バラエティー番組や女性週刊誌の記事で、AIの導入によって2030年頃には仕事が無くなる(AIに仕事が奪われる)とか、無くなるとまではいかなくても給料が減る仕事があると言われています。
囲碁の世界チャンピォンをAIが打ち負かした程ですから、その可能性は十分にあると思われます。
とくに金融関係は危ないそうで、大手を中心にリストラが検討されています。
Amazonをはじめとしたネット書店やペーパーレス化された電子書籍の普及で、街中の本屋さんが閉店しています。
スーパーやコンビニのレジや一般的な受付業務も無人化がされ始めています。単純な品出し(商品の陳列・補充)も、近い将来AIに変わるでしょう。
今でこそ配達人不足が起きていますが、クルマの自動運転やドローンが普及すると、バスや電車の運転手とかドライバーは今ほど需要は無くなると考えられています。
中小企業診断士や行政書士、税理士といった士資格における“補助者”と呼ばれる人が主に行っている書類作成・代行・コンサルタント業務もAIに任せる可能性が高くなります。頭脳労働の典型とされる難しい法務などもAIが素早く分析・判断して仕事を熟していきます。
いわゆる事務職、ホワイトカラーの仕事は10年後にはAIに切り替わっていると言われています。
一方、AIが進んでも、非正規を除いて基本的に公務員は仕事はなくなりません。
医療現場ではAIを操作・管理(いわゆるオペレーター)する人が必要なので、医師や看護師、臨床工学技士、診療放射線技師はAIに仕事が奪われづらいはずです。こうした職業は、夜中や土日祝日、年末年始といった当直制の仕事になります。
ただし、歯科助手の様な資格が無くても務まる補助仕事はAIに奪われる可能性が高く、歯科医師、歯科衛生士の国家(独占)資格が無いと生き残りは難しいかもしれません。
国家資格、免許が無いと出来ない仕事、法律によって配置が義務付けられている仕事は無くなりません。
例えば、不動産取引業では「業務に従事する者」5人につき1名以上の割合で専任の宅地建物取引士の設置が法律によって義務付けられています。
例え業界にAIが導入されても、不動産取引の重要事項事項の説明は対面で行われなければならず、簡単に人員配置の規制は緩和されないはずです。
小さい子供を扱う仕事は一律に出来ないのでAIが苦手としている性質があり、保育士や幼稚園教諭、ジュニア英会話教室の講師は、簡単にAIに奪われないでしょう。
プロスポーツ選手、俳優のように人間が行うから価値がある、またはAIの介入が許されない仕事というのも存在しています。
なるほど、大谷翔平選手の球を打つ機械の打者、大谷翔平選手を抑える機械の投手など誰も観たくありませんね。
農業のAIが進んでも、AI自体は食糧生産出来る能力は無いので、人がいる限り農家や酪農家の仕事は無くなりません。
定年退職後に年金を貰いないながら警備のバイトをすると考えた際、警備員指導教育責任者や警備業務検定はもちろん、英語や中国語がそこそこ出来るとかプラスアルファ―が求められるでしょう。
もっとも、60歳を過ぎて、しかも正規雇用では無く、嘱託やパートタイマーが英語や中国語をマスターするのは無理があります。もちろん、英検やTOEIC、英語の教員免許を所持しているとか外国語学部卒であれば話は別です。
警備業界は新任教育や現任教育で憲法、刑法や刑事訴訟法を受けなければならない事から、法学部(法律学科)卒の人は優遇されると思われます。
また、AI化が進んで被害をある程度抑える事が出来ても、大規模な自然災害自体は防げません。運動機能や目や耳が不自由な高齢者は、危険が発生した際、自分の身を素早く守る事は不可能です。
現状の科学技術では大規模地震とか火山の噴火、大型台風などの予測がつかないのですから、いつ起きるかわからない時に備える必要がある仕事はAIに変わる事は少ないでしょう。
大工職人とか水道修理、電気工事士の様な技術職(いわゆるブルーカラー)についてもAIに変わる可能性は否定できませんが、多種多様な医療や教育、福祉現場と一緒で、技術系の現場は建屋の構造、周辺の環境が多種多様のため、技術系職業のAIの開発・導入をするのに事務系職業とは比較にならないコストが掛かります。
高額な機械を導入する位なら、人間を使った方がまだ遥かに安上がりと考える経営者や依頼主(オーナー)が圧倒的に多いので、こちらは事務系職業ほどAIに仕事がが奪われずに済みそうです。
人の生活に電気や水道は欠かせませんが、家やマンションの壁に埋まっているスイッチやコンセント1つ交換するにも、電気工事士法に基づく“電気工事”に該当するので電気工事士の有資格者が行わなければならないので、電気火災が人命や財産の被害に直結する事からも人員配置に関する規制が簡単に緩和される事はまずありません(電気工事士の技能試験で“軽微な欠陥”が近年許されなくなり技能試験が難化してしまった)。
難関試験とされる電験3種でお馴染み、電気主任技術者の電気事業法に基づく法定点検は土日祝や夜間、年末年始といった企業や施設が休み(無人)の日に完全停電させて行い、電気工事や水道修理業と同じく緊急時の出動もあり得ます。電気事業法の下、危険な高電圧を扱う電気主任技術者の仕事はAIに奪われにくいと考えられます。電気主任技術者の試験とは技能・実技を伴う試験が一切無いだけに、実務経験が無い試験合格者のペーパー3種では電気(高電圧)設備の図面を正しく読んだり記号・専門用語も分からず、まず務まりません。
また、優れたAIも故障、劣化する可能性があるので、AIを開発、修理出来る技術者は優遇されるでしょう。
有料・月極駐車場を無人化についても、機械の故障(バーの破損)や駐車券や釣銭・レシート用紙の補充、発券した駐車券を紛失した利用客や定期券の読込みエラー、高額紙幣の両替対応、夜間や休日のトラブル対応は人が遠隔による監視を経て人が直接出向いて行わなければならない側面があり、完全無人化にはならないと言えます。
若者のクルマ離れが指摘されていますが、田舎を除いて駐車場が過剰になる事は考えにくく、結果的に駐車場を管理する人が必要になります。
そう考えると、仕事が変わるというより働き方や求められる人材の在り方が大きく変わると言ったほうが良いかもしれません。