📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
🌎️https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346
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📖「第693話 物語は誰にでも1つずつあるんだ。」(最終回)
🗒️魔鉱石を鋼に混ぜて精錬すれば、折れにくく、欠けにくい剣ができる。そのことは鍛冶師の間で知られていたが、魔鉱石は魔境でしか得られない。
魔鉱石を使った剣は「魔剣」と呼ばれて重用された。
テトはまだ幼かったころ、魔剣の実物を目にしたことがある。
その不思議な輝きと異常な切れ味に、テトは魅了されてしまった。
それ以来、テトは鍛冶師になって魔剣を打つことを目標にしてきた。
父親からは料理と生活魔法を仕込まれたが、テトは武術を学ぶことを拒んだ。鍛冶師に必要ない技術だったからだ。
親馬鹿でなく、テトには魔法師としての素質があるとステファノは見込んでいた。
それだけに魔道具工房を継がないというテトの決意はステファノを失望させたが、そのことでテトを責めることはなかった。
「俺自身が親父の店を捨てた人間だからね」
ある日プリシラにステファノはそう言って笑った。さばさばした言い方だったが、どこか寂しそうな眼をして。
「テトにはテトの人生がある。物語は誰にでも1つずつあるんだ」
ステファノはステファノの道を行くだけだった。……
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