沈翊と方凱毅の対峙に、ずいぶん時間を割いているようですが、このシリーズでの、“沈翊”というキャラクターの立ち位置を明確にする意味もあるんでしょうね。

 

【おことわり】

こちらの筋追いは、気になったドラマを、世に出回る商業翻訳ではなく、ドラマ好き有志の英訳・もしくは配信サイトの英訳をもとに、(英語ができないくせに)果敢に訳した「なんちゃって訳」となっており、多少、ストーリー展開は訳者の願望に寄ってます。内容を把握しながら、突っ込んだり、賞賛したりしたいという、ドラマ好きの発露です。

ラストまでの完全ネタバレです。なお、扱う内容も、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、

誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦

おすすみください。お願い

 

 『猟罪図鑑Ⅱ

 猎罪图鉴(獵罪圖鑑)Ⅱ / Under the SkinⅡ 

 2022年(中国)Dec.10~ Dec.25, 2024

 45分×全28話 

 脚本: Zhang Lai

    演出: Liu Shu Qiao

 『猟罪図鑑』前シリーズをはじめから読みたい方は、こちら#1-1から

 

前記事未読の方は #28-1

 

#EP28-2


~方凱毅の研究室~

 

沈翊の追求の続きです。

方凱毅「一度でも成功すれば、これらの些細な失敗など誰も思い出すこともない」

ふふ、と、笑みを浮かべる沈翊。

沈翊「わかるかい? それが、君と僕との違いだよ。僕は人々を救いたい、それなのに、君はこんなふうに人を殺した」

今度は、ふふっと微笑む方凱毅。


方凱毅「人を殺した・・・それは、全て君の直感だろ。証拠などない。誰も君の言うことなど信じない。」

俯いて、ため息をつく沈翊。

方凱毅自らの口で罪を認めてほしかったのに。

そのために、ここに来たのに。
こんな風に方凱毅を追い込みたくなどなかったのに。


沈翊「・・・写真番号B-51」
方凱毅「・・・・・」
沈翊「つまり君は、その構造に従って、この研究室をレイアウトした」

なにが言いたい?と、まだ、方凱毅はわかってないみたい。


歩き出す沈翊。

沈翊「ここは、君のエデンの園だ。最も安全な場所だ、と感じさせてくれる。君の研究内容とは違い、君自身はそれほど(自分に)自信があるタイプじゃない。何度も何度も失敗することで、君の忍耐力は蝕まれていった。たしかに、君は僕と同じ、悪夢に悩まされている。このエデンの園でしか、僕らは、安全で落ち着いた場所だと感じることができない。だから、君が証拠を隠すのであればここしかない、と考えたんだ」



話しながら、少しずつ、後ろ向きに進んでいく沈翊。

沈翊「そう、ようやく見つけたんだよ。この木の上に、蝶の蛹(さなぎ)がたくさんいるのを・・・」


顔色が変わっていく方凱毅。


沈翊「金色に輝き、とても綺麗だ・・・」

そういって、一段高くなった植え込みに入り、木の枝から、白い繭(カプセル)のようなものを捻り取る沈翊。


沈翊「見てよ、これは他の蛹とはこんなにも違うんだよ。もうすぐ羽化しそうなのに気配すらない。だって、この蛹からは新たな生命の躍動なんて全く感じられない。これは、君が3Dプリンターをつかって作ったものだから・・・だよね?


方凱毅「・・・・・」

沈翊「君は、DNAとは、巨大な記録媒体(ストレージデバイス)だと言った。この中に、実験結果や検査記録がすべて入っているはずだ。周珊珊とお腹の子のことも含めてね。なぜなら、君がもっとも楽しみにしていることは、君の手によって編集された遺伝子胚が、繭から這いだして蝶になる瞬間だからね。そう、これこそが、君の犯罪の証拠だよ

白い繭を模したカプセルを指に挟んで見せる沈翊。
近づいてきた方凱毅。
当然、奪い取られないように、さっと手を引く沈翊。

方凱毅「これもまた、君と共有したかった星空だよ・・・」


それを聞くと、沈翊が一瞬寂しそうな目をして、

静かに、カプセルを握りしめる。


~北江分局 杜城のオフィス~

一人、考え込んでいる杜城。

※ただ、考え込んでいたのではなかったことが、後々わかります。

 

その時、蒋峰が入ってくる。

蒋峰「城隊、みんな集まっています。江城凯莱生物研究所に出発しましょう」


うむ、と頷いて、立ち上がったものの、その場を動かない杜城。
杜城「蒋峰・・・」


振り返る蒋峰。

蒋峰「今回、俺は行かない。お前がみんなを引き連れていけ」

一瞬、怪訝そうに、それでも、任せてもらえる喜びも、同時に浮かんだ蒋峰。


杜城「到着しても、まだ中には入るな。俺の命令を待て」

さらに、怪訝そうになって、それでも、「はい」と答える蒋峰。

行きかけて、やっぱり気になって、「どうしてですか?」と訊ねちゃう蒋峰。

だって、今まで、杜城がそんなことを言いだすことなんてなかったんだもん。

そう問われて、屋上での沈翊との会話を思い出す杜城。

 

沈翊<この考えが危険で大人げないっていうのは承知してるけど、僕、君があの時してくれたみたいに、彼を正しい道へと導いてみたかったんだ。だから、この件は僕にまかせてもらえないかな>(#27-4

 

あの時の沈翊の瞳の揺れをどうしても無視できない杜城。

 

迷いに迷った挙句、沈翊の意図を組んだ杜城。

もしかしたら、もうこれが最期だと思うくらいの覚悟を決めているんだろうし、それこそ、(なにかあったら)全責任を負うつもりでいるんだろうな。

 

~方凱毅の研究室~

方凱毅「沈翊・・・君の遺伝子は、私が今まで見てきたかぎり、もっとも完璧なものだよ。私がいかに、曹建の遺伝的欠陥に関し、完璧な修復を施したか、君にわかるか? あの子には、健康で、安定した情緒、さらに高いIQをもってほしいと願っていたんだ。失敗してしまったが、チャンスがある限り、いつか必ずたどりついてみせる。そして、その時こそ、人類は大きな一歩を踏み出すだろう。」

一歩、前に進み出る方凱毅。

方凱毅「・・・ここから逃がしてくれ。倫理や法律がより緩やかな場所に行かせてほしい。君にはわかるはずだ。私は成功に近づいている。あと一歩なんだ」

 

一歩に合わせ、人さし指を立てる方凱毅。


小さく、首を横に振る沈翊。
それはできない、と。

沈翊「でも、僕は、そういう進歩には賛成できないんだ。」

きっぱりと宣言する沈翊。


え・・・と、掲げた指を下ろす方凱毅。

 

っていうか、逃がしてくれ、なんて言う方凱毅なんて見たくなかったよ。


沈翊「君は、一度でも人間の精神(魂)がもたらす進化の可能性について、考えたことはある? 最終的にあの子の身に起きた、制御不能な遺伝子変異、あれは、君の介入に対する一種の抵抗だったんだよ。我々の誰も、命を定義する、そんな力は持っていない。我々には、他の人の、生老病死を決めるそんな力はないんだ!

方凱毅「だったら、君が言うところの、“犯罪予測”についてはどうなんだ?それもまた、介入や変化の一種じゃないのか?」

なかば、喰ってかかるくらいの憤りを見せる方凱毅。

沈翊「本当に、僕にとっての君は、まるで自分を映しだす鏡のようだよ。君が、僕に、僕自身の姿を見せてくれた。僕も、かつては君のようだった。自分自身の直感や基準に基づき、人間の本性を予測し、善悪を判定できると思っていた。君が僕に気づかせてくれたんだ。我々は真相を発見できるかもしれないが・・・だが、社会のルールや自然の法則を尊重しなければならない・・・」

沈翔の中に、そこまでの傲慢な意識はなかったにせよ、こうして文字にすると、紙一重だったんだな、と思わせられる。

そして、今、沈翊は、その傲慢さをきちんと手放すことが出来たのね。

手に持っていた繭のカプセルを、ジーンズのポケットに仕舞う沈翊。


この証拠は、警察の手できっちりと明らかにする、という沈翊の意思表示でした。

方凱毅「君には、本当に失望させられた・・・私を刑務所に送ることを望むのか。私には、自分の人生の本当の価値を認識するのは、もう不可能ということなんだな?」


沈翊「他人の命を犠牲にしてまで、繭から蝶を誕生させようとしても、結果的に、自滅することになる。・・・自首してくれ」

 

呆然としながら歩き出し、いつもの温室のように囲われたパソコンデスクにくると、

眼鏡を外し、乱暴に放り投げる方凱毅。

沈翊「・・・・」
方凱毅らしくないしぐさに、一瞬、え、と身構える。

水の入ったコップをもち、そして、おもむろに、傍らのテラリウムのケースから、

緑色の実のようなものをつまみあげる。

掌の中でつぶすと、搾り出た紫色の汁が、コップの中にぽたぽたと落ちていく。

 

沈翊「方凱毅、なにする気だ!」

 

これが、金田一耕助シリーズだったら、「しまった!」の場面ですよ。

例えるなら、松子夫人@犬神家の一族の煙草盆とかね。

私、金田一耕助フリークでもあるんです(笑)
※ そのうち、犯人によっては、「しまった!」から、「気づかないふり」になっていくんですよね。

紫色の液体を見つめる方凱毅。

この日のために用意してあったんだね。


方凱毅「これも、私の完璧な作品の一つなんだよ」

沈翊「・・・・・」


 

方凱毅のプライドを尊重し、ありがちな最後を迎えさせるのか・・・とちょっと失望しかけたんですが、

 

でも、違うのよね。

方凱毅「約束してくれ。この悲しみに暮れる科学者を、君の「人性図譜」の最後の1ページに記録する、と。それが、私の最期の願いだ。君は諦めるべきじゃない。たとえ、過去に失敗していたとしても・・・」

コップに口を付けようとした方凱毅に、「方凱毅!」と声をかける沈翊。


だって、“死なせてあげる”なんてことは、微塵も考えていないから。
 

沈翊「僕はもう完成したよ!!」
突然の大声に、手を止める方凱毅。


飲みそうで、飲まずに、手とコップが震えている。
(このシーンから、BGMとして『画像』が流れてます)

沈翊「君の画だよ。僕から見た君だ」

 

~沈翊のアトリエでの回想~

 

いつしか、そこは、沈翊のアトリエになり、人の顔の絵がたくさん描かれた小さなキャンバスが、至るところに散乱している場面に切り替わります。 

 

 

沈翊<初めて、君に会った時から、ずっと絵にして、伝えたいと思っていたことがある。でも、君を描くことは、自分を描くことと同じだから、難しすぎたんだ。自分自身に、完全に正直になって向き合い、心を開かなければならないからね

 

床に散乱したそれらを手にしつつ、考えている沈翊。

 

一度描いてみた方凱毅の絵は、全く気に入らず、手から滑り落ちる。


ようやく、真っ白なキャンバスを前にすわったものの、絵筆を持ったまま、止まってしまう沈翊。


沈翊「自分の天賦の才能と直感を受け入れ、信じてみろ、と、君が僕を励ましたくれた。それはまるで刃のように、事件の表面を切り裂き、隠された真実にたどり着くことを可能にしてくれたんだ」

 

たしかに、方凱毅との出会いも重要なターニングポイントになったのかもしれないけれど、もともと、沈翊自身も、ずっと心のどこかでそれに気づいていたし、望んでもいたんだよね。

実際、“赤いワンピースの女の子”を見過ごしてしまった際に言っていた、「なぜ、あの感覚を忘れてしまっていたんだ? 自分の感覚を信じるべきだったのに・・・どうして、ちゃんと掴んでおかなかったんだ?」の言葉も、そのひとつ。

 

沈翊「でも、その鋭い刃が実害や災いをもたらす可能性があることを、僕に示してくれたのも、君だったんだ。」

最初の筆を下ろす段階から、すでに泣きはじめている沈翊。

沈翊<僕たちは二人とも、結果を変えたいと願ってきた人間だ。だけど、それは、人を制御するのではなく、人を解放するものであるべきなんだ。これこそが、僕らの真の存在意義なんだ>

 

このあたりで、一つ、迷いを抜けたように、筆運びが早くなり、頬の涙を拭う沈翊。

 

沈翊<君を描くことは、過去の自分に別れを告げるようなものだった。僕は、君にも、こういう別れを体験をしてもらいたいんだ>

描き続けているうちに、だんだん、笑顔が出てくる沈翊。

 

沈翊<(そんなふうにして)やっと君を描きあげることができたんだ>

 

Heal the mind

Light up the eyes in the dark

Save the life

等表情片刻反转

动的念 小心摇晃


~方凱毅の研究室~

完全に、動きを停めた方凱毅。


沈翊「見てみる?」


コップをデスクに置いた方凱毅。

 

方凱毅が、死の淵から離れたのを見て、安心したように微笑んだ沈翊が、先ほど置いたキャンバスへと向かう。

 

方凱毅がゆっくりと、透明な温室から出てくると、かけていた布を取り去られる。


それを一目見た方凱毅、やはりな、と冷笑し、

氷のような冷たい怒りをたたえながら、近づいてくる。

方凱毅「つまり、君は心の中でずっと私をこんなふうに見ていたんだな」

実はここで、沈翊のスマホが、杜城と通話状態だったことがわかるの。

京劇事件のときと同じね。


方凱毅「暗く、醜く、邪悪で・・・」
涙を浮かべながら、ナイフを手に持つと、「結局、最後まで、君は私を辱めたいのか!」と絵を切り裂き始める。

 

方凱毅が、はじめて他人に見せたかもしれない“自身の容貌と精神の複合的なコンプレックス”に対する激しい感情。

方凱毅は、他人に理解されない自分、愛されない自分、を誰よりも厭い憎んでいた。


沈翊「・・・・」

おそらく、方凱毅がこれを見たらそうするであろう、と、イーゼルにナイフを置いて、誘導したんだよね。

方凱毅の魂を解放するために。

 

方凱毅が切りつけた、その勢いの激しさに、揺れるキャンバス。

 

 

とりあえず、ここで切ります。
 

★『猟罪図鑑Ⅱ』Ep.28-2 雑感★ 

 

まがりなりにも、連続ドラマのラスボス的な犯人で、取柄と言えば、孤高とプライドの高さしかなかろうに!

初見時、方凱毅の「逃がしてくれ」はショックでした。

 

思い返せば、シーズン1で言えば、ラスボス的な扱いかどうか、今でも甚だ疑問はあるくらいの銅城社の陳舟。

彼は、(悪事に利用できるくらいの頭の良さはあっても)賢くもなかったし、性格も悪かったし、犯罪そのものは下劣で、なんの哲学も美学もなかったけれど、それでも、まだ彼は10倍くらいはマシだった気がする!

あと、あの爆弾魔の父ちゃん、李軍偉。

彼が手を染めた犯罪自体は、えげつなかったし、決して褒められたものではないけれど、息子を想う愛があったし、100倍マシだった。


・・・それくらい、そんな方凱毅のキャラを崩壊させたかったんだろうな、そんなカリスマなんていないんだ、とわからせたい狙いがあったのは、次でわかるにしても(!)、敵ながらあっぱれっていうカタルシスみたいなものが欲しかったんですよね。

 

今回の長めにとった、沈翊と方凱毅の対峙シーンの中で、一番頷けたのは、

沈翊「君の研究内容とは違い、君自身はそれほど(自分に)自信があるタイプじゃない。」

この言葉だったのかもしれません。

方凱毅に感じてきた矛盾。

凱毅は、人の命の重みを感じないサイコパスじゃない。

自分に似ているからという理由だけで、沈翊がここまで、方凱毅に対して、救いの手を差し伸べようなんて気になるはずがないから。

 

それに、沈翊が方凱毅の絵を描くことで、自分と向き合うことができた、という過程が、はっきり描かれたのは、よかったと思いました。

このシーンのおかげで、この沈翊の過去形の言葉がぐっと重みを増したと思う。

 

どこかで思いあがっていた自分の傲慢さを認め、向き合うことは、自分の内面を抉るくらいキツイことではあっても、あえて挑み、乗り越えられた沈翊。

 

方凱毅を客観視できたところも、彼の精神がフラットである証。

 

心を描きたい、と言っていた沈翊の・・・神髄でしたね。

 

 

★『猟罪図鑑』Ep.28-3に続く★