📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
🌎️https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346
ご愛読ありがとうございます。
📖「第693話 物語は誰にでも1つずつあるんだ。」(最終回)
🗒️魔鉱石を鋼に混ぜて精錬すれば、折れにくく、欠けにくい剣ができる。そのことは鍛冶師の間で知られていたが、魔鉱石は魔境でしか得られない。
魔鉱石を使った剣は「魔剣」と呼ばれて重用された。
テトはまだ幼かったころ、魔剣の実物を目にしたことがある。
その不思議な輝きと異常な切れ味に、テトは魅了されてしまった。
それ以来、テトは鍛冶師になって魔剣を打つことを目標にしてきた。
父親からは料理と生活魔法を仕込まれたが、テトは武術を学ぶことを拒んだ。鍛冶師に必要ない技術だったからだ。
親馬鹿でなく、テトには魔法師としての素質があるとステファノは見込んでいた。
それだけに魔道具工房を継がないというテトの決意はステファノを失望させたが、そのことでテトを責めることはなかった。
「俺自身が親父の店を捨てた人間だからね」
ある日プリシラにステファノはそう言って笑った。さばさばした言い方だったが、どこか寂しそうな眼をして。
「テトにはテトの人生がある。物語は誰にでも1つずつあるんだ」
ステファノはステファノの道を行くだけだった。……
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長い間のご愛読ありがとうございました。🙇
📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
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📖「第690話 うまく当たればの話です。」
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🗒️(完璧な防御というわけじゃないけどね……)
マリコの驚きと裏腹に、ステファノは内心|独《ひと》り|言《ご》ちた。
守りにこだわるなら「|護身具《タリスマン》」がある。あれなら魔法攻撃も防げるのだが、ステファノは護身具を商売にするつもりはなかった。
(悪用されたら困るからな)
盗賊や犯罪者に利用されることがあってはならない。
そして、戦争――。
|禁忌付与具《プロヒビター》を使って「正当な理由」という使用条件をつけたところで、すべての戦争は正義の名の下に行われる。
護身具を装備した軍隊は、そうでない敵軍を蹂躙するだろう。
(過ぎた力は悲劇を呼ぶ)
それがステファノにとっての現実だった。
「これがあれば無敵かもしれない」
ステファノの思いを|他所《よそ》に、マリコは魔法付与された剣を手に興奮をあらわにしていた。
そのぎらついた目を見て、ステファノは危うさを感じた。……
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お楽しみください。
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📖「第689話 この剣でどう戦えと言うの?」
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🗒️「この剣に魔法を付与させてもらっていいですか?」
剣身から目を外してステファノが問いを発した。
「え? 攻撃魔法を付与してもらえるんですか?」
「いいえ、生活魔法を少々」
勢い込んだマリコは、ステファノの答えを聞いて気落ちをあらわにした。
「剣を便利道具にするつもりはありません」
「魔獣を倒せる道具だとしたら?」
「何?」
馬鹿にしているのかと、マリコは声を上げそうになった。だが、ステファノの目を見た途端にひやりと背中に冷たいものが走る。
(この目は真剣だ。きっと何かがあるに違いない)
マリコは疑いの心を抑えつけ、ステファノの申し出に承諾した。……
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📖「第688話 その剣をちょっとお借りしていいですか?」
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🗒️「ちょっといい?」
工房の入り口からプリシラが声をかけると、ステファノはノートを取る手を止めて顔を上げた。
「ああ。どうかしたかい?」
ペンを置きながら、ステファノはプリシラの後ろに立つ女性客に目を留めた。
「その人は?」
「相談があるっていうお客さんなの。名前は……何でしたっけ?」
プリシラは客の名前を聞いていなかったことに気づいた。
「マリコです」
「初めまして、ステファノです」
「改めまして、わたしは妻のプリシラです」
40歳を過ぎたステファノだが、貫禄などというものには縁のない風貌をしていた。
(やさしそうだけど……どこにでもいそうな人)
冒険者マリコは内心でそんな印象を受けていた。……
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お楽しみください。
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📖「第687話 お嬢さん、ちょっとお話していい?」
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🗒️「あのう……。この|短杖《ワンド》はどういうものですか?」
「あ、ちょっと待ってね」
店の奥を片付けていたプリシラは、短杖を手にした女性客の元に向かった。
「魔法が付与されていることはわかるんですけど、何の魔法かが読み取れなくて」
客はまだ10代後半の若い女性だった。
最近流行の動きやすい服を身に着け、膝下までの長靴、革鎧、革手袋に身を固めていた。その上にマントをまとっているのは、野営を伴う旅をするためだろう。
この客ばかりでなく、近頃はこういういで立ちの旅人が増えた。プリシラは旅などしたことがないので、多少うらやましい思いで彼らを見ていた。
「この|短杖《ワンド》には基本生活魔法が籠められているんですよ」
「ええ? 生活魔法ですか?」
女性客は残念そうな顔で短杖を棚に戻した。
どうやら生活魔法がお気に召さなかったらしい。
心の中で小さくため息をつきながら、プリシラは客が手放した短杖を手に取り清潔な布で磨き始めた。……
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📖「第686話 ここからはわたしが世界のために働こう。」
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🗒️アリスはハンニバルに憑依しているが、それは仮の姿に過ぎない。たとえハンニバルに何かあっても別の人間に乗り移れば、何事もなかったように活動を継続できるのだった。
それを利用して「虎の眼」を暴走させる。ハンニバルの魔視脳を焼き切れるまで使い果たしてでも、スールーを滅ぼす決意を固めていた。
「お前の|魔視《まじ》脳はまだ解放されていない。|護身具《タリスマン》の守りさえ抜くことができれば、お前の始末などどうとでもなる」
「ふふ。そう思うかい?」……
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🖊️昨日のPVは2963。
→週末に向かって盛り上がりたい。
🖊️本作の文字数が累計160万字を超えました。🎉✨️
→3年間でよく書いたもんです。
昨日はWindows CE向け自作「カード型簡易データベース」アプリを完成させ、主に使うiPAQ向けに画面デザインを若干改良しました。
テストドライブはいい感じに動いています。
小説のネタなんかをこれに入力して、頭を整理したいと考えています。
次は既存自作アプリをiPAQ向けに最適化して、それからアイデアプロセッサ的なアプリを製作してみたい。
カード同士を関連付けしたり、枝分かれさせたり。そんなことができたら。
といいつつ、4月の後半は次回作品(小説)のテーマを考え始めたいと思います。
今度はどんなお話にしよう?
📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
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🎬️「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨️
📖「第685話 その名をルネッサンスという。」
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🗒️「何だと、貴様……!」
「キミ簡単に怒りすぎ。データ処理ルーチンに脆弱箇所があるんじゃない? そういうところがエラーにつながるんだろうなぁ」
やれやれだと、スールーは肩をすくめた。
「いいかい? |既存システム《ジェーン》の上書きに失敗したでしょ。その上、|ゲームマスター《スノーデン》も確保できなくて、アカBANされちゃった。これだけで大失敗が2つ」
スールーは見せつけるように指を折って数えた。
「そのあとも無策だったよねぇ。ウイルス化した|旧システム残滓《ジェーン》を発見できず放置。しかも魔術モジュールのインストールも投げ出してるじゃないか」
「魔術は王立アカデミーを作って普及させたではないか!」
「いやいや貴族限定の成り行き任せだよね? あんなもので大型アプデとは言えないでしょ」
折られた指は4本になっていた。
スールーが語っている間、アリスは攻撃をあきらめたわけではなかった。ハンニバルの魔視脳を駆使して魔術を仕掛けていたのだが、ことごとく|護身具《タリスマン》の壁に防がれていた。
遠当てや陰気の放射も試したが、やはり効果がない。ついにアリスはスールーへの攻撃をやめた。
「ようやくおとなしく話を聞く気になったみたいだね。結構」
アリスの抵抗がやんだことを見定め、スールーはにやりとした。……
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お楽しみください。