(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -53ページ目

グローバルで活躍できる人材とは(その4)

前回に引き続きもう少しオランダ人社長が取り組んだ改革について話をしましょう。

この社長は日本人社員、外国人社員の様々な思いをひとつに束ねるためにいろいろな試みやメッセージを発信しました。当時は外国人の社員に対する日本人の反発はけっこう強く、一部の社員の間では「日本はアメリカやヨーロッパとは違う」とか「外人は日本のことは何にもわかってない」「そんなことは日本の消費者や得意先に理解されるはずがない」といったことを平気で社内で会話している状態でした。

オランダ人社長はまず、社員と直接対話する機会を多く持ちました。そして社員全員が共通のゴールを持てるように、3年計画の「一大飛躍」プランを発表し、そのメッセージの中で、「アメリカのP&Gでもなく、ヨーロッパのP&Gでもなく私達は日本の消費者にとってベストなものを提供するためにP&Gジャパンが存在すること」を明確に打ち出したのです。

また、四半期ごとにマネージャーを集めて、「一大飛躍プラン」の進捗を報告していったのです。当時社長との直接対話を提供することなど非常にまれでしたから、特にミドルマネージャーたちはおおいにモティベイトされたものでした。さらにこの社長のコミュニケーションスタイルは直接担当者の所に出向いて話を聞く、というスタイルでしたから、ある部署の担当者の所に突然社長がきて話をして帰るということが日常茶飯事でした。まさに「Walk the Talk」を実践していたのでした。

こういった試みやコミュニケーションのスタイルは徐々に社員の間にも広がり次第に社員たちの中に、「日本人でも外国人でも日本のビジネスを成功させたい思いはひとつなんだ」「上下のポジションにかかわりなく、直接対話することがあたりまえのこと」といったカルチャーが生まれてきたのです。結果として、社内のコミュニケーションは良くなり、ビジネスの進捗がわかるようになり、各自にオーナーシップが芽生え始めて、日本のP&Gはあっというまに Turn aroundを成し遂げることができたのです。

グローバルで活躍できる人材とは(その3)

グローバルで活躍できる人材とは(その2) で紹介したP&Gのオランダ人についてですが、実際その人がどのようなことを具体的におこなったのかをもっと知りたいというコメントを多数いただいています。実は日本のP&Gがグローバル化に向かうことができたのは彼の貢献に負うところが非常に大きいのです。人材育成の話なのに何故会社の改革の事を取り上げているのかと思われるかもしれませんが、「人材を育成するには、それに適した環境」が必要なのです。

乾燥地帯でイキイキとする植物もあれば、湿地帯でしか生きられない植物もあります。人間も全く同じで「安定を求める人」には民間企業よりも公務員や銀行、あるいは大企業でしょうし、「チャレンジを求める人」には成長の過程にある企業や外資系などの企業が適しているのかもしれません。

当時のP&Gは明らかに業界第3位のチャレンジャーでしたし、100%外資でした。そのときのオランダ人の社長は「チャレンジ精神にあふれた変化に対応できる」社員たちがイキイキとして働けるような環境を作っていったのです。もう少し実際に彼がおこなったことを説明していきましょう。グローバル化だけではなくビジネスのTurnaroundにも参考になるはずです。

まず最初におこなったことは「年功制からの脱皮」です。これは何も給与制度の変更だけを意味するものではなく、もっと身近におこっている社内の慣習や常識を覆すことから始まっています。具体的には

・会議では誰にでも発言の権利が与えられた。上司と違う意見いってもかまわない
・社長が積極的に採用活動にかかわり100%のサポートした
・社長がわからないことは直接担当者に聞いた
・重要なポジションに若手をどんどん起用した

これらは当たり前のことですが、実際に社長が行動で示すことが結果につながっていったのです。結果として

・社員が前向きに発言できるようになり意見の幅が広がった
・上下のコミュニケーションが良くなり、風通しが良くなった
・優秀な新卒が入社するようになり将来に向けてのタレントパイプランが構築できた

まさにグローバル人材が活躍できる企業文化を構築していくプロセスでした。

グローバル企業で生き残るためのビジネススキル

前回、グローバルで活躍できる人材の必要性について話をしましたが、最近日本板硝子とピルキントン社との関係が経済誌などで取り上げられているようです。主な関心事は「日本板硝子がピルキントン社を買収したにもかかわらず、経営の中枢はピルキントン社の経営陣に握られてしまった」というものです。

確かに表面上はいかにも経営が乗っ取られたような感じを受けますが、もともとこの合併は「ピルキントン社のグローバル展開力」と日本板硝子の技術力を活かすことによって日本板硝子がグローバル企業になるための橋頭堡を築く事が目的だったようですから、日本板硝子の経営陣がグローバルなビジネス展開をリードできるとは、はなから思ってなかったと思います。

ただ、経営陣がいきなりグローバルな人たちによってリードされるということは社内のいろいろな、習慣、言語、対人関係のあり方、価値観など、これまで日本板硝子社では善とされていた事が通じなくなったり、説明できなくなったりして新しい企業文化に戸惑う人たちが多く出てくるのではないかと心配します。

こういったことは何も日本板硝子に特有のことではなくて、今後のビジネス環境を考えると多くの日本企業にも当てはまることです。ある日突然にグローバル企業に変身する可能性はどこの企業にもありますから、個人としてはそのときに慌てふためくのではなく、普段からそういった変化を想定して自分自身の順応性を高めておく事が大事だと思います。以下にグローバル企業で生き残っていくために必要な代表的なビジネススキルを挙げておきますので参考にしてください。

・メモを上手く、論理的に書く力、できれば英語と日本語で。
・会議を上手くファシリテイトできる力
・リーダーシップスキル
・戦略的思考力
・プレゼンテーション力
・コミュニケーション力

等のスキルが最低限必要となります。しっかりレベルアップしてグローバル化から取り残されないようにしてください。

(株)ヒューマン・エッジ社は上記のビジネススキルを効率的に習得する研修プログラムを提供しています。