同軸ケーブルの特性インピーダンス計算式 | 音響・映像・電気設備が好き

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同軸ケーブルの特性インピーダンスと言う記事で計算式を載せましたが、今回はこれの計算式をエクセルで作りました。

 

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同軸ケーブルの特性インピーダンス計算式

 

 

この表は下記リンクからダウンロードできます。
■同軸ケーブルの特性インピーダンス計算式■
http://www.holycater.sakura.ne.jp/zip/doujiku.zip

 

 

これは2通りの算出方法を作りました。
ひとつめは特性インピーダンス、外部導体内径、比誘電率から中心導体外径を算出する式、
ふたつめは特性インピーダンス、外部導体内径、中心導体外径から比誘電率を算出する式です。

 

 

試しに、カナレの同軸ケーブルスペックから引用してみます。

 

 

カナレL-5CFB・・・特性インピーダンスは75Ω、外部導体内径は5.0mm、中心導体外径は1.05mmです。
これをエクセル表に入力すると、比誘電率は1.56と算出できます。
ではこの比誘電率を元に、L-7CFBの中心導体外径を求めてみましょう。

 

 

カナレL-7CFB・・・特性インピーダンスは75Ω、外部導体内径は7.3mm、ここで比誘電率を1.56とします。
これを入力すると、中心導体外径は1.47mmと算出されます。正解は1.5mmですのでかなり近似値が出ているかと思います。

 

 

これの使い道がある人はあまりいないかと思いますが、応用方法として、特性インピーダンスが分からない同軸ケーブルや同軸コネクタの数値が算出できます。

 

 

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よく話題にのぼる、BNCコネクタの特性インピーダンスです。BNCコネクタは嵌合した時の寸法で特性インピーダンスが守られます。
※BNCコネクタの中心導体外径は1.35mmと決まっていて、これは50Ω、70Ωと変わりません。変わる事があるとすると、メーカによる先端形状の種類です。

 

 

 

 

嵌合の都合、実測しないと正確な値が出ないので実測してみます。

 

 

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実測結果は、中心導体外径が嵌合時に膨らむことを考えると2mmくらいかと思います。外部導体内径は6.7mmでした。もちろん個体差はあるかと思いますが、これを基準に考えてみます。
まず75Ωの場合は、嵌合時の絶縁体が50Ωと違い存在しません。存在しない、という事は絶縁体は空気ですので比誘電率は1です。
この条件を元に、中心導体外径を求めてみます。特性インピーダンスは75Ω、外部導体内径は6.7mm、比誘電率は1です。すると中心導体外径は1.92mmと算出されます。良いですね。

 

 

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特性インピーダンスは75Ω、外部導体内径は6.7mm、比誘電率は1=中心導体外径は1.92mm。

 

 

ここから、特性インピーダンスを75Ωから50Ωに変えてみます。すると、中心導体外径は2.91mmと算出されます。50ΩBNCは嵌合時に絶縁体が噛み合わさりますので、この2.91mmが1.92mmになる比誘電率は1以上のはずですね。計算させてみると比誘電率は2.25と算出されました。

 

 

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特性インピーダンスは50Ω、外部導体内径は6.7mm、中心導体外径は1.92mm=比誘電率は2.25。

 

 

歴史的背景としては50ΩBNCの方が古いので、正確に表現するなら、50Ωインピーダンスマッチングを取るためにBNCコネクタの嵌合部分に使われていた絶縁体は、75Ωインピーダンスの場合は不要であったと言えます。※取り外す=絶縁体は空気で、比誘電率1で成立する。
以上の事から、絶縁体が付いているBNCコネクタは絶対に特性インピーダンスが50Ωという事が分かります。逆に、絶縁体が付いていないBNCコネクタは絶対に特性インピーダンスが75Ωです。75Ωケーブルに絶縁体つきBNCコネクタが取り付けられている、または映像入力BNC端子に絶縁体が付いている(薄くついている場合は75Ω)場合は100%インピーダンス・アンマッチです。コネクタを見れば分かると言う事ですね。
※お気づきかとは思いますが、BNCのオスメスを嵌合させることで特性インピーダンスが出ますので、75Ωのメスと50Ωのオスを嵌合させた場合は上記の式は成立しません。(どちらでもない中間の特性インピーダンスになると考えられる)

 

 

この記事がどなたかの役に立ちましたら幸いです。