こんにちは、内科医 ひとちゃんです![]()
新年明けましておめでとうございます。
旧年中は当ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。皆様からのコメントや応援のお言葉が、毎週の更新の大きな励みとなっております。
本年も読者の皆様にとって有益で、楽しんでいただける記事をお届けできるよう努めてまいります。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
皆様にとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
今回は、「内臓脂肪型肥満」や「動脈硬化」の改善に有効なのではないかと考えられている新規の治療について、お話をしてみたいと思います。
まずは、「iPS細胞由来エクソソーム」です。
2006年、山中伸弥博士の率いる京都都大学の研究グループによってマウスの「線維芽細胞」に4つの遺伝子を導入することで作成された「万能細胞」ですね。
2012年のノーベル生理学・医学賞を山中伸弥先生は、受賞されていますね。
現在では、ヒトでも「iPS細胞」は、作成され、さまざまな分野で臨床研究が進められているわけです。
この「iPS細胞」からも「エクソソーム」が放出されています。
この「iPS細胞由来のエクソソーム」の特徴として、間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソームと比較して細胞増殖能や抗老化能が高い傾向にあることが報告されています(参考1)。
動脈硬化に関連することとしては・・・血管内皮細胞」の老化を逆転させ、虚血部位の「血管新生」を促進する能力が優れていることが示唆されています。
さらに肺高血圧モデル細胞で、細胞老化関連表現型(SASP)の抑制したという報告もあります(参考2)。
次に『間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム』です。
についても、「動脈硬化」に関連する多くのデータが示されています。
「間葉系幹細胞」や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、非常に強力な「抗炎症作用」と「組織修復能」を持っていることが分かっています。
「間葉系幹細胞」や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の大きな特徴は、次のようになります。
内臓脂肪に浸潤している「M1型マクロファージ(炎症促進性)」を「M2型マクロファージ(抗炎症性)」へ転換させることができます(参考3)。
これにより、内臓脂肪から放出されるTNF-αやIL-6などの「炎症性サイトカイン」の産生が減少し、全身のインスリン抵抗性と動脈硬化の進展が抑制されることが報告されています。
さらに「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、miR-148a(マイクロRNA-148a)を肝臓に届けることによって肝線維症(肝硬変)から保護することも分かっています。
miR-148aは、肝内マクロファージの機能を調節し、肝線維症の潜在的な治療効果を示すのだそうです。
また、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、miR‑let‑7/IGF2BP1/PTEN 経路を介して、アテロームプラーク内のマクロファージの浸潤と生存を減少させる可能性があり、プラーク炎症負荷低下につながる可能性が示されています(参考4)。
つまり、プラークの安定性を保つと考えてよいかもしれませんね、
ここまでをみると、「動脈硬化」の根本的な問題は、「血管内皮細胞」の障害であり、その一部は「血管内皮細胞」が老化細胞に変化することです。
としますと・・・「iPS細胞由来のエクソソーム」は、「血管内皮細胞」の老化スピードを低下させ、虚血部位の「血管新生」を促進する能力が優れていることが示唆されています。
さらに炎症性サイトカインを放出させる「SASP」を改善させることは、「動脈硬化」の進行を緩やかにする可能性があります。
一方で、「内臓脂肪型肥満」の存在は、「動脈硬化」を進行させるとされていますが、「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」は、
内臓脂肪に浸潤している「M1型マクロファージ(炎症促進性)」を「M2型マクロファージ(抗炎症性)」へ転換させ、その結果として、
「炎症性サイトカイン」を減少させます。
このことは、その結果として「動脈硬化」の進展を抑制させる効果が期待できるわけですね。
「iPS細胞由来のエクソソーム」と「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の両者を見てみると、どちらも、研究論文が、少ないのが現状です。
しかしながら、現時点では作用機序は異なるものの、「動脈硬化」の進展に一定の効果が期待できる可能性があると言えるかもしれませんね。
次に「NAD+」や「NMN」、そして、「高濃度ビタミンC点滴」の「動脈硬化」に対する効果はあるのか?・・・と疑問が湧いてくるわけですが、これらについては、後日の話題にしたいと思います。
素敵な1週間をお過ごし下さい![]()
それでは、また![]()
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< ブログ後記> 1月6日
2026年が始まり、1週間程度になりますね。
正月には雪も降りました。
日本最古の歌集とされる「万葉集」には、正月の雪を「吉事が重なるしるし」として喜ぶ和歌があります。
その和歌は、大伴家持という歌人の和歌で
「新しき年の初めの初春の 今日降る雪の いやしけ吉事」
というものがあります。その意味は
「新年の今日、降りしきる雪のように、良いことがますます重なりますように」となりますね。
「正月一日」の宴で詠まれたことが示されていますが、正月の雪を表現しているといってもよいかと思います。
さて、本題に入りますと・・・「肥満」とくに「内臓脂肪型肥満」は、慢性炎症を介して「動脈硬化性心血管疾患」を惹起する
中心的病態であると言えます。
これに対して、通常の治療以外の「新規治療」の可能性、また、治療の補助となるものはないか・・・というのが、今回の話題ですね。
本文内では、「iPS細胞由来のエクソソーム」と「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」について、お話をしたわけですが・・・その他にも「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」と
「NAD+((ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」、「高濃度ビタミンC点滴」などにその効果があるのではないかとされているわけですね。」
まず、「NMN」ですが、マウスでは、「NMN』の投与により、以下のことが報告されています。
それは、加齢に伴う内皮機能低下と大動脈硬化(スティフネス)がほぼ正常化し、血管内皮細胞に依存する血管拡張、NO依存性拡張、脈波伝播速度、弾性率が改善したという報告があります(文献5)
また、同様にマウスによる動物実験ですが、NMNは大動脈内皮炎症(ICAM‑1, vWF)を抑え、アンジオテンシンII誘発の内皮機能障害を防ぎ、NO依存性血管拡張を回復させたという報告もあります文献6)。
ヒトでは、大規模な臨床試験は行われていないこともあり、残念ながら、現時点で「動脈硬化」そのものを改善させたという報告はないようです。
しかしながら、「NAD⁺前駆体(主にニコチン酸)」は、ヒトで
LDL-C・TG低下、HDL上昇など「脂質プロファイル」を有意に改善し、「動脈硬化」のリスク低減につながる可能性が示されています(参考7) 。
NR(ニコチンアミド・リボシド)は、NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)と同様に体内で、「NAD+」に変換される前駆体ということになりますね。
これらのNAD+前駆体は、グルコース、及び、脂質代謝の改善、加齢に関連する疾患の予防や加齢に伴う慢性炎症の軽減などの潜在的ば可能性が高いと報告されています(参考8)。
さらにヒトデータは、まだ前臨床レベルではあるのですが、「NMN」や「NAD+」の投与により、
血管壁を構成する細胞のミトコンドリアの機能回復と抗酸化力をアップさせることが確認されており、今後、新しいデータが報告される可能性が高いと考えられます。
次に「高濃度ビタミンC 点滴療法」ですが、「動脈硬化」の予防にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
「高濃度ビタミンC点滴療法」は、経口摂取では到達できない血中濃度を達成できるという利点があります。
しかし、「動脈硬化」の「治療」としてのエビデンスレベルは、NAD+前駆体やエクソソーム療法と比較すると、相対的に弱いと考えられています。
「ビタミンC」は、内臓脂肪やそれによの病態そのものを根本的に変えるというよりは、急性的な酸化ストレスの軽減や既存の治療法への補助として位置づけるのが妥当であると考えられているようです(参考9)。
しかし、大規模臨床試験において、「ビタミンC」単独投与が心血管イベントを有意に減少させたという確固たるエビデンスは得られていないといえます。
実際に多くの「高濃度ビタミンC点滴療法」の論文に目を通してみても、主にがん補助療法として研究されており、抗腫瘍効果や抗酸化・抗炎症などが議論されています(参考10)
確認されているのは・・化学療法の効果を高め。その副作用を軽減することになります。
しかしながら、「動脈硬化」の進行抑制や改善するという報告は、やはり、見当たりませんでした。
上記に述べたことから、「NMN」や「NAD+点滴」と併用する形で、「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の投与か、或いは、「iPS細胞由来エクソソーム」のどちらか、或いは、「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の投与」と「iPS細胞由来エクソソーム」の併用療法が、
内臓脂肪の機能正常化と血管壁の生物学的若返りを同時に達成するための極めて合理的な戦略であるとする報告も幾つかありました。
いずれにしても、単独ではなく、これらの中から併用していくことが有用であると考えて良いのかもしれなせんね。
あくまでも・・・現時点の報告からは・・・ということになるわけですがね。
今回も最後までお付き合いくださり
誠にありがとうございました![]()
参考)
1) J Transel Med. 2015 Feb 1:13:49.
Exosomes released from human induced pluripotent stem cells-derived MSCs facilitate cutaneous wound healing by promoting collagen synthesis and angiogenesis
Jieyuan Zhangら
2)Circulation、Vol 148 Number Suppl 1
Abstract 14923: Induced Pluripotent Stem Cell Derived Endothelial Progenitor Cells Attenuate Pulmonary Arterial Hypertension
Wei -Chun Huangら
3) Stem Cell Res Ther 2025 Feb 21;16(1):74.
Huc-MSCs-derived exosomes alleviate non-alcoholic steatohepatitis by regulating macrophages polarization through miR-24-3p/STING axis
Wel Jiangら
4)Stem Cell Research & Therapy.2025.16
Mesenchymal stem cells derived exosomes: a new era in cardiac regeneration
Hossein Rayat Pishehら
5)Aging Cell. 2016 Jun;15(3):522-30.
Nicotinamide mononucleotide supplementation reverses vascular dysfunction and oxidative stress with aging in mice.
Natalie E de Picciottoら
6)Biochem Pharmacol . 2020 Aug:178:114019.
Reversal of endothelial dysfunction by nicotinamide mononucleotide via extracellular conversion to nicotinamide riboside
Łukasz Mateuszukら
7)Nutr Metab (Lond) . 2022 Mar 18;19(1):20.
Effects of NAD+ precursor supplementation on glucose and lipid metabolism in humans: a meta-analysis
Ou Zhongら
8)Endocr Rev . 2023 Nov 9;44(6):1047-1073.
Nicotinamide Adenine Dinucleotide in Aging Biology: Potential Applications and Many Unknowns
Shalender Bhasinら
9)J Am Coll Nutr. 2003 Feb;22(1):18-35.
Vitamin C as an antioxidant: evaluation of its role in disease prevention
Sebastian J Padayattyら
10)J Exp Clin Cancer Res. 2021 Oct 30;40(1):343.
High-dose intravenous vitamin C, a promising multi-targeting agent in the treatment of cancer
Franziska Böttgerら
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理事長・ 院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
(新潟大医学部卒)
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<今週、なんとなく聞いてみたい曲>
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◯Zoomを用いた遠隔医療相談を始めました(内科関連疾患)
◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。
◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。
◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)
自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。
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