点検用スピーカを考える | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

続編はこちら!→点検用スピーカを考える2

 

数年前から取り組んでいる事のひとつに「点検用スピーカを考える」があります。

 

 

小型で・・・携帯性に優れていて・・・堅牢で・・・ローハイ切り替えが付いていて・・・妄想すると止まりませんが、なかなか具現化するのが難しいものです。
以前、Blogで取り上げましたが、Conisis TINY CUBE SP-02GUを買ってみたの記事でこのスピーカを購入してみたのは実はこのような経緯のひとつです。

 

 

当初はこれを改造するつもりでしたが、サイズがあまりに小さく断念。そもそも、アルミで作られている以上、コーナーガードをつけないと本体もぶつけた先もボコボコになってしまうでしょう。(設備業では内装の汚損・破損は問題外)ただ、スピーカユニットのサイズは気に入ったので、同サイズでユニットだけ購入が可能なFOSTEX P650Kを軸に考え直す事にしました。
タカチのカタログをぱらぱら見ていると、シリコンプロテクターつきアルミケースで使えそうな物を発見しました。それがAWPシリーズです。早速、発注してみました。

 

 

 

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Conisis TINY CUBE SP-02GU。結果的に使用しない事になりましたが、ヒントが得られました。

 

 

 

 

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TAKACHI AWP 9-9-10とFOSTEX P650K
まずセンタに穴を開けます。手持ちがφ53mmホールソーしかなかったので、とりあえずこの寸法で開けました。

 

 

 

 

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なぜか内側にφ2.4mmのくぼみがあり、ここにM3タップを切ると・・・

 

 

 

 

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合致します。完璧な一致です。この為にTAKACHI AWP 9-9-10が存在していたのだと思います。宇宙の真理がここにありました(もういいから)

 

 

 

 

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スピーカユニットは基本的に取り付け面からエッジが飛び出ます。主題は点検用スピーカです。露出するよりも内側に窄んでいた方が破損しにくいメリットがあります。

 

 

 

 

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それが、どういう事でしょう・・・見てください。勝利を確信した瞬間であります。

 

 

 

この組み合わせで点検用スピーカを作る事にしました。

用意するもの

TAKACHI AWP 9-9-10 BN
FOSTEX P650K
M3-5トラスビス×8、黒ワッシャ×8
ノイトリック NL4レセプタクル
上記取付用M3皿ビス
スピコン端子とVFFコード、ミノムシクリップ
60mmファン用ガード黒
橋本電気株式会社 音声ライン用マッチングトランス OM-01(ハイインピ対応で必要)
2極双投トグルスイッチ
チルトスタンドTAKACHI CT-S1
バンパ(ハンドル)TAKACHI BH-30B
化粧座金TAKACHI Z-P8B
※取っ手については、栃木屋 THA-216-1、THA-271-1も候補です。

 

 

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TAKACHI AWP 9-9-10の加工寸法です。参考にしてください。
※ファンガード取付用のM3穴は背面と干渉するので、深さ4mmほどで止めます。

 

 

 

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ファンガードと組み合わせてみると、なかなかカッコイイです。銀色も試しましたが、あからさまにファンになってしまうので黒が良いと思います。

 

 

 

 

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完成!当初はシリコンプロテクタは黄色で作成していましたが、そもそもNTiのトークボックスを自作したい一心で始めた事を思い出し、シリコンプロテクタだけNTi製品のコーポレートカラーであるネイビーブルーを別途用意しました。
すると、どうでしょう、まるでNTiの製品の様です。

 

 

 

 

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何かに導かれたようにここまで仕上がりました。スピコンのキャップはNDLにSCLのヒモを付けたものです。
参考リンク:
Neutrik スピコン・パワコン用ダストカバーSCL & NDLの紹介

 

 

 

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チルトスタンドは音質向上の為、27.5°の傾斜がつけられるように取り付けました。収納時はシリコンプロテクタよりも低い位置にあるので地面と干渉しません。スタンドを畳み切らない収納の仕方も試行錯誤しました。実際に組み上げるまでバランスが保てるか心配でしたが、問題ありませんでした。

 

 

 

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NTi MR-PROと点検用スピーカを並べてみる。まるで製品のようです。

 

 

 

 

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Conisis TINY CUBE SP-02GUと点検用スピーカを並べてみる。聴き比べて見ると、今回制作したものの方が好みの音がしています。筐体がIP67対応で、密閉性が良いからかもしれません。

 

 

 

 

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Conisis TINY CUBE SP-02GUと点検用スピーカの周波数特性比較。茶色がConisis TINY CUBE SP-02GU(80dB)が青が点検用スピーカFOSTEX P650K(84dB)です。能率が数値に出るので1kHzで合わせました。聴感上と同じく、点検用スピーカの方が低域が出ています。表示していませんが、Conisis TINY CUBE SP-02GUの方が18kHz以上のコヒーレンスが上です(位相を見ていただければ分かるかと思います。)

 

 

 

 

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おまけ。パナソニックのプロジェクタのオプションボードに付いている金属のバーをトグルスイッチガード用途に取り付けてみました。このパーツが市販されていれば良いのですが、なかなか見つかりません・・・取り付けた事によって、背面を下にするとこのガードが当たります。仕事で使う事を考えるとガードの方が重要です。
→ TAKIGEN A-1046-5がほぼ同サイズとの事

 

 

 

 

今回作成した点検用スピーカは重量が1.1kgになり、見た目の印象よりも若干重く感じるかもしれません。※以前使っていた点検用スピーカ(TOA BS-4Wの粗末な改造品)は1.5kgでした。
が、小型で・・・携帯性に優れていて・・・堅牢で・・・ローハイ切り替えが付いていて・・・という当初掲げていた目標全てがこれで達成できたことになります。

 

 

 

ベースの組み合わせはTAKACHI AWP 9-9-10とFOSTEX P650Kで、筐体内部にパワーアンプを仕込んでパワードスピーカにしたり、ローインピ対応のみにしたり・・・と各々の用途に合わせて改造のし甲斐があるスピーカかと思います。
この記事がどなたかの参考になれば幸いです。

 

 

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