ある男の子の物語①


3年生の一学期までは、少し難しい子。
指示が入りにくいという程度。
廊下を走っては危ない、と言っても全力で走ることを止められない
(着替えてから遊ぼう、と言っても先生に言われたタイミングでは着替えられない
 
 
それが二学期に入ってから、
更に言葉が入らなくなりました。
 
体操着に着替えたら、着ていた服を床に投げっぱなし
(給食の時間になっても)

やりたくない勉強はやらずに、ずっと絵を描いている

給食の配膳をしない、片付けない
(好きなものをちょこっと口にするだけ)

机の中の教科書類をランドセルに入れない(持ち帰らない)
→お母様が毎日夕方に学校に来て持ち帰っていました。

友達に対して強引に遊びに付き合わせる
(ジャイアンのように有無を言わせない)
 
 
これに対して
彼の最初の担当教員は、
3つ程度の簡単なめあてが書かれた花マル表💮を作り、
できたら担任や特別支援教室の先生に丸をつけてもらう
(そして、家に持ち帰ってお母様に見てもらう)
ことに取り組みました。

彼は褒められることは好きだったので、
乗せればやろうとするのですが、
一人では無理です。
 
 
対して、担任の先生が、
あまり彼への個別対応に時間を割きたくないタイプだったので、花丸💮を付けてもらえるのは、特別支援教室がある曜日だけ。
結局、
花丸はなかなか増えませんでした

私はこうなることも想定していましたが、
当時の担当教諭は担任の協力が得られないことに心を痛めました。 
 
 
 
そうこうするうちに彼の行動はエスカレート。
 
 
退屈だと感じると勝手に教室を抜け出して図書室に行くようになります。
(もちろん声をかけても戻らない)

また真面目に勉強したい子のところにいって、自分の好きなことに付き合わせようとしました

算数、理科など好きな教科では、全て大きな声で答えを言ってしまいます。

計算問題は簡単すぎると言って手を付けません。

文章を書くのは嫌いだったので、全くやろうとしませんでした


彼のよいところであり、同時に困ったところは
友達が好きなところ。
 
 
ASD傾向のあるお子さんは、
視野が狭く(自分の好きなことへ焦点化する)
自分の中で道理が完結しており、
そのため、好きなことに一人で没頭することが多いです。

一人でうろうろ歩き回るとか、
一人で好きな本にのめり込む、絵や工作にのめりこむ
(最近はここにタブレットが加わってしまいましたね)
など。

他人の導線や思考回路は視野に入りにくいから、他人を巻き込まない子が多数派なのですが、

彼は人が大好きなので、

自分がやりたくないことは、みんなもやりたくないに決まってる

自分がやりたいことは、みんなもやりたいに決まってる


という思考で、常にクラスを巻き込み続けるのでした。

 
 
支援員が見守っても言うことを聞きません。
担任の言葉も入りません。

私達は、彼が好みそうなものを提示して、交換条件でなんとか妥協させる方法を取りました。
最初はうまく行きましたが、
根本を変えることは無理でした。
 
次第に、
週一回でも、一日に一時間でもいいから、見守りに来てほしい 
と学校からご両親に連絡をするようになり、

お母様が中心となって、週2回ほど見守りにいらっしゃるようになっていきました。  

お母様がいる間は、行動は落ち着きますが
帰ったあとは反動がひどくなるので、
どうしたらよいのか、
ご両親も教職員も皆で頭を抱えました。