堀 啓のブログ -3ページ目

日常生活における頭の位置

これまで、格闘技の様々な場面における、僕の考える「最適な頭の位置」を書いてきました。

今日はちょっと趣向を変えて、日常生活の中での頭の位置が生活習慣や姿勢に与える影響について考えていきたいと思います。


日本人に特に多い姿勢の乱れに「猫背」があります。

そして腰を後ろに反ってしまう「反り腰」も意外に日本人(特に女性)に多いようです。

反り腰と猫背は反対の症状のように思われがちですが、猫背が原因で反り腰になることもあるし、反り腰が原因で猫背になることもあります。   

これは立っている時に、重心を安定させるために頭が足の真上にある必要がある、ということが関係していると思います。

猫背の場合、背骨が湾曲することによって頭がつま先より前に出て、重心も両足より前に出てしまう為不安定になります。

そのため無意識に重心を足の上に乗せて安定させようとして、背骨が湾曲したまま頭を後ろに引いてしまいます。

そうすると今度はその分背中が後ろに下がりすぎてしまい、腰の後ろへのカーブが強くなり、反り腰になってしまうのです。

反り腰の場合、こちらは腰が過剰に後ろに反ってしまっているため、頭が足の後ろまで引かれてしまいます。

この体勢だと重心が足の後ろにあって不安定なので、それを足の上に戻そうと首を前に伸ばし、背中も前に曲がっていって猫背になります。

このほか、反り腰になると頭を足の上に戻すために、骨盤が過度に前傾してしまう事で腰がより深く反ってしまったり、

女性の場合はヒールなどの影響で骨盤が前傾して頭が前に出るのを防ぐために反り腰になったりもします。

猫背や反り腰は、どちらも脊椎のカーブが強くなるため、背筋が伸びている時と比べ頭の位置が低くなります。

この低くなっている頭の位置を高くするだけでも、改善される可能性はあると思います。

もちろん、猫背や反り腰には頭の位置だけでなく、骨盤の角度、全身の筋バランス、呼吸など、様々な要因が関係しているケースが多いですが、

まず頭の位置を高くすることで丸まっていた背筋が伸び、猫背、反り腰が緩和され、首が伸びるので肩の力も抜けてきます。

背筋が伸びて肩の力が抜けた状態なら骨盤の角度も調整しやすく、肺も圧迫されないので呼吸も楽になります。

その姿勢を意識して生活する事で、筋肉のバランスも自然と整ってくるのではないでしょうか。


頭のてっぺんのつむじのあたりから糸が伸びているイメージを持ち、その糸を上空から上に引っ張られてる感じで背筋を伸ばしてみて下さい。

多少キツかったとしても、背筋を伸ばした心地よさを感じることができれば、続けることで猫背、反り腰の改善にも役立つと思います!
逆に、頭を高くして背筋を伸ばした際に痛みや不快感がある場合は、無理にやろうとはしないで下さい。
何か別の原因があり、無理に背筋を伸ばして頭を高くする事で他の部位に負担がかかり、新たな怪我につながる恐れもあります。










移動する時の頭の位置(2)

前回の続きです。


移動する時は、頭を先に進行方向に移動させた方が素早く移動できるため、スポーツではこれを上手く使って移動することが多いです。

しかし、格闘技の場合は、進行方向と頭の位置が一致しないがケースあります。


例えば、前進する時。


前に出るということは、当然闘う相手の攻撃の射程圏内に自分も入って行くわけですから、カウンター、反撃を受ける可能性もあります。

早く前に出ようとして頭を前に出した状態だと、上半身が前傾になります。

また、前に出ると頭が相手に近くなるため顎を引かなければならず、前傾姿勢で更に顎を引くと、、、視野が非常に狭くなります。

そんな状態で前のめりになった頭にカウンターを狙われたら危険ですよね。。

そのため、前進する時は頭をやや後方に引き、いつでも後ろに下がれる様に重心を後ろに残しておきます。

頭を後ろに引いておくと、上半身が真っ直ぐに立ちますし、頭も相手と距離を保ちやすいため、顎を引いても視野が広いままです。

視野が広くなると精神的にも落ち着きが出て来る為、前に出て攻めながらでも相手を観察し、不意のカウンターなどにも対応出来るのではないでしょうか。

ただ、一瞬のチャンスに一気にラッシュするような場面では、やはり頭を前に出した前傾姿勢の方がスピードと爆発力は発揮されるでしょう。


逆に、敢えて頭を前に出しながら後ろに下がり、カウンターを狙う選手もいます。

この場合は少し背中を丸めるようにして前屈みになり、頭は前だけど重心は両足の真ん中くらい、という状態です。

下がりながら顔を前に出して相手の攻撃を誘い、相手が攻撃してきたところでスッと頭を引き、カウンターを返します。

しかしこれも、本当にピンチでカウンターの隙もないくらい相手がラッシュしてきた時は、ガードを固め、頭を後ろに引きながらの方がバックステップのスピードも速くなります。


このケースではどちらも、いつでも逆方向に素早く切り返す動きができるようにする為、進行方向から見て後方に頭を残しています。
(後ろに下がる時は頭は前の方ということです。)



まとめますと、移動の際は移動する方向に頭を動かす事で、その方向に爆発的にダッシュすることが出来ます。

しかし格闘技のように不規則な動きの中では、急激な方向転換が必要になることもあるので、なるべく両足の範囲内で頭を動かす必要があります。

そして、移動している方向と逆の方向に急激に力を出す前提で移動する場合は、移動する方向の逆側に頭を置いておくことで、素早い身体の切り返しが可能になります!

移動する際の頭の位置(1)

今日はステップインやバックステップ、サイドステップなど、移動する際の頭の位置について書いて行きます。


どの方向でも、素早く移動するためにはまず、移動したい方向に頭を動かし、重心移動を促します。

以前の投稿(http://ameblo.jp/horihiraku/entry-12244478416.html)で書いたように、両足の範囲内に頭を置いておくことが重要なので、行きたい方向の側の足の上まで頭を移動させます。

頭を足の前に出して移動すると不安定ですし、ストップや方向転換が困難になります。
(短距離走ではスタートの体勢が完全に前傾で頭は足のはるか前にありますが、それは必ず前に進む、という前提があるからでしょう。)

そして後ろ足(行きたい方向の逆側の足)で地面を強く蹴り、移動します。

この時、進行方向に重心、頭を移動させていることで、後ろ足による地面の蹴りを非常に有効に活用することが出来ます。


どの方向でも、スピーディーな移動のためには(下半身の力を使って)頭から動く事が大切になってきます。

素早く動けるに越したことはないので、どの方向でもこれは当てはまるのですが、実は格闘技では、ここに当てはまらないケースがたくさんあります。

次回の投稿では、この、「当てはまらないケースと、その理由について書いていきます。