2022.5.21(土)
去年の1月の街道をゆく、日光街道/奥州街道の草加宿を訪ねた際、千住宿からの途中なのにすっ飛ばした竹ノ塚の古~い団地群を東武伊勢崎線の車窓から見てちょっと気になっていた。街道としては特に観るべきものが無いけど、何も知らないなあと。
で、あれこれググってみると、治安が悪いとか、住みたくない街だとか、でも都心に便利なのに家賃や物価は安いとか意外な情報が色々で一度行ってみようと思い立った。団地群が60年近い年月で老朽化してスラムになってるとか? できた頃はダイニングキッチンで椅子で食事ができるあこがれの近代的生活だったって若い人には想像もつかないだろうな。
その団地は伊勢崎線の東側なのだが、まずは西口に出て北上したのは竹ノ塚の歴史のチェック、この辺りにはかつていくつかの古墳、塚があり、竹の塚だか高い塚だかが地名の始まりと推定されている。その古墳の中で唯一残っている白旗塚を核としたのが白旗塚史跡公園、でも直径12mの円墳の周囲に小綺麗に濠をめぐらして石橋まで架けたのはそういう痕跡があったからと言うより、きれいに造り込み過ぎた可能性大か。中央に祠があるのは誉田別命、八幡神を祀る白旗神社ということだが、元々神社地だったのが廃れて無くなったとの記録があるから多分新しいもの。鎌倉や藤沢にある白旗神社は源頼朝もしくは義経を祀るものであるのに対し、こちらはそもそも源頼義・義家親子が奥州征伐に向かう途中でこの塚に白旗を立てたとされるからの白旗塚で、源氏と言えば八幡神って選択と思われる。
そんな新編武蔵風土記の記録などを記した石碑と埴輪のモニュメントもあって、スラムどころか洒落てますわな。実は西口の周辺の家々も団地より開発が遅かったのか概して新しく、小ざっぱりしている。見事に庭中に様々な色の薔薇が咲き乱れる家もあった。
一方、駅前に戻るとパチンコ屋に0.5円パチンコとの看板、古い団地にはどうしても高齢者が多いからだろう、低所得者向けの1円パチンコの発祥地がこの竹ノ塚で、とうとう0.5円まで登場したってことだ。それまでの2円が3円に上がってショックだったのが大学1年か2年の時で今や4円時代、これが0.5円だったら100円で200発の格安、勝てなくたって結構遊べそうだ。
そして東口南側が都内でも最大級、50軒もあるといわれたフィリピンパブの歓楽街、通称リトルマニラ、夜になると呼び込みもすごくて治安が悪いらしい。天気の良い真っ昼間にはアヤシイ人影もなく、ピンとこないけど、駅の南方にある竹ノ塚第2団地に夜帰る人がここらを通り抜けるのはちょっと嫌かもしれない。
駅前のロータリーの正面は竹ノ塚第3団地の一部で、ここだけは5階建ての1階が下駄ばきでマックや吉野家、名店街と称し、でも2、3シャッターが下りてるとこが危険信号か。
築56年らしい第3団地は基本全部南向きに整然と並んだ5階建てで再塗装されて一見はきれい、でもエレベータは無い! 5階建てまではエレベータの設置が義務付けられていないからだが、5階はきつい。体が万全なら平気でも、それは荷物など無ければのこと。ビールや米を買ったら大変だし、一度家を出たら忘れ物に気づいても取りに帰るのは嫌だろう。ましてちょっとどこか痛めたら、手ぶらでも辛い。
駅前から東に延びる竹ノ塚けやき大通りなんかなかなかスマートで、ファミレスなども色々、
これを暫く歩いて旧日光街道/奥州街道を横切ると間もなく57年ものと一番古い第1団地、これもきっちり5階建て。
給水塔や管理事務所だったところが建て直されて高層化されているのは例外で、大半は各戸ごとのリノベ止まりだってのがすごいっちゃすごいな。
以上の通りでこれは評価が難しい。ちょっと危ういことは否めないが、お洒落な街とは言えないにせよ案外きれいでスラムじゃないし、活気があるとは言えなくてもそれなりに何でもある。家賃や物価が安いことを考慮すれば住みたくない街、は言い過ぎじゃないかな。都心への便はいいのだから、思い切った団地の建て直しをしたら人気の街になってもおかしくないと見た。
もう一つ面白いスポットがあったので、それについてはまた明日。