トルコの薬用植物から抽出したエッセンシャルオイルに認知症に伴う不安や抑鬱の軽減効果がある事が判明
2021年8月30日(月) by: ラルフ・フローレス

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 中央アジア原産のセイヨウオトギリソウ(Hypericum)には、特に認知症の人の抑うつや不安を和らげる効果があると言われています。Journal of Essential Oil Research誌に掲載された報告によると、トルコのFirat大学の研究者らは、オトギリソウの抗不安および抗うつ作用を調べました。

 

 

認知症の方の行動の変化

 

認知症とは、特定の病気ではなく、認知機能の低下や機能的自立の喪失を特徴とする疾患の総称である。米国疾病管理予防センターの推計によると、65歳前後の約500万人が認知症と診断されており、その中で最も多いのがアルツハイマー病です。2060年には1,400万人に達する可能性があると言われています。

 

 

認知症は通常の加齢の一部であると考えられがちです。しかし、多くの高齢者は、認知症になることなく人生を過ごしています。このような方は、名前や最近の出来事を忘れることがあるなど、加齢に伴う記憶の変化を経験していますが、知識や技術、経験はそのまま残っています。

認知症の人も記憶の変化を経験しますが、慣れ親しんだ場所でも道に迷ったり、何度も質問したりします。健康な高齢者に比べて、日常生活に支障をきたすほどの変化です。認知症の人は、注意力、コミュニケーション、視覚、推論などにも問題があります。

 

 

さらに、認知症の方は、行動的、心理的な症状に悩まされます。無気力、抑うつ、不安などの症状が出るのはごく普通のことです。認知症患者さんの10人に4人はうつ病を発症し、10人に9人は認知症の後期になると無気力になります。

 

 

一方、不安は、血管性認知症や前頭側頭型認知症(FTD)のように、自分の状態をよく理解し、認識している患者さんに多く見られます。

 

 

認知症の方の不安の原因は、認知症でない方と似ています。認知症の方の不安の原因には、トラウマになるような出来事があったり、極度の心配性であったり、感情をコントロールする脳の部分が損傷していたりすることがあります。

 


オトギリソウには抗不安作用と抗うつ作用があります

 

今回、トルコの研究者らは、中央アジアや中国西部に自生する植物H. scabrumに着目し、認知症に伴ううつ病や不安症の治療薬としての可能性を検討しました。

 

 

この植物は、古くから伝統医学に用いられてきました。ウズベキスタンでは、膀胱炎や心臓病などの治療に用いられており、中国西南部では、地域の治療薬として用いられています。

 

一方、イランの民間療法家は、H. scabrumを痛みの緩和や頭痛の治療などに使用している。


今回の研究では、認知症の動物モデルを用いて、H. scabrumの精油が不安や抑うつ的な行動に及ぼす影響を調べました。ラットに3週間、定期的にH. scabrumの精油を吸入させた。

 

その後、高齢者に見られるような記憶障害を引き起こす薬物であるスコポラミンをラットに投与した。スコポラミンを投与した後、ラットに行動テストを行いました。

 

 

その結果、H. scabrumのエッセンシャルオイルを投与したラットは、投与していないラットに比べて、テストの結果が明らかに良くなったことから、H. scabrumのエッセンシャルオイルには、抗不安作用や抗うつ作用があることが示唆された。(関連記事 セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)。顕著な抗菌・抗酸化作用を科学的に検証)

 


さらに研究チームは、H. scabrumのエッセンシャルオイルが記憶力を高める可能性について、認知症モデルのラットを使って調べました。

 

この研究では、従来の薬物療法(ジアゼパムとトラマドール)と比較して、H.スカブラム精油が認知症ラットの空間記憶をどれだけ改善できるかを評価しました。

 

その結果、H. scabrumの精油は、認知症などの患者の記憶障害を軽減する補完的な治療法として使用できることがわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

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