を扱うという特性上、登場人物がエピソード毎にたくさん出てくること、1話完結ではないこと、現在・過去の描写が頻繁に入れ替わる、など、通常の筋追いでは、わかりにくい部分もあるため、補足も兼ねて、びびの独断で、人名や、人間関係など、ドラマよりも先に、リマインドしたり、説明をする場合があります。

極力、ドラマ上、「なるほど!! この人がこういう立ち位置だったのね」という謎解き部分の醍醐味が損なわれることのないように工夫したいとは思いますが、なにぶん、整合性を取り切れない箇所もでてきそうな気がします。

余計、わかりにくくなったりしたら、ほんと、申し訳ないです。

 

前記事をお読みでない方は、さきに、こちらからお読みください。

 

#9-1 #9-2 #9-3  #9-4

 

 

【Episode 10-1】

 

現在

 

山中から、同手口で殺害され、遺棄された白骨遺体が9体も見つかったということで、ソウル警察庁、大変なことになっております・・・。

 

~警察庁 会議室~

 

会議室と言っても、幹部たちが集う会議室です。。

 

正面のスクリーンには、判明した被害者情報が映し出され、スヒョンが演台にて説明をしています。

その中には、捜索届も出されておらず、まだ身元がわからないものが一体ある、とのこと。

 

スヒョン「コメ袋や藁、段ボール、ビニールの包装紙などを使って、遺体を包んでおり、頭部は埋葬される前に、黒いレジ袋でくるまれています。」

 

総監「君は、これを、単独の連続殺人だと言っておるのかね?」

スヒョン「はい、そう思われます」

 

深くため息をつく総監以下、歴々の幹部たち。

彼らを見回し、言葉を続けるスヒョン。

スヒョン「それだけではありません。」

 

これ以上、なにが・・・と、引きつった顔を見せる幹部たち。

 

1997年当時のホンウォン洞での被害者の写真が投影される。

 

スヒョン「こちらは、1997年の、ホンウォン洞での未解決事件の被害者たちです。犯行の手口ならびに遺体の巻き方などの処理を見ても、現在、我々が発見した被害者たちとほとんど同一です。」

 

みなさん、絶句。

 

総監「それじゃ、こういうことか? 何年も昔に、警察が、犯人を検挙できなかったせいで、更に9人が亡くなった、と? 一体、当時、なにをやっていたんだ!? もし、この事実が明らかになれば、マスコミは大騒ぎになるぞ。どうやって、それを阻止するつもりだ?

 

ここで、発言するボムジュ。

ボムジュ「阻止できません。それに、阻止すべきではありません」

 

一様に、ん?とボムジュを見るスヒョンたち。

いつもと言うことが違うじゃん。

 

総監「え?」

ボムジュ「これは、9人もの被害者が亡くなっている連続殺人事件です。マスコミをコントロールなどできるはずがありません。」

総監「つまり、我々警察は、自らの無能さを認めるべきだとでもいうのか?」

 

ちらり、と、スヒョンのほうを見るボムジュ。

ボムジュ「この事件を、未解決捜査班に任せてみるというのはいかがでしょう。彼らは、"京畿南部連続殺人事件"を解決に導きました。大衆も、彼らのことを大層、信頼しています。過去の警察は過ちをおかし、この事件は未解決のままだったが、現在のチームがそれを引き継ぎ、解決する・・・この筋書きならば、十分、マスコミをおとなしくさせられるでしょう。」

 

やられた・・・

 

やっぱり、ボムジュはボムジュだった。。。

ある意味、期待を裏切らない。。

 

しかし、いくら、ジェハン失踪の真相を明らかにするためとは言え、スヒョンもよく、このボムジュの下で、警察を続けて来れたよね。

 

総監「・・・・君たちはどう思う?」

他の幹部たちから、ボムジュの考えが、今のところ、ベストだろうという声があがる。

みんな、自分に火の粉がふってこなければ、なんでもいいのよ。

 

アン・チスに、意見をふる総監。

総監「君とソウル庁広域捜査班にもサポートをしてもらいたい。捜査で起こったことは全て、私のほうに報告をあげてくれ」

アン・チス「わかりました」

 

スヒョンたちがこの事件を担当することは、なんの問題もありませんが、もし、何か別の要因が起きた際には、過去の警察のミスまでひっかぶらされるのは、火を見るより明らかです。

 

会議解散後、ボムジュに話しかけるアン・チス。

アン・チス「わざとですか?」

立ち止まるボムジュ。

アン・チス「彼らに失敗してほしいんですよね? 彼らに責任を取らせ、排除するつもりなんですね。そうじゃありませんか?」

ボムジュ「なぜだ? あいつらがお前の管轄下で働いているのが心配なのか? そのせいで、パク・ヘヨンがキム・ソンボムに会いに行ったことを報告しなかったってわけか。

 

既に耳に入っていたか・・・と、視線をはずすアン・チス。

 

人目を気にしながら、アン・チスに近寄るボムジュ。

ボムジュ「もし、この事件で、あいつらが失敗したら、苦境に立つのは、未解決捜査班だけじゃないからな」

アン・チス「・・・・・・」

立ち去るボムジュを見るアン・チスの表情は、決して、志を同じくする者には見えないのです。

 

~未解決捜査班~

 

スヒョンたちが、連続殺人事件の捜査を担当することになった話は瞬く間に、警察全体に知れ渡ったんでしょう。

隣の広域捜査班の刑事たちも、ちらちら、と気にしてます。

 

こころなしか、声を潜めるヘヨン。

ヘヨン「話してもらえませんか。拉致された時、一体、なにがあったのか・・・。どうして、殺人犯を捕まえられなかったんですか?」

いつもは、捜査報告書から読み解く事件の話を、今回は、当時の捜査関係者から直接聞ける、とはいえ、生き残った証人という立場でもあるスヒョンを気遣うヘヨン。

 

同じように、見守り、スヒョンの言葉を待つケチョルとホンギ。

 

過去

 

~強力班のオフィス~

 

スヒョンがジェハンによって、助け出された晩・・・毛布にくるまったスヒョンに、温かいお茶を渡すジョンジェ。

ジョンジェ「大丈夫か?」

 

ジョンジェだけでなく、刑事たち全員、輪になるように、スヒョンの様子を見守っています。

そして・・・スヒョンの正面に陣取るジェハン。

 

ジョンジェ「まず、入院したほうがいいんじゃないのか?」

スヒョン「・・・・・・」

うつむいて、無言のままです。

 

ジェハン「話してみろ」

顔つきも、口調も厳しいジェハンを、窘めるように見るジョンジェ。

 

スヒョン「・・・本当に何もわからないんです。なにも見れませんでした」

呟くように答えるスヒョン。

 

 

そう答えるスヒョンの気持ちがわからないわけじゃありません。

手首も縛られ、黒いレジ袋に視界が遮られただけでなく、口すら紐をかまされていた姿を見たのは、誰でもなく、ジェハンなんですから。

 

 

問いただす前に、一度、目を閉じるジェハン。

ジェハン「チャ・スヒョン。お前は、ただの被害者じゃない。刑事だ。」

 

ずっとうつむいていたのに、その、一見、非情なようにも取れるジェハンの言葉に、目に涙をいっぱいためて、見返すスヒョン。

 

ジェハン「お前を連れ去ったその男は、もうすでに、二人も殺してるんだ。奴を捕まえるためには、お前の記憶が必要だ」

 

さすがのジョンジェも、「おい、お前だって、確かなことはなにもわかってないんだろ。なんで、こんな(尋問みたいな)真似するんだよ? そりゃ、上だって、普通の拉致事件と同じように捜査しろ、とは言ったけどもだな。」と、ストップをかけようとします。

 

ジョンジェの言葉を無視し、視点は、ただ、目の前のスヒョンに向けるジェハン。

ジェハン「言ってみろ。何も見られなかったとしても、お前は、絶対に、なにかを聞いているはずだ」

 

その言葉に、素直に、思い出そうとするスヒョン。

スヒョン「音・・・」

その言葉に、前のめりになる刑事たち。

 

スヒョン「水・・・水が滴り落ちるような音が聞こえました。」

 

~回想~

ピチョン・・という、シャワーのノズルから落ちた水滴の音で、

目が覚めたスヒョン。

上を向けば、レジ袋越しに、ぼんやりと明るく感じた電灯らしき灯り。

近づいてくる男の足音や、

「生きるのって、本当に辛いよね?」と囁かれた事などなど。

 

 

スヒョン「犯人の声は・・若い男性のようでした。」

 

奥歯をかみしめるジェハン。

この怒りを湛えた目。

「若い男」と具体的になった犯人に対して、猛烈に怒ってます!

叫びだしそうになるのを、必死に、こらえてるんです。

 

「それから・・彼の手・・」と言いながら、レジ袋越しに触られた時の感触を思い出すスヒョン。

 

手の甲で撫でられたんですね。

 

スヒョン「薄くて・・冷たかったです。そのあと・・・私に、少し待ってろって言ったんです。そして、(表に)出ていきました。ドアが開いたんです。冷たい空気が入ってきているがわかりました。」

犯人の閉め方が甘かったのか、もともとの建付けが悪いのか、とにかく、しっかり閉まっていなかったため、隙間風が入るたびに、ドアチェーンが揺れるのです。

 

スヒョン「その時、今、ここから出ないと、死ぬことになるかもしれないって思いました。それで・・・立ち上がりました。ドアを手探りで探しはじめたんです。」

 

壁伝いに進むスヒョン。

 

スヒョン「でも、その時・・・」

 

明らかに、思い出すこと自体を拒否し始めたかのように、言葉が出てこなくなり、目をつぶってしまうスヒョン。

 

スヒョン「もう・・無理です」

ジェハン「続けろ!」

 

ジョンジェ「おい、続けるにしても、少しくらい休ませてやれよ」

 

今のジェハンは、スヒョン以外のことは無視です。。

 

ジェハン「チャ・スヒョン。俺を見ろ!」

 

目を固くとじているスヒョンの両腕を掴むジェハン。

ジェハン「俺を見ろ!!」

 

呼吸を整えながら、ゆっくりと、目を開けるスヒョン。

 

ぐっと、スヒョンを見つめ、力強く言葉をかけるジェハン。

ジェハン「もう、大丈夫だ。だから、話してみろ」

スヒョンに対して、きついことを言いたいわけじゃないことは十分伝わります。

 

小さく頷くスヒョン。

 

ジェハン「よし」

 

口許を震わせながら、「扉を・・・見つけました」と、再度、話し始めるスヒョン。

 

手が取っ手に触れ、扉を引っ張ってみたその時、なにかに触れて、悲鳴をあげながら、飛びのいたスヒョン。

手に触れたものは・・・

死体の手のようだった、と伝えるのが精いっぱいでした。

 

ジョンジェ「本当に、その中に死体があったのか?」

ざわつく刑事たち。

驚きが隠せません。

 

思い出すだけでも、恐怖にひきつるスヒョン。

スヒョン「・・・確信はありません。でも、その手は・・・とても・・冷たかったんです」

 

そこまで聞き、小さく何度も頷いたジェハン。

 

よく思い出した、よく言葉にできた・・・と、スヒョンを褒めたい気持ちが沸き上がる中、押し留めてます。

そこに死体らしきものがあったという証言は、ますます、スヒョンが危なかった、ということを意味してるわけで、ジェハンとしても、確認すべきことは多いのです。

 

ジェハン「それで、どうやって、外に出たんだ?」

 

恐れおののき、床にひっくり返ったスヒョン。

なんとか再び、立ち上がり、微かにバタンバタンと音を立てているドアのほうに近づいていく。

何度か、体当たりをしているうちに、ドアチェーンが壊れ、外の道路に転がり出たスヒョン。

 

ジェハン「そのあとは?」

 

スヒョン「ただ、夢中で走りました。」

ひたすらまっすぐに、走り続けたスヒョン。

 

スヒョン「その時、身体に、なにかすごく固い何かに当たって・・・」

その場に倒れたスヒョン。

スヒョン「おそらく、気絶したんだと思います。・・・目を開けた時、先輩がいました」

 

ジェハン「どっちに向かって走った?」

スヒョン「・・・・ただ、前にむけて・・・ただ、前に向かって走っただけです」

何度も何度も、首を横に振りながら、「何も見ることが出来なかったんです」と辛そうに答えるスヒョン。

 

ジェハン「どのくらい走った? 何分くらい走った?」

なにもわからない、と言うように、首を横に振るスヒョン。

 

スヒョン「わかりません。。」

ジェハン「よく考えてみろ!」

とっくに、精神力の限界を超えています。

それでも、必死に思い出そうとするスヒョン。

スヒョン「じ・・10分・・15分だったかもしれません」

もう、声というより、息を絞り出す・・という感じで答えてます。

ジェハン「他には?」

虚ろな目のまま、「匂い・・・」と呟くスヒョン。

 

五感を総動員して、記憶を掘り起こしています。

 

ジェハン「どんな匂いだった?」

 

スヒョン「その家を出た時・・・下水の排水溝のような匂いがしました」

 

それを聞き、「ホンウォン洞には、小さなドブ川があるぞ」と話すジョンジェ。

目で頷くジェハン。

 

ジョンジェ「水が流れるような音がしたか?」

スヒョン「わかりません・・・わかりません」

ジェハン「よく思い出すんだ!」

 

しばらく首をひねったままだったスヒョンが、そのうちに、しっかりとジェハンの目を見て答える。

スヒョン「・・・水が流れているような音を聞いたような気がします。聞きました」

 

ジョンジェ「よし、もう、このくらいでいいだろう。ホンウォン洞の川の近くのどこかで、風呂トイレ付きの平屋、身寄りのない一人暮らしの男の家。(これだけわかっていれば)見つけ出すのに、十分だよな。」

 

唇をかみしめ、無言のジェハン。

 

ジョンジェ「(スヒョンに)お前は、もう家に帰って、ゆっくり休むんだ。いや、それより、病院に行ったほうがいいな。おい、病院まで送っていってやれ」

同僚刑事にたくすジョンジェ。

 

~警察署 外~

毛布をまとったまま、警察車両に乗り込むスヒョン。

こういう時、誰よりも一番、遠くに離れているジェハン。

 

生気なく、うつむいたまま、座っているスヒョンの表情を見ても、

終始一貫、無言。

 

ギリギリ以上のところを追い込んだ自分の言葉に、必死に応えた、いじらしいスヒョンの、今は抜け殻になったような姿を

目に焼き付ける・・・と、私なら、ト書きに書いちゃうな(笑)

 

車を見送りながら、「おい、あんな目にあった人間に、あそこまでしなきゃならなかったのか?」と、少し非難めいた口調で訊ねるジョンジェ。

ごもっともです。

 

それには答えないジェハンの目・・・

これ、アニメだったら、目の中やら、身体の周りに、怒りの炎だらけです。

 

ジョンジェ「おい、どこ行くんだよ?」

ジェハン「武器庫だ・・・クソ野郎、俺が殺してやる!!」

 

スヒョンをあんな目に合わせた犯人に対し、誰よりも、憤っているジェハンなのでした。

 

~強力班~

スヒョンの証言をもとに、場所を特定していこうと、発見現場周辺の大きな地図に書き込みをしていくジョンジェ。

 

ジョンジェ「よし、彼女が発見された場所から、10~15分圏内となると、このあたりだ。直線を引くと、この3つの地域になる。これのうちのどこかが、チャ・スヒョンが拉致され、拘束されていた場所だろう。この地区にある、風呂トイレ付きの平屋を当たるんだ。20代前半から半ばくらいの一人暮らしの男だ」

それを見ながら、各自、メモをとっていく刑事たち。

 

~犯人宅~

 

さて、一方、こちらはスヒョンの殺害に失敗した犯人の・・キム・ジヌです。

 

シャワーの蛇口のレバーをしっかりしめ、梱包材や段ボールなどを片付け始めるジヌ。

証拠隠滅のために処分でもするんでしょうか。

 

~役場~

転入転出の担当者「こちらが、ご覧になりたいとおっしゃる、転入者の記録です。ここを見れば、ひとり暮らしかそうでないか、おわかりになると思います」

“ホンウォン洞転入世代管理台帳”と書かれた帳簿の居住人数の欄を示す担当者。

 

 

~ホンウォン洞 路地~

手帳片手に、調べているジョンジェと、ジェハン。

 

スヒョンが言ってたように、壁に貼られたエロ広告につられるように近寄っていくジョンジェ。

店名はビクトリア、「最高の雰囲気と、低価格で、お客様を王のようにもてなします」だって~~(苦笑)

足もとには、犬の糞。。靴裏にべったり。

ジョンジェ「ああ、くっそ・・」

おそらく、囮の白い子犬ちゃんが縛られてたところだよね。

 

呆れたように、先をいくジェハン。

 

ジョンジェ「おい、待てよ!」

 

~犯人の家~

しばらく、家の中を見回しているジヌ。

ようやく、決心がついたのか、電気を落とし、家の外に出る。

 

~ホンウォン洞 路地~

スヒョンが見つかった近くの家から、聞き込みを続ける刑事たち。

 

「水の流れるような音とかしませんでしたか?」

「もしかして、女性の叫び声とか、聞きませんでしたか?」

 

近所の住民たちの反応は、芳しくありません。

 

ほとんど干上がったような、汚い用水路の前の通り沿いの家から出てくるジェハンとジョンジェ。

 

該当する家をしらみつぶしに当たっています。

 

~犯人宅~

 

家の外に出てきたジヌ。

 

もう、戻ってこないつもりで遠くに逃亡するのか、と思いきや、身軽だなぁ。

 

すでに、警察が町に出て、捜索し始めているところを見かけると、

裏道に隠れ、警察車両をやり過ごし、夜の町に消えていく。

 

現在

 

~未解決捜査班~

 

当時の様子を話し終えたスヒョン。

 

スヒョン「あの時は、それほど時間をかけずに、見つけ出せると思っていたの。でも、結局、何も発見できなかった。時間だけが過ぎていった。当時、班長だったキム・ボムジュが事件を終結させたのよ。

 

じゃ、さっき、総監が言ってた、「一体、当時、なにをやっていたんだ!?」の責任を取らなきゃならないのは、誰よりも、キム・ボムジュだったってことじゃん。

 

ヘヨン「事件を終結? 二人も殺されて、ましてや、警官が殺されかけたのにも関わらず?」

納得いかず、怒りがこみ上げるヘヨン。

 

ヘヨン「もし、当時、捕まえていたら、9人の人たちは、今も生きてたのに!」

ケチョル「当時も今も同じさ。連続殺人事件を望むものなどいない。」

ホンギ「動機もないじゃないですか。殺したいという欲求によって、どこであろうと、人を殺すんですから。糸口になるものや、手がかりすら、ないんです。いままでに逮捕された連続殺人犯だって、情報提供があったり、偶然によるところが多いじゃないですか。」

ケチョル「ああ、どんなに懸命に働いても、手がかりすら得られない。人々は、(警察を)指さし、無能だと言うのさ。そして、事件が起これば、運の悪い誰かが解雇される。それだって、今と同じさ。つまり、もし、今回、俺たちが奴を捕まえられなければ、その責任は全て、俺たちが負うことになるんだ」

ああ、それっぽいこと、前記事の雑感で書いちゃったけど、ちゃんと、セリフで説明してくれるところがありましたね。(笑)

 

二人の言葉はネガティブな発言に聞こえますが、一理も二理もあるため、いくら悔しくても、反論できません。

 

ケチョル「簡単に言えば、俺たちは、とんでもないところに足を踏み入れたってことさ」

ここで、「だからオ・デヤン事件にしとけばよかったのに・・・」と言いだしたら、ケチョルのことが嫌いになってたかもしれません。🤭

 

~広域捜査班 会議室~

 

ホンウォン洞 連続殺人事件報告

 

演台での説明者は、本日も、スヒョンです。

 

スヒョン「身元不明の犠牲者1名以外の、8名の犠牲者の家族に話を聞きに行ったところ、いくつか重要な事実が判明しました。ホンウォン洞に住む被害者は3名。残りの5名は、仕事などの理由から、頻繁にホンウォン洞を訪れる必要があった人たちでした。1997年の被害者たちも、それは同様でした。被害者は全員、ホンウォン洞に何らかの繋がりを持っていたんです。トンイ山は、ホンウォン洞から行くとなると、最適な場所と言えます。1997年から現在に至るまで、犯人は、ホンウォン洞に居住もしくは、働いている可能性が非常に高いです。」

 

アン・チス「なにか他の手がかりは?」

表情が曇る未解決捜査班。

 

スヒョン「連続殺人で、特に、今回のように、過去に起きたものに関しては、プロファイリングの果たす役割は重いです。今回、我々は、皆さんに、犯人のプロフィールをお伝えします

 

プロファイルと聞いて、一発触発な緊張感が漂う会議室。

なにしろ、ヘヨンと、この刑事たちの確執は根深いからね。。

 

ケチョルもホンギも、不安が顔に出ちゃってます。

 

立ち上がるヘヨン。

なんだよ、あいつかよ・・と、どこか投げやりな声も聞こえてくるほど、場の空気は一気に変わりました。

 

ヘヨンの正念場です。

 

ヘヨン「既に、ご存じかと思いますが、私は、理論しか知りませんし、現場での捜査は未経験です。したがって、これから、私が皆さんにお話しすることは、あくまでも純粋に理論的なものだと思っていただきたいのです。(ただ何も指標がなければ)犯人を逮捕する時、誤った人を逮捕してしまう可能性があるかもしれません。捜査の際に、これらを参考にしていただければ、と思います。

 

捜査方針に対して頭から否定したり、いつもの、どこか見下したような、“無能なおまえらとは違うんだ”的な高飛車な物言いではなく、落ち着いて語り掛けるヘヨンに、調子が狂ったような感じの刑事たち。

 

それでも、警戒は解かず、(チスやスヒョンの手前)仕方なく耳だけは傾けるといった感じです。

 

同時に、ヘヨンが警察に入った目的が、冤罪を生まない警察にするため・・・でもあったことがここでもよくわかりますね。

 

ヘヨン「トンイ山に、埋められていた様子や、死体の包(くる)み方を見る限り、犯人は、緻密で慎重な性格だと予想します。」

 

ここで、ジヌがコンビニで、商品を並べる際の、几帳面な映像が流れます。

ごめん、日本のコンビニやスーパーは、店員さんの性格や資質関係なく、基本、これがデフォルトです(苦笑)

 

ヘヨン<髪や衣服は清潔で、ほとんど脅迫観念にとらわれているかのように、キレイにまとめられています。自宅でも職場でも、彼の周囲は整理整頓されていることでしょう。>

 

資料が入れ替わり、現場の写真になる。

ヘヨン「遺体をくるむには、非情に長い時間がかかるはずです。おそらく、誰にも邪魔されない作業場があるのでしょう。それも、庭の無い家に一人で住んでいます。もし、庭があれば、そこに(遺体を)埋めればいいのですから、わざわざ、トンイ山まで運ぶ必要はありません。」

確かに、確かに・・と、小さく頷くケチョル。

 

ヘヨン「それから、被害者についてもまた、気をつけるべき点が一つあります。彼女たちは、年齢も、見た目も、身長もみな違っています。唯一の共通点は、うつ病を患っている、うつ傾向にある、もしくは、とても憂鬱そうに見えるという点にありました。このような場合、犯人も同様の傾向や、実際に病気を患っている可能性があります

 

コンビニでの勤務の合間に、抗うつ剤の薬を飲むジヌ。

 

ヘヨン<つまり、犯人はうつ病の可能性が高いということです。>

 

そして、また、店に、一人、カップラーメンを一つ買いにきた女性に注目しているジヌ。

彼女もまた、イヤフォンで音楽を聴いており、ジヌと目を合わせようともしない。

 

黙って、イートインで、カップ麺を食べる女性。

 

ヘヨン<また、犯人にしてみても、被害者のこれらの特徴について観察するには、長い時間が必要だったことでしょう。被害者を観察できる場所にいるのかもしれません。彼らが通っていた、メンタルクリニックだったり、あるいは、よく行くお店だったり・・自宅なのか、職場までの通勤路なのか、よく立ち寄る場所なのか、とにかく、犠牲者たち全員が共通して行っていた場所を見つけることが重要です。捜査では、彼ら全員が訪れた可能性のある、あらゆる場所に焦点を当てる必要があると思われます。>

 

いつしか、耳を傾けている捜査員たち。

少なくとも、反発したり、席を立ったり、という態度は見せません。

 

またしても、うんうんうん、と小さく頷くケチョル。

 

アン・チス「チャ・スヒョン、お前の考えがどうなんだ?」

スヒョン「同意します、当然」

 

アン・チス「いいだろう。強力1チーム、被害者の同僚や知人などのリストを作成するように。」

チーム長「はい」

アン・チス「強力2チーム、被害者の動向を調べるんだ。未解決捜査班は、身元不明になっている1名について、身元を調べるように」

 

指示を出すアン・チス。

アン・チス「以上」

 

それを受けて、緊張した面持ちで、「もう一つだけいいですか」と、皆の前に立つスヒョン。

全員の視線が、スヒョンに注がれる。

 

スヒョン「殺人犯と遭遇した目撃者が1名います」

 

顔を見合わせる刑事たち。

スヒョンの、昔の話は、まだ、伝わってなかったのかな。

 

ケチョルもホンギも、何を言い出す気だ、と驚いてます。


 

ここで、切りますね。
 

★『シグナル』EP.10-1 雑感★

 

ジェハンのやり方は、賛否両論あるでしょう。

 

当時の国情や警察の雰囲気がどういう感じだったのか、わかりませんが、個人的には「優しい言葉の一つもかけてやればいいものを・・・・」と思わないでもないです。(笑)

私、自分にも他人にも甘いんで・・(笑)


柔道で国家代表にまでなったジェハンに、右肩にプレートが入っているという身体的特徴があることは、故障(ケガ)により手術をした経験があるということですよね。

I’m so sorry!!

ケガはケガでも、柔道のケガじゃなくて、犯人に斧で切り付けられた名誉の負傷・・・でもなくて(苦笑)、その際、斧が怖くて、犯人から逃げた際にバイクとぶつかって負傷したのだそうです(苦笑)

<#10-3で出てきます>

 

でも、中身は同じです。

おそらく、一度、心の底から味わった恐怖を克服できなければ、もう二度と、その場に立つことはできないんだ、という、ちょっと先の姿が見えていたのかもしれません。

 

心を鬼にして、スヒョンに犯罪と向き合わせるジェハン。← さすがに、そこはわかります(笑)

 

まさに、荒療治。

一見、スパルタ式ですし、今どきは、こういうの、流行らないですよね。

ジョンジェのように、寄り添いながら、決して、無理強いなどさせないのが一般的でしょう。

 

ジェハンだって、こんな荒療治、だれかれかまわずに対してやるわけではないはずです。

 

それが証拠に、なにか、訊ねる前や、スヒョンが絞り出した答えを聞きながら、何度も、まず一旦、目をつぶるカットが多かったんです。それだけ、冷静になろう、冷静になろう、と、心していたとも言えます。

 

そして、スヒョンが署を出てからは、怒りを隠さず、(半分、私怨のごとく)捜査にまい進するジェハン。

誰よりも、スヒョンをあんな目に合わせた犯人を許せない。

犯人が目の前にいたら、なにをしてたかわかりません。

大袈裟ではなく、激昂したジェハンには、そうしても不思議じゃない傾向があるのを、わかったうえで、かなり、ジェハンに肩入れした感じになってしまったことを・・・認めます。(笑)

 

★『シグナル』EP.10-2に続く★