110号プラグについて | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

110号プラグについて、自分が持っている情報を公開します。
もし、ここで述べている事以外になにかありましたら、コメントをいただけると幸いです。

 

以下のリンクでかなり詳しく調べました。Web上では最大の資料になるかと思います。
110号プラグの歴史を調べてみた

 

自分が110号プラグに初めて出会ったのは15歳の頃、千葉県船橋市宮本公民館のパッチ盤でした。(当時、高校演劇で音響をしていました。)
というわけで、自分にとって「パッチ」とは「110号のこと」と刷り込みがされています。

 

 

 

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これが110号プラグです。読み方は「ひゃくじゅう」でも「ひゃくとお」でも「わんてん」でも何でもいいです。真鍮削り出しなので、接触不良を避けるために絶えずメンテナンスが必要です。(パッチには10~20年一度も刺されたことがないものもあります。)
メンテナンス方法としましては、ピカール(金属研磨剤)で磨き、無水エタノールで仕上げる方法が一般的です。燃料用アルコールは水分をわずかながら含んでいるため、使用しないでください。
※参考:110号を磨く
※ジャック側は専用のクリーニング用ダミープラグを使用します。

 

 

 

使用用途ですが、当初は電話交換所のパッチ(回線をつなぎかえること)に使用されていたそうです。
それが放送の業界で使用されるようになり、ホールの音響などでもパッチとして使用されるようになりました。伝送方法はバランスです。
※レコーディング業界では110号の半分の大きさの「バンタム」が主流です。

 

 

110号はプラグ(オス)ですが、ジャック(レセプタクルまたはメス)は238号、239号と呼ばれています。

 

 

 

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プラグの根元には「110」と彫刻されています。(JIS110から来ている、と記憶しているのですが…)

 

 

 

 

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分解は2.5マイナスドライバで行います。ネジは同サイズのものが3つ使用されており、本体側面の一つを外すと、樹脂カバーが取り外せます。
意外かもしれませんが、ハンダは一切使用されていません。すべて圧着です。110号関連のパッチのメンテナンスをされたことがある方はご存じでしょうが、ジャック側も(本来は)ハンダではありません。(単線を専用回転工具で巻きつける方式です。)

 

 

 

 

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他二つのネジを外し、コネクタを回転させると、外すことができます。
先に述べたように、シールド線も圧着方式で、ねじ込むタイプになっています。(この発想はすごい!)
ケーブルは実測Φ7.0mmです。

 

 

 

 

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すべて取り外すとこのようになります。

 

 

 

110号からキャノンへの変換ケーブルを作ったことがありますが、110号の規格に合った圧着工具・端子がないために、すべてハンダで仕上げました。ケーブルは径の都合上、カナレのL-4E6S(Φ6.0mm)ではなく、カナレのL-4E6(Φ6.5mm)を使用しました。今後、製作を予定している方いらっしゃいましたら、ノイトリック製の110号+CANARE L-4E6Sをオススメします。
NEUTRIK NP3TB-B(110号プラグ)製作方法

 

 

 

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上が110号、下が標準プラグです。
誤解されている方を結構な数見てきましたが、110号と標準プラグは互換性はありません
Φが1/4インチ(6.35mm)と同径のため、刺しこめて、普通に使えるように感じますが、規格では全く別物です。

 

 

 

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図解するとこんな感じです。(一応)正確な寸法です。
ここから想像できることは…

 

 

110号を標準ジャックに差し込む場合、
1.プラグの抜け防止をするバネが作用しない
2.リング部分が接触しない
(クリアランス的に接触は可能だけれど接触抵抗が高い可能性がある)

 

 

標準プラグを110号ジャックに差し込む場合、
1.プラグの抜け防止をするバネがバカになる
2.リング部分の接触用バネもバカになる

 

 

身近に間違えている方がおりましたら、丁寧に指導してあげて下さい。

 

 

 

 

 

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最後ですが、これが110号パッチ盤です。(灰色のケーブルがL-4E6で製作したものです。)
※110号パッチ盤は、ほぼすべてがシリーズ・パラレル(ダブル・ノーマル)接続のため、大変扱いづらいです。機材によっては600Ω終端(写真の赤いプラグは短絡用)しなくてはいけなかったり、現在では時代を感じさせるものとなりました。

おまけ

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CANARE TC005(既製品、L-4E6Sの110号パッチケーブル)です。
こちらは上記と違い、ハンダ仕上げです。
(グランド線は写真では確認ができませんが、実物を見る限り、シースに熱収縮チューブをかぶせた後、折り返してプラグにねじ込んでいるものと思われます。)