こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

日中間の問題で、いきなり東京の街の賑わい(にぎわい)が消えてしまい、街はイルミネーションで彩られて(いろどられて)いるわけですが・・・少し、寂しい12月となりそうです。

 

イギリスの哲学者・作家である「ジェームズ・アレン」が

彼の著書『原因と結果の法則(AS A MAN THINKETH)』の中で、次のような言葉を述べています。

 

"The more tranquil a man becomes, the greater is his success, his influence, his power for good. Calmness of mind is one of the beautiful jewels of wisdom.

人は心が穏やか(おだやか)になればなるほど、その成功、影響力、そして善をなす力は大きくなる。

心の平安を保つことは、知恵が生み出す美しい宝石のひとつである。

 

彼の著書である「原因と結果の法則」は、ナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、オグ・マンディーノなど、現代成功哲学の祖たちがもっとも影響を受けた伝説のバイブル、『AS A MAN THINKETH』。

 

聖書に次いで一世紀以上ものあいだ多くの人々や指導者に読まれつづけている驚異的な超ロング・ベストセラーなのですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

            (AIを用いて作成)

 

さて、今回は「なぜ、加齢に伴い免疫力は低下していくのか?」という話題を掘り下げて、少し詳しく(くわしく)お話をしてみたいと思います。

 

現代医療の進歩により、私たちはかつてないほどの「長寿」を享受(きょうじゅ)していると言えますよね。

 

しかし、その一方で、臨床現場において厳然(げんぜん)として存在する事実があります。

 

それは「感染症による死亡リスクは、加齢とともに指数関数的に上昇する」という現実です。インフルエンザ、肺炎、そして記憶に新しいCOVID-19パンデミックにおいても、犠牲者の多くは高齢者でしたよね。

なぜ、若い頃なら数日で治る風邪(かぜ)が、高齢者にとっては命取りになるのでしょうか。
 

この現象(げんしょう)は、一般に言われる「体力の低下」という

言葉だけでは、この生命現象の本質を説明することはできないとされています。

 

しかしながら、細胞レベル、分子レベルで体内を観察すると、そこには「免疫システム全体の不可逆的な構造変化(Immunosenescence)」と、それに伴う「終わりのない微弱な炎症(Inflammaging)」**という、2つの大きな病態があるということに気がつくわけです。

 

ヒトの身体が持つ防衛システムを「国家の軍隊」になぞらえながら、老化に伴って免疫の現場で何が起きているのかをお話をしてみたいと思います。
 

   (AIを用いて作成)

 

まずは、兵器工場に変質(へんしつ)が起きる・・・つまり、「造血幹細胞」の老化が生じてくるわけです。

全ての「免疫細胞」という「兵士」は、すべて骨の内部にある「骨髄(こつずい)」という工場で作られます。

 

その源(みなもと)となるのが「造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)」です。若く健康な造血幹細胞は、あらゆる種類の血液細胞をバランスよく生み出します。

 

しかし、「加齢」により、この工場である「造血幹細胞」そのものが経年劣化(けいねんれっか)を起こしてくるというわけですね。

そして、経年劣化した「造血幹細胞」の工場では、「精密兵器」よりも「暴徒」を生み出すという皮肉(ひにく)な運命を辿ります(たどります)。

若い造血幹細胞は、ウイルスを狙い撃ちにする「精密誘導兵器」のような「リンパ球(T細胞・B細胞)」を十分に生産します。

 

ところが、「老化」に伴い「幹細胞」の遺伝子プログラム(エピゲノム)が書き換わってしまうわけです。その結果、上に示したような

リンパ球を作る能力が著しく低下するとされています。

その代わりに何を作るかというと、「好中球」や「単球」といった、原始的な攻撃力を持つ細胞ばかりを過剰に生産するようになります。

あまり、好ましい例えではないかもしれませんが・・・これは、軍隊で言えば「特殊部隊や空軍(リンパ球)」の育成ができなくなり、指揮系統の乱れた「暴徒化した歩兵(好中球・単球)」ばかりが増員されるようなものです。

 

これが「感染症を防御できないのに、炎症だけは激しくなる」という高齢者特有の病態の根源となります(参考1)。
 

さらに深刻な問題として、加齢した「造血幹細胞」にはDNAの変異が蓄積していきます。

 

ときに、がんに関連する遺伝子変異を持った幹細胞が、骨髄の中で勢力を拡大してしまうことがあります。これを「クローン性造血(CHIP)」と呼びます。

この変異した「幹細胞」から生まれた白血球は、正常な細胞よりも過敏で、炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)を撒き散らす性質を持っています。この現象は動脈硬化や心疾患のリスクを高めるだけでなく、全身の炎症レベルを底上げしてしまうことが大規模な疫学調査で明らかになっています(参考2,3)。

 

さらにヒトの身体の中で、最も早く「老化」が進む臓器が関連して

悲劇的なストーリーが展開されるのですが・・・

 

お話の続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記> 12月2日

 

インフルエンザ感染者が、かなり多くなっているようですね。

皆さまは、もうインフルエンザワクチンを接種(せっしゅ)しましたか?

今回は「高齢者」が、なぜ、感染症に弱いのか?・・・について、お話をしているわけですが、本文の方で、免疫細胞という「兵士」を作り出す「造血幹細胞」であるわけですが、「老化」により、機能不全
を生じるわけですね。

これにより、精密な免疫機能を持つT細胞B細胞などを作れなくなることについて、本文でお話をさせていただきました。

しかしながら、加齢に伴う「免疫システム」の悲劇(ひげき)は・・・これだけではありません。

次の悲劇が「胸腺(きょうせん:Thymus)の老化」になります。

この「胸腺」の役割は、T細胞の教育ということになります。
 

どういうことかと言いますと・・・

 

骨髄で作られたT細胞の「卵」は、「胸腺(Thymus)」という臓器に移動し、そこで敵と味方を見分ける教育を受けるわけですね。

しかしながら、本文内でもお話をしたように・・・「胸腺」は人体の中で最も早く老化する臓器の一つとされています。


「胸腺」は思春期をピークに萎縮し、脂肪組織へと置き換わっていきます(Thymic involution)。

60代になる頃には、機能する「胸腺」の組織はほとんど残っていないと考えられています。

このことは、何を意味するのでしょうか?


ざっくりと言いますと・・・新しい敵に対応できる「新兵(ナイーブT細胞)」の供給が、ほぼストップすることを意味します(参考4)。

新兵が来なくなると、ヒトの身体(からだ)はどうするのでしょうか?


かつて、何らかの病原体と戦った経験のある「ベテラン兵(メモリーT細胞)」を維持することで「免疫の空白地帯」を必死に埋(う)めようとします。

その結果、高齢者の体内は、過去に戦ったことがあるウイルス(サイトメガロウイルスなど)に対応する老兵(T細胞)たちでいっぱいになり、「まだ見ぬ新しい敵(新型インフルエンザや未知のウイルス)」に対応できる兵士のスペースが物理的になくなってしまいます。

高齢者が、毎年のように流行株が変わるインフルエンザや、全く新しい感染症に極めて弱い理由はここにあります。彼らの手持ちのカードの中に、新しい敵に対する切り札が存在しないということになるわけですね(参考1)。

では、「ワクチン」を打っておけば、安心なのでしょうか?
「ワクチン」接種後に、遅れて登場する獲得免疫(B細胞・T細胞)もまた、老化の影響を免れません。

B細胞は、ウイルスを中和する「抗体」を作る工場ということになります。
しかし、加齢に伴い、より強力で高品質な抗体を作るためのプロセスがうまく回らなくなると考えられています。

そのため、高齢者にワクチンを接種したとしても

【1】抗体の量が十分に上がらない

【2】抗体の質(結合力)が低い

【3】効果が長続きしない

などという現象が起きやすくなります。

 

インフルエンザワクチンの有効率が、若年者に比べて高齢者で低いのは、B細胞自身の老化に加え、それを助けるT細胞の機能低下が原因であるといことも知られています。

長年にわたり慢性的な刺激を受け続けたT細胞は、「疲弊(ひへい:Exhaustion)」または「老化(Senescence)」と呼ばれる状態に陥り

(おちいり)ます。

 

これらの細胞は、ウイルスを殺す能力を失っているにもかかわらず、「炎症性物質」だけは出し続けるという、極めて有害な存在へと変貌します。働かないばかりか、現場の混乱(炎症)を助長(じょちょう)することが知られています(参考5)

T細胞などの「免疫細胞」も、しっかりと「老化細胞」かするわけですね。

このように、「免疫の老化」は単一の現象ではなく、造血、教育、実動、制御というシステム全体の多層的な崩壊であるとも考えられますね。

現時点での私たちにできる最善の策は、規則正しい生活と運動などで「老化」を最小限に抑えつつ、ワクチン接種によって少しでも多くの「訓練された兵士」を維持することとも言えますね。

後半は、やや感情的な文章になってしまいましたが・・・

中国の兵法書『孫子』にある有名な言葉に

「敵を知り、己を知れば百戦あやうからず」

というものがあります。その意味は、

敵の情勢と、自分自身(味方)の状況をよく理解した上で戦いに臨めば、何度戦っても敗れることはない・・・ということになりますね。

この言葉と同様に・・・「免疫老化のメカニズム」を知ることは、単に恐れることではなく、より良く老いるための戦略を立てる第一歩となるのですね(???)・・・という前向きな言葉で、最後は、お話を結んでおきたいと思います。

 

今回も最後までお付き合い頂きまして

誠にありがとうございましたお願い
 

参考)

1) Nature Immunol. 2018 Jan;19(1):10-19. 

The twilight of immunity: emerging concepts in aging of the immune system

Janko  Nikolich-Žugichら

 

2)N Engl J Med.. 2017 Jul 13;377(2):111-121. 

Clonal Hematopoiesis and Risk of Atherosclerotic Cardiovascular Disease 

Siddhartha Jaiswalら

 

3)Nature. 2025 Jul;643(8071):478-487. 

Clonal tracing with somatic epimutations reveals dynamics of blood ageing 

Michael Schererら

 

4)Trends Immunol. 2009 Jul;30(7):366-73.
Thymic involution and immune reconstitution
Heather E Lynchら
 

5)Annu Rev Immunol. 2024 Jun;42(1):179-206.
T Cell Exhaustion
Andrew Baessler

 

 

 

(東京ミッドタウンのクリスマスツリー)
 (筆者撮影)

 

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

暦に二十四節気では、すでに「小雪(しょうせつ)」となっています。

静かに冬の到来を告げる雪が降るはじめる頃とされていますが、雪までは降らないとしても、音もなく小雨(こさめ)が降っていることに

気がつくことも多くなりました。

 

冬の初めに、降ったかと思うと晴れ、また降りだし、短時間で目まぐるしく変わる通り雨。この雨が徐々に自然界の色を消していくなどとも言われていますね。

 

先人達は、さびれゆくものの中に、美しさと無常の心を養ってきたのだとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

                                           (AIを用いて作成)

 

前回は「血管再生医療」とは、どのようなものか?・・・という話題をご紹介したのですが、今回は「皮膚」のコンディションを整える(ととのえる)因子について、お話をしてみたいと思います・

 

実は・・・「皮膚」は最大の臓器でありまして、神経・免疫・内分泌が相互に結び付く「NICE(Neuro-Immuno-Cutaneous-Endocrine)ネットワーク」を備えていることが知られています

 

さらに表皮層にある「角化細胞(ケラチノサイト)」の増殖と分化=「ターンオーバー」は、細胞内プログラムだけでなく、

概日リズム(サーカディアンリズム)と連動して動く

「皮膚のサーカディアン時計」と全身の「ホルモン」により多層的に制御(せいぎょ)されていることが知られています(参考1)

 

皮膚の「ターンオーバー」とは、皮膚の表皮が新しく生まれ変わる周期的なプロセスのことでしたね。

 

表皮の最も深い層(基底層)で新しい皮膚細胞が生まれ、徐々に上の層へと押し上げられていきます。この過程で細胞は変化し、最終的には角質となって表面に到達し、自然に剥がれ落ちるというものでしたね。

 

                                     (AIを用いて作成)

 

「サーカディアンリズム(概日リズム)」のマスタークロック(中枢時計)は、脳の視床下部にある「視交叉上核(SCN)」という部分にありました。

 

そして、「視交叉上核(SCN)」には、「時計遺伝子」というものが存在していました。

「時計遺伝子」には、以下のようなものがあります:

 

ポジティブ因子(転写を促進)

  • CLOCK(Circadian Locomotor Output Cycles Kaput)
  • BMAL1(Brain and Muscle ARNT-Like 1)

 

ネガティブ因子(転写を抑制)

  • PER1, PER2, PER3(Period)
  • CRY1, CRY2(Cryptochrome)
では、皮膚の「サーカディアンリズム」は、どのような時計遺伝子によって、調節をされているのでしょうか?」をされているのでしょうか?」
 
皮膚には、「サーカディアンリズム」の「マスタークロック(中枢時計)」と連動しつつ自律的に振動する末梢時計があり、「CLOCK/BMAL1--PER/CRY の転写‐翻訳ループ」が、約24時間周期の機能変動を作ります。
 
もう少しだけ、具体的に示すと・・・BMAL1は表皮のS期(DNA複製)や細胞分裂の時刻依存的な同期を担い、時計破綻では恒常的な過増殖に傾きます(参考1,2)
 
マウス皮膚では夜間に「DNA複製・分裂」が高まり、時間帯によりUVB感受性とDNA損傷修復能(NER、XPA)が変動することが示されています。
ヒトについても皮膚で時計遺伝子が機能し、細胞周期関連の時刻依存性が示唆されています(参考2,3)
 
さらに・・・日中(特に朝方)と比べ、夜間は増殖系の活動が相対的に高いために、治療や保護の「時間治療(時間最適化)」(クロノセラピー)」が有効である可能性が指摘されているのだそうです。

「時間治療(クロノセラピー)」とは、どのようなものなのでしょうか?
その考え方は、次のようなものであるようです。
 

「クロノセラピー(Chronotherapy)」とは、「サーカディアンリズム」 に合わせて治療や薬の投与時間を最適化することで、効果を最大化し副作用を最小化する治療法のことです。

 

皮膚においては、皮膚細胞が持つ固有の体内時計のリズムに合わせてスキンケアや治療を行うアプローチです。

 

皮膚には独自の「サーカディアンリズム」があり、時間帯によって異なる機能を発揮するのだそうです。具体的には

 

○日中(防御モード)

  • 紫外線からの保護機能が高まる
  • 皮膚バリア機能が最大化
  • 経表皮水分蒸散量(TEWL)が低い

 

●夜間(修復・再生モード)(参考4)

  • DNA修復活動が夜間にピークを迎える
  • 細胞分裂は夜中にピーク達する

 

  • DNA合成(S期)にピーク 
  • 皮膚の透過性が増加し、午後9時から深夜にかけて成分の吸収が最も効果的になる
などとされているのだそうです。
 
 
では、「サーカディアンリズム」のマスタークロックが乱れると・・・末梢の「サーカディアンリズム」も乱れてしまうのでしょうか?
 
このお話の続きは・・・次回の話題にしたいと思います。
実は「サーカディアンリズムかっこばかりでなく、ホルモンも関与してきますので、なかなか、複雑に思えます。
 
なかなか、私には新鮮な話題なわけですが・・・「皮膚」は難しい分野になりますね。
 
素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ
 
それでは、またバイバイ

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<ブログ後記> 11月28日


今回は「皮膚」と「サーカディアンリズム(概日リズム)」の関係について、お話をさせていただきました。


なんとなく、そうではないか?・・・と私は思っておりましたが、やはり、そうであったか・・・とあらためて、納得(なっとく)した次第です。

本文でもお話をしたように・・・

 

皮膚の「再生」には、とりわけ「サーカディアンリズム」は重要な役割を果たしていると報告されていまして、


具体的な年齢は、示されていないのですが・・・加齢した皮膚の「幹細胞」においては、日々のリズムの変化が皮膚の「再生」に悪影響を及ぼすことが報告されています(参考5)。

実際に・・・皮膚の「サーカディアンリズム」は、DNA修復、細胞増殖、アポトーシス、炎症反応、酸化ストレス、
および、ホルモンシグナル伝達を調節することにより、紫外線の一部で誘発されるDNA損傷の管理に重要な役割を
果たしているという報告もあります(参考6)。

では、多くの細胞が産生されるもとになる皮膚の「幹細胞」は「サーカディアンリズム」の支配を受けるのでしょうか?

皮膚の「幹細胞」には、「表皮幹細胞(ひょうひかんさいぼう)」」や「毛包幹細胞(もうほうかんさいぼう)などが
あるのですが、これらの「幹細胞」は・・・

やはり、24時間周期の「サーカディアンリズム」に従って、増殖・分化・DNA修復などの機能を時間帯ごとに最適化していることが知られています。

皮膚「幹細胞」に存在する時計遺伝子(BMAL1, CLOCK, PER, CRYなど)は、日中と夜間で異なる遺伝子発現パターンを
作り出し、紫外線防御や増殖、分化のタイミングを制御します。


そして、「サーカディアンリズム」が乱れますと・・・幹細胞の再生能力が、極端に(きょくたんに)低下し、老化や発がんリスクが高まることも報告されています(参考7)

また、「サーカディアンリズム」は、表皮幹細胞の増殖を調節し、DNA損傷と皮膚の老化を最小限に抑えますが、
 

それを乱すと酸化的DNA損傷や機能障害を引き起こす可能性があると報告されています(参考8)。

このなかで、「BMAL1遺伝子」は、「ROMO1遺伝子」と「活性酸素」などの酸化ストレスを調節することにより
皮膚の治癒に重要な役割を果たしており、その欠乏はマウスにおいて治癒の遅延を引き起こすとされています。

また、「皮膚のターンオーバー」についてですが、シフトワークや夜間の光暴露などでリズムが乱れると、「ターンオーバー」の周期が崩れ、「バリア機能」の低下、「老化」の促進、炎症や皮膚疾患のリスク増加が報告されています。

このように皮膚の「幹細胞」や皮膚真皮層のコラーゲン、エラスチンを産生する「線維芽細胞」ばかりでなく、
「皮膚のターンオーバー」さえも、「サーカディアンリズム」を作り出している「時計遺伝子」の精密な制御(せいみつなせいぎょ)

によって、日中は防御、夜間は修復・再生が最適化されるよう調節されているというのですから・・・かなり、驚きます。


幹細胞やその由来成分(エクソソーム)、光線治療、バイオマテリアル、植物成分など、多様なアプローチが皮膚幹細胞・線維芽細胞・ターンオーバー維持に有効である可能性を示す論文が多数存在します。


では、 皮膚の幹細胞、線維芽細胞、「ターンオーバー」を良好に保つための具体的で、かつ、有効な治療法とは、存在するのでしょうか?

実は、その有効性を示す論文は、多数、存在します。一部をご紹介すると・・・次のようなものになります。

【1】「脂肪由来間葉系幹細胞(MSC)」

【2】「iPS細胞由来エクソソーム」

これらは、線維芽細胞の増殖・コラーゲン合成・ターンオーバー促進・抗炎症・抗老化作用を示し、皮膚の再生や老化抑制に有効とされています。

ここで、「iPS細胞由来エクソソーム」が出てくるのは、とても嬉しい(うれしい)のですが・・・
 

線維芽細胞の増殖・コラーゲン合成・エラスチン合成、ターンオーバー促進作用があり、

また,以前にブログ内でご紹介したように・・・「老化細胞」のうち、細胞の分裂異常が生じたために
 

強制的に分裂を停止させられて、「老化細胞」になってしまったものが存在し、これらが「iPS細胞エクソソーム」によって、「正常細胞」と復帰する・・・その効果は半年程度なのですが・・・
 

この期間は、炎症性サイトカインの放出現象(SASP)がなくなり、「老化細胞」の総数が減ることになりますね。

以上のように・・・脂肪幹細胞由来のエクソソームなどの治療も、iPS細胞由来のエクソソームではないのですが、再生経路、酸化ストレスの調節、細胞活動の調節など、さまざまな分子メカニズムを通じて皮膚の老化防止に潜在的な効果を示す
可能性が指摘されているのですね(参考11)。

なかなか、今後の展開(てんかい)が楽しみ・・・ですね爆  笑

 

今回も最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1) Nature. 2011 Nov 9;480(7376):209-14.

The circadian molecular clock creates epidermal stem cell heterogeneity  

Peggy Janichら

 

2)Proc Natl Acad Sci USA. 2012 Jul 17;109(29):11758-63.
Brain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1) controls circadian cell proliferation and susceptibility to UVB-induced DNA damage in the epidermis    
Miklail Geyfmanら
 
3)Proc Natl Acad Sci USA.. 2011 Nov 15;108(46):18790-5. 
Control of skin cancer by the circadian rhythm 
Shobhan Gaddameedihiら
 
4)J Drugs Dernatol. 2014 Feb;13(2):130-4. 
Therapeutic implications of the circadian clock on skin function
Adam J Luberら
 
5)J Invest Dermatol. 2021 Apr;141(4S):1024-1030.
Clock Regulation of Skin Regeneration in Stem Cell Aging
Patrick-Simon Welzら
 
6)Int J Mol Sci . 2024 Oct 11;25(20):10926.
The Influence of Circadian Rhythms on DNA Damage Repair in Skin Photoaging
Zhi Suら
 
7)Sci Transl Med . 2017 Nov 8;9(415):eaal2774.
Circadian actin dynamics drive rhythmic fibroblast mobilization during wound healing
Nathaniel P Hoyleら
 
8)Stem Cells. 2023 Apr 25;41(4):319-327.
 How and Why the Circadian Clock Regulates Proliferation of Adult Epithelial Stem Cells
Bogi Andersenら
 
9) Stem Cell Res Ther . 2021 Dec 4;12(1):597.
 MSCs and their exosomes: a rapidly evolving approach in the context of cutaneous wounds therapy
 Faroogh Marofiら
 
10)Int J Mol Sci. 2018 Jun 9;19(6):1715.
Exosomes Derived from Human Induced Pluripotent Stem Cells Ameliorate the Aging of Skin Fibroblasts
Myeongsik Ohら
 
11)Clin Cosmet Investig Dermatol. 2023 Nov 22:16:3383-3406.
 Progress in the Development of Stem Cell-Derived Cell-Free Therapies for Skin Aging
 Yoan Chouら
 
 (恵比寿ガーデンプレイスの
バカラのシャンデリア)
 (筆者撮影)

 

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小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

気がつけば、既に11月半ばを過ぎていますね。

明日 (17日)からは、日本付近にこの時期としては強い寒気が南下するそうで、寒くなるにだとか。

 

インフルエンザ感染も流行しているようで、東京都は11月13日に、インフルエンザの「流行警報」を発表していますね。11月中に「流行警報」が発表されるのは、2009年以来、16年ぶりだそうです。

 

「手洗い」や「うがい」をしっかりとして、さらにワクチンを接種をするからは、例年より早い時期でも行っておいた方がよいかもしれませんね。

 

皆様の体調は、いかがでしょうか?

 

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          (AIを用いて作成)

 

寒くなりますと・・・「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの「脳血管障害」の発症が増加する傾向がありますね。

そのベースとなるのが「動脈硬化(どうみゃくこうか)」ということになります。

 

そこで、今回は最新の知見を交えて。「動脈硬化」とは?・・・というお話とそこに重要な役割を果たす「血管内皮細胞」について、お話をしてみたいと思います。

 

血管は「命のハイウェイ」とも言われます。以前のブログでもお話をしましたが、ヒト1人の身体のトータルの血管に長さは、
地球2週半分の長さになるわけですね。

  私たちの体中に張り巡らされた血管は、全身の組織に「栄養」と「酸素」を届け、「二酸化炭素」や「老廃物」を回収する役割
を持っています。

血管が「命のハイウェイ」と異名を持つのは、こうした重要な働きをも持つのは、このような重要な働きがあるからである・・・ということになります。


そして、このハイウェイがスムーズに流れていることが、「健康」の土台となります。

JTKクリニックでは、この血管をできるだけ長期間にわたり、良い状態を保つために・・・悪玉コレステロール「LDL-C」を除去する「LDL-C吸着療法」を行なってきました。

「動脈硬化」を進行させないためには「悪玉コレステロール」を低めに保つことは、とても重要だからですね。

しかしながら、世界的な医学の流れから見ますと・・・

「プラスアルファ(+α)」が必要であるということになるのかもしれません。

 

そこで、今回は世界の医療者が『血管の再生』に向けて、どのように考えているのかについて、お話をしてみたいと思います。

この世界の医療研究の中で、最も重要視されているのが・・・

「血管内皮細胞」ということになります。

「血管内皮細胞」は。血管の「内壁」を覆う(おおう)薄いシートのような構造をしています。

このシートは、単なる"壁紙"ではなく、血液と体の組織が出会う最前線で、血管全体の健康状態をコントロールする司令塔の役割を担っています(参考1)。

また、残念ながら、現時点では、心筋梗塞や脳血管病変(脳出血や脳梗塞)といった心血管疾患は、世界中で最も多い死亡原因であり、その根本には「動脈硬化」があるわけですね(参考2)。

以前のブログ内でもお話をしましたが・・・


この「動脈硬化」の"最初のきっかけ"となるのが、司令塔である「血管内皮細胞」の機能不全、つまり「血管の内壁」がうまく働かなくなることなのです(参考3)。

「血管内皮細胞」がどのように働き、なぜ壊れ、どうすれば治せるのでしょうか?

 

    

          (AIを用いて作成)

 

まず、健康な「血管内皮細胞」は、主に以下の3つの重要な仕事をしていると考えられています。以下にそれを示します。

1.バリア機能(防波堤)
 血液が血管の壁で固まって「血栓(血の塊)」ができないようにしたり、血液中の白血球(免疫細胞)がむやみに血管の壁にくっつかないようにしたりする、滑らかな"防波堤"の役割を果たします(参考3)

2.血管の伸び縮みを調節
必要に応じて血管を広げたり(弛緩)、縮めたり(収縮)する化学物質を分泌しています。最も有名なのが、血管を広げる「一酸化窒素(NO)」です。このバランスが崩れると、高血圧などの原因になります (参考4)。

3.場所ごとに専門性が違う


 最近の研究で、「血管内皮細胞」は「場所によって顔つきが違う」ことが分かってきました。
例えば、脳の血管では、有害物質が脳に入らないよう強力なバリア(血液脳関門)を作っています。
これは、細胞一個一個の遺伝子の働きを調べる最新技術(scRNA-seq)によって明らかになったそうです。(参考5)

では、上記のような性質を持つ「血管内皮細胞」の張りめぐらされた「血管の内壁」は、なぜ破壊されるのでしょうか?

これには、以下のような原因が知られています。

【1】 酸化ストレス

ヒトの身体は、呼吸するだけでも「活性酸素」という物質(体をサビさせる物質)を少量作っています。

しかし、高血圧、糖尿病、喫煙、高コレステロールなどがあると、この「活性酸素」が過剰に発生します。「活性酸素」が増えすぎると、せっかく作られた「一酸化窒素(NO)」を破壊してしまい、血管が

うまく広がらなくなります(参考6,7)。

【2】ミトコンドリア機能障害


 細胞の中にある「ミトコンドリア」は、私たちが生きるためのエネルギー(ATP)を作る工場であるとも言えます。


しかし、残念なことに・・・「ミトコンドリア」はエネルギー(ATP)を作ると同時に、「活性酸素」も産生してしまうのでしたね。さらに「ミトコンドリア」自体も、自ら(みずから)産生した「活性酸素」により「ミトコンドリアDNA」を傷害され、機能障害を起こします。

さらに機能障害を起こした「ミトコンドリア」は、エネルギー(ATP)産生が減少するだけでなく、「ミトコンドリア」からは、「活性酸素」(ROS)が大量に漏れ(もれ)出してしまい、「血管内皮細胞」を傷つけることが知られています(参考8)。

【3】炎症と血管への接着

血液中の「悪玉コレステロール(LDL)」は、「活性酸素」によって"サビたタイプの「酸化LDL」というものに変化をします。


この「酸化LDL」は、血管の壁に蓄積(ちくせき)します。すると「血管内皮細胞」は「外敵が来た!」と勘違いし、「炎症」を起こします。


 炎症を起こした「血管内皮細胞」は、その表面に「接着分子」という「のり」のようなタンパク質を出し始めます。この「のり」に、血液中の免疫細胞(単球など)がベタベタとくっつき、血管の壁の中に入り込んでしまうのですね (参考9)

【4】 血管内皮細胞の細胞形態変化(EndMT)
 
最近注目されている現象に、「血管内皮間葉転換(EndMT)」というものがあります。これは「血管内皮細胞」が、ストレス(特に慢性的な炎症)にさらされ続けると生じる現象であるとされています。


これは、慢性的なストレスにより「血管内皮細胞」が、
「バカバカしい。もーヤメた」とグレてしまい(?)「血管内皮細胞」であることをやめ、「線維芽細胞」のような硬い細胞に"変身"してしまう現象です。これにより血管壁が柔軟性を失い、「動脈硬化」が進むと考えられています(参考10)。

JTKクリニックでは、「血管の再生」というテーマも掲げて(かかげて)きたわけですが・・・


この分野でも医療の分子生物学的な研究は、とても進んでいるようで、「血管内皮間葉転換(EndMT)」などという概念は、驚くべきものという気がします。


また、先に紹介した文献の中には、「慢性肥満」が「血管内皮間葉転換(EndMT)」を促進することも示されているのですね。実はこの肥満の型が、男性に多い「内臓脂肪型肥満」ではなく、女性に多い「皮下脂肪型肥満」であることは、とても興味深いことです。

 

「皮下脂肪型肥満」だから大丈夫ではなく、改善した方がよいということになりますね。


「動脈脈硬化」をめぐる研究の発展は著しく(いちじるしく)、これらの知見をどう臨床の現場にフィードバックしていくかが課題となりますね。
 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月18日

 

今回は「血管の再生」の医療の研究から分かってきた、さまざまな新しい知見をご紹介させていただきました。

JTKクリニックは「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」を用いた再生医療の分野にも力を入れてきました。

 

現時点では、「iPS細胞」から放出されるエクソソーム(iPSエクソソーム)を用いての「老化細胞」の減少であったり、皮膚真皮層の「線維芽細胞」の再生によるコラーゲンやエラスチン産生を増加させたり
個人の「IPS細胞」の保存のための仲介事業となります。

それなので、私は「iPS細胞」を使えば、簡単に「血管」を作ることができるのではないか・・・と漠然(ばくぜん)とした期待をしていたわけですね。

 

その結論としては・・・残念ながら「道半ば(みちなかば)」であるようです。

 

では、現時点では、どこまでが可能になっているのでしょうか?

 

「 iPS細胞」は「血管内皮細胞」や「血管平滑筋細胞」など、血管を構成する主要な細胞へ分化させることは可能であるようです(参考11)。

また、iPS細胞から機能的で耐久性のある血管を生成することには、すでに成功しており、組織工学および血管疾患の治療における可能性も示されています。


本来の血管に近い層構造・機械的強度・長期開存については、iPS細胞から作られた血管で成功しているわけですね。

また、「3Dマイクロ流体チップ」での血管形成という方法を用いて、微小血管ネットワークの再現や「iPS細胞」から血管内皮細胞のモデルや3D組織リングや機能的な血管平滑筋細胞の作製に成功しています。

以下の 研究論文では、ヒト誘導多能性幹細胞から3D組織リングの作製に成功し、血管組織工学および疾患モデル作成のための機能的な血管平滑筋細胞の大規模で再生可能な血管を作成できたとされています(参考12,13)。

これらの報告を見ますと、「iPS細胞」から、血管そのものを作り出すことは、基礎研究から動物実験レベルまで実現されており、将来的な臨床応用にも大きな期待が寄せられているようです。

 

ただし、成熟度や長期安全性などの課題も残されており、実現までは
もう少し時間が必要となりそうです。

では、現状においては、どのような「血管再生医療」の方法が考えられているのでしょうか?


現時点では、以下のような方法が有効であると考えられています。

1.アフェレーシス療法(だだし、LDL-C吸着療法)

 2.間葉系幹細胞(MSC)治療

骨髄や脂肪組織、へその緒(臍帯)などから採取できる「間葉系幹細胞」で、「老化細胞」によるSASPなどの慢性的な低レベルの炎症を抑えたり、新しい血管の成長を助けたりする物質を出すとされています(参考14)。

 

「血管内皮細胞」は、「間葉系幹細胞」由来の細胞であり、
また、「間葉系幹細胞」から放出されるエクソソーム自体で、プラークの縮小効果も動物実験では証明されています。


「間葉系幹細胞」そのものをの急性心筋梗塞の患者さんなどに投与する臨床試験が進められています(参考15)。

  3.直接リプログラミング -細胞の運命を書き換える- 

これは、iPS細胞のように一旦(いったん)万能細胞に戻すのではなく、皮膚の細胞などに特定の遺伝子("魔法の遺伝子")を導入することで、直接、「血管内皮細胞」に"変化"させる技術です。


具体的には、 特に「ETV2/ER71」という遺伝子が、この"変身"の鍵(かぎ)を握る(にぎる)「マスター遺伝子」として発見され、注目されています(参考16)。

 

この技術が実用化すれば、より早く安価に治療用の細胞を作れる可能性があると考えられています。


4.ナノテクノロジー(超小型カプセル)での薬物配送

 薬(抗炎症薬や遺伝子治療薬など)を「ナノ粒子」という超小型のカプセルに詰め、傷ついた「血管内皮細胞」にだけピンポイントで届ける技術です。これにより、薬の効果を高め、副作用を減らすことが期待されています(参考17)

上記のように「血管再生医療」は急速に進んでいますが、当然ながら、まだ課題もあります。

どのような課題があるのでしょうか?


「幹細胞治療」では、移植した細胞がどれだけ生着(せいちゃく:うまく根付くか)するかが勝負となるとされています。

また、細胞一個一個の性質を詳しく調べる技術(シングルセル解析)や、3Dプリンターで血管構造を作る技術(3Dバイオプリンティング)などを組み合わせ、患者さん一人ひとりに合わせた「オーダーメイドの血管再生医療」が目指されています。

これらの事情を考慮しますと、真の「血管再生医療」が実現するのは、10~20年程度は、先になりそうですね。

 

現状では、「LDL-C吸着療法」の施行により、「血管内皮細胞」の機能を可能な限り正常化させ、その後にCD63陽性の「間葉系幹細胞エクソソーム」を投与する。
 

そして、「iPS細胞エクソソーム」の投与で、「老化細胞」化した「血管内皮細胞」の数を減らし、数を少なくした状態の「老化細胞」化した「血管内皮細胞」を自分自身の「NK細胞」を増殖・活性化したもので少しずつ破壊していく。


その間も「血管内皮細胞」に分化することが可能な「間葉系幹細胞」(脂肪から取り出し、増殖させたものを投与する・・・ということになるわけです。「血管内皮細胞」に分化可能な「間葉系幹細胞」は、どんどん減少していくわけですから、これを補充することは必要ですね。

ですから、なかなかの費用と根気づよく治療が行なっていく必要がありますよね。

個人的には、研究者の方に「ETV2/ER71」という遺伝子の導入をトライして頂いているのですが、なかなかよい結果が出ないという報告を受けています。

「血管再生医療」とは、なかなかの難関(なんかん)なのかもしれませんね。

 

ですから、今現在、自分の持っている血管を大切にしていくのは、とても重要なことかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い
 

参考)

1)Sci Rep. 2017 Jul 17;7(1):5590.
 Transdifferentiated Human Vascular Smooth Muscle Cells are a New Potential Cell Source
 for Endothelial Regeneration

Xuechong Hongら

 

2)Front Physiol . 2025 Mar 26:16:1555118.
Treatment of endothelial cell dysfunction in atherosclerosis: a new perspective integrating traditional and modern approaches
Luqun Yangら

 

3)Mol Cell Biochem. 2025 Aug;480(8):4671-4695.
Endothelial dysfunction in cardiovascular diseases: mechanisms and in vitro models
Ana Gregoら

 

4)Front Cell Dev Biol. 2024 Nov 19:12:1512568. 

Editorial: The emerging role of endothelial cells in vascular and metabolic disorders; endothelium regeneration and vascular repair is the future for therapeutics
Pratibha Bhallaら

 

5)Cell Regen. 2025 Mar 23;14(1):10.
Dissecting endothelial cell heterogeneity with new tools
Jing Zhongら

 

6)MedComm (2020). 2025 Jan 16;6(2):e70057.
Vascular endothelial cell injury: causes, molecular mechanisms, and treatments
Tian Xiaら

7)Aging Dis. 2024 Mar 18;16(1):250-268.
 ROS-Induced Endothelial Dysfunction in the Pathogenesis of Atherosclerosis
Ruiyi Yanら

 

8)Mol Cell Biochem. 2024 Aug;479(8):1999-2016.
Mitochondrial dysfunction in the pathogenesis of endothelial dysfunction
Suresh Kumar Prajapatら

 

9)Curr Atheroscler Rep. 2024 Dec;26(12):707-719.
Targeting Inflammatory Pathways in Atherosclerosis: Exploring New Opportunities for Treatment
Alessia d'Aielloら

 

10)Front Cardiovasc Med. 2025 Jul 24:12:1649558.
Editorial: New trends in vascular biology 2024
Sarvesh Chelvanambiら

 

11)Acta Biomater. 2019 Oct 1:97:333-343.
Autologous endothelialized small-caliber vascular grafts engineered from blood-derived induced pluripotent stem cells
Melanie Generaliら

 

12)Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Jul 30;110(31):12774-9.
Generation of functionally competent and durable engineered blood vessels from human induced pluripotent stem cells
Rekha Samuelら

13)Stem Cell Reports. 2016 Jul 12;7(1):19-28.
Tissue-Engineered Vascular Rings from Human iPSC-Derived Smooth Muscle Cells
Biraja C Dashら

 

14)Circulation. 2010 Aug 3;122(5):517-26.
 Stem cell therapy for vascular regeneration: adult, embryonic, and induced pluripotent stem cells
Nicholas J Leeperら

15)Stem Cell Res Ther. 2024 Jul 9;15(1):205.
Applications of extraembryonic tissue-derived cells in vascular tissue regeneration
Mehdi Amiri Goushkiら

 

16)Stem Cell Res Ther. 2023 Mar 16;14(1):41.
ETV2/ER71, the key factor leading the paths to vascular regeneration and angiogenic reprogramming
Tae Min Kimら

 

17)Front Bioeng Biotechnol . 2025 May 9:13:1567783.
Emerging biomaterials and bio-nano interfaces in pulmonary hypertension therapy: transformative strategies for personalized treatment
Xiaofa Chenら

 

 

      (秋のお台場の風景)

 (筆者撮影)

 

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

季節は「立冬(りっとう)になっていますね。

暦(こよみ)の上では、いよいよ冬となったわけですね。

 

なんとも憂鬱(ゆううつ)なイメージのある「冬」の季節ですが、イギリスの詩人「パーシー・ピッシュ・シェリー」が次のような言葉を残しています。

 

「If Winter comes, can Spring be far behind?」

 

「冬が来たならば、春は遠くない」と訳されるのですが、それが転じて・・・

人生のなかで、辛い(つらい)時期を乗り越えれば、必ず幸せな時期が訪れるという意味で、用いられるようです。

 

日本にも「冬来りなば春遠からじ」という言葉があるわけですが、 ・・・この言葉の由来は、イギリスの詩人「パーシー・ビッシュ・シェリー」の詩「西風に寄せる歌」に由来するのだそうです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 (AIで画像を作成)

 

今回の話題は、「加齢」と「自律神経障害」の関連について、お話をしてみたいと思います。

 

その前に「自律神経」とは、どのようなものか?・・・をご説明してみたいと思います。

 

「自律神経」は、「交感神経("アクセル")」と「副交感神経("ブレーキ")」、そして消化管を司る(つかさどる)「腸管神経系」からなり、心拍・血圧・体温・消化・排尿・発汗などを無意識に調整します。

 

「交感神経」は、上に示したように車の「アクセル」に、そして、「副交感神経」は「ブレーキ」に例え(たとえ)られたりしますよね。

「副交感神経」のうち、特に心臓や多くの内臓を調節する主要な神経は、「迷走神経(めいそうしんけい)と呼ばれています。

 

心臓では「迷走神経」が、心拍を抑制(よくせい)し、「心拍変動(HRV)」の低下高めます。

 

「心拍変動(HRV)」とは、ちょっと聞きなれないかもしれませんね。少し補足(ほそく)しますと・・・

 

心臓の拍動の間隔は、一定ではなく「ゆらぎ」をもって、常に変動します。その「ゆらぎ」を数値化したものが、「心拍変動(HRV)」になります。

 

この「心拍変動(HRV)」は、「自律神経(交感神経と副交感神経)」の働きを反映しており、一般的に変動が大きいほどリラックスしており、低い場合は「ストレス」が高い状態を示すとされています。

 

「心拍変動(HRV)」は、心拍のゆらぎを数値化したものですが、この中のいくつかの指標が国際的に標準化されています(参考1)


話を戻しますと・・・「交感神経」は心拍・血圧を上げますね。

 

実は、加齢とともに「交感神経」は亢進(こうしん)して優位となることが報告されています。

 

一方で「迷走神経(副交感)低下していくという「自律神経」のバランスの変化が進み、このことは、慢性炎症の亢進、血管内皮細胞の機能低下、起立性低血圧や排尿・便通障害の増加、心血管リスク上昇に結びつくことが分かってきています。

 

 (AIで画像を作成)

では、加齢により、「自律神経」にどのような変化と報告されているのでしょうか?詳しくみてみたいと思います。

「加齢」によって起きてくるのは、次のようなことが報告されています。

 

【1】「心拍変動(HRV)」は、年齢とともに低下します。大規模縦断の古典研究でも、65歳以降に「心拍変動(HRV)」が明確に低下することが示されています(参考2)

 

「心拍変動(HRV)」が低い場合は、「ストレス」が高い状態でしたよね。


【2】加齢に伴い「交感神経」活動は上昇することが知られています。ヒトの筋交感神経活動(microneurography)やノルエピネフリン動態の研究で、加齢に伴う「交感神経」のトーンの増加が報告されています(参考3)。

 

【3】こうした「加齢」に伴う「交感神経」の活発化は、慢性炎症・

血管内皮細胞の機能障害・心血管リスクを増悪させ、

「心拍変動(HRV)」の低下は、CRPやIL-6など炎症マーカー上昇と逆相関し、心血管イベントリスクと関係することが大規模な解析で示されています。(参考4)


【4】臨床症状:高齢者ほど「起立性低血圧(OH)」、排尿障害(過活動膀胱など)、便秘などの自律神経症状が増えます。

「起立性低血圧(OH)」の有病率は地域在住高齢者で約2割、施設入所では約1/4に達するというメタ解析があります(参考5)

 

いかがでしょうか?

 

「自律神経障害」などは、一部の方だけの病態ではなく、加齢により、誰にでも起こりうることなのですね。、

 

しかしながら、「自律神経障害」は、慢性炎症・「血管内皮細胞」の機能障害・心血管リスクを増悪させるなどと聞くと、単なる気のせいなどと放置はせず、

 

確実な診断のもとに治療していくことが必要だと言えますね。

 

「自律神経障害」の発症のメカニズムと、その治療は後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月11日

急に気温が下がり、風も冷たくなっていますね。
あわてて、ストーブを持ち出したりしました。
秋の穏やかな(おだやかな)時間を心待ちしていたのですが・・・
いきなり、暦どおりに「冬」のような陽気になりますと身体も驚きますね。

今回は「自律神経」の機能障害について、お話をさせて頂きました。

実は・・・複数の大規模疫学研究や臨床研究により、急激な気温変動や極端な高温・低温への曝露は自律神経系のバランスを乱し、障害リスクを高めることが示されています。
この中でも、寒冷曝露(かんれいばくろ)は、高齢者の神経系疾患による死亡リスクを有意に増加させることが報告されており、男性と74歳以上の高齢者が自律神経障害を起こすリスクが高くなることが分かっています(参考6)。

では、暑いのは大丈夫なのか?・・・と言いますと、そうでもなくて、高温曝露も若年~成人で、自律神経機能の低下や自律神経障害と関連していることが報告されており、その内容は
交感神経優位となり、自律神経の回復や機能が低下しやすくなることが報告されています(参考7)

つまり、急激な寒暖差や極端な気温は、自律神経のバランスを乱し、障害や関連疾患リスクを高めることが多くなるというわけですね。

では、自律神経障害では、どのような症状を起こす可能性があるのでしょうか?
参考文献は省力しますが・・・以下のように実に多彩な症状を示すことが報告されています。

  • 消化器系:便秘、下痢、早期満腹感、胃腸運動障害、悪心
  • 泌尿器系:頻尿、尿失禁、尿閉、排尿困難 
  • 発汗・体温調節 :発汗異常(多汗・無汗)、体温調節障害、顔面紅潮
  • 性機能:勃起障害、性欲減退 
  • 心血管系:起立性低血圧、動悸、頻脈、徐脈、血圧変動、失神

などとなります。さらに「動脈硬化」となるわけです。

「動脈硬化」に進行するメカニズムは、以下のようなものになります。
加齢により、「自律神経系」は全身の恒常性維持能力を徐々に失い、特に血圧調節や心拍制御、消化、排泄などの自律的な反応が鈍化します。

この背景には、血管・受容体・神経伝達・中枢機能の多層的な変化が関与してい流ことが分かっています。

以下は、おおよそのメカニズムを示していますが、、興味にある方は、お読みください
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 1.動脈硬化と動脈スティフネスによる圧受容体感度の低下

加齢に伴い、動脈壁はコラーゲンの増加やエラスチンの断裂によって弾力を失い、動脈スティフネス(硬化)が進行します(参考8)。

頸動脈洞や大動脈弓に存在する圧受容体(バロレセプター)は、血圧変化を感知して心拍や血管収縮を調整しますが、動脈が硬くなることで血圧変化に対する伸展刺激が伝わりにくくなります。これにより、バロレフレックス感度(BRS, baroreflex sensitivity)が低下し、立位時の血圧維持が困難になります(参考9)。

さらに、加齢では交感神経活動が相対的に優位となるため、血圧の変動性が大きくなり、起立性低血圧や食後低血圧などが生じやすくなります。
<以下は、文献省略>

2.受容体およびシナプス伝達の加齢変化

自律神経系の信号は、末梢臓器のアドレナリン受容体(β₁、β₂など)やムスカリン受容体(M₂など)を介して発現します。加齢により、これらの受容体の発現量や感受性が低下することが知られています。

例えば、β受容体の感受性低下により、心拍増加や血管拡張反応が鈍くなります。また、アセチルコリンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の合成・放出・再取り込みの効率も低下し、シナプス間伝達の遅延が生じます。これらの変化は、交感・副交感神経の応答速度を遅くし、自律的な血圧・心拍調節の精度を損ないます。

3.求心路および中枢の脆弱化

加齢では、末梢神経の軸索変性や脱髄、特に小径線維(C線維・Aδ線維)の障害が生じやすくなります。糖尿病性小線維障害などが加わると自律神経性フィードバックがさらに障害されます。

一方、脳幹や視床下部などの自律神経中枢でも、加齢に伴い神経細胞の脱落やグリア細胞の活性化、酸化ストレスの蓄積が見られます。この中枢レベルの変性が、心拍変動(HRV)の減少やストレス応答の鈍化を引き起こします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・・というメカニズムが、報告されているわけですね。

 

つまり、「自律神経障害」を放置すれば、「動脈硬化」を進展させ、さらには、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの心血管障害を起こすリスクが高くなってしまうというわけですね。

 

今回は、治療まで話題を広げることができませんでしたが・・・

またの機会に詳しくお話をしたいと思います笑い泣き

 

今回も最後までお付き合い頂きまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Circulation. 1996 Mar 1;93(5):1043-65.

Heart rate variability: standards of measurement, physiological interpretation and clinical use. Task Force of the European Society of Cardiology and the North American Society of Pacing and Electrophysiology

Task Force of the European Society of Cardiology and the North American Society of Pacing and Electrophysiology.

 

2)J Am Coll Cardiol. 1998 Mar 1;31(3):593-601. 

Twenty-four hour time domain heart rate variability and heart rate: relations to age and gender over nine decades  

 K Umetabiら

 

3)Am J Physiol. 1997 Jun;272(6 Pt 1):E976-80. 

Age-related increase in muscle sympathetic nerve activity is associated with abdominal adiposity 

P P Jonesら

 

4)Brain Behav Immun. 2019 Aug:80:219-226. 

Heart rate variability and inflammation: A meta-analysis of human studies 

DeWayne P Williamsら

 

5)J Gerontol A Bio Sci Med Sci. 2020 Jan 1;75(1):117-122. The Prevalence of Orthostatic Hypotension: A Systematic Review and Meta-Analysis. 

Nor I'zzati Seadonら

 

6)Sci Total Environ. 2021 Dec 15:800:149548.
The mortality burden of nervous system diseases attributed to ambient temperature: A multi-city study in China
Xuemei Suら

 

7)Sleep, Volume 41(1), April 2018, A172.
0453 The Effects Of Ambient Temperature Changes On The Severity Of Obstructive Sleep Apnea And Autonomic Nervous System Among Adult Patients 
N Liuら

 

8)Circulation. 2003 Jan 7;107(1):139-46.
Arterial and cardiac aging: major shareholders in cardiovascular disease enterprises: Part I: aging arteries: a "set up" for vascular disease
Edward G Lakattaら

9)Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2007 Jul;293(1):R3-R12.
Effect of aging on baroreflex function in humans
Kevin D Monahanら

 

                  (六本木けやき坂イルミネーション2025)

 (筆者撮影)

 

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

(業績)

 

 

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◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

暦の七十二候の「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」になっていますね。

10月が少し寒かった印象があり、皇居周辺のイチョウが黄色くなりかけているので、「今年は早い時期からの紅葉が期待できるかも」と思ってい他のですが・・・

 

既に発表されている2025年の「紅葉見頃予想(こうようみごろよそう」によりますと・・・東日本では、紅葉は多くの名所で平年並かやや遅くなると予想されているそうです。

 

寒く感じたのは、気のせいであったのか・・・と思った次第(しだい)です。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

                 (AIで画像を作成)

 

今回は、「スーパーセンテリアン」の「免疫細胞の働き」が、どのようになっているか?・・・というお話をしてみたいと思います。

 

日本は、世界一の長寿国となった日本ですが、長寿の人の中でも110歳を超える「スーパーセンテナリアン」と呼ばれる存在が注目されています。

 

 

「スーパーセンテナリアン」とは、(110歳以上)の主な特徴は、100歳時点でも自立した生活を送っていることです。これは、認知機能が維持されていること、心血管疾患になりにくいこと、そしてフレイル(虚弱)になるのが遅いことの3つの医学的な特徴として現れていまいるとされています。

 

また、「センテナリアン」とは、百歳以上の長寿者を指す言葉で「1世紀以上を生き抜いた」という意味があるそうです。

 

今回は、「センテナリアン」や「スーパーセンテナリアン」の「免疫力」を構成する細胞の中心である「ナチュラル・キラー細胞(NK細胞」どのようになっているのかをみてみたいと思います。

 

もちろん、総合的な「免疫力」と言いますと以下のように

生まれつき持っている免疫(自然免疫)を構成する以下のような細胞群と

  • NK細胞(ナチュラルキラー細胞) - ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃
  • マクロファージ - 病原体を食べて処理
  • 好中球 - 細菌感染と戦う
  • 樹状細胞 - 病原体を認識し、獲得免疫に情報を伝える

生まれた後に感染の経験やワクチンなど、後天的に獲得した免疫

(獲得免疫)を構成する、以下のような細胞や抗体があります。

  • T細胞 - 感染細胞を直接攻撃したり、免疫反応を調整
  • B細胞 - 抗体を作り出す
  • 抗体 - 特定の病原体を標的にする
総合的な「免疫力」とは、これらのすべての要素がバランスよく機能している状態を指すのですが・・・
加齢とともに「T細胞」と「NK細胞」の活性(攻撃力)が顕著(けんちょ)に低下することが知られています。
 
「NK細胞」は、「がん細胞」だけでなく、「ウイルス感染細胞」や
「老化細胞」までも破壊することが可能なので、その活性の低下は
非常にヒトの身体(からだ)の質(クオリティー)を保つうえで重要
であると考えられています。
 

 (AIで画像を作成)

 

一般的に、年齢を重ねると「免疫力」は低下していきます。これは「免疫老化(イムのセネセンス)」と呼ばれ、NK細胞も例外ではありません(参考1,2)

 

そして、「NK細胞」の活性が低下しますと・・・癌の発生が多くなったり、ウイルス感染に対する抵抗力がなくなり、「老化細胞」は増加していきます(参考3,4)

 

「NK細胞」の数は、加齢により増加するか、或いは、横ばいになることが知られています(参考5)

それなのに、なぜ「NK細胞」の活性(攻撃力」は低下してしまうのでしょうか?

 

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?

 

実は、「NK細胞」には、いくつかのグループ(サブセット)が存在することが知られています。

 

どのような集団があるのかと言いますと、次のようになります。

 

「NK細胞」は、主に「CD56」という表面の"目印"があるのですが、この攻撃力の強さによって、大きく2つのグループに分けられます。

1. CD56 bright (ブライト)NK細胞 =「司令塔・サポート役」

 

 特徴: CD56の目印を「明るく(bright)」、つまり「たくさん」持っている細胞です。


 役割: 彼らの主な仕事は、敵を直接攻撃することよりも、**「サイトカイン」**という"作戦指令物質"を大量に放出することです。

これにより、他の免疫細胞(T細胞など)を呼び寄せたり、元気にしたりする「司令塔」や「サポート役」として機能します。

2. CD56 dim (ディム) NK細胞=「攻撃実行部隊・アタッカー」

特徴: CD56の目印が「暗く(dim)」、つまり「少ない」細胞です。NK細胞の大多数(約90%)はこちらです。

役割: 彼らは「実行部隊」であり、生まれつきの「アタッカー」です。がん細胞やウイルス感染細胞を見つけると、即座に直接攻撃し、破壊する能力(細胞傷害能)が非常に高いのが特徴です。

では、加齢は上記のような「チーム構成」をどのように変えるのでしょうか?

年を取ると、このNK細胞のチーム構成(サブセットのバランス)が変化することが知られています。

1.一般的に、高齢になると「司令塔」役の「CD56 bright NK細胞」は減少する傾向にあります 。一方で、「実行部隊」の「CD56 dim NK細胞」は増えることが示されています(参考6)。

 

司令塔である「CD56 bright  NK細胞」の減少は、サイトカイン産性能や免疫調節機能の低下をもたらし、免疫応答の初期段階や他の免疫細胞の活性化に影響します(参考7)

 

高齢者では「CD56 dim NK細胞」の増加と「CD56 bright NK細胞」の減少がみられ、NK細胞全体の免疫力は低下する傾向があります(参考8)

 

この理由は、「司令塔」である「CD56 bright NK細胞」が減ってしまいますと・・・サイトカインによる免疫システム全体の調整能力が低下してしまうからなのですね、

 

そのような状態になりますと・・・実行部隊「CD56 dim NK細胞」が多くあっても、適切な指示がなければ効率的に働けないことから、NK細胞のトータルの免疫力(活性)が低下してしまうのだそうです。

 

では100歳以上の長寿者「センテナリアン」や110歳を超える「スーパーセンテナリアン」と呼ばれる方の「NK細胞」は何かしらの変化が

「NK細胞」に起きているのでしょうか?

 

 

続きは・・・後日の話題にしたいと思います。

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>11月4日

 

今回は「NK細胞」についてのお話をさせていただきましたが、加齢によって、実は「NK細胞」は増加しているわけです。

 

それにも関わらず、NK細胞の持つ殺傷能力(活性)は、20歳前後が最も高く、その後は低下していくことが知られています。

 

                       (図はお借りしました)

 

このように「NK細胞」の活性が低下していくのとは逆に50歳前後から、癌の発症率が増加していくことも知られています。

 

よく話題になる「免疫老化(めんえきろうか)」ですが、「NK細胞」

も例外ではありません。

実は「NK細胞」といっても、均一な細胞ではなく、グループ分けられます。これを「サブセット」と呼びます。

 

どのような「サブセット」が存在するのかと言いますと・・・、これは、本文内でもご紹介しましたが、次のようなサブセットが新西します。

 

1) CD56dim (ディム) NK細胞=「実行部隊・アタッカー」


 CD56の目印が「暗く(dim)」、つまり「少ない」細胞です。NK細胞の大多数(約90%)はこちらであることは本文内でもお話をしたかもしれません。

 

彼らは「攻撃の実行部隊」であり、「がん細胞」や「ウイルス感染細胞」、そして「老化細胞」を見つけると、即座に直接攻撃し、破壊する能力(細胞傷害能)が非常に高いのが特徴です。

2)CD56bright (ブライト) NK細胞=「司令塔・サポート役」

CD56の目印を「明るく(bright)」、つまり「たくさん」持っている細胞です。
彼らの主な仕事は、敵を直接攻撃することよりも、「サイトカイン」という"作戦指令物質"を大量に放出することです。これにより、他の「免疫細胞(T細胞など)」を呼び寄せたり、それらの免疫細胞のパワーアップにしたりする「司令塔」や「サポート役」として機能することが知られています。

 

そして、実はもうひとつのサブセットが存在します、

 

3)CD57陽性NK細胞

 

「がん細胞」などを見つけると、即座に直接攻撃し、破壊する能力(細胞傷害能)が非常に高いCD56dim (ディム) NK細胞

がさらに成熟した細胞となりますが、

 

彼らは「攻撃の実行部隊」であり、ベテラン中のベテランとなりますが、「疲れ気味のベテラン」などと呼ばれたりもするようです。

 

「免疫老化」は、「NK細胞」にも例外ではないのですね。

 

ひとつは、上にご紹介した「サブセット」の割合が変化する可能性が指摘されています、

このことは、加齢により「NK細胞」の「チーム構成」が変化するなどとも表現されますが、その内容は次のようになります。

 

【1.】「司令塔」が減り、「ベテラン兵士」が増える

「司令塔・サポート役」であったCD56bright (ブライト) NK細胞が減り、「実行部隊・アタッカー」であるCD56dim (ディム) NK細胞

が増加するわけです。

 

これは、「NK細胞」の成熟過程なので、仕方がないことなのですが、

「司令塔」不在、「サポート役」不在の「アタッカー」ばかりになってしまうわけです。

 

そして、「サポート役」がいないので、「実行部隊・アタッカー」であるCD56dim (ディム) NK細胞は・・・「もう、疲れた」となってしまうわけです。

これが「疲れ気味のベテラン」と呼ばれるCD57陽性NK細胞というわけですね。

しかも、加齢により、「NK細胞」全体の動きが悪くなってしまうそうです。

「NK細胞」の基本的な性質は、血管内を自在に動き回り、「癌細胞」

などを破壊する「パトロール細胞」であるわけですから、動かないと話にはならない・・・というわけですね。

 

 

では、100歳を超えるような健康長寿(センテナリアン)の方々はどうなっているのでしょうか。

彼らのチーム構成が「若い頃に戻っている」のではないか?・・・と想像したりもするわけです。

つまり、一般の人よりもCD56brightNK細胞(=司令塔、ヘルプ役)が、多いのではないか?・・・ろ考えたわけです。

 

その答えは、そういった単純な"若返り"の証拠は限定的なのだそうです。

ここが最も重要な点ですが、彼らの特徴は「割合」という"量"よりも、細胞一つひとつの「機能」という"質"が若いことにあります [2]。

たとえチーム構成がベテラン兵士であるCD56dim (ディム) NK細胞になっていても、その兵士一人ひとりが持つ「攻撃力」や「仲間と連携する力」がしっかり保たれているのだそうです。

つまり、「健康長寿」の秘訣は、サブセットの「数」のバランスが若いことよりも、その「機能の質」を高く維持している点にある可能性が、最新の研究で示唆されているのですね、

 

健康長寿(センテナリアン)の方は別として・・・「NK細胞」の活性が加齢とともに低下するのは、、皆が、「実行部隊・アタッカー」であるCD56dim (ディム) NK細胞になり司令塔やサポートは必要ないと、己の身ひとつで戦いの出かけて・・・やがては、疲れてしまい

腰掛けながら、剣を振り回している「疲れ気味のベテラン」である

CD57陽性NK細胞が多くなっていくからなのですね。

 

それなら、これらの「NK細胞」を取り出し、ある環境下で培養したら、どうなるの?・・・という疑問が湧いてくるのですが、この話題は、またの機会の話題にしたいと思います

 

今回も、最後までお付き合いくださり

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1) Cells. 2022 Mar 17;11(6):1017.

Aging of the Immune System: Focus on Natural Killer Cells Phenotype and Functions

Ashiey Brauningら

 

2)Aging(Albany NY). 2025 Mar 26;17(3):798-821.

Decreased surface receptors, function, and suboptimal osteoclasts-induced cell expansion in natural killer (NK) cells of elderly subjects

Kawaijit Kaurら

 

3)Aging Res Rev. 2013 Sep;12(4):1069-78.

The impact of ageing on natural killer cell function and potential consequences for health in older adults

Jon Hazeldineら

 

4)Front Immunol. 2025 Apr 4:16:1565278.

Senescence, NK cells, and cancer: navigating the crossroads of aging and disease

Marina Gergessら

 

5)Anal Cell Pathol.. 2018 Aug 2:2018:7871814.

Effect of Aging on NK Cell Population and Their Proliferation at Ex Vivo Culture Condition 

Sellamuthu Subabanna Gounderら

 

6)Hum Immunology. 2010 Jul;71(7):676-81.

Variation of human natural killer cell phenotypes with age: identification of a unique KLRG1-negative subset

Richard P G Hayhoeら

 

7)Immuno Ageing. 2006 Nov 29:3:10. doi: 10.1186/1742-4933-3-10.

Ageing is associated with a decline in peripheral blood CD56bright NK cells

Shivani Chidrawarら

 

8)J innate Immun. 2011;3(4):337-43. 

Immunosenescence of human natural killer cells 

 Immaculada Gayosoら

 

 

 

 

 (雨の夜のBarの風景 ;レヴィータ&ザ・バー イルミード
/ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町)
 (筆者撮影)

 

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理事長・ 院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

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