ローインピーダンス・スピーカのインピーダンス測定 | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

筆者はインピーダンス測定というと設備音響のハイインピーダンス測定を最初に行いました。

 

設備音響でハイインピーダンス・スピーカのインピーダンス測定…と言えば測定器は定番中の定番、TOA ZM-104Aです。

 

 

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TOA ZM-104A。型番が同じだったか失念しましたが、昔からこの形と大きさです。
レンジ切り替えが昔はボタン式でしたね。

 

 

ハイインピーダンス・スピーカの分野でのインピーダンス測定は1kHzの発振周波数で回路の抵抗を測定し、算出された値を100の二乗から割ってワット数を求めます。
これは非常放送やBGM・業務放送などの音響設備屋さんには何をいまさら…な話なのですが、ではローインピーダンス・スピーカの場合はどうでしょうか?

 

ローインピーダンス・スピーカの定格インピーダンスは古くは16Ω、近年は4、6、8Ωが主流です。
これがどのように算出されているかは以下のサイトに詳しく解説されています。

 

参考リンク:JBL テクノロジー解説

https://web.archive.org/web/20181206045754/http://jbl.harman-japan.co.jp/about/tech.php?id=5

※[5] スピーカーのインピーダンスとアンプとの組み合わせについて、を参考して下さい。

※リンク先が無くなったのでアーカイブです

 

ハイインピーダンス・スピーカと事情が違い「大きなエネルギーを必要とするためにアンプへの負担が大きい、低音域での最小値を表示します。これを定格インピーダンスと呼びます。」と記載してあります。
これは、つまり「発振周波数を可変できないインピーダンス測定器では、ローインピーダンス・スピーカの定格インピーダンスは測定できない。」と言うことです。

 

これを理解していない音響設備屋さんが沢山いらっしゃいます。

 

実例をひとつあげましょう。以下はElectro-Voice Sx80を発信周波が可変可能なNTi MR-PROで測定した結果です。

 

 

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測定した結果、最低インピーダンスは242.0Hzの8.00Ω、最高インピーダンスは3.350kHzの170Ωでした。これはつまり定格インピーダンスの定義が240Hz付近であるということです。

 

 

メーカの仕様書で確認してみましょう。

 

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Electro-Voice Sx80仕様書。

 

 

表から読み取ると、おおよそ、200Hzで7Ωが定義されています。
そして、最高インピーダンスは3.2kHzあたりで170Ωと、測定結果とほぼ同じです。
これを1kHz基準で測定してしまうと23Ωになるということもこの表から読み取ることが出来ます。

 

最後に繰り返しますが、
発信周波数を可変できないインピーダンス測定器では、ローインピーダンス・スピーカの定格インピーダンスは測定できません。
ローインピーダンス・スピーカの定格インピーダンス測定はNTi MR-PROの様なインピーダンス測定の発信周波が可変可能な測定器が必要です。