新型肺炎、中国隔離施設めぐり住民と警察が衝突 「村封鎖」も |   心のサプリ (絵のある生活) 

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【北京=西見由章】新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が続く中国で、隔離施設の整備に反対する付近住民と警察が衝突する事態が発生している。全国の多くの農村では集落への入り口を村民が勝手に封鎖するなどの混乱も起きている。国民の生命や安全に関する不安の高まりは共産党の統治基盤を揺るがしかねず、習近平指導部は危機感を強めている。

 中国福建省霞浦(かほ)県で28日夜、隔離施設の整備に反対する住民1千人以上が道路を占拠し、排除しようとした警察と衝突した。香港メディアによると、施設は新型肺炎患者の濃厚接触者を医学的に観察するために整備されるという。約1キロ離れた地域に住む住民らが感染を恐れて抗議し、一部は拘束されたもようだ。

 インターネット上では住民らが警官隊に木材などを投げつける様子を映した画像が拡散した。

 一方、中国紙・新京報(電子版)は29日、国内の多くの村落で、道路に土を積んだり、掘削機で道路を破壊したりして集落を封鎖する行為が相次いでいると報じた。新型肺炎の感染拡大の中心地である湖北省武漢市を当局が封鎖したことで、村民らは同様の行為が正当化されると考え、独断でこうした措置を行っているようだ。

 一般的に中国の農村は医療水準が低く、感染症が流行すれば集落全体が深刻な事態に陥る恐れがある。ただ、道路が寸断されれば、必要な医療支援なども受けられなくなる。趙克志公安相は28日の会議で「未許可で勝手に交通を断絶する違法行為に対して、適切な対応をとらなければならない」と指示した。

習指導部は新型肺炎への不安と混乱が社会に広がることを防ぐため、感染抑止に向けて「党の指導を強化」するよう盛んにげきを飛ばす。これまで多くの国民は安定を重視し、強権的な手法が目立つ習指導部への表立った批判を控えてきた。ただ、生命や安全に関わる問題で失策があれば潮目は変わりかねない。

 「多くの友人たちから批判を受けており、厳しい声もある。良薬は口に苦しだ」。感染発生後の初期対応をめぐって地元政府に批判が強まる中、湖北省の王暁東省長は29日の記者会見で市民からの批判を歓迎する異例の発言を行った。