こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

いよいよ、梅雨(つゆ)の時期に入りそうですね。

あと3日もしますと、暦の七十二候では「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」となります。

 

梅雨の時期に腐った草が蒸れて(むれて)、「蛍(ほたる)」になると考えられていたことに由来するようです。

 

「蛍(ほたる)」が、光るのは・・・「ルシフェリン」という発光物質と「ルシフェラーゼ」とが混ざり、そこにホタルが吸った「酸素」が結びついて起きる化学反応が起こるからなのだとか。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 (AIで画像を作成)

 

前回のブログは、「ミトコンドリア」が産生する「ATP」の量が減少することで「老化」が進行するという説を「ミトコンドリア老化仮説」について、お話をさせていただいたわけです。

 

その中で「ミトコンドリア」の機能を改善することができれば、「老化細胞」の一部は、正常細胞に近いものとなり、少なくとも「老化細胞」が分泌する炎症物質は「細胞老化随伴(ずいはん)分泌表現型(Senescence-Associated Secretory Phenotype:SASP)」を改善できる可能性があるとお話をさせていただきました。

 

そして、この「ミトコンドリア」の機能を改善させる可能性のあるものとして・・・NMN、NAD+、5-ALAの投与は、それぞれ異なる作用機序を通じてミトコンドリア機能を改善し、老化関連障害を緩和(かんわ)する可能性を持つ可能性があるとお話をさせていただいたのだと思います。

 

そこで、今回は「5-ALA」の持つ作用機序についての話題にしたいと思います。

 

「5-ALA」の正式な名称は「5-アミノレブリン酸(5-Aminolevulinic acid, 5-ALA)」というものになります。

 

「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」は、生体内で自然に産生される非タンパク質性アミノ酸であり、ヘム合成経路の最初の前駆体として機能します。

 

この「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」は、「ミトコンドリア」での

エネルギー産生に重要な役割を担い、ヘムという物質のもととなるアミノ酸です。ヘムは、酸素を運ぶヘモグロビンや、エネルギーを生成する呼吸鎖複合体など、生命活動の鍵となると考えられている物質となると考えられています。

 

「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」は、医療や健康分野で多様な用途が研究されているアミノ酸の一種です。近年、や疲労感の軽減、酸化ストレスの改善など、さまざまな効果が注目されています。

 

その安全性については、「5-ALA」は生体内で自然に産生される物質のため、比較的安全性が高いとされていますが、「5-ALA」の投与で光に対する感受性が高まるため、「5-ALA」の投与後は、強い光を避ける必要があるとされています。

 

実際に重大な副採用は認められていないとされているものの、光過敏症(4.6%)、肝機能障害(1.1%)の副作用が報告されています(参考1)

 

  (AIで画像を作成)

 

「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」の健康に対する影響としては、以下のようなことが報告されています。

 

1.慢性疲労・気分改善

 

1)疲労・無気力、抑うつ、全体的な気分障害スコアも改善する(参考2)

 

2)5-ALAの8週間摂取で、慢性的な身体的疲労感や怒り・敵意の感情が有意に軽減する(参考2)


 

2.LOH(加齢男性性腺機能低下症)症状の改善

 

5-ALAの8週間摂取で、LOH症状の総合スコアがプラセボより有意に改善したという報告がある(参考3)

 

LOH症状(Late-onset hypogonadism)は、加齢男性性腺機能低下症候群とも呼ばれ、中高年男性に見られるテストステロン(男性ホルモン)の低下によって引き起こされる症状群です。

 

  • 体脂肪の増加、特に内臓脂肪の蓄積
  • 疲労感や体力の低下
  • 性機能の低下(性欲減退など)
  • 抑うつ気分や気分の落ち込み
  • イライラしやすさ
  • 集中力や記憶力の低下
  • 意欲の減退

などが起きる可能性があるわけですが、このような尿状に対して、「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」が有効なのではないか・・・というわけですね。

 

また、健常者の激しい有酸素運動時に「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」を摂取しますと・・・「抗酸化能」が有意に改善するということも報告されています(参考4)

 

また、「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」の投与は、「免疫細胞の活性化」と「ミトコンドリアのATP産生」に明確な影響を与えることが示されています。

 

実際に「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」と「鉄剤」を併用することにより、「腫瘍浸潤T細胞の活性化」細胞傷害性分子(グランザイムB)、サイトカイン(IL-2、IFN-γ)産生が増加することが報告されています(参考5)

 

と聞きますと・・・癌の治療に応用できるのではないかと思ったりするのですが・・・実際に細胞障害性T細胞(CTL)を活性化することも報告されています。

 

しかしながら、「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」は、マクロファージの抗炎症型(M2)への分化を促進し、炎症抑制や組織修復に関与することが報告されているのですね(参考6)


 

この話題は、以前のブログ内でもお話をしたのですが・・・臓器癌(固形癌)の周囲には、「癌関連線維芽細胞(CAF)」というものが存在し、「腫瘍微小環境(TME)」というものが形成されていましたね。

 

「腫瘍微小環境」とは、腫瘍またはがん細胞を取り囲む、免疫細胞、血管系細胞、線維芽細胞などの様々な細胞が作り出す複雑な環境を指します。

 

この環境は、免疫抑制性の性質を持つばかりでなく、抗がん剤の効果の減弱、そして、癌の増殖や遠隔転移などを促進するがありましたね。

 

この「腫瘍微小環境」の性質を助けているのが、「M2型マクロファージ」でしてた。

 

繰り返しになりますが、少しだけ復習しておきますと・・・

 

多数の「マクロファージ」が、癌細胞周囲に存在しています。このようなマクロファージ は「腫瘍随伴マクロファージ(Tumor-associated macrophage: TAM)」と呼ばれています、

 

通常の場合、免疫細胞の「マクロファージ」は、 通常の場合、その活性化の様式から、M1型とM2 型に分けられます。

 

「M1型マクロファージ」は、持続的または過剰な活性化を起こしており、癌などの組織に損傷を起こせる可能性は高いわけです。

 

しかしながら、「腫瘍微小環境」内にある「腫瘍随伴マクロファージ( TAM)」は、「M2型マクロファージ」になっていることが報告されているわけですね。

 

この「M2型マクロファージ」、宿主の免疫応答を抑制、および組織リモデリングの促進、組織内の代謝と内分泌シグナル伝達を改善する増殖因子および、IL-10, TGF-β, Prostaglandin E2などの「抗炎症性因 子」の産生や「制御性T細胞」の浸潤を促す ことで

「抗腫瘍免疫」、つまり、癌を排除しようとする免疫を抑制したり、種々 の血管新生因子の産生によって「新生血管」を誘導することで、

 

がん細胞の増 殖に都合の良い微小環境を作ることに役立っているのですね。

 

癌の治療では、「腫瘍微小環境」内にある「腫瘍随伴マクロファージ( TAM)」を免疫抑制型「M2型マクロファージ」から活性型の「M1型マクロファージ」に変えていくことが重要であるわけですので・・・

 

「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」は、マクロファージの抗炎症型(M2)への分化を促進する作用のあることは、癌の治療を困難にする可能性があるということになりますね。

 

ちょっと、話が脱線(だっせん)してしまいましたが・・・

 

「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」は、加齢に伴うミトコンドリア機能低下を回復させ、ATP産生やエネルギー代謝あいしゃを向上させることは示されています。

 

加齢マウスで、5-ALAを経口投与すると、ミトコンドリア機能の低下(ATP産生低下、酵素活性低下)が回復し、インスリン抵抗性や耐糖能異常も改善されました。

 

6週間の5-ALA投与でミトコンドリア機能が十分に回復し、効果は投与中のみ持続したことが報告されています(参考7)

 

なかなか、「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」には、さまざまな作用があるのですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

-------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>6月10日

 

雨が止んで(やんで)おり、開けた窓からは穏やかな(おだやかな)風が入ってきます、
今宵(こよい)は、とても良いニュースを見つけ、しばらくは関連する文献などを眺めて(ながめて)いました。

そのニュースは共「共同通信」のニュースで、大阪大学の研究チームが「がん関連線維芽細胞(CAF)」のみに働きかけ、免疫抑制
物質を制御することに成功したというものですね。
 

実際にマウスの実験では、癌腫瘤の縮小が認められたそうで、癌に対する完全な治療の実施が可能になる・・・ことが期待できるとその記事の中では、述べられていました。

「がん関連線維芽細胞(CAF)」が制御(せいぎょ)できれば、抗がん剤の投与量も減らすことができますし、免疫細胞が接触し、癌細胞を破壊することもできますね。


また、癌細胞と「がん関連線維芽細胞(CAF)」で構成される「癌微小環境」では、マクロファージが、免疫抑制型の「M2型」から、

活性型の「M1型」に変化するという論文も多くありますので、癌細胞を免疫細胞が認識し、攻撃しやすくなる可能性が高いと考えられます。

マクロファージが、免疫抑制型の「M2型」のままでは、免疫細胞が

癌組織の前を素通り(すどうり)して、癌細胞を認識できないケース

もあると報告されていましたので、「癌微小環境」では、マクロファージを活性型の「M1型」に変化させることは、「免疫細胞」の併用することで、治療効果を格段に(かくだんに)向上させる可能性も出てくることになります。

 

以前にブログ内で、糖尿病に対する薬剤である「メトホルミン」が、「癌微小環境「内のマクロファージを免疫抑制型のM2型から、M1型に変える働きがあるというお話をしたわけですが・・・
 

それよりも有効な方法になることが期待できそうですね。

なので・・・本文内で「5-ALA」では、「癌微小環境」内のマクロファージが免疫抑制型のM2型になってしまう可能性があるとお話したのですが、将来、「癌関連線維芽細胞」自体をコントロールできるようになりますと、まったく話が変わってくる可能性がありますね。

話を戻しまして・・・ところで、「ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」は、体内で「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」に変化するわけですね。


この「NAD+」はエネルギー代謝や老化、細胞修復など多くの生理機能に関与するという重要な役割はあるのですが・・・

加齢とともに「NAD+」の量が低下することが知られています。

 

「NAD+」の量が減れば(へれば)・・・7つある「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」の発現量が低下し、「ミトコンドリア」でのATPの産生量も低下してしまいますよね。

 

そして、「NMN」を補給しますと、体内で速やかに「NAD+」へと変換され、NAD+プール(貯留量)が、増加することが分かっているのですね(参考8)。

では、加齢により「ミトコンドリア」からのATP産生も低下している状態では「NMN」や「NAD+」の投与は有効なのでしょうか。

「NAD+」やその前駆体である「NMN」の投与は、加齢などで機能が低下した「ミトコンドリア」であっても、再度、ATP産生を回復させることが報告されています。

このようなメカニズムは、次のように報告されています。

「NAD+」や「NMN」は、加齢などで機能が低下した「ミトコンドリア」であっても、「NAD+」のプール(貯蔵)を増やし、「サーチュイン3遺伝子(SIRT3)」などのNAD+依存性酵素を活性化することで

 

「ミトコンドリア」のタンパク質の脱アセチル化や抗酸化酵素活性化、ATP産生促進などをもたらすことで、ATP産生を回復させる

ことが報告されています(参考9)。


とくに「サーチュイン3遺伝子(SIRT3)」などのNAD+依存性酵素を活性化することは、「ミトコンドリア」の機能を向上させ、ATP産生が増加することが報告されています。


NAD+依存性酵素とは、NAD+が存在することで、はじめて活性化されるという意味ですね。

この「サーチュイン3(SIRT3)依存性」のメカニズムは、特筆(とくひつ)すべきものであると言えるかもしれません。

「サーチュイン3(SIRT3)」はNAD+の存在下にはたらく、脱アセチル化作用があり、「ミトコンドリア」内で代謝、酸化ストレス、細胞生存に関与する多数のタンパク質の機能を調節していると考えられています。

具体的には、(ちょっと細かい話になりますが・・・)

「サーチュイン3(SIRT3)」は、「ATP5O」と「ATP5A1」という2つの「ミトコンドリア」のATP合成酵素を活性化することで、エネルギー産生を増加させると考えられています。

また、「サーチュイン3(SIRT3)」は、SOD2のK68アセチル化を除去してSOD2を活性化し、ミトコンドリアの「活性酸素」を軽減することが知られています(参考10)
 
「ミトコンドリア」は、エネルギーであるATPを産生すると同時に「活性酸素」などを産生するために・・・エネルギーを産生しながらも、自分自身の「ミトコンドリアDNA」が壊されていく(こわされていく)という悲しい運命がありましたよね。

 

「サーチュイン3(SIRT3)」は、この「活性酸素」の影響を減らす力があるというこよになります。

また、「NAD+」は、ミトコンドリアに対しての直接的な作用もあることが知られています。
それは、老化により機能低下のある「ミトコンドリア」の「電子伝達系」という部分に対し、この能力を改善する作用があることも確認されています。

なかなか、難しい話になるのは承知(しょうち)の上で、少しまとめてみますと・・・


「NMN」や「NAD+」が、「老化したミトコンドリア」のATP産生を増加できるわけですが、

これは、「サーチュイン3(SIRT3)」遺伝子の活性化による酵素調節と、「NAD+」が「ミトコンドリア」の電子伝達系という部分に

直接働きかけて、これを改善するという2つの「複合的なメカニズム」が働く(はたらく)ためであるということになりますね。


では、本文内でご紹介した「5-ALA」と「NAD+」のATP産生メカニズムの違いとは、どのようなものなのでしょうか?

作用機序の根本的な違いを簡単に言いますと・・・


    •   5-ALA: (構造的改善 )- 電子伝達系の構成要素を増やす
    •    NAD+: 機能的改善 - 既存の酵素系の活性を高める


「5-ALAは」は「量的改善」を、そして、「NAD+」は「質的改善」をもたらす異なるアプローチで、ATP産生を向上させると言えるかもしれませんね。


何が言いたいかといいますと・・・

「5-ALAは」と「NAD+」は、作用機序が根本的に異なるため、併用(へいよう)することで、相乗効果(そうじょうこうか)が期待できる可能性があるということになりますね。

 

なかなか、今回の話題はヘビーな感じでした笑い泣き爆  笑笑い泣き爆  笑​​​​​​​

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Eur J Pharm Sci. 2023 Sep 1:188:106493.

Microneedle-assisted transdermal delivery of perfluorotripropylamine-based oxygenated emulsion gel loaded with 5-aminolevulinic acid for enhanced photodynamic therapy of cutaneous squamous cell carcinoma

Lialiang Zhangら

 

2)Sci Rep. 2020 Sep 29;10(1):16004.

Reduction of fatigue and anger-hostility by the oral administration of 5-aminolevulinic acid phosphate: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel study

Fumiko Higashikawa 

 

3) J Neurosurg. 2023 Oct 13;140(4):987-1000. 

Use of 5-ALA fluorescence-guided surgery versus white-light conventional microsurgery for the resection of newly diagnosed glioblastomas (RESECT study): a French multicenter randomized phase III study 

Teiebaud Picartら

 

4) Int. Mol Sci. 2024 Jan 12;25(2):988. 

The Impact of 5-Aminolevulinic Acid Supplementation on Redox Balance and Aerobic Capacity 

Norio Sagaら

 

5)Vet Immunol Immunopathol. 2022 Sep:251:110473.

The effect of 5-aminolevulinic acid on canine peripheral blood mononuclear cells 

Masaya Igaseら

 

6)Theranostics. 2023 Aug 28;13(14):4802-4820. Guanghui Jin

5-aminolevulinate and CHIL3/CHI3L1 treatment amid ischemia aids liver metabolism and reduces ischemia-reperfusion injury

Guanghui Jinら

 

7)PLos One. 2018 Jan 24;13(1):e0189593. 

5-aminolevulinic acid (ALA) deficiency causes impaired glucose tolerance and insulin resistance coincident with an attenuation of mitochondrial function in aged mice

Shinichi Saitohら

 

8)Cell Metab. 2011 Oct 5;14(4):528-36. 
Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice
Jun Yoshino ら

 

9) Exp Neurol. 2020 Mar:325:113144..
NAD+ precursor modulates post-ischemic mitochondrial fragmentation and reactive oxygen species generation via SIRT3 dependent mechanisms
Nina Klimova ら 

 

10) Front Cell Neurosci. 2024.

The role of SIRT3 in homeostasis and cellular health
Dennison Trinh et al.

 

image

         (休日の朝;丸の内仲通りの風景)

             (筆者撮影)

 =================================

 

(Sptifyのポドキャスト:文章作成後、Notebook KLMにて、AIによる音声を作成:テスト配信)

 

 

     (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

 

 

image

 

                         Instagram

 

          <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

=====================

<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

 

 

=================================

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

木々の緑が色濃く(いろこく)なる時期である6月が訪れ、昨日の寒さが嘘(うそ)にように暖かい陽射し(ひざし)を感じることのできる休日の午後となっています。

 

ところで、このブログを始めたのが、2014年4月であったと記憶していますので、5月からは、12年目に入ったことになります。

 

多くの方に読んでいただき、励まし(はげまし)のお言葉をいただくなどがあり、現在も続けていられるのだと大変、感謝しております。

 

最近は「人工知能(AI)」を利用して、絵を描いたりなど楽しく遊びながら過ごしておりますが、ブログでも新しい話題をご紹介できたら良いなあ・・・と考えております。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

 

アイルランドで、かつて、文学者、脚本家、劇作家、評論家、政治家

と多くの才能を持ち、94歳の長寿を全う(まっとう)した「ジョージ・バーナード・ショー」は、次のような言葉を残しています。

 

We don't stop playing because we grow old ; we grow old  becouse we stop playimg.

 

年をとったから遊ばなくなるのではない。遊ばなくなるから年をとる

のだ

 

私が好きな言葉なのですが・・・新しいことに興味を持ち、それを体験したり、経験を得ることは重要だ・・・と最近は自分自身に言い聞かせる日々です。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?   

 

 

 (AIで画像を作成)

 

今回は、生命の根源的(こんげんてき)なエネルギー(ATP)を産生する「ミトコンドリア」の機能低下が・・・「老化」の主要因(しゅよういん)であるのではないか・・・という一部の研究者の仮説(かせつ)を「ATP産生」の減少の連鎖(れんさ)がもたらす「全身的な老化」が、どのようなものかを考えてみたいと思います。

 

生物の「老化」の過程(かてい)は、極めて複雑かつ多因子的であるが、「ミトコンドリア機能障害(きのうしょうがい)」が中心的な役割を果たしているのではないか・・・という仮説(かせつ)があります。

 

そんなバカな・・・と思われる方が多いと思いますが・・・ミトコンドリア」が産生する「ATP」の量が減少することで「老化」が進行するという説を「ミトコンドリア老化仮説」といいまして、

 

が提唱されて以来、その重要性は「実験的・臨床的エビデンス」の

蓄積(ちくせき)により広く認識されるようになったのですね

(参考1,2)。

 

2011年にSahiaらが世界的な科学雑誌である「Science(サイエンス)」に「ミトコンドリア老化仮説」を報告するまでは、次のように考えられていました。

 

「老化」は気付かないうちに進行し、体に多種多様(たしゅたよう)な影響を与え、多くの臓器の機能が徐々に低下していくろ考えられていたそうです。

 

よく知られている「老化の理論」では、「細胞核」と「ミトコンドリア」という2つの細胞小器官で起こる「損傷(そんしょう)」が関与しているとされていますよね。

 

しかし、この一見異なる多数の細胞過程の間につながりがあるのかどうかについては、2011年にSahiaらが「ミトコンドリア老化仮説」が発表されるまでは、わからなかったそうです。

 

Sahinらは、「細胞核の老化過程」と「ミトコンドリアの老化過程」の間に興味深いつながりがあることを明らかにし、「細胞老化」についての統一的な機構が存在する可能性を示していた・・・というわけですね。

 

ちなみに「ミトコンドリア老化仮説」は、間違い(まちがい)であることが証明されるどころか・・・その「重要性」は、実験的・臨床的エビデンスの蓄積(ちくせき)により広く認識(にんしき)されるようになっているのだそうです。

 

    (AIで画像を作成)

 

「ミトコンドリア老化仮説」の詳細な内容は、後日の話題にするとして、その蓄積した「エビデンス」とは、どのようなものなのでしょうか?

「エビデンス (evidence) 」とは、は、英語の「証拠(しょうこ)」や「根拠(こんきょ)」を意味する言葉ですね。「ATP」の減少は、皮膚を含む臓器に次のような影響を与えることが分かっています。

 

1)皮膚

 

皮膚の恒常的な再生は、ミトコンドリアによって産生される「ATP」に依存しており、その減少は表皮細胞の増殖・分化能の低下を招くことが報告されています(参考3)。


 

具体的には、「ATP」の減少によって「表皮角化細胞」の増殖サイクルが遅延し、基底層から角質層への分化過程が障害される。

これにより、表皮のバリア機能が低下し、経表皮水分喪失の増加、皮膚乾燥、炎症感受性の亢進などの老化皮膚の特徴が顕在化するということが分かっています。

 

さらに別の研究では、皮膚の「ATP」減少は、真皮層にある「コラーゲン」や「エラスチン」などの細胞外マトリックスタンパク質の産生にも影響を与えることが知られています。

 

「真皮線維芽細胞」は、これらのタンパク質合成に大量の「ATP」を消費するそうですが、「ミトコンドリア」機能低下による「ATP」エネルギー供給不足は、質的・量的両面での細胞外マトリックス産生の低下を招き(まねき)、最終的には、しわ形成や皮膚弾力性喪失といった老化現象が生じることが報告されているのですね(文献4)。

 

 

2.神経系

 

脳は最もエネルギー消費の大きな臓器であり、体重の約2%に過ぎないにもかかわらず、全身の「ATP」消費量の約20%を占める。Navarroらによると、加齢に伴う「ミトコンドリア」の機能低下と脳内「ATP」減少は、神経細胞のエネルギー危機を招き、シナプス機能障害、神経伝達物質放出の減少、軸索輸送の障害などを引き起こす(Navarro & Boveris, 2007)。これらの変化は認知機能低下や神経変性疾患の素因となることが報告されています(文献5)。


 

3.心筋

 

心筋細胞は高密度の「ミトコンドリア」を有し、継続的な収縮活動のために大量のATPを必要とする。

 

心臓のミトコンドリアにおける「ATP」の産生減少は、心筋収縮力の低下、心拍出量の減少、酸化ストレス増加による心筋細胞損傷などを招くことが報告されている(参考6)

 

 

加齢に伴う心機能低下や心不全発症リスク増加の背景には、このようなミトコンドリア機能低下が関与しているとも述べられている。

 

まだ、免疫細胞への影響、肝臓、腎臓などへの「ATP」の産生が減少したときの影響もあるが、これらは、後日にご紹介したいと思います。

 

ミトコンドリア」が産生する「ATP」の量が減少することで「老化」が進行するという「ミトコンドリア老化仮説」に反論する知見(ちけん)やデータのないわけですね。

 

・・・としますと、「抗老化医療(アンチエイジング医療)」は、「老化」が「ミトコンドリア老化仮説」によって進行するものかもしれないと考えて、有効性を示す治療法を選択(せんたく)しておいた方がいいんじゃないかな〜という考え方も出てくるわけですね。

 

現行の方法で「ミトコンドリア老化仮説」が本当であったとして、有効なものは存在するのでしょうか?

 

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

-------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>6月3日

今回は「ミトコンドリア」の産生するエネルギー ATPの低下が「老化細胞」の産生へとつながる可能性について、お話をさせていただきました。

「老化細胞」が産生される機序と言いますと・・・「テロメア」が「ヘイフリックの限界」になるまで「細胞分裂」が生じ、
それ以上は細胞分裂を起こすことによって作られるわけです。

 

「ヘイフリックの限界」とは、ヒトの細胞が分裂を停止する限界で、細胞分裂を繰り返すたびに染色体末端(せんしょくたいまったん)にあるテロメアが短くなると細胞が「老化」し、一部はプログラムされた細胞死(アポトーシス)を起こしますが、残りは「老化細胞」になるわけですね。

この「老化細胞」は、炎症性サイトカインやケモカイン、プロテアーゼ、成長因子などを放出することで、周囲の組織の損傷(そんしょう)を与えたり、「老化細胞」化したりするので、「ゾンビ細胞」とも呼ばれていまして、「老化細胞」が分泌する炎症物質は「細胞老化随伴(ずいはん)分泌表現型(Senescence-Associated Secretory Phenotype:SASP)」と呼ばれています。

 

このSASPが「老化」を進行させたり、癌を発症させる可能性があるというのですから、「老化細胞」を除去するための薬剤などの開発が進められているわけです。

こうした状況に今回、話題にしたような・・・「老化」の過程(かてい)は、極めて複雑かつ多因子的であることは知られているのですが・・・


「ミトコンドリア機能障害(きのうしょうがい)」が生じることが、「老化」のプロセスや「老化細胞」の形成に中心的な役割を果たしているのではないか・・・という仮説(かせつ)「ミトコンドリア老化仮説」などというものが出てきますと・・・少し「カオスな状態」に感じるのは、私だけでしょうか・・・。

もちろん、加齢に伴って、「ミトコンドリア」機能低下は、mtDNA(ミトコンドリアDNA)の変異の蓄積、酸化ストレス増加、
ミトコンドリア品質管理機構の障害など、複数の機序を通じてATP産生効率を減弱させることは知られています。


この過程は単なるエネルギー不足を超え、ROSの過剰産生による酸化的損傷や細胞シグナル伝達の変化を通じて、老化細胞の形成につながると考えられています。

さらに「ミトコンドリア」は、ATP合成を担う(になう)だけでなく、ホメオスターシス(生体内恒常性)、アポトーシス制御、活性酸素種(ROS)産生と解毒、代謝シグナル伝達など多様な細胞機能に関与していることが知られていまして、「ミトコンドリア」機能低下のみ

でも「老化細胞」が生じる可能性があるというのですね。


その理由は、「ミトコンドリア」の機能低下は、単なるエネルギー産生の減少にとどまらず、細胞恒常性の全般的な破綻(はたん)を招き(まねき)、これが「老化細胞」の形成に直結すると考えられていルのですね(参考7)。
 

つまり、「加齢」とは別に何らかの理由で「ミトコンドリア」の機能低下が生じた場合にも「老化細胞」の産生につながるわけですね。実際に「ミトコンドリア」の機能障害に関連して、ATP産生が減少していることが明らかになっています。(参考8)


「ミトコンドリアの機能」と代謝障害が多様な年齢関連疾患の病態に深く関与していることを示し、老化過程における「ミトコンドリア」の機能維持が、健康寿命延長の鍵となる可能性を指摘している論文もあるわけです。(参考9)

例えば、実際に皮膚における「ミトコンドリア」の機能障害により、ATP産生が減少している影響としては、次のようなことが知られています。


表皮角化細胞の増殖・分化能の低下、真皮線維芽細胞によるコラーゲン・エラスチン産生の減少、バリア機能の障害などが挙げられ、これらは乾燥、しわ形成、弾力性喪失などの臨床的老化所見と直接関連するとされています。


同様に、皮膚以外の他の臓器や免疫細胞においても、「ATP産生低下」は組織特異的な機能障害をもたらし、老化関連疾患の病態を形成することが知られています。

もうひとつ、この話題を「カオス化」させるお話をご紹介させていただきます。
それは、「iPS細胞」から放出される「エクソソーム」が・・・「老化細胞」を「正常細胞」に変える可能性があるのではないかというお話です。


JTKクリニックは、「iPS細胞」関連の研究で、米国でも高く評価されている「リプロセル」社と業務提携をしているわけですが・・・

 

同社の論文には「老化細胞」に「iPS細胞」から放出される「エクソソーム」を投与すると・・・「老化細胞」が消失するということを示すデータがあるのですね。

私は、この実験結果の図をみた時に「老化細胞」が何らかの理由で、アポトーシスを生じたのだ・・・解釈していました。


もちろん、「老化細胞」はアポトーシスを起こせない細胞ということになりますので、これが「アポトーシス」を起こしただけでも、かなりスゴイことなわけです。


最近、「リプロセル」社の社長様が、JTKクリニック内で、教育講演会を開催してくださったのですが・・・「

その時に「老化細胞」に「iPS細胞」から放出される「エクソソーム」を投与すると・・・一部の細胞が「正常細胞化」する可能性があるというお話を聞かせていただいたのですね。

よくよく調べてみますと「老化細胞」に対する「iPS細胞由来エクソソーム」の作用として、SASP(老化関連分泌表現型)の抑制、細胞周期の部分的な再開、ミトコンドリア機能の改善などの報告がありました。

細胞周期の再開というのは、「老化細胞」は分裂を停止していますので、細胞の増殖に関係する「細胞周期」はストップする
わけです。これが一部再開したというのは・・・もう「老化細胞」が分裂を再開したということを示している可能性があるわけですね、

このことから、私は一部の「老化細胞」は「正常細胞」の戻る可能性もあるのではないか・・・と考えました。

そして、調べていましたら、「ミトコンドリア老化仮説」という説があることに気がついたというわけです。

この説には、現時点で矛盾が見当たらないというお話を本文内で紹介しましたが、もし、「老化細胞」の形成に「ミトコンドリア」の作り出す「ATP」のエネルギーが重要であるとすれば・・・

 

「ミトコンドリア」の機能を改善することができれば、「老化細胞」の一部は、正常細胞に近いものとなり、少なくとも「SASP」を放出し、「老化」の進行を促進したり、「老化に伴う疾患」の発症を抑制できる可能性があるというわけです。

そんなことが可能なのか・・・と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。


実は、もう既に(すでに)手にしているかもしれません。

ある論文には、次のような記載があります。

NMN、NAD+、5-ALAによる介入は、それぞれ異なる作用機序を通じてミトコンドリア機能を改善し、老化関連障害を緩和(かんわ)する可能性を持つ。

 

NMNやNAD+はNAD+レベルを増加させることで「ミトコンドリア」mの呼吸鎖機能と代謝調節を改善する。


これらのアプローチは、エネルギー代謝の回復だけでなく、酸化ストレスの軽減、細胞老化の抑制、組織再生能の促進など、
多面的な抗老化効果をもたらす可能性がある・・・・とですね。

もちろん・・・・今後、さらに検証が必要である・・・・と書かれているわけですが・・・・ね。

 

この続きのお話は、またの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

 

参考)

1)Nature. 2011 Feb 17;470(7334):359-65. 

Telomere dysfunction induces metabolic and mitochondrial compromise 

テロメア機能不全は、代謝とミトコンドリアの機能低下を引き起こす

Ergun Sahinら

 

2)J Intern Med. 2021 Jul;290(1):231-234.

 Mitochondrial dysfunction as part of an inflammatory intermediate phenotype that drives premature ageing .

Stenvinkel Peterら

 

3)Cell Death Dis. 2020 Jun 9;11(6):444. 

Mitochondria in skin health, aging, and disease 

Annapoorna Sreedharら

 

4)Exp Dermatol. 2014 Sep;23(9):607-14.

Mitochondrial dysfunction: a neglected component of skin diseases

Rene G Feichtingerら

 

5)Am J Physiol Cell Physiol. 2007 Feb;292(2):C670-86. 

The mitochondrial energy transduction system and the aging process

Ana Navarroら

 

6)Signal Transduct Target Ther. 2024 May 15;9(1):124.

 Mitochondrial dysfunction: mechanisms and advances in therapy 

Yao Zongら


7)J Intern Med. 2008 Feb;263(2):167-78. 
Mitochondrial dysfunction as a cause of ageing
A Trifunovic ら

8) Am J Physiol Cell Physiol. 2007 Feb;292(2):C670-86. 
The mitochondrial energy transduction system and the aging process
Ana Navarroら

 

9)Nat Rev Endocrinol. 2022 Apr;18(4):243-258. 
Mitochondrial and metabolic dysfunction in ageing and age-related diseases
João A Amorim ら

 

(ホテル アマン東京ロビーの風景)

             (筆者撮影)

 =================================

 理事長・院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部)

 

           (筆者作成)

 
 

 https://open.spotify.com/episode/7739ktSNJEr35J3mdVJuVx?si=ZHw8KDOVQJGzZPEoYeXAiQ

(Sptifyのポドキャスト:文章作成後、Notebook KLMにて、AIによる音声を作成:テスト配信

 

   (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

 

 

image

 

             Instagram

 

     <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

=====================

<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

 

 

=================================

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

5月も最終週になっていますね。

 

昨夜から降り続いていた雨も今は止み(やみ)まして、鳥の鳴き声が聞こえています。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?   

 

 (AIで画像を作成)

 

前回のブログでは・・・「老化細胞」は「テロメア」が短くなるばかりではなく、DNAのメチル化が低下している・・・というお話をさせていただきましたね。

 

これは、多くの論文の中でも指摘されています。

 

「老化細胞」では、DNAの広範(こうはん)な「低メチル化」が観察され、特に遺伝子が少ない領域や遅く複製される領域で顕著です。これにより、ゲノムの安定性が損なわれやすくなります(参考1)

 

DNAの低メチル化により、ゲノムの安定性がなくなると、どのようなことが生じる可能性があるのでしょうか?

 

これは、以下のようなことが生じる可能性があります。

 

例えば、通常は抑制されている遺伝子が活性化されます。これには以下のような影響があります。

 

例えば・・・「老化関連分泌表現型(SASP)」の因子の産生が増加し、炎症性サイトカイン(IL-6、IL-8、TNF-αなど)、マトリックス分解酵素、成長因子などが過剰に分泌されます。

 

これにより周囲の組織に炎症を引き起こし、組織の機能低下を招きます。

 

また、「レトロトランスポゾン」などの反復配列が活性化され、ゲノムの不安定性が増大します。これらの配列は通常メチル化により抑制されていますが、低メチル化により転移活性を持つようになり、DNA損傷を引き起こす可能性があります。

 

老化細胞のDNAの低メチル化は細胞の基本的な機能にも影響を与えます。

 

例えば、ミトコンドリア機能が低下し、エネルギー産生効率が悪化します。これは細胞全体の代謝機能の低下につながります。

 

また、DNA修復機構の効率が低下し、DNA損傷の蓄積が加速されます。これにより細胞の老化がさらに促進される悪循環が生じます。

 

さらにがん化のリスクが増大します。がん抑制遺伝子のプロモーター領域は高メチル化される一方で、ゲノム全体の低メチル化により染色体不安定性が増し、がん化を促進する可能性があります。

 

慢性炎症性疾患、心血管疾患、神経変性疾患などの発症リスクも上昇します。これは主にSASP因子の過剰分泌による慢性炎症が原因となります。

 

このように、老化細胞における低メチル化は、細胞の機能不全から組織・臓器レベルの病態まで、幅広い影響を及ぼす重要な現象です。


 

     (AIで画像を作成)

 

では、なぜ、「老化細胞」は分裂を停止してしまうのでしょうか?

 

それは、次のような理由からということいなります。

 

1)DNA損傷応答の活性化

 

DNAの低メチル化により、「レトロトランスポゾン」などの反復配列が活性化されます。これらの要素が転移活性を持つようになると、DNA二重鎖切断などの損傷を引き起こします。

この損傷はATM/ATRキナーゼを活性化し、「p53-p21経路」を介して細胞周期をG1/S期で停止させます。

 

2)クロマチン構造の不安定化

 

「ペリセントロメリック領域」の低メチル化は、染色体の構造的不安定性を引き起こします。

「ペリセントロメリック領域」とは、下の図に示すように染色体のセントロメア(動原体)の近傍に存在する領域です。

 

 

これにより有糸分裂時のチェックポイントが活性化され、細胞周期の進行が阻害されます。特に、異常な染色体分離を防ぐため、細胞はG2/M期での停止を余儀なくされます。

 

3)細胞周期制御遺伝子の発現異常

低メチル化により、通常は抑制されているp16~INK4aなどのサイクリン依存性キナーゼ阻害因子の発現が上昇することがあります。これらの因子はRb経路を介して細胞周期の進行を直接的に阻害します。

 

上記のようなメカニズムから、細胞分裂のための「細胞周期」の回転がストップしていくために「老化細胞」の分裂は停止してしまうというわけですね。

 

では、このような「老化細胞」の発生に関与している遺伝子とは、どのようなものである可能性が考えられているのでしょうか?

 

老化細胞(細胞老化)では、DNAの低メチル化(hypomethylation)が特徴的に見られ、いくつかの遺伝子やゲノム領域が関与しています。


(1) ZMAT3遺伝子
・脂肪前駆細胞(APC)で低メチル化され、発現が上昇し、p53/p21経路を活性化して早期老化を促進します。
・ZMAT3の低メチル化は老化表現型や脂肪形成障害と関連します(参考2)

(2)CPEB1遺伝子
・グリオーマ細胞で低メチル化・過剰発現し、p53の発現や分布を調節して老化に関与します(参考3)。


(3)COX1(ミトコンドリア遺伝子)
・ヒト胎児心臓間葉系幹細胞で、ミトコンドリアDNAの特定CpGアイランドが低メチル化され、COX1発現が上昇し老化が誘導されます。


・DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT1, DNMT3a, DNMT3B)のノックダウンでもCOX1発現と老化が促進されます。

(4)トランスポゾン(LINE-1, Aluなど)


・老化した内皮細胞や線維芽細胞でLINE-1やAlu配列の低メチル化と発現上昇が見られます。
・これらのトランスポゾンの活性化は老化細胞の特徴の一つです

(参考4)。

 

(5)DNMT1(DNAメチルトランスフェラーゼ1)遺伝子


・老化に伴いDNMT1のミスローカリゼーションが起こり、広範な低メチル化が生じます(参考5)。

 

遺伝子のミスローカリゼーション(mislocalization)とは、タンパク質が本来存在すべき細胞内の場所とは異なる場所に配置されてしまう現象のことです。

 

まとめてみますと・・・以下のようになります。

 

ZMAT3    発現上昇→p53/p21経路活性化→老化促進    
CPEB1    発現上昇→p53調節→老化    
COX1(ミトコンドリア)    発現上昇→老化誘導    
LINE-1, Alu    発現上昇→老化細胞の特徴    
DNMT1    ミスローカリゼーション→全体的低メチル化    
 

まとめますと・・・老化細胞では、ZMAT3、CPEB1、COX1、トランスポゾン(LINE-1やAlu)などの遺伝子や領域で低メチル化が起こり、これが老化細胞の表現型や細胞機能の変化に深く関与しているわけですね。

 

ワケが分からん・・・という印象を誰でも持つと思います。私もそのひとりです。

しかし、ずいぶんと「老化細胞」が産生されるメカニズムが研究されてきているんだな〜と思った次第です。

 

それと同時に「老化細胞」のかなり多くのものが、テロメアが短くなり、それ以上は分裂できないとされる「ヘイフリック限界」を迎えたものではなく、何らかの遺伝子異常が生じて、やむを得す「老化細胞」になっている細胞も案外(あんがい)多いのかもしれない・・・

なんて、思ったりもしますね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

--------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>5月27日

今回は「老化細胞」のDNAが「低メチル化」状態になっているというお話をさせていただきました。


この原因としては、本文内でご紹介した複数の遺伝子が関与している可能性があるかもしれないわけですが、詳細は、はっきりとしていない状態です。

実は、前回のブログ内でもお話をしたのですが・・・私自身は「全身性エリテマトーデス(SLE)」の、主にT細胞のDNAが「低メチル化」状態になることについて、基礎研究を行なっていたことがあります。

もちろん、最初から「DNAの低メチル化」に気がついたわけでなく、この疾患の病態(びょうたい)の形成に

「ヒト内在性レトロウイルス(human endogenous retrovirus:HERV)」が要因となっているのではないか・・・という仮説を持っていらっしゃった直属の上司であるH先生というがいらっしゃいまして、そのお手伝いで、研究をするようになったわけですね。


正直にお話をしますと・•・最初は、あまり乗り気ではありませんでしたし、通常の病棟業務(びょうとうぎょうむ)が終割ってから。実験室に入るのは、本当に苦痛(くつう)なことであったのを覚えています・・・

とまあ、思い出話をしていてもキリがありませんね。

話を進めたいと思います。

疾患活動性の高い「全身性エリテマトーデス(SLE)」のリンパ球において、ある種の「ヒト内在性レトロウイルス(human endogenous retrovirus:HERV)」のmRNAレベルが増加していることが、リアルタイムPCRを用いた結果がわかりました、


その後、この原因が、リンパ球の「DNAメチル化」の低下があるという可能性を示すデータにたどり着いたのですが・・・

その時には、実験を始めてから約7~8年が経過していました。

 

しかしながら、その間に「ヒト内在性レトロウイルス」遺伝子の一部しか発現していないことが分かり、そんなはずはないと何回も実験を繰り返したりもしました。

 

今の科学的常識から言えば、は「レトロトランスポゾン」と呼ばれる「ヒト内在性レトロウイルス」のある部分の領域なのだな・・・と理解できるのですが・・・ね。

DNAのメチル化に関与する遺伝子は、多くあるわけですが・・・私が選んだのは「DNMT1(「DNAメチルトランスフェラーゼ ワン)」遺伝子でした。

 

「全身性エリテマトーデス(SLE)」の疾患活動性が高くなった時には、「DNMT1」遺伝子のmRNAの発現が低下し、「レトロトランスポゾン」のmRNAの増加を示すデータが確認できたときはとても嬉しかったのを覚えています。

現在の科学的な常識(じょうしき)では、「DNAのメチル化には、新たにメチル基を導入する「新規メチル化」と、DNA複製に伴ってそれを維持する「維持メチル化」の2種類があることが分かっています。

哺乳類(ほにゅうるい)では、3つのメチル基転移酵素が知られ、「DNMT3a」および「DNMT3b」は新規メチル化に、「DNMT1」は、維持メチル化に機能することが分かっているので・・・

 

約20年前に「DNMT1遺伝子」を選んだことは、今、当時を振り返っても、それほど、矛盾(むじゅん)はなかったんじゃないかな〜と思えたりもします。

その後、この「DNMT1」遺伝子のmRNAを調節する因子を見つけ出そうとして、実験を重ねましたが・•・最後はドツボにハマっていったのですね。
具体的には、DNMT1遺伝子から、DNMT1mRNAの発現を調節する「プロモーター」という部分を解析して、そこに付着する「転写因子(てんしゃいんし)」のタンパク質を探し出すという内容でした。

 

遺伝子の勉強から、「タンパク質」の勉強をしつつの実験でしたので・・・それから、約2年後・・・ドツボにはまり、私は静かに

研究生活を終えたわけですね。

その後、「全身性エリテマトーデス(SLE)」の疾患活動性に「DNMT1遺伝子」の発現があることを確信しつつも・・・いつか、誰かが発見して、「全身性エリテマトーデス(SLE)」の根本的な原因を発見するかもなあ〜と思いながら、20年程度の時間が経った(たった)わけですね。

たまたま、「老化細胞」の論文を読んでいて、驚いたのは次のようなことが記載されていたからです。
---------------------------------------------------------------------
DNMT1 mRNAの発現低下がDNA低メチル化と関連する可能性を示唆していますが、SLEに特化した直接的な証拠は示していません・・・

 

としている論文が多いものの、


「SLE(全身性エリテマトーデス)」と「老化細胞」は、どちらもエピジェネティクスの変化、特にDNAのメチル化やアセチル化が関与することが知られています。

SLEでは主にDNAメチル化の異常が報告されており、老化細胞でも同様にエピジェネティックな制御異常が観察されます。

SLEにおける低メチル化と関連遺伝子

SLEはインターフェロン(IFN)経路の活性化が特徴であり、IFN調節遺伝子の発現増加が認められます。これには遺伝的素因が関与し、IFN産生を促進する遺伝子セットが存在します1910。
IFN-αやIFN-γのシグネチャーがSLE患者で顕著であり、これらの経路に関与する遺伝子(例:IFN調節因子群、JAK/STAT経路関連遺伝子)が注目されています。

老化細胞の低メチル化に関与する遺伝子

老化細胞では、エピジェネティック制御の破綻により、広範なDNA低メチル化が生じます。
代表的には、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)ファミリー(例:DNMT1, DNMT3A, DNMT3B)の発現低下や機能障害が老化細胞の低メチル化に関与します。
 

共通する可能性のある遺伝子・経路

共通の可能性がある遺伝子・経路    (SLEとの関連    老化細胞との関連)
DNMTファミリー    IFN経路活性化により発現低下が報告されている
---------------------------------------------------------------------

一方、SLEでは


I型インターフェロン経路関連遺伝子
MX1, IFI44L, IFI44, IFIT1, RSAD2, PLSCR1, IRF7, PARP9, NLRC5 などが低メチル化し、発現が亢進しています134。

炎症性サイトカイン関連遺伝子
IL10, IL1R2 のプロモーター領域が低メチル化し、疾患活動性と関連します6。

T細胞活性化・自己免疫関連遺伝子

CD11a(ITGAL)、Perforin(PRF1)、CD70(TNFSF7)、CD40L(TNFSF5)、PP2Acα などがT細胞で低メチル化し、自己免疫反応を促進します
---------------------------------------------------------------------

 

今回は、詳細な関連する論文は示しませんが、上記のことが論文として報告されているわけです。
 

その中で、「老化細胞」では、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)ファミリー(例:DNMT1, DNMT3A, DNMT3B)の発現低下や機能障害が老化細胞の低メチル化に関与するとされています。


「DNMT1遺伝子」は・・・若き日の私が「SLE(全身性エリテマトーデス)」の病態と関係があるのではないか・・・と時間を費やした(ついやした)遺伝子ですね。

もちろん、若い日の私は、エネルギーに満ち溢れて(みちあふれて)いましたので、DNAメチル化の制御(せいぎょ)のメカニズムが明らかになりましたら、

すぐに「SLE(全身性エリテマトーデス)」のヒストンのアセチル化・脱アセチル化のメカニ
ズムの研究をするつもりでした。

しかし、その時は、ヒストンのアセチル化・脱アセチル化のメカニズムは、どこから手をつけていいかが分からなかったのですね。

 

だから、「低メチル化」のメカニズムについて、深追い(ふかおい)

しすぎて、失敗したと言えますね、

今なら迷わず(まよわず)、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」をとっかかりにして、ヒストンのアセチル化・脱アセチル化のメカニズムの研究に入っていくわけですが・・・ね。

このように考えてきますと・・・ステロイドや免疫抑制剤を使うことによって、「低メチル化DNA」のために免疫応答の異常をきたした「SLE(全身性エリテマトーデス)」のT細胞の機能は、正常状態に戻るわけですので・・・

 

なんらかの方法により、「低メチル化DNA」のために「老化細胞」になったものも、ある程度の割合で、正常細胞化する可能性があるのでは・・・なんて考えてしまいますね。

まあ・・・多少(たしょう)の根拠(こんきょ)のある仮説とは・・・なりますが・・・ね。

 

 

この多少の根拠については・・・少しまとめる時間をいただきまして、またの機会にお話をしたいと思います。


今回も最後までお付き合いいただきまして
誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1.Nat Cell Biol. 2013 Dec;15(12):1495-506.

Senescent cells harbour features of the cancer epigenome 

Hazei A Cruickshanksら

2)Aging Cell. 2022 Mar;21(3):e13557.  Rosa spinelliら

ZMAT3 hypomethylation contributes to early senescence of preadipocytes from healthy first-degree relatives of type 2 diabetics

Rosa spinelliら

 

3)Cell Death Dis. 2013 Jun 20;4(6)

CPEB1, a histone-modified hypomethylated gene, is regulated by miR-101 and involved in cell senescence in glioma

L Xiaopingら

 

4)Cells. 2022 Nov 27;11(23):3799. Deborah Ramini

Replicative Senescence-Associated LINE1 Methylation and LINE1-Alu Expression Levels in Human Endothelial Cells

Deborah Raminiら

 

5)Nat Cell Biol. 2013 Dec;15(12):1495-506.

Senescent cells harbour features of the cancer epigenome

Hazel A Cruickshanks

 

 

                      (東京駅丸の内駅舎)

             (筆者撮影)

 =================================

 

 理事長・院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部)

 

 

             (筆者作成)

 

 

 

 

image

 

              Instagram

 

  上差し<内科医ひとちゃんが選んだピアノJazzの曲>

 

       <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

=====================

<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

 

 

=================================

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

昨日の雨模様が嘘(うそ)のように

今朝からは、青空が広がっています。

 

今朝は早く目が覚めまして、コーヒーを飲みながら

鳥の囀り(さえずり)を聴いていました。

 

「囀り(さえずり)」というと、冬以外は聞こえてくる印象(いんしょう)を持っていましたが、俳句では「春の季語(きご)」であるそうです。

不思議に思い調べてみますと、「囀り(さえずり)」は、鳥たち繁殖期である春を迎え、求愛(きゅうあい)のために恋の唄(うた)なのだとか。

 

他の季節の鳥の鳴き声(なきごえ)は、「地鳴き(じなき)」という言葉があるようです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?   

 

 

          (    (AIで画像を作成)

 

最近は、「老化細胞」をなくすことができる「サプリ」や「化粧品」の成分が話題になっているので・・・これは、「老化細胞」をなくせる日も近いかも・・・なんて、思っていました。

 

そのような時に「老化細胞」になるまでの時間を延ばす(のばす)ことは、できないのか?・・・という質問を友人からされました。

 

「なるほど・・・そのような考え方は悪くないね」と返したわけです。

友人曰く(いわく)、紫外線や活性酸素などで細胞が障害されて、「老化細胞」が増加するのは理解できるし、細胞の分裂が限界まで生じて

「老化細胞」になるのも理解できるが・・・本当に「老化細胞」をなくすことで、元気に長生きができるのか?・・・というのが、友人の

意見であったわけですね。

 

そこで・・・以前に少しだけ、まとめていた「メモ」を引っ張り出してきて、「老化細胞」の内部では、どのようなことが起きているのかを調べてみたわけですね。

 

というわけで・・・は、「老化細胞」の内側で起こっていることについて、お話をしてみたいと思います。

 

実は、「正常細胞」が「老化細胞」に変化する過程では、「遺伝子プロファイル」と「エピジェネティクス」に様々な変化が生じることが分かっています。

 

「遺伝子プロファイル」とは、遺伝子のmRNAの発現パターンですし、「エピジェネティクス」とは、DNAの配列は変化しないものの、

DNAの「メチル化」や「アセチル化」といった修飾(しゅうしょく)のことでしたね、

 

「正常細胞」が「老化細胞」に変化する際には、これらの変化が生じる・・・というわけです。

 

まずは「遺伝子のプロファイル」がどう変化するのかをご説明したいと思います。「老化細胞」では以下のような遺伝子発現の変化が認められます。

1. 細胞周期関連遺伝子

 

 p16INK4a/CDKN2A、p21/CDKN1A、p53などの細胞周期抑制因子の発現が上昇し、細胞増殖が停止します。

2. SASP (Senescence-Associated Secretory Phenotype)関連遺伝子

 

炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、IL-8など)、ケモカイン、細胞外マトリックス分解酵素(MMP)、成長因子などの分泌タンパク質の発現が増加します。これらは周囲の組織に炎症や変性を引き起こす可能性があります。

3. 抗アポトーシス遺伝子

 

BCL-2やBCL-XLなどの抗アポトーシス遺伝子の発現が増加し、老化細胞は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)に抵抗性を示します。

4. DNA修復関連遺伝子

 

多くのDNA修復関連遺伝子の発現が低下し、DNA損傷の蓄積を促進します。

 

そして、次に「エピジェネティクス」な変化を見てみますと、次のようになります。

 

 

                                       (AIで画像を作成)

老化に伴う「エピジェネティクス」の主な変化は以下のとおりとなります。

1. DNA メチル化パターンの変化


 DNA全体的な傾向としては、メチル化の減少傾向が認められる一方で、特定の遺伝子の「プロモーター領域」ではメチル化の増加が起こります。

「プロモーター領域」とは、mRNAとして発現する領域の手前(てまえ)に位置しているDNA上の構造でして、ここがメチル化されてしまうと「転写因子(てんしゃいんし)というタンパク質が付着(ふちゃく)できませんので、その後に位置しているDNAからは、mRNAが作られない、つまり、mRNAの「転写(てんしゃ)」が起こらない・・・という現象(げんしょう)が起きてくることになります。

 

加齢に伴うメチル化パターンの変化は「エピジェネティッククロック(エピジェネティック時計)」として老化の指標とされています。

2. ヒストン修飾パターンの変化

 

老化細胞における「ヒストンアセチル化」は、細胞の老化に関連する複雑な現象であり、細胞の老化プロセスを理解し、老化に関連する疾患を克服するための潜在的な標的として注目されています。

 

「ヒストンアセチル化」は、ヒストンタンパク質にアセチル基が結合するプロセスで、DNAを包み込むクロマチン構造の調整に影響を与え、遺伝子の発現を変化させます。

 

全体的な傾向では、ヒストンアセチル化レベルの全体的な低下と考えられています、

ヒストンのアセチル化とは、ヒストンタンパク質にアセチル基が付加されることを指す(さす)わけですが、この状態では・・・DNAと「ヒストン」の結合が弱まり、mRNAの発現画しやすくなるわけです。

 

image

        (図はお借りしました)

 

「老化細胞」では、ヒストンアセチル化が低下(脱アセチル化)したり、特定の部位で過剰にアセチル化されたりする場合があります. 

 

これらの変化は、老化細胞の特徴的な遺伝子発現パターンを形成し、細胞機能の低下や周囲への有害な影響を招くと考えられているのですね。

 

つまり、「老化細胞」においては、「正常な細胞」では維持されている

DNAやヒストンの修飾のメカニズム(エピジェネティック機構)が

独特な形で変化しているということになります。

 

単に「テロメア」を伸ばせば・・・「老化細胞」はなくなるのでは・・・というレベルは、はるかに超えている(こえている)わけですね。

 

最近は、若い方々にどんなことがやりたいの?・・・と聞きますと・・・癌などの研究は難しそうなので、「アンチエイジング(抗老化医療)」の研究をしたいと話す方が多いわけです。

 

「アンチエイジング(抗老化医療)」の研究は、「イバラの道」だよ

p21/CDKN1Aとアドバイスをすると、皆が不思議な顔をするのですが・・・上にお話をした「遺伝子転写」のメカニズムや

DNA,ヒストンの修飾のメカニズム、「DNAの守護神(しゅごしん)」といわれる「p53遺伝子」や「p21タンパクーCDKN1A」システムによる「細胞周期」の制御など・・・とあらゆる「分子生物学」の知識

を身につけたうえでの・・・研究となるわけですね。

 

だから・・・無理だよというわけではなく、きちんと知識を身につけてから、海外に研究に行った方が良いかも・・・というアドバイスをしたいと思います。

 

話を「老化細胞」に戻しますと・・・

 

上に述べた「老化細胞」のさまざまな変化を起こす要因は、どのようなことがあるのか?・・・ということになるわけですね。

 

果たして、「NAD+」や「NMN」につながるような話があるのでしょうか?・・・というお話になるのですが、続きは後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

---------------------------------------------------------------------

<ブログ後記>5月20日

 

今日は、朝から晴れのお天気で、強い日差しが照りつける(てりつける)1日となりましたね。熱中症には注意が必要ですね。

 

「老化細胞」におけるDNAの修飾(しゅうしょく)・・・「エピジェネティクス(epigenetics)」は、DNAの配列を変えずにDNAなどの修飾(しゅうしょく)を変化させ、異なる(ことなる)タイプのmRNAを転写して、異なるタンパク質を産生するというメカニズムです。

 

もちろん、異なるタンパク質からは、違った臓器(ぞうき)が作られていくわけですね。

 

「エピジェネティクス」の「エピ」はギリシャ語で「上」、「ジェネティクス」は英語で「遺伝学」を意味します。

 

「エピジェネティク」なDNAの変化には、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化などがありますが、その中でもメチル化、アセチル化は、とくに注目されるものとなっているわけですね。

 

本文内でもお話をしましたが・・・「老化細胞」のDNA全体的な傾向としては、メチル化の減少傾向が認められる一方で、特定の遺伝子の「プロモーター領域」ではメチル化の増加が起こるわけですね。

メチル化の減少傾向が認められる部分のmRNAの発現しやすくなるわけです。

 

そして、「老化細胞」の全体的な傾向では、「ヒストン」のアセチル化レベルの全体的な低下と考えられ、DNAと「ヒストン」の結合が弱まり、mRNAの発現しやすくなるわけです。

 

実際に「老化細胞」では、低メチル化状態の領域に存在する遺伝子が転写されている可能性が十分に考えられます。これは、老化細胞の特徴的な機能変化や炎症反応の一因となっていると考えられます。

 

そして、このことは、老化細胞特有の表現型や炎症性サイトカインの分泌(SASP)などの現象にも関与している可能性があるとも考えられているわけです(参考1)

 

さらに「老化細胞」の低メチル化状態は、「正常細胞」とは、違った遺伝子発現を作りだし、老化の開始、そして「老化」を維持しているとも報告されています(参考2)

 

そして、「老化細胞」では、低メチル化状態の領域で遺伝子や反復配列の転写が実際に増加しており、これは老化表現型や機能変化の一因となっているとも報告されています(参考3)

 

ここで、実際に増加している「塩基配列の転写」とは・・・「ヒト内在性レトロウイルス((human endogenous retrovirus, hERV)の一部

から構成される「レトロトランスポゾン(Retrotransposons)」ね。

「レトロトランスポゾン」自分自身をRNAに複写した後、逆転写酵素によってDNAに複写し返されることで、DNA上を移動できることは、

以前のブログ内でもお話をしたと思います。

 

さて、ここまでのお話が出てきますと・・・私は軽く、興奮しれいます。

私にとっては・・・「デジャブ」な感じがするわけですね。

 

「デジャブ」は、フランス語の「déjà vu」(既視感)でして、

意味は・・・初めて経験するはずの場面や状況なのに、以前に同じ経験をしたことがあるように感じる現象を指しますね。

 

私は、膠原病リウマチ診療を専門とする臨床医であったわけですが・・・あることがきっかけで、自己免疫疾患の「エピジェネティクス」の研究をしていたわけです。

 

臨床医をしながらの基礎研究でしたから、決して本格的なものではありませんし、39歳、ちょうど、21年前ですが、研究をやめてしまった

わけです。

今でも、ときどきですが・・・真実は、どのようなものなのだったのかな〜なんて、思い出したりもしてました。

 

最近は「老化細胞」の話に夢中になり、昔のことは忘れていたのですが・・・昔、私が研究していた「ある自己免疫疾患」と「老化細胞」の「エピジェネティク」なDNAの変化を比較してみますと、そっくり

だったので、とても驚きました。

 

その「自己免疫疾患」については、現在では治療も確立しているわけです。

 

それならば・・・「老化」はやはり、疾患のひとつであり、

老化のプロセスを逆転することはできなくとも、「老化」のスピード

を遅くできるのではないか・・・と思ったりもします。

もちろん、治療法は同じではないのですが・・・ね。

 

ちょっと、気がつくのが遅かったな〜とは思いますが・・・爆  笑

 

この話題は、後日の話題にしたいと思います。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

 

参考)

1) Nat Cell Biol. 2013 Dec;15(12):1495-506. 

Senescent cells harbour features of the cancer epigenome 

Hazel A Cruickshanksら

 

2)PLos One. 2017 Feb 3;12(2):e0171431. 

Potential roles of DNA methylation in the initiation and establishment of replicative senescence revealed by array-based methylome and transcriptome analyses 

Mizuho Sakakiら

 

3)Cells. 2022 Nov 27;11(23):3799. 

Replicative Senescence-Associated LINE1 Methylation and LINE1-Alu Expression Levels in Human Endothelial Cells 

Deborah Raminiら

 

    (横浜コスモワールドの大観覧車コスモクロック)

             (筆者撮影)

 =================================

 

 理事長・院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

              

                                        (筆者作成)

 

 

image

 

              Instagram

 

  上差し<内科医ひとちゃんが選んだピアノJazzの曲>

 

       <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

     

 

=====================

<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

 

 

=================================

こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

5月の大型連休が終わり、通常の日常の時間が戻ってきていますね。

暦を見ますと、その七十二候は「蚯蚓出(みみずいづる)」となっていますね。

 

その意味は・・・冬眠していたミミズが地上に現れ始める頃・・・

という意味ですね。

 

ミミズは。落ち葉などの有機物を食べて、土の中に窒素やリンを含む栄養豊富のフンをしますが、これは、畑に肥料を撒くのと同じ意味を持つのだそうです。

 

たしかに「ミミズ」の英名は、「earth worm = 地球の虫」となっていますね。
 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?   

 

 

 前回の話題に関連して、癌治療の補助療法として「免疫細胞」を使うという考え方・・・という話題にしてみたいと思います。

 

癌の免疫治療と言いますと・・・「ナンセンス」だと思われる方が多いのではないかと思います。

しかしながら・・・癌治療の補助療法としてなら・・・そのような手もあるのかなあ〜と思っていただけるのではなでしょうか。

 

そこで、今回はJTKクリニックが、「GCリンフォテック」さんに協力していただいて行なっている「細胞障害性T細胞(CTL)+NK細胞」の同時がなぜ、良い結果を出す可能性があるのか?・・・について、お話をしてみたいと思います。

 

まず、癌細胞はどのような形で「免疫細胞」の攻撃をされるのか?・・・というお話をしてみたいと思います。

 

当初、「癌細胞」は、「MHC class I(ワン)」分子というものとともに「癌の一部(癌抗原)」を出してます。

 

「MHC class I」分子について、少し解説をしますと・・・たちの細胞の表面には、MHCという糖タンパク質がたくさん(細胞1つあたり10万の単位で)発現しています。これは、この細胞は自分のものである印のようなものですね。

 

ヒトにおけるMHCのことをHLA(Human Leukocyte Antigen; ヒト白血球抗原)といいますね。臓器移植はHLAが同じでないとできない・・・などというお話を聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

実は、「MHC分子」には、2種類あります。

 

「MHC class I(ワン)」分子と「MHC class II(ツー)」分子がありまして、癌のように細胞内の異常な遺伝子の発現から始まる異物は、「内在性抗原(ないざいせいこうげん)」と呼ばれていまして、これらは、「MHC class I(ワン)」分子とともに細胞表面に表面に表出(ひょうしゅつ)されます。

 

下の図の左側のような状態になりまして、この状態であれば・・・

「細胞障害性T細胞(CTL, CD8±T cell」で、このような細胞を破壊できるわけです。

 

しかしながら、癌細胞は「細胞障害性T細胞(CTL)」の破壊から逃れ(のがれ)ようとして、上の右の図のように「MHC class I(ワン)」分子を表出せずに隠して(かくして)しまうことが知られています。

 

この状態になりますと・・・「細胞障害性T細胞(CTL)」をどんなに頻回(ひんかい)に投与しても、癌細胞は破壊できないことになります。

なぜなら、「細胞障害性T細胞(CTL)」が攻撃するあめには、「MHC class I(ワン)」分子に異常な抗原とともに細胞表面に出ていることが必要不可欠(ひつようふかけつ)だから・・・ということになるからですね。

 

(AIで画像を作成)

 

このように「癌細胞」は、免疫監視機構(めんえきかんしきこう)

から逃れる(のがれる)ために「MHCクラスI分子」の発現を低下させる場合があります。

これは「免疫逃避機構(めんえきとうひきこう)」と呼ばれ、「細胞障害性T細胞(CTL)」による「癌細胞」の認識と排除を妨げる(さまたげる)戦略の一つとされています。

 

この状態であっても、「ナチュラルキラー(NK)細胞」は「癌細胞」を破壊することは可能なのですね。

 

なぜなら「NK細胞」は、「MHC class I分子」の有無(うむ)に関わらず、正常な細胞ではないものを破壊できるからですね。

つまり、「癌細胞」の表面に「MHC class I分子」があろうと、なかろうとこれを破壊することが可能であるわけです。

 

また、不思議なことですが・・・「NK細胞」が分泌する「IFN-γ(インターフェロン ガンマ)などのサイトカインにより、癌細胞の

「MHCクラスI 分子」の発現が増加し、「細胞障害性T細胞(CTL)」による「癌細胞」の認識・攻撃が促進されると考えられています(参考1)

 

ならば・・・「NK細胞」のみを積極的に投与した方が良いのではないか・・・と考える方がいらっしゃっても不思議ではありませんよね。

 

実は、私も最初は、そのように考えていました。

しかしながら、実際は次のようなことが判明していました。

 

「NK細胞単独投与」では、がん細胞が多様な耐性メカニズムを発動しやすく、治療効果が制限されることが多いです。

 

この耐性克服のためには、他の免疫療法や分子標的治療との併用、NK細胞の機能強化が重要であると考えられているのですね。

 

つまり、現時点においては、癌に対する免疫細胞治療を行う際には、

 

「細胞障害性T細胞(CTL)」や「NK細胞」による単独攻撃では、

癌細胞が一方の攻撃に耐性を持っても、もう一方の細胞が排除できる可能性が高まるだけでなく、


癌細胞が獲得しやすい「免疫回避」や「耐性」を「細胞障害性T細胞(CTL)」や「NK細胞」の両者を組み合わせることで生存する癌細胞の耐性獲得を抑制し、治療効果を維持しやすくなるとされるのですね(参考2)

 

癌に対して、免疫治療を行う際に「細胞障害性T細胞(CTL)」や「NK細胞」の両者を同時投与する方法は、まさに当院オリジナルの

「JTK方式」である・・・とぶち上げたかったわけですが・・・

調べてみますと、世界の中では、あたりまえな「スタンダードな免疫細胞」の方法だったのですね笑い泣き

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは。またバイバイ

--------------------------------------------------------------------

<.ブログ後記  >5月13日

 

今回は、癌に対する「細胞免疫治療」を話題にさせていただきました。もちろん、こうした治療が誰にでも施行される時代が来るかは予想できません。
現状では、各国の研究者がそれを実現しようとして努力を続けている段階と言えますね。

現時点では・・・「癌」に対しては、手術療法・化学療法・放射線治療などを施行する「癌の3大治療」というものがあるわけですし、保険診療で行える治療であり、治療後の予後も以前に比べれば、格段(かくだん)に改善もしているわけです。

しかしながら、私の周囲を見てみますと・・・この2年間で私の友人や知り合いなど、数人が癌で命を落としています。

たまたま、運が悪かったとが、病状が進行していたということもあるかもしれませんが・・・。

そこで、頭に浮かんでくるのは、以前にブログ内で話題とさせていただいたことがある、英国のがん研究団体「キャンサー・リサーチUK」などが行った「トレイサーX」試験の結果です。

このなかでは、癌の早期発見が非常に重要だということが強調されています。

その内容を振り返ってみますと・・・「癌は常に変化・進化している。そして、癌は時にはとても攻撃的(こうげきてき)になり、免疫システムを侵略し、身体中に転移するのに適した形になる」ことを示し、癌の治療が非常に難しいと述べています。

さらに・・・「癌の進化は無限であり、「万能のがん治療薬」をすぐに開発できる可能性は低い・・・こうしたことから『癌を早期発見』することが極めて(きわめて)重要である」と結論づけているのですね
(文献3)。


もちろん、言うまでもないことですが・・・「早期発見」は、標準治療においても重要なことに変わりはありません。
 

では、「癌に対する免疫細胞治療」は、この常識を覆せる(くつがえせる)のか?・・・と疑問を持つ方も多いと思います。
 

個人的な意見ですが・・・まだ、「トレイサーX」試験で導かれた(みちびかれた)結論ほどの諦め(あきらめ)を感じる状況(じょうきょう)ではない・・・ということになるかもしれません。

その理由は、実際に「免疫細胞」を用いての治療をしている方で、お元気で過ごされている方が、何人かは、いらっしゃるから・・・ということになります。

最初はStageIVの末期の状態からの治療スタート
でしたので・・・現実的なお話には思えないかもしれませんね。

しかしながら、「免疫細胞」を用いての治療をしたら、「癌」が治った(なおった)などという簡単(かんたんな)お話ではありません。

 

それは、長い経過のうちには、度々(たびたび)「再発」を繰り返すからです。「再発」といっても細胞レベルの再発ですので、せいぜい
「腫瘍マーカー」がわずかに異常値を示す程度となります。

このような段階の癌細胞を捉えることのできる検査で代表的なものは、現時点では宮城県 仙台市にある「日本遺伝子研究所(宮城県仙台市:代表 中川原寛一先生」の「血中腫瘍細胞検査(CTC検査)」で経過を見ていく方法となります。

(最近、GCリンフォテック社の「DNAの安定性」などを見る検査なども出てますが・・・)

 

これらの検査は、癌細胞の発生した段階で、治療を開始しようという発想ですね。つまり、癌の腫瘤(しゅりゅう)が作られるまで、待つのではなく、血液中に「癌細胞」の存在を確認した時点で「免疫細胞治療」を行うわけです。

そして、血液中に癌細胞がなくなれば。治療を中止するわけですね。

では、手術ができないほど、癌が進行している時に・・・

なぜ「抗がん剤」と併用した方がよいのでしょうか?
 

これは、多くの方が疑問を持つところですね。「抗がん剤」の中には「分子標的薬」という癌の増殖を抑制する薬剤も含まれるわけですが、それらの薬剤は・・・大量の「癌細胞」を破壊したり、「癌細胞」の増殖を抑制(よくせい)できるからという理由になります。

 

癌との戦い(たたかい)は、時間との勝負ですから、大量に癌細胞を破壊できたり、増殖を抑制した方が、状況は有利となりますね。
 

ただし、「抗がん剤」の弱点(じゃくてん)は、副作用があることと「癌幹細胞(がんかんさいぼう)」を壊すことが難しいことになります。

 

一方で「免疫細胞」による治療では、前回のブログ内でも話題としましたが、癌組織の中や癌の周囲に存在する「癌関連線維芽細胞」が、癌細胞と免疫細胞の接触を妨害(ぼうがい)したり、

免疫抑制の性質を持つM2型マクロファージが免疫細胞が癌細胞を認識できないようにしてしまうことがある・・・という話題もご紹介しましたね。

つまり、「抗がん剤」に「免疫細胞」を併用するという考え方は、ほとんど、正常な細胞と見分けがつかないと言われる「癌幹細胞」を破壊(はかい)することができるという一点だけに注目しても、無意味ということはないと私は、思ったりします。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Clin.Immunol. 2017 Apr:177:76-86.  

Adoptive transfer of natural killer cells promotes the anti-tumor efficacy of T cells

Stephen R Godingら

 

2.)J Physiol . 2022 Dec;600(23):5027-5054. 

Interdependence of sequential cytotoxic T lymphocyte and natural killer cell cytotoxicity against melanoma cells

Kim S Friedmann

 

3)Nature. 2023 Apr;616(7957):534-542. 
The evolution of non-small cell lung cancer metastases in TRACERx
Maise Al Bakirら

 

        (虎ノ門ヒルズ内のOpenカフェ)

            (筆者撮影)

 =================================

 

 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング>

 

             (筆者作成)

 

image

              Instagram

 


 

    上差し<内科医ひとちゃんが選んだピアノJazzの曲>

 

       <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

=====================

<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

 

 

==================================