抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸は、アルツハイマー病や心臓病等の老化関連の疾患を食い止めるのに役立つ可能性があります。
2021年12月17日(金) by: Virgilio MarinTags: Alzheimer's disease, antiaging, antiinflammatory, autophagy, brain health, disease treatments, food is medicine, goodfood, goodhealth, goodmedicine, goodscience, healthy fats, heart disease, heart health, inflammation, natural medicine, omega 3, prevention, research, supplements
オメガ3脂肪酸は、古くから健康に良いとされている必須脂肪酸です。
これらの脂肪は、血液凝固、動脈壁の収縮と弛緩、及び炎症を調節するホルモンの生成の起点となるものです。
オメガ3脂肪酸は心臓病、脳卒中、アルツハイ マー病などの加齢性疾患の予防に役立つことが 研究により明らかにされており、これらの健康的な脂肪を多く含む食品を十分に食べることは、 疾病リスクの低減と関連しています。
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これらの利点の多くは、オメガ3脂肪酸の抗炎症作用に起因しています。
以下のエビデンスを読んで、炎症とそれに対するオメガ3脂肪酸の保護的役割についてもっと学びましょう。
脂肪酸のアンバランスは、ほとんどの加齢性疾患と関連している
炎症に関連する加齢性疾患
炎症がそれ自体で心臓病を引き起こすとは証明されていませんが、この状態は心臓病や脳卒中の患者さんにかなり多く見られ、動脈硬化(動脈の内壁に脂肪が蓄積する事)の兆候であると考えられています。
アラバマ大学バーミンガム校の公衆衛生学部で疫学を教えるドナ・アーネットは、
「指に刺さった破片や歯にできた膿みを考えてみてください」
「私達の体は、細菌を殺す為、或いは侵入者を体から排除する為に」「白血球と化学物質による攻撃を開始し、赤みや腫れを生じさせます」
と、アーネットは述べています。
同じ様に、高血圧、高コレステロール値、喫煙などの危険因子は、心臓を「傷付け」アテローム性動脈硬化症を促進させるのです。
又、アルツハイマー病の発症には、炎症が大きく関与している可能性がある。
アルツハイマー病の患者さんの脳を調べた処、健康な脳に比べ、炎症因子のレベルが高い事が分かりました。
更に、炎症性化学物質の放出の増加は、アルツハイマー病に罹患した脳の領域でのみ観察される。
アルツハイマー病を引き起こす要因は、ミクログリアと呼ばれる炎症性細胞を過剰に刺激するというのが広く受け入れられている見解である。
この為、ミクログリアは過剰に活動し、サイトカイン(炎症に寄与するタンパク質)を大量に産生する。
炎症とアルツハイマー病
2型糖尿病や変形性関節症などの加齢に伴う疾患も、慢性炎症に関連しています。
慢性炎症に関与する酵素はインスリン抵抗性を高め、変形性関節症は従来、非炎症性関節炎の一種と考えられていたにもかかわらず、関節に炎症が生じます。
実際、2013年の研究の研究者たちは、変形性関節症を炎症性疾患と呼んでいます。
抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸が炎症を抑える働きがあることは、研究によって明らかにされています。
Autophagy誌に掲載されたある研究では、ノルウェーとアメリカの研究者が、オメガ3脂肪酸がマクロファージと呼ばれる免疫細胞のオートファジーを増加させることを発見しています。
オートファジーとは、文字通り「自食」という意味で、傷付いた細胞を排除し、新しく健康な細胞を再生する為の体内の仕組みのことです。
このプロセスは全ての細胞で一定であり、細胞が飢餓状態にあったり、ダメージを受けたりすると増加する。
研究者らは、オメガ3脂肪酸がマクロファージにおけるオートファジーを上昇させることによって、炎症を低下させるという仮説を立てた。
このプロセスは、免疫細胞のシグナル変換を変化させ、その結果、炎症反応の活性化を抑制することができると、研究者らは説明している。
研究チームは、この仮説を検証する為、マウスとヒトからマクロファージを分離し、その細胞にオメガ3脂肪酸を作用させた。
その結果、脂肪酸がオートファジーを活性化し、細胞環境のシグナルを変換するタンパク質を特異的に標的にして、免疫細胞内の炎症メカニズムを抑制することが判明したのである。
研究者らは、オメガ3系サプリメントを摂取して改善が見られた心臓移植患者の血液サンプルと、この研究結果を照らし合わせました。
その結果、これらのサンプルには、ある種の炎症性タンパク質のレベルが減少していることが判明したのである。
(関連記事:オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の理想的な比率で炎症を抑制する)
心臓病やアルツハイマー病など、加齢に伴う疾患 のリスクを下げるには、オメガ3脂肪酸の摂取を 増やした方がよいでしょう。
オメガ3脂肪酸は魚油のサプリメントやサバ、サーモンなどの脂の乗った魚に多く含まれています。
オメガ3系サプリメントは1日3,000ミリグラム以下であれば安全です。