抗うつ剤は人を幸福にしない、主要な研究結果が発表される
2022年4月22日


イギリスでは、データがある直近の2017年から2018年にかけて、成人人口の17%に当る730万人が抗うつ薬を服用しています。その普及率にも関らず、抗うつ剤は全く薬を飲まない場合よりも人を幸せにしないことが、大規模な研究によって証明されました。

 

調査(下記参照)の結果、薬を飲んでいる患者は、薬を飲んでいないうつ病患者と比べて、生活の質が大幅に高くなる事は無い事が判明した。

10年間に渡り、研究者は1750万人の米国人うつ病患者を調査し、その内半数は薬を服用しており、残りの半数は服用していなかった。

抗うつ剤を服用して居るか否かに関らず、どちらのグループも精神的な健康に僅かな改善を示しました。

サウジアラビアのキングサウド大学の専門家によれば、抗うつ薬を服用している患者について、QOLに及ぼす影響を評価する為に、より長期的な研究が必要であるとの事です。

 

 

NHSの医師は、既に多くの副作用のある薬を与える事を避けている。

軽度のうつ病の患者には、今後は薬の代わりにグループセラピーを行うべきだというのだ。

しかし、独立した専門家は、薬を投与された患者の方が最初から悲しんで居る事が多く、比較が不公平になるため、この研究からは重要な結論は得られないと指摘した。

また、薬物療法が生活の質を高める事は、これまでの臨床研究で証明されているとのことです。

 

本日発表された米国の成人1750万人を対象とした調査によると、抗うつ薬を使用しても、服用しない場合に比べてうつ病患者が幸せになることはないとのことです。


イギリスでは、データがある直近の2017年~2018にかけて、成人人口の17%に当る730万人が抗うつ薬を服用しています。

セレクサ、ゾロフト、プロザックという商品名で販売されているシタロプラム、セルトラリン、フルオキセチンは、最も定期的に処方されている薬の一つです。

2015年~2018年にかけて、米国疾病対策予防センター(CDC)は、米国内の18歳以上2760万人(13.2%)が頻繁に薬を摂取していると推定しています。

ジャーナル「PLOS ONE」(下記参照)に掲載された最新の研究には、別の研究の一環として調査や健康診断を受けた参加者が活用されました。

この研究は、うつ病と診断された国内の非施設成人全員を対象としています。

大部分が女性で、平均年齢は48歳でした。(67.9%)。

半数以上が抗うつ薬を使用しており、43%は薬を服用していないが、臨床診断を受けていた。

研究者達は、データベースで最初に発見されてから2年後に、彼らの健康関連QOLHRQoLスコアを比較した。

 


CDCはこの指標を、精神的・身体的な幸福の尺度として使用しており、健康に関する調査質問に対する患者の回答に基づいている。

これは、精神的な幸福と身体的な幸福の2つのカテゴリーに分けられる。

 

この尺度では、健康な人は通常90点前後です。

2年間で、両グループの精神的健康度は向上し、身体的健康度は悪化した。

薬を飲んでいる人の精神的健康度は40.32~41.50へと2.9%向上した。

 

身体的健康度は42.5~41.85に1.5%低下した。

一方、抗うつ薬を使用していない人の精神的健康度は42.99~43.92に2.2%上昇した。

 

身体的評価は43.86~43.31に低下した。(1.3%)。

サウジアラビアの大学の臨床薬剤師であるOmar Almohammed博士によると、薬を飲んだ人と飲まなかった人の間に統計的な区別はなかったという。

これは、抗うつ剤を使っても、長期的にはQOLがあまり向上しない事を示しているという。

一方、独立した専門家は、この研究は2つのグループ間のうつ病レベルの格差を説明できていないと批判している。

 

 

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの精神科医であるジェマ・ルイス博士

 

「この研究では」

「抗うつ薬を投与された人は」

「投与されなかった人に比べて」

「QOLが悪く」

「より深刻なうつ状態であった可能性が高い」

 

と、述べている。

 


「この種のバイアスは」

「実験デザインを伴わない」

「この様な自然主義的な研究では」

「排除することが困難です」

「実験デザインを用いた臨床試験では」

「抗うつ剤が精神衛生に関連するQOLを」

「改善することが分かっています」

 

 

 

バルセロナ大学の精神科医であるエドゥアルド・ビエタ教授は、『この論文の大きな限界は、この種の研究でしばしば見られる様に、適応症による交絡因子があることである。

「2つの異なるグループ間の」

「うつ病の重症度を」

「コントロールできない事は」

「決定的な欠陥であり」

「従って、このデータから」

「学べる事は殆ど無い」

 

と、述べている。

 


以下、研究全文を読む。