こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

8月も終盤(しゅうばん)になっていますね。

暦(こよみ)の二十四節気(にじゅうしせっき)では、

「処暑(しょしょ)」となっています。

 

「処暑(しょしょ)」という言葉の意味は、厳しい暑さが和らぎ(やわらぎ)、秋の訪れを感じ始める頃という意味であるそうですが・・・

まだまだ、厳しい暑さは続きそうですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか? 

 

        (AIで画像を作成)

 

さて、今回は「iPS細胞」からのエクソソームが「老化細胞」を

正常細胞にもどすというマジックのようなお話をしてみたいと思います。

 

とうとう、暑さで頭がやられてしまったのだなあ〜と私のことを気の毒に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね笑い泣き

 

実は、これは本当のことなのですね。話を始める前に「iPS細胞由来のエクソソーム」、つまり、「iPS細胞」から放出されている「エクソソーム」には、そのような物質が含まれているのか?・・・をまず、ご説明しておきたいと思います。

 

在の研究により、iPS細胞由来のエクソソームには多様な生物学的活性分子が含まれていることが明らかになっています。

以下、主要な分子カテゴリーごとに分けて、書き出してみたいと思います。

 

1マイクロRNA(miRNA)

 

主要なマイクロRNA群

 

1)miR-302ファミリー

  • miR-302a-5p、miR-302b-3p、miR-302d-3p
  • 作用機序: 多能性維持、細胞周期制御、アポトーシス抑制
  • 標的遺伝子: TGF-β経路、PI3K/AKT経路の制御
  • 治療効果: 心筋保護、再生促進、炎症抑制 

2)miR-21-5p

  • 作用機序: SORBS2、PDLIM5を標的とした心筋肥大制御
  • 機能: 抗アポトーシス作用、血管新生促進
  • 臨床意義: 心筋梗塞後の心機能回復に寄与

3)miR-92a

  • 作用機序: 内因性抗アポトーシス経路、血管新生促進経路、抗線維化経路の活性化
  • 効果: 左室駆出率改善、心筋細胞生存率向上

miR-372-3p、miR-371a-5p

  • 特徴: hiPSC由来エクソソームで高発現
  • 機能: 細胞周期制御、代謝制御に関与

 

2.転写因子とタンパク質

 

多能性関連転写因子

 

OCT4、SOX2、NANOG:

  • 存在確認: iPS由来エクソソーム内でmRNA及びタンパク質として検出
  • 機能: 多能性維持シグナルの伝達
  • 作用機序: 受容細胞の分化可塑性向上
3.細胞周期制御タンパク質
 
1)MCM5、PCNA1、CDK1:
  • 発現パターン: iPS細胞由来エクソソームで高発現
  • 機能: DNA複製、細胞増殖促進
  • 臨床意義: 組織再生、損傷修復の促進 
4.熱ショックタンパク質
 
HSP20、HSP27、HSP60、HSP70、HSP90:
  • 作用機序: TLR4シグナリング活性化 → ERK1/2、p38MAPK経路活性化
  • 機能: 血管新生促進、細胞保護効果
  • 治療効果: 虚血再灌流障害に対する保護作用
5.成長因子とサイトカイン
 
VEGF、FGF、PDGF:
  • 機能: 血管新生、細胞増殖促進
  • 経路: PI3K/AKT、MAPK経路を介した細胞保護
6. エクソソーム特異的マーカータンパク質
 
1)CD9、CD63、CD81:
  • 機能: 標的細胞への特異的結合、取り込み効率向上
  • 作用機序: インテグリン介在性細胞接着

2)TSG101、Alix:

  • 役割: エクソソーム形成・分泌制御
  • 意義: エクソソームの品質管理
7. 代謝関連酵素とシグナル分子
 
1) 代謝制御酵素
  • 解糖系酵素群: グルコース取り込み促進、ATP産生向上
  • 作用機序: 虚血条件下での細胞エネルギー代謝改善
  •  

2(抗酸化酵素

  • SOD、カタラーゼ、GPX系酵素
  • 機能: 酸化ストレス軽減、ROS除去
  • 治療効果: 虚血再灌流障害の軽減
8 長鎖非コードRNA 
 
1)H19、HOTAIR:
  • 機能: miRNA-29b-3pとの結合による心筋リモデリング制御
  • 作用機序: エピジェネティック制御を介した遺伝子発現調節
9. 環状RNA(circRNA)
 
circ-Stt3b:
  • 作用機序: miR-15a-5p/GPX4軸を介したフェロトーシス抑制
  • 効果: 細胞死抑制、炎症軽減
10.脂質成分
 
スフィンゴミエリン、コレステロール:
  • 機能: エクソソーム膜安定性、細胞膜融合効率向上
  • 作用機序: 膜タンパク質機能の最適化
などとなるわけですね(参考1,2)
 

          (AIで画像を作成)

 

上記のような多くの物質を含むことから、IPS細胞は、以下のような

医療への応用が期待されているわけです。

 

【1】心血管疾患治療(参考3)

  1. 血管新生促進: VEGF/Angiopoietin経路活性化
  2. 抗炎症効果: NF-κB経路抑制
  3. 抗線維化作用: TGF-β経路調節

 

【2】神経保護効果(参考4)

  1. 神経栄養因子産生促進: BDNF、GDNF発現向上
  2. シナプス可塑性向上: CREB経路活性化
  3. 神経炎症抑制: ミクログリア活性化抑制

【3】組織再生促進

  1. 幹細胞活性化: 内因性幹細胞の動員・活性化
  2. 細胞分化誘導: 特異的分化因子の供給
  3. 細胞外マトリックス再構築: コラーゲン合成調節

 

さて、ここまでご説明したところで(少し長すぎましたが・・・)

 

なぜ、皮膚の真皮層に存在する「老化細胞」が「iPS細胞由来のエクソソーム」の投与により「正常細胞」に一部は戻る(もどる)ことができるのでしょうか?

 

「老化細胞」についての一般的な話題は、次のようなものでしたね。

 

細胞分裂をするたびに「テロメア」が短くなる。

ある時点で、それ以上は分裂ができない「ヘイフリックの限界」という状態まで「テロメア」が短くなることにより、細胞分裂は止まるわけです。

細胞分裂ができなくなった細胞は、一部は「アポトーシス(プログラムされた細胞死)」を起こしますが、残った細胞は「老化細胞」になる。

 

「老化細胞」は、炎症性サイトカインを放出する「SASP(老化関連分泌表現型)」となり、周囲の細胞を障害して、それらを「老化細胞」化するという性質を持つ。

 

このことから、「老化細胞」には「ゾンビ細胞」という異名(いみょう)もありましたね。

 

この話からすると・・・「老化細胞」を「正常細胞」に戻すことなど、「夢のまた夢」のお話に聞こえるかもしれませんね。

 

皮膚真皮層の「線維芽細胞」の「老化細胞」は、以下のように分類できることが知られています(参考5.6)

 

1) 複製老化(Replicative Senescence)

  • 原因: テロメア短縮によるヘイフリック限界到達
  • メカニズム:
    • テロメア長が臨界的短縮(約4-6kb以下)
    • ATM/ATR→p53→p21経路活性化
    • Rb経路による細胞周期停止
  • 特徴: 正常な生理的老化プロセス
2. 早期老化(Premature Senescence)
    「途中で遺伝子学的異常」に相当し、さらに細分化されます。
     
    a)ストレス誘導性老化(SIPS :Stress-induced Premature Senescence)
    • 原因:酸化ストレス、UV照射、化学物質暴露(ばくろ)
    • メカニズム: DNA損傷→p53/p21経路またはp16/Rb経路

    b)顔遺伝子誘導性老化(OIS ;Oncogene-induced Senescence)

    • 原因: RAS、MYC等の癌遺伝子活性化
    • メカニズム: 異常増殖シグナル→p16/Rb、p53/p21経路

    c) DNA損傷応答性老化

    • 原因: 電離放射線、化学変異原による直接的DNA損傷
    • メカニズム: ATM/ATR→Chk1/Chk2→p53経路
     
    3)エピジェネティック老化
    • 原因: ヒストン修飾、DNA メチル化パターンの異常
    • メカニズム: クロマチン構造変化による遺伝子発現制御異常
     
    以上のように「老化細胞」として、炎症性サイトカインを放出する「SASP(老化関連分泌表現型)」となっていることに変わりはないのですが、「老化細胞」となっている理由は、テロメア短縮による「ヘイフリック限界」に到達したものばかりではないというわけです、
     
    上記の「早期老化」や「エピジェネティック老化」のメカニズムで「老化細胞」になったものについては、「iPS細胞由来のエクソソーム」の投与により、「正常細胞化」できる可能性があるということになりますね。
     
    JTKクリニックでは、「NK細胞」を用いての「老化細胞」を除去する「抗老化医療」の施行を目指しているわけですが、
    あまり「老化細胞」を破壊しすぎると・・・以前にブログ内でもお話をしたように血行障害が出現したり、皮膚であれば、その構造を破壊しすぎてしまうことがネックになっています。
     
    今回、当院では米国でもがんに関連する第3相試験が行われている「リプロセル社」」のiPS細胞からのエクソソームを使用する機会を得ましたので、同社の「iPS細胞由来のエクソソーム」を用いて、「老化細胞」を可能な限り減らしてから、「NK細胞」で「老化細胞」を破壊しるという治療が、同社との協力のもと、確立できたらよいな〜と考えています。
     
    素敵な 1 週間をお過ごしくださいキラキラ
     
    それでは、またバイバイ
     
    -----------------------------------------------------------------

    <ブログ後記 > 8月26日

     

    8月も残りが少なくなってきましたね。

     

    夏もそろそろ、終わりか・・・なんて言葉も頭に浮かんだのですが

    実際には、東京都心の最高気温が35.1℃に達し、年間猛暑日(ねんかんもうしょび)の日数は22日目となったそうです。

     

    この年間猛暑日の日数は、2023年の過去最多記録に並んだそうです。これで猛暑日が終わるとは思えないので、今年は「過去最多の猛暑日があった」と記録されるかもしれません。

     

    今回は「老化細胞」が生じる原因は、テロメアの長さがそれ以上は分裂できなくなる理由ばかりではなく、複数のメカニズムが存在することについて、お話をさせていただきました。

    そのメカニズムの違い(ちがい)とは関係なしに、一旦(いったん)「老化細胞」に変化してしまえば・・・「SASP(老化細胞分泌表現型) 」という状態になります。

     

    「SASP」とは、「老化細胞」が分泌するタンパク質が変化し、「炎症性サイトカイン」、「成長因子」、「プロテアーゼ」などを大量に分泌するなど「老化細胞」に特有の現象となります。


    これらの「分泌物質」が、周囲に存在する「正常細胞」に以下の影響を与えることがわかっています。

    ◎慢性炎症の誘発

    IL-6、IL-8、TNF-αなどの炎症性サイトカインにより、組織の慢性炎症状態を引き起こします。


    この炎症性サイトカインは、「正常細胞」の機能低下や損傷を招き、周囲の正常細胞も老化細胞化させる「老化の伝播(でんぱ)」現象」を起こすとされていますよね。

    これにより組織全体の「老化」が加速されていくと考えられているわけです、

    「IPS細胞由来エクソソーム」の投与により、「老化細胞」が「正常細胞」に戻る可能性があるのではないか・・・ということになります。

     

    しかしながら・・・「老化細胞」のうち、テロメア短縮により「ヘイフリックの限界」となり、それ以上の分裂はできない「老化細胞」は難しいわけですが・・・。


    実は・・・厳密(げんみつ)にお話すると「正常細胞」に戻すというのは・・・かなりの「誇大表現(こだいひょうげん)」であるという研究者もいます。

     

    では、どのような表現が正しいのか?・・・と言いますと

    「老化細胞」の部分的な機能改善効果であるといった方が正確なのではないかというのですね。

     

    いったい、どのようなことかと言いますと・・・次のようになります。

     

    「ヒト皮膚線維芽細胞」について、具体的に検証してみると、次のようになります。


    「iPS細胞由来エクソソーム」が、「ヒト皮膚線維芽細胞」において、

    どのような効果を持つ可能性があるのか?

    というのは、2018年の論文で、次のように示されています(参考7)


     

    この論文では、iPS細胞由来のエクソソームが、加齢した「ヒト真皮線維芽細胞(HDF)」への影響を調べています。その結果、

     

    【1】「老化関連βガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)」の発現レベルを有意に減少させることが確認できたというのですね。

     

     この論文の詳細な内容を確認しますと、次のような内容となります。「光老化」の実験もされているのですが・・・自然老化を誘導するため、真皮層の線維芽細胞30回以上の継代培養したという実験したのですね。

     

    特定のmRNA発現レベルは定量的リアルタイムPCR(qPCR)で評価した。自然老化のマーカーとして老化関連の「β-ガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)活性」を測定しています。

     

    そして、「iPS由来のエクソソーム(iPSCs-Exo)」を加えて、老化した線維芽細胞の変化を確認したわけです。

     

    その結果、「iPS由来のエクソソーム(iPSCs-Exo)」老化した線維芽細胞において「SA-β-Gal」および「MMP-1/3」の発現レベルを著しく低下させ、「I型コラーゲン」の発現を回復させることを実証したというわけです。

     

    下の図の「A」の左の写真は、若い時の線維芽細胞を示しており

    中央が「老化」した「線維芽細胞」になるわけですが、青く染まっているのが「SA-β-Gal」という

    老化細胞の指標となります。右の写真は、中央の老化細胞の散在していたサンプルに「iPS由来のエクソソーム(iPSCs-Exo)」を加えて、培養した後のものです。

    右の写真では、わかりにくいかもしれませんが、青く染まっている細胞が減少しており、老化細胞が減少していることが確認できたという結果になっています。

     

    下の図の「B」の図は、黒く示されているのが「SA-β-Gal」が強く発現している「老化細胞」の割合を示しており、灰色の部分は、「SA-β-Gal」が中等度発現している「老化細胞」を示しています、

     

    そして、左の写真は、若い時の線維芽細胞を示しており、「SA-β-Gal」は発現しておらず、老化細胞」がないことが確認できます。

    中央が「老化」した「線維芽細胞」になるわけですが、「SA-β-Gal」が強く発現している「老化細胞」と「SA-β-Gal」が中等度発現している「老化細胞」が混在しているのが確認できます。

     

    そして、右のグラフは、右のグラフは、中央で示した「老化細胞」の散在していたサンプルに「iPS由来のエクソソーム(iPSCs-Exo)」を加えて、培養した後のものです。

     

    その結果、「iPS由来のエクソソーム(iPSCs-Exo)」を加えますと、驚くことに・・・

    「SA-β-Gal」が強く発現していた「老化細胞」と「SA-β-Gal」が中等度発現していた「老化細胞」の割合が減少することが示されています。

     

     

    その他のデータとして


    【2】MMP-1/3(マトリックスメタロプロテアーゼ)発現を抑制し、


    【3】「コラーゲンタイプI」の発現を回復させる

     

      ことが実証されています(参考7)。

     

    ここで、ちょっと復習(ふくしゅう)しておきますと・・・
    「ヒト皮膚線維芽細胞」が、「老化細胞」に変化した主要な指標は、

    1. SA-β-Gal(老化関連βガラクトシダーゼ)の上昇

    SA-β-Galは最も信頼性の高い細胞老化のマーカーです
    正常細胞では低発現ですが、老化細胞では著明に上昇します

    2. MMP-1/3(マトリックスメタロプロテアーゼ)の発現増加

    MMP-1:コラーゲンⅠ型・Ⅲ型を分解する主要酵素
    MMP-3:多様な細胞外マトリックス成分を分解

    老化細胞ではSASPの一環としてMMPが過剰産生され、周囲の組織構造を破壊することが知られています。

    3. コラーゲンタイプⅠの発現低下

    コラーゲンタイプⅠは皮膚の主要構造タンパク質(全コラーゲンの約80-90%)であり、
    老化に伴い合成能力が低下し、同時にMMPによる分解が亢進(こうしん)します。
    この結果、皮膚の弾力性と強度が失われるわけですね。

    ・・・ことになります。

    上記の事象は、「ヒト皮膚線維芽細胞」が確実に「老化細胞」化していることを示す確定的な証拠といえます。

     

    逆に、先ほどの「iPS細胞由来エクソソーム」は、これら全ての指標を改善方向に導くため、抗老化効果があると評価されているのですね(参考7)

    その他の多くの研究結果から、「iPS細胞由来エクソソーム」は、老化細胞を完全に正常細胞に戻すことはできない可能性もあるものの、老化の進行を遅延させ、一部の機能を改善する効果があると考えられます。
     

    具体的には、以下のことがわかっています。


    ○老化細胞のマカーーカー(SA-β-Gal)の発現減少以外に

    ○コラーゲン産生の回復 

    ○炎症性サイトカイン分泌(IL-1α、IL-6、TNF-α)の減少 

     

    ○細胞増殖能力の部分的回復 

    ○p53-p21経路の抑制により、細胞周期停止が解除される

                 →細胞が増殖する 

    ○DNA修復能力の向上  

    ○エラスチンやヒアルロン酸の産生が促進される

    ○組織再生能力の回復 

    ○真皮の厚さと弾性の回復する

     (老化細胞が多くなると、真皮層は薄くなり、弾性は低下します)

    などが実際に報告されていルわけですね(参考8.9)、


    「iPS細胞由来エクソソーム」の投与により、「老化」の改善された

    線維芽細胞の機能は、数週間から数ヶ月間持続することや

    また、(細胞移植と異なり、エクソソームは複製能を持たないため)腫瘍化のリスクが低いことが確認されています。

    さらに、「iPS細胞由来エクソソーム」には、PRDX1とPRDX2などという抗酸化酵素が高濃度で含まれています


    これらのPRDXは、「老化線維芽細胞」に直接送達され、細胞内の「活性酸素(ROSなど)」の発現レベルを劇的に低下させることが知られているのですね。

    老化した線維芽細胞では、通常PRDXレベルが低下していますが、エクソソーム投与により内因性の「抗酸化能力」が回復します。
     

    この直接的な酵素補充により、DNA損傷マーカー(γH2AX)の減少や細胞増殖能の回復が起こることが確認されています(参考10)。

    これらの結果は、私個人は、驚くべきことであると思うのですが・・・やはり「完全な若返り」ではなく、「老化」の進行抑制と機能の部分的改善」として理解するのが適切であるかのもしれませんね。

     

    ただし、実際に「老化細胞」を除去する際には、組織全体の「老化細胞」を一定期間、減少させることが可能であることは、

    何らかの「老化細胞除去療法」を行う際には、一度に大量の「老化細胞」が破壊(アポトーシス)されることを防ぎ、「組織の損傷」や「機能障害」が生じることを防ぐ方法になり得る・・・のではないかなんて思います。

     

    またまた、長文になってしまいましたね。

     

    今回も最後までお付き合いいただき

    誠にありがとうございましたお願い

     

     

    参考)
    1) Stem Cell Res Ther. 2022 Sep 5;13(1):449.
    Systemic proteomics and miRNA profile analysis of exosomes derived from human pluripotent stem cells
    Youkun BIら
     
    2) Circ Res. 2017 Jan 20;120(2):407-417. 
    Exosomes Generated From iPSC-Derivatives: New Direction for Stem Cell Therapy in Human Heart Diseases

    Ji-Hye Jungら

     

    3) J Extracell Vesicles. 2020 Aug 26;9(1):1809064.

    Extracellular vesicles from human iPSC-derived neural stem cells: miRNA and protein signatures, and anti-inflammatory and neurogenic properties

    Raghavendra Upadhyaら

     

    4)Inflamm Regen. 2022 Apr 2;42(1):11.

    The roles and mechanisms of senescence-associated secretory phenotype (SASP): can it be controlled by senolysis?

    Naoko Ohtaniら

     

    5)Front Cell Dev Biol. 2021 Mar 29:9:645593. 

    Mechanisms of Cellular Senescence: Cell Cycle Arrest and Senescence Associated Secretory Phenotype

    Ruchi Kumanら

     

    6)Int J Med Sci. 2018 Jun 9;19(6):1715.

    Exosomes Derived from Human Induced Pluripotent Stem Cells Ameliorate the Aging of Skin Fibroblasts

    Myeongsik Ohら

     

    7)Int J Mol Sci. 2018 Jun 9;19(6):1715.

     Exosomes Derived from Human Induced Pluripotent Stem Cells Ameliorate the Aging of Skin Fibroblasts
    Myeongsik Oh ら

     

    8)Stem Cell Res Ther. 2019 May 21;10(1):142.

     Human embryonic stem cell-derived exosomes promote pressure ulcer healing in aged mice by rejuvenating senescent endothelial cells
    Bi Chen ら

    9)Cell Metab. 2025 Feb 4;37(2):527-541.
    Exosomal miR-302b rejuvenates aging mice by reversing the proliferative arrest of senescent cells
    Youkun Bi ら

     

    10) Cells. 2021 Jul 12;10(7):1763.
    Extracellular Vesicles under Oxidative Stress Conditions: Biological Properties and Physiological Roles
    Elisabetta Chiaradia ら


            (筆者撮影)

     =================================

     院長  

    小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

    医学博士, 内科医

    (総合内科、リウマチ専門医)

    (新潟大医学部卒)

     

     

     

    image

     

     Instagram

     

     

     

     <今週、なんとなく聞いてみたい曲>


     

     =====================

    <JTKクリニックからのお知らせ>

     

    ◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

     

    ◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

    ◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

     

    ○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

     

     

    <JTKクリニック 所在地>

    〒102-0083

    東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

    電話 03-6261-6386

    Mail:info@jtkclinic.com

    =================================

     

    こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

     

    「お盆」の期間も終わり、暦の二十四節気では「立秋(りっしゅう)」にもなっているわけですが、相変わらずの暑さになっていますね。

     

    なぜ、これほどまでに暑いのか?・・・と考えていたのですが、その原因のひとつは、「地球温暖化」による気温の底上げ(そこあげ)であり、もうひとつは、「ラニーニャ現象」が日本付近で起きていることや、太平洋高気圧とチベット高気圧が重なる(かさなる)「ダブル

    高気圧」の状態になっているのが要因なのだとか。

     

    なので、今後も九州から関東を中心に猛暑日(もうしょび)のところ

    が多くなるそうです。

     

    引き続き、「熱中症」の予防には、心がけていく必要がありそうですね。

     

    皆さまの体調は、いかがでしょうか?

     

              (AIで画像を作成)

     

    さて、今回は、少しだけ不思議な話題をご紹介したいと思います・・・と言っても夏の「怪談話(かいだんばなし)ではありません。

     

    それは、「高血糖」の状態が長く続きますと・・・「免疫力」は低下しし、疲れやすくなる可能性があるのではないか?・・・というお話です。

     

    「糖尿病」になって、適切な治療を行われなければ・・・それは、免疫力だけではなく、眼底の網膜病変や末梢神経障害、そして、腎不全

    などが起きてくるに決まっている・・・と怒る(おこる)方もいらっしゃることと思います。

     

    そのとおりですね。ただし、今回の話題にしたいのは、次のような

    ケースになるかもしれません。

     

    例えば・・・「健康診断」を行ったところ、「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」の値が、わずかに6.5%をこえていて、「2型糖尿病」があると

    判断された方、また、「HbA1c」が6.5%よりは低い6.3%であり、

    「2型糖尿病の境界域」であると判断された方の話となります。

     

    ちなみに「HbA1c」の値は、約1~2ヶ月間の「血糖値」の平均的な状態を示す指標です。

    また、「2型糖尿病」とは、一般的に「糖尿病」と呼ばれているものになります。

     

    これらのケースでは、おそらく食事療法を行って、食事の摂取カロリーを減らし、適度な運動を行ってください・・・と言われることが多いと思います。

     

    もちろん、「食事療法」を積極的に行い、その後、「HbA1c」の値が正常化する方は、まったく問題はありません。

     

       (AIで画像を作成)

     

    問題になるのは・・・いっこうに「HbA1c」の値が、改善していかない方となります。

     

    「次回はデータが良くなるように頑張る(がんばる)ので、その値が悪ければ、お薬を服用したい」・・・と強い決意を口にしながら、

    その次のデータを確認しても、改善がないという方もいらっしゃいます。

     

    「有言実行(ゆうげんじっこう)」ではなく、まさに「有言不実行(ゆうげんふじっこう)」ですね」・・・などと患者さんと一緒に笑っているうちは良いのですが・・・それでは、このモヤモヤした状態

    をいつまで続けるのか?・・・と私自身も実際の診療の中で悩んだ(なやんだ)ことがあります。

     

    やっと、ここからが「本題」になるのですが・・・最近の研究結果から、

    驚くべきことが明らかになっているのですね。それは、次のようなことになります。

     

    実は、「高血糖」の状態は、これまでの「糖尿病」の臨床的な常識(じょうしき)の範囲をはるかに超える「分子レベルの破綻(はたん)」を引き起こすことが明らかにされているのですね。

     

    「分子レベルの破綻」とは、大袈裟(おおげさ)だなあ〜と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

     

    その内容を見てみると・・・「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の枯渇(こかつ)」、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の機能不全、「サーカディアンリズム(概日リズム)」の乱れ、さらに

    「免疫破綻(めんえきはたん)」を

    結びつける「病的なネットワーク」が形成されることが分かってきているのですね。

     

    この「病的なネットワーク」の形成が開始されるのは、血糖値が

    100–125 mg/dLの範囲であっても、測定可能な「代謝破綻」が始まるということもエビデンスとして確認されているのだそうです。

     

    ちなみに血糖値の正常範囲は、空腹時血糖値::70~109mg/dLです。

     

    つまり、上記のことから考えると・・・先に例として示した

    「HbA1c」値が、6.5%をこえていて、「2型糖尿病」があると

    判断された方、そして、「HbA1c」が6.5%よりは低い6.3%であり、

    「2型糖尿病の境界域」であると判断された方の両者において、

    「分子レベルの破綻」や「代謝レベルの破綻」が生じている可能性が高いと考えられることから、積極的な治療などを施行していく必要であると考えられているのだそうです。

     

    その詳細なメカニズムについては、後日の話題にしたいと思います。

     

    素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

     

    それでは、またバイバイ

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    <. ブログ後記  >   8月19日

     

    今回は、何とも不思議な話と思える方もいっらっしゃるのではないかと思います。

    いわゆる「2型糖尿病(以下は糖尿病)」の血糖コントロールが悪いと、網膜症や腎障害、神経障害などを起こすことが常識であって、例えば「糖尿病境界域」などの内服治療が必要のない段階で、既に臓器障害が始まっていると言われたら、驚く(おどろく)方も多いかもしれません。

     

    それなら・・・「糖分」を摂取しなければ良いのか?・・・というと、そうではありません。

    なぜなら「糖分(主にグルコース)」は人体にとって以下の理由で必要不可欠なものなのですね。

     

    その理由は、「糖分」は体内で最も効率的に利用できるエネルギー源だからですね。

    食事から摂取した「糖質」は消化・吸収されてグルコースとなり、細胞内で「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギーに変換されます。この「ATP」は、歩く、話す、考えるといったあらゆる生命活動に使われています。

    また、脳の活動にも「糖(グルコース)」は重要です。

    脳は通常、グルコースをほぼ唯一のエネルギー源として利用しており、この脳が正常に機能するためには、1日約120gのグルコースが必要不可欠であると考えられています。

    さらに筋肉を使っての運動に必要です。

    運動時、筋肉は筋グリコーゲン(糖の貯蔵形態)を分解してエネルギーを得ます。特に短時間の激しい運動では、「糖(グルコース)が主要なエネルギー源となるわけですね。

     

    この「糖(グルコース)」の血液中の量を示すものが「血糖値」ということになるのですが、ヒトの身体は、この「血糖値」一定範囲(約70-110mg/dL)に保つ仕組みを持っています。

     

    この仕組みとは、インスリンやグルカゴンなどのホルモンによって精密に調節されていrうわけですね。

     

    ただし、現代の食生活では糖分の過剰摂取が問題となることが多いとされています。

     

    糖分の過剰摂取の状態が続くと・・・

    過剰な「糖分(グルコース)」は体内で「中性脂肪(TG)」に変換されて蓄積されます。さらに「糖分(グルコース)」の摂取を続けますと、内臓脂肪の蓄積は、急速な体重増加が起こります。

     

    また、長期的な「糖分(グルコース)」の過剰摂取は、「インスリン抵抗性」を引き起こします。

    膵臓は血糖値を下げるために大量のインスリンを分泌し続けますが、やがて疲弊してインスリン分泌能力が低下し、「糖尿病」を発症します。

     

    このことから、考えると・・・一定の「糖(グルコース)」は必要であって、必要な分の「糖(グルコース)」が摂取できていて、過剰でない状態が、健常者では「血糖値(空腹時)」が、約70-110mg/dLになっていることであり、糖尿病の治療をしている方では、「HbA1c」が 7.0程度にコントロールされていれば、

     

    この基準どおりに治療を行なっていけば、組織にダメージを与える

    ような「高血糖」の状態ではない・・・と考えて良いのだと思います。

     

    では、「血糖値」の高くなることが、早い時期から臓器の障害をもたらす可能性がある・・・というのは本当なのか?・・・という疑問が出てきますよね。


    そんなことが本当にあるのか?・・・私自身もそのように考えるわけですが残念ながら・・・この話は本当のことのようです。

    「高血糖」の状態が続くことは、臓器の分子レベルの破綻(はたん)を引き起こす可能性があるというのですね、

    例えば、次のようなことが関係あるかもしれません。

    これは、一般的な話ですが・・・「糖尿病」と診断される4–7年前から「高血糖」もある場合が多いというのですね。

     

    それを裏付ける事実が、次のようなことになります。

    「糖尿病」の合併症のひとつに「糖尿病性網膜症」があり、通常の場合では、血糖コントロールが悪い状態が続くと、「糖尿病」の発症から約5-10年程度で初期変化が現れるとされています。

     

    しかしながら、「糖尿病」の診断時点で、網膜症は「18–39%」程度の方に既に(すでに)存在するという報告があるようです。

    一般的に「HbA1c  8.0以下」では、網膜症などの合併症は少ない可能性も指摘されていますので、かなりの「高血糖」の状態が

    長期間にわたり放置されていた可能性がありますね。

     

    実際には「2型糖尿病」の治療を行なっている場合の「血糖値」のコントロール目標は「HbA1c 7.0」前後とされていますが、とされていますので、この基準どおりに治療を行なっていけば、網膜症などの合併症を生じる可能性は、少なくなっていくと考えられます。

    では、正常でもなく、まだ、糖尿病でもない「糖尿病境界域」である場合は、どうでしょうか?まだ、「糖尿病」にはなっていないから、大丈夫かな〜と考える方が多いかもしれません、

     

    しかしながら、この期間では既に「高血糖」の状態になっている時間帯が多くなっている可能性もありますよね。

    実際には、「糖尿病境界域」と診断されたとしたら、どうしたらよいのでしょうか?

     

    この場合には、「食事量」を減らすことが重要となります。

    「糖尿病」進展することを防ぐ方法として、「食事の摂取カロリー」を減らして、「内臓脂肪」を落とすことで防げるのは、「インスリン抵抗性」と「膵臓β細胞ストレス」を同時に軽減することができると考えられています。
     

    では、なぜ「高血糖」の状態が続くと・・・「NAD⁺」の枯渇(こかつ)が起きるのでしょうか?

    これは、2つのメカニズムが考えられています。

    空腹時100–125 mg/dLの前糖尿病レベルでも、主に二つの経路を介してNAD⁺代謝に大きなストレスがかかり、細胞のエネルギーシステムが損なわれると考えられています、

    1つ目のメカニズムは、ちょっと難しいのですが、「アルドース還元酵素主導のポリオール経路」というものがありまして、余分な「糖(グルコース)」は「ソルビトール」へ還元され、続いて「フルクトース」へ酸化されるのですね。この「フルクトース」へ酸化される過程で、

    過剰なNADHが生じる。

     

    簡単にお話しますと・・・この過程で「NAD⁺」が消費されるというわけですが、過剰なNADHが産生されることで、NAD+/NADH比が低下します、

    これは、擬似的な低酸素状態となることから「ATP」の低下が生じて、これを補充するために「NAD+」が消費されるという複雑な

    悪循環が生じているというわけです。

    2つ目のメカニズムは、「酸化ストレス(活性酸素)」により「PARP」が活性化され、DNA修復のためにNAD⁺が消費されるというものです(参考4)。

    「PARP」は、いわゆる「DNA切れ目センサー」なので、「活性酸素」がDNAに損傷を作ると、これを感知して、「PARP」が活性化されます。

    「高血糖」の状態では、「ミトコンドリア」由来の過剰な活性酸素(スーパーオキシド)が産生されるためにDNAに損傷を多く作る
    ことから、「PARP」が強く動員されます

    つまり、高血糖→ミトコンドリア由来の「活性酸素」の増加→DNAの切断→PARPが傷を感知して活性化するということになります。

     

    そして、損傷したDNAを修復しようとするのは、「NAD+」から誘導される「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化であるのですね。

    このために「NAD+」は消費され、「NAD+」が枯渇した後には、
    「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化されなくなってしまう可能性があるわけですね。

     

    「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化されないとどのようなことが起こるのでしょうか?

     

    「サーチュイン1遺伝子」の重要な役割は、「損傷したDNAの修復」

    と「サーカディアンリズム(概日リズム)」の形成がありましたね。

    「サーチュイン1遺伝子」の活性の低下は、「サーカディアンリズム(概日リズム)」を破綻(はたん)させ、このことは、「ミトコンドリア」の酵素アセチル化過多や融合/分裂リズムの破綻など、多層の経路を通じて酸化的リン酸化能を低下させ、ATP産生の効率を落とすとも報告されています。

     

    「高血糖」は、グルコース上昇 → NAD⁺枯渇 → SIRT1機能不全 → 概日破綻 → 倦怠と免疫不全、という連関した病的カスケードの“出発点”となりうるという説が有望な訳ですが、今後、多方面からの検証が必要

    かもしれませんね。

    この話題は、またの機会に再度、話題にしてみたいと思います。

     

    今回も最後までお付き合いいただきまして

    誠にありがとうございましたお願い

     

     

    (夕暮れ時の東京タワー:高輪プリンスホテル)

    (筆者撮影)

     =================================

     院長  

    小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

    医学博士, 内科医

    (総合内科、リウマチ専門医)

    (新潟大医学部卒)

     

     

     

    image

     

             Instagram

     

     

              <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

     

     

     =====================

    <JTKクリニックからのお知らせ>

     

     

    ◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

     

    ◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

    ◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

     

    ○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

     

    <JTKクリニック 所在地>

    〒102-0083

    東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

    電話 03-6261-6386

    Mail:info@jtkclinic.com

    =================================

    こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

     

    昨夜は、夜空に満月「スタージェンムーン(チョウザメ月)」を見ることができましたが、今日の休日は

    残念ながら、雨のお天気となっています。

     

    せっかくの休日が、雨とは残念だと思ったりもするわけですが・・・

     

    アイルランド出身の作家かつ詩人である「オスカー・ワイルド」は、次のような言葉を残しています。

     

    When it rains, look for rainbows. When it's dark, look for stars.

    雨が降っているなら、虹を探しなさい。暗闇にいるなら、星を探しなさい

     

    この名言は、困難な状況でも希望を見つけることの大切さを教えているとされています。 

     

    「オスカー・ワイルド」の代表作は『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』『幸福な王子』などオスカー・ワイルドの文業と生きざまは世界中に影響を及ぼしたとされているのだそうです。

     

    日本でも森鴎外、夏目漱石、芥川龍之介、谷崎潤一郎らが「オスカー・ワイルド」の生き方や作風を意識したといわれているそうです。

     

    昔、ハードボイルド系の何かしたの映画(?)のなかに出てきた言葉

     

    Men always want to be a woman's first love. Women like to be a man's last romance.

     

     男はいつも最初の恋人になりたがる。女は最後の恋人になりたがる。  

     

    「オスカー・ワイルド」の言葉であったりもします。

    a man's last romance.**  

    → 男はいつも最初の恋人になりたがる。女は最後の恋人になりたがる。  

      

     

    (AIで画像を作成)

     

    前回は「癌に対するウイルス溶解療法」の話題とさせていただきましたが、今回は・・・皮膚の真皮層に存在する「線維芽細胞」の老化

    についての話題にしてみたいと思います。

     

    少しだけ、以前の話題を思い返してみますと・・・

     

    皮膚は、最も外側にある「表皮層」があり、その下に「真皮層」がありましたね。

    「真皮層」は、血流がとても豊富なわけですが、「表皮層」は、そうでもないとされています。

    image

    (図はお借りしました)

     

    皮膚のハリなどは、この「真皮層」にある「コラーゲン線維」や「エラスチン線維」、そして、その隙間(すきま)を埋めている「ヒアルロン酸」の状態に左右されるわけです。

     

    これらの物質を産生しているのが・・・「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」ということになります。

     

    実は、真皮層の「線維芽細胞」は、」皮膚の構造と機能において重要な役割を果たしていることが分かっています。

    「線維芽細胞」の機能は以下のようなものになります。

        •    コラーゲンとエラスチンの産生
        •    ヒアルロン酸などの細胞外マトリックスの合成
        •    皮膚の弾力性と張りの維持

     

       (AIで画像を作成)

     

    このような重要な機能を持つ「線維芽細胞」は、加齢とともに

    どのような変化を起こすのでしょうか?

     

    当然なことかもしれませんが・・・真皮層に存在する「線維芽細胞」も「老化のプロセス」に逆らう(さからう)ことはできずに

    「老化細胞」になっていくわけですね。

     

    「線維芽細胞」が老化していくと、どのような変化が起きてくるのでしょうか?

     

    「線維芽細胞」が老化すると以下のような変化が起こるとされています。
        •    コラーゲンとエラスチンの産生量が減少
        •    既存のコラーゲンを分解する酵素(マトリックスメタロプロテ

       アーゼ)の産生が増加
        •    細胞の増殖能力と修復能力が低下
        •    炎症性物質の産生が増加(炎症性老化)
     

    こうした「線維芽細胞」の変化が、どのように外見に影響してくるのか?・・・と言いますと。以下のような外見的な老化現象が現れると

    考えられています。


        •    しわの形成 - 「コラーゲン」と「エラスチン」の減少により皮

       膚の弾力性が失われる


        •    たるみ - 皮膚の支持構造が弱くなる
        •    肌のハリの低下 - 真皮の厚みが減少し、表皮への栄養供給も影  

       響を受ける


        •    創傷治癒の遅延 - 線維芽細胞の機能低下により修復能力が下が

       る

     

    というわけですね。

     

    このように皮膚の「真皮層全体」の構造が、「線維芽細胞」の

    「老化」に大きな影響を受けてしまうわけですね。

     

    それならば・・・どうすればよいのか?

     

    ひとつは、「iPS細胞由来のエクソソーム」を用いるという方法がありますし、「NK細胞」を活性化させて、老化した「線維芽細胞」を破壊するというアイデアもあるかもしれません。

     

    しかし、最も始めやすいのは「亜鉛(Zn)」を摂取する方法かもしれません。

     

    「亜鉛(Zn)」というと男性の「滋養強壮」に用いるイメージが強いのですが・・・実は、「亜鉛製剤」の投与は皮膚真皮層の「線維芽細胞」の老化を遅延させる可能性が報告されているのですね。

     

    「亜鉛(Zn)」が持つ、皮膚の「真皮層」の存在する「線維芽細胞」の老化を遅延させるメカニズムについては、後日の話題にしたいと思います。

     

    素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

     

    それでは、またバイバイ

    --------------------------------------------------------------------

    <ブログ後記>8月12日

     

    お天気は、雨が降ったりしているのですが、相変わらず蒸し暑い(むしあつい)日が続いています。


    先日、自分が「幼い頃の夏」を思い出しました。

    8月半ばでも、夜は涼しくて、お盆の時期には、皆(みな)で

    「線香花火(せんこうはなび)」をやったな〜などと思い出したのですね。

    昔は、駄菓子屋(だがしや)で「花火」を買っていたような気がしますが・・・最近の子供たちは、どこで「花火」を手に入れるのだろうか?・・・と考えておりました。

    しばらくしてから、コンビニエンスストアやスーパーで、「花火」が販売されていることに気がつきました。

     

    その時に数本の「線香花火」と思えるものが、家庭用の打ち上げ花火などのパッケージの中で、隅(すみに)に押しやられているのを見つけたわけです。

     

    「線香花火」を調べてみますと、今では希少な存在となっていたようです。

     


    (写真をお借りしました)

     

    『線香花火筒井時正』さんのホームページをみますと


    火薬には宮崎産の松煙、紙は福岡県八女市の手すき和紙で、それを

    草木染めで染色し、職人の手によって一本一本丁寧に縒り上げられています。

    ワインと同様、線香花火も「熟成」によって味わいが深まります。
    時を経た線香花火は、どこかやわらかく、のある火花を散らします。

    お手元の線香花火を残しておき、翌年の楽しみにするのも一興です

     

    と書いてありました。

     

    そうそう、残った分は来年の夏に・・・なんてこともあったかもなどと感慨深く思った次第です。

     

    さて、今回は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す「線維芽細胞」が「老化細胞」になっていく際(さい)に・・・これらの物質を産生しなくなっていくわけですが・・・

     

    「亜鉛(Zn)」が「線維芽細胞」の老化スピードを低下させる可能性があるというお話をさせていただきました。


    「亜鉛(Zn)」は、ヒトの身体に必要なミネラル、つまり、「必須微量元素」のひとつとされています。


    そして、「亜鉛(Zn)」の機能は?・・・多くの「酵素活性」に関与したり、「免疫システム」を正常化させるなど、重要な役割を果たすと考えられています。

    また、「亜鉛(Zn)」は、多くの遺伝子の「転写制御(てんしゃせいぎょ)」に直接的・間接的に関与していることが分かっています。

    実は、「亜鉛(Zn)」を含む「転写因子(てんしゃいんし)」は多数存在します。その代表例は 「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子(zinc finger transcription factors)」という種類に転写因子です。

     


            (図はお借りしました)

     

    順番が後からになってしまいましたが・・・

     

    「転写因子」とは、DNA.上にある「転写活性(プロモーター)領域」にくっつくことにより、その後方の領域の遺伝子をRNA(その後、mRNA)を作り出す「転写(transcription;)」を開始させる役割を持ちます。

    この「亜鉛フィンガー型転写因子」は、DNAにする部分に「亜鉛(Zn²⁺)イオンを配置し、その構造を安定化させるタンパク質群なのですね。


    この転写因子は、「線維芽細胞」で起きている各種遺伝子の発現を制御メカニズムに広く関与することが分かっています。

    「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子」が作用する遺伝子の例を挙げますと

    ○    Sp1:コラーゲン遺伝子(COL1A1, COL3A1)やフィブロネクチン発現促進

    ○    EGR1:TGF-β, FGF2誘導、線維芽細胞の遊走・増殖促進

    ○    KLF4:抗炎症作用、角化細胞分化促進

    ○    NR3C1(グルココルチコイド受容体):炎症制御とECM維持のバランス調整

    ○ VDR(ビタミンD受容体):細胞増殖抑制と分化促進

    ○ ZNF281:細胞遊走やマトリックスリモデリング制御

     

    なそがあるということになります。

     「亜鉛(Zn)」の話題は、少し置いておきまして、再び

    「皮膚の老化」の正体をもう少し詳しくみてみたいと思います。


    「皮膚の老化」は、外因性要因(紫外線、酸化ストレス)および内因性要因(細胞老化、ホルモンの変化、栄養状態)によって進行すると考えられています。

    とくに「真皮層」に存在する「線維芽細胞」は、「コラーゲン」や「エラスチン」などの細胞外マトリックス(extracellular matrix: ECM)の主要な供給源であり、その機能低下をもたらす「老化」は皮膚の弾力性喪失、しわ形成、創傷治癒の遅延(ちえん)をもたらすと考えられているのですね(参考1.2)。

    では、「線維芽細胞」が「細胞老化」、つまり「老化細胞」になると、どのような変化が起こるのでしょうか?
     

    これは、次のようなことが報告されています。

    1.コラーゲンI・III産生低下

    2.ECM分解酵素(MMP)の発現増加

    3.成長因子応答性の低下

    4,炎症性サイトカインの分泌増加(SASP: senescence-associated secretory phenotype)

    これらの変化は皮膚構造の崩壊と慢性炎症を促進し、「老化」を加速するとされています(参考3)。

    このように「線維芽細胞」が老化していくことは、単に「コラーゲン」、「エラスチン」などの産生が低下するばかりでなく、当然のことですが、他の「老化細胞」と同様に「炎症性サイトカイン」の分泌増加(SASP)が起きてくるわけです。


    話を再び「亜鉛(Zn)」に戻しますと・・・最近になって、「線維芽細胞」の機能制御において「亜鉛(Zn)」を含む「転写因子」、つまり、「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子」は、重要な役割を果たすことが明らかになってたのですね。

     

    これは、以下のようなものになります。

    1)創傷治癒促進

    「亜鉛(Zn)」は,「線維芽細胞」の遊走やコラーゲン産生を促進し、創傷治癒を加速します。
    STAT3シグナル経路の活性化が関与します (参考4)


    2) 抗酸化・保護作用

    「亜鉛(Zn)」の補給により「線維芽細胞」は、酸化ストレス(UVや過酸化水素など)に対する抵抗性を持つようになる(参考5)。

    などです、

    では、もし 「亜鉛(Zn)」の欠乏状態になりますとどのようなことが起きるのでしょうか?

     

    その答えは・・・「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子」の機能低下が生じるとされています。

     

    「亜鉛(Zn)」の欠乏した状態では、「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子」のDNAへの結合能が低下し、以下のような影響が生じるから
    というのが、その理由とされています。

    ●    Sp1活性低下 → コラーゲン合成遺伝子の発現減少

    ●    EGR1誘導不全 → 成長因子シグナル低下

    ●    KLF4の安定性低 → 抗炎症作用減弱

    これらの 結果として、創傷治癒遅延・皮膚弾力低下・慢性炎症増加などが起こるというのですね。

    では、最後に「亜鉛(Zn)」は、新しい「線維芽細胞」の産生を増加させることは、できるのでしょうか?

    諸説あるのですが・・・現時点の基礎研究と臨床研究の知見から総合的に見てみると・・・

     

    「亜鉛(Zn)」は、「線維芽細胞」の老化スピードを抑制する可能性が高く、また新しい線維芽細胞の生成にも重要な役割を果たす可能性も指摘されています。

     

    しかし、それは、直接的な働きではなく、間接的な補助程度の
    ものと考えられているのだそうです。

     

    実は、若き日の私は、「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子」の異常が、自己免疫疾患の発症要因値なるのではないか・・・と考え、基礎実験を重ねていた「転写因子」のひとつなのですね。

     

    自己免疫疾患のTリンパ球などから「ジンク(亜鉛)フィンガー型転写因子」のタンパクを抽出し、タンパクを解析しようとしていたのですが

    ・・・途中で諦めた(あきらめた)経緯(けいい)があります。

     

    そのまま、時を経て(へて)、再び、出会ったわけですね。

     

    「今度こそは」・・・と私自身が、思えるなら良かったとは思いますが・・・残念ながら、新しい研究手法は思いつきません。

     

    ならば、『線香花火筒井時正』さんのホームページの言葉にあったように・・・の線香花火を残しておき、将来、誰かが解決する日を楽しみにするのもよいかな〜なんて、思っています爆  笑

     

    今回は、話が「亜鉛(Zn)」と「老化した線維芽細胞」をいったり、きたりで申し訳ありませんでした。

     

    今回も最後までお付き合いいただきまして

    誠にありがとうございましたお願い

     

    参考)
    1)Int Wound J. 2005  Int Wound J. 2005 Dec.

    Wound chronicity and fibroblastsenescence--implications for treatment.
    Keith G Harding ら

    2)J Wound Care. 2006
    The potential effect of fibroblastsenescence on wound healing and the chronic wound environment.
    Henderson EAら

     

    3) Gerontology. 2015                                        
     Role of Age-Associated Alternations of the Dermal Extracellular Matrix Microenviron ment in Human Skin Aging:A Mini-Review
    Taihao Quan ら

     

    4)Bioact Mater. 2023
    Sustained release of magnesium and zinc ions synergistically accelerates wound healing
    Fan Yang ら

     

    5)Biological Trace Element Research, May1,1933
    Effect of zinc supplementation on resistance of cultured human skin fibroblasts toward oxidant stress
    M. Richardら
     

     

    (レインボーブリッジと東京タワー)

    (筆者撮影)

     =================================

     院長  

    小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

    医学博士, 内科医

    (総合内科、リウマチ専門医)

    (新潟大医学部卒)

     

     

     

    image

     

             Instagram

     

     

              <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

     

     

     =====================

    <JTKクリニックからのお知らせ>

     

    ◯8月13日〜15日の外来は休診とさせていただきます

     

    ◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

     

    ◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

    ◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

     

    ○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

     

    <JTKクリニック 所在地>

    〒102-0083

    東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

    電話 03-6261-6386

    Mail:info@jtkclinic.com

    =================================

    こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

     

    8月になりました。

    相変わらず、暑い日が続きますね。

     

    本格的な「夏の日」が続きますと・・・若い頃であれば「海」に行きたいなどと、反射的に思ったりもしたのですが・・・

    今では、年齢のせいか、そのように思わなくなりました。

     

    あの有名な「ひまわり」の作品を描いた(えがいた)オランダの画家

    ゴッホは次のような言葉を残しています。

     

    The heart of man is very much like the sea, it has its storms, it has its tides and in its depths it has its pearls too.
     

    人の心は海とよく似ていて、嵐があって、潮の満ち引きがあって、

    深さがあって、そして真珠もある。

     

    ゴッホ(フィンセント・ファン・ゴッホ  )の絵画は、誰でも1度はもにしたことがあるかもしれませんね。

     

    「ひまわり」は、最も有名ですが・・・「星月夜」、「夜のカフェテラス」などと素敵な絵画が多いですよね。

     

    少し調べてみますと・・・ゴッホが生きている時に売れた絵は、

    たった1つしかないそうです。その絵は「赤い葡萄畑(ぶどうばたけ)」という絵なのだそうです。

     

    ゴッホの死後、彼の弟テオも半年後に亡くなってしまったそうですが、テオの妻ヨーという方が、ゴッホの絵の回顧展(かいこてん)を開くなどして、ゴッホの絵の価値を高めるための努力を続けたそうです。

    このことが、のちに「ゴッホ」が世界的な画家として認められることにつながったのだとか。

     

    もし、ゴッホの弟の妻ヨーが、失意のまま人生を送っていたとしたら

    ゴッホの「ひまわり」などの絵は、私たちの目に触れることはなかったかもしれませんね。

     

    皆さまの体調は、いかがでしょうか?

     

    (AIで画像を作成)

     

    前回は「動脈硬化」の話題とさせていただきましたが、今回は「癌細胞」に「ウイルス」を感染させて、「癌細胞」を破壊する・・・

    という新しい癌の治療が報道されていますので、その話題をご紹介してみたいと思います。

     

    先月の31日に東京大学と信州大学の研究チームが、皮膚癌の一種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」の患者さんに対して、ウイルスを使って「癌細胞」を破壊するウイルス療法が高い有効性を示すことができたことを発表しました。(毎日新聞内記事より)

     

    その詳細な内容は、同紙の内容をお読みいただくとして、

     

    どうして、「ウイルス」を「癌細胞」に感染させると、

    それを破壊できるのか?・・・と疑問を持つ方も多いと思いますので、そのメカニズムについて、お話をしてみようと思います。

     

    この治療の正式な名称は、「がん治療におけるウイルス溶解療法(oncolytic virus therapy)」と呼ばれるものになります。

     

    「癌細胞」の自己複製メカニズムを逆手(さかて)に取った革新的な治療法として急速に発展しているものということになります。

     

    この治療法の原理は、「癌細胞」のみに選択的に感染し、

    「癌細胞」のみを破壊することができる特殊なウイルスを用いて、

     

    直接的な「癌細胞破壊」と、それに伴って(ともなって)生じる

    免疫系の活性化」という2つのことが、抗がん作用をもたらすものとされています。

     

       (AIで画像を作成)

     

    もう少しだけ専門的な話をしますと・・・

     

    この「癌に対するウイルス溶解療法」は、「癌細胞」が持つ特有の分子生物学的な欠陥(けっかん)をうまく利用しているとも言えます。

     

    いったい、どのようなことなのでしょうか?

    それは、次のようなことになります。

     

    「癌細胞」の多くでは、p53経路やRB経路などの重要な細胞制御機構が破綻していることが多いとされます。

     

    例えば・・・「p53遺伝子」は、以前にブログ内でもお話をしたことがありましたが、「DNAの守護神」と呼ばれるものでしたよね。

     

    本来であれば、DNAに異常がありますと「p53タンパク」は、「p21タンパク」を誘導して、細胞周期の回転をストップさせます。

     

     

     

     

    この細胞周期の回転がストップしているうちに

    異常な遺伝子を修復するのですが・・・癌を発症している方の半数以上が「p53遺伝子」に変異が起きており、そのために正常な「p53タンパク」が作られません。

    さらにその状態では、「p21タンパク」を産生することができないために癌細胞は分裂増殖を繰り返していくことになります。

     

    なぜなら「p53タンパク」は「転写因子」でして、「p21遺伝子」を発現させて、「p21タンパク」を産生されることによって、「細胞周期」の回転がストップするからですね。

     

    こうした「p53遺伝子」の異常は、実は「ウイルス感染」にとって、有利な状況をつくり出します。

     

    その理由は、以下のようなものになります。

     

    1)アポトーシス回避 

     

     p53が機能しないと、ウイルス感染細胞が本来なら死ぬべき状況でも生存し続け、ウイルス増殖の場を提供する

     

    2)細胞周期制御の破綻 

     

    ウイルスが細胞の増殖機構を乗っ取りやすくなる

     

    3)免疫応答の低下

     

     p53は自然免疫応答にも関与しており、その機能低下はウイルスの排除を困難にする

     

    などという理由があるからということになります。

     

    つまり、「癌に対するウイルス溶解療法」は、本来であれば細胞の異常増殖を抑制するはずの「抗ウイルス機構「が、癌細胞では機能不全を起こしていることを利用しているわけですね。

     

    さらに癌細胞内のウイルスは、次のようなプロセスで癌細胞を破壊します。

     

     1. 初期感染:ウイルスが癌細胞に特異的または非特異的メカニズムで侵入 

     

    2. 急速複製:DNAとタンパク質が細胞質、または核内で合成される

     

     3. 細胞溶解:感染後48-72時間で感染細胞が破壊され、子孫ウイルスが放出 4. 拡散増殖:放出されたウイルスが近隣の腫瘍細胞に感染し、感染が拡大 する

     

    4.アポトーシス誘導メカニズム  溶解ウイルスは複数の経路を通じてがん細胞のアポトーシスを誘導する。

     

    といったプロセスですね。

    これで、「癌細胞」は次々に破壊されていくというわけですね。

     

    そして、実はもうひとつ、大きなメリットがあるのですが、続きは後日の話題にしたいと思います。

     

    素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

     

    それでは、またバイバイ

     

    -------------------------------------------------------------------

    < ブログ後記 > 8月5日

     

    真夏の厳しい暑さが続いてますね。

    群馬県伊勢崎市では、気温は41.8℃となり、日本国内の最高気温を更新したというニュースがありました。

     

    ヒトの高熱以上にまで上昇する気温を見ると、これまでの夏の常識が通用(つうよう)しない領域に入っているような気さえします。

     

    今回の話題での「癌」に対する治療に「ウイルス」を用いるという話題は・・・これもまた、癌治療の常識が通用しない摩訶不思議(まかふしぎ)な話であるという印象を持つ方も多いかもしれません。

    「癌」の治療にウイルスを用いる「ウイルス溶解療法」に

    私が関心を持ったのは、2023年の秋であったような気がします。
     

    同年に目にした、ハーバード大学の論文は、「腫瘍溶解ウイルス」を実際の患者さんの反応を調べた研究でした。

    この論文に関連して、以下のような解説文が紹介されています。

    ウイルスにより溶解した「癌細胞」から癌抗原に対する免疫反応を利用することで、全ての「癌細胞」を殺せなくても、免疫系を動員して癌を抑制する可能性があると述べられていたと記憶しています。


    この治験ではCAN-3110と名付けた「ヘルペスウイルス」がを直接脳腫瘍内に注射する治療が行われています。

     

    有効性が確認された患者さんの「癌病変」から手術時に標本を作製してています。

    癌組織への細胞浸潤を調べてみると、壊死した組織の周囲に多くの

    「 CD8T細胞」、「CD4T細胞」が浸潤していることが確認されたと報告されています(参考1)

    CD8T細胞は、「細胞障害性T細胞」ですし、CD4T細胞は「ヘルパーT細胞」となりますね。

    癌治療における「ウイルス溶解療法(oncolytic virus therapy)」は、がん細胞の自己複製メカニズムを逆手に取った革新的な治療法として急速に発展してきているわけです。

     

    この治療法は、「癌細胞」を選択的に感染・破壊する特殊なウイルスを用いて、直接的な「癌細胞破壊」と「免疫系の活性化」という二重の抗がん効果をもたらすとされています。 

     

    本文内でも話題としましたが、「ウイルス溶解療法」の主要なメカニズムをまとめてみますと、以下のようになります。

    【 1 】直接的ながん細胞破壊(溶解)

    ウイルスは、癌細胞に選択的に感染し、その細胞内で増殖します。

    最終的にがん細胞を破壊(溶解)してウイルス粒子を放出します(参考2)


    この時間は短く、感染後48-72時間で感染した「癌細胞」が破壊され、増殖した子孫ウイルスが放出されると考えられています。

    このようにウイルス感染した「癌細胞」が破壊されるメカニズムは、次のようなものになります。

     

    「癌細胞」内で大量に「ウイルス」が、複製されることで、細胞の正常な機能が阻害さたり、細胞質や核の構造が破綻すると考えられています。

    さらにウイルスが産生する蛋白質が、「癌細胞」の生存に必要な
    蛋白質合成や DNA 複製により- 細胞周期の停止や DNA 損傷応答の活性化により、癌細胞が破壊されると考えられています。(参考2,3)


    【 2 】免疫システムの活性化

    「癌細胞」が壊れることで、癌抗原や炎症性分子が放出され、これが「免疫細胞」を刺激します。その結果、癌細胞に対する「自然免疫」・「獲得免疫」が強化されます(参考4,5,6)

     

    「自然免疫」とは、「ナチュラル・キラー(NK細胞)」などですし・「獲得免疫」は、「細胞障害性T細胞(CD8+T細胞)」や

    「ヘルパーT細胞(CD4+T細胞)などということになりますね。

     


    【3】癌関連線維芽細胞(CAF)などで形成される「がん微小環境(TME)」の変化

    「がん微小環境(TME)」は、「癌細胞」と「癌関連線維芽細胞(CAF)」など多様な細胞で構成され、「治療抵抗性」や「免疫抑制」に関与するとされています。

     

                                        (図はお借りしました)

     

    「ウイルス溶解療法」は、「がん微小環境(TME)」に対して、

    「がん細胞の直接破壊」と「免疫環境の再構築」という2つの

    メカニズムで効果を発揮すると考えられています。

    例えば、以前にブログ内でもお話をしましたが・・通常の場合、「癌細胞」と「がん関連線維芽細胞(CAF)」など多様な細胞で構成される「がん微小環境(TME)」は、全体的に「免疫」が抑制される
    「コールド(cold)」な状態になっていると分かっています。

     

                (図はお借りしました)

     

    この「免疫抑制状態」の特徴的な所見のひとつが「M2型のマクロファージ」となりますね。

    この状態では、血液中に「細胞障害性T細胞(CTL)」が多く存在していても、癌病変を認識(にんしき)できずに素通り(すどおり)してしまうとされています。

    「ウイルス溶解療法」を施行し、癌にウイルスが感染することで、癌細胞が破壊されることで、放出された「癌抗原」や「炎症シグナル」が、免疫細胞(T細胞など)を活性化させ、免疫抑制的な「がん微小環境(TME)」「免疫活性化型(hot)」に変化させることが知られています。

    この「免疫活性化状態」の特徴的な所見のひとつが「M1型のマクロファージ」となります。


    この状態になりますと、一部の「腫瘍溶解ウイルス」では、「がん関連線維芽細胞(CAF)」や「腫瘍間質細胞」も標的とし、線維性バリアや免疫抑制因子の分泌を減少させ、ウイルスや免疫細胞の浸潤を促進することも報告されています(参考7)

     

    ただし、癌に対して「ウイルス溶解療法」のみの治療よりは、「免疫細胞療法」、免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボ(ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体)を併用した方が有効性が高いとする

    報告や、また、癌に対する抗がん剤治療を施行する際にも

     

    「抗がん剤」と「ウイルス溶解療法」を併用することで相乗効果が期待できるという研究報告があります。両者は異なる作用機序を持つため、組み合わせることで単独治療よりも高い治療効果が得られる可能性があるというのが理由であると報告されています(参考8)

     

    「ウイルス」というと拒否感を示す方もいらっしゃるかもしれませんが・・・ヒトに感染する「ウイルス」ばかりではありません。

     

    「癌細胞」の表面にレセプターがあるなど、「ウイルス」が「癌細胞」のなかに入り込める仕組み(しくみ)が存在すれば、よいわけですね。また、ヒトのDNAなどの遺伝子の組換え(くみかえ)が起こらないウイルスであれば適応があるということになります。

    最近では、「植物」のウイルスが「癌のウイルス溶解療法」が可能である可能性も示され、まさに「ホット(hot)な話題」になっているのですね。

     

    今回も最後までお付き合いいただきまして

    誠にありがとうございましたお願い

     

    参考)
    1)Nature. 2023 Nov;623(7985):157-166.

    Clinical trial links oncolytic immunoactivation to survival in glioblastoma
    Alexander L Lingら

     

    2)Signal Transduct Target Ther. 2023 Apr 11;8(1):156.
     Oncolytic virotherapy: basic principles, recent advances and future directions

    Danni Linら

     

    3)Cell Death Dis. 2020 Jan 22;11(1):48.
    Characterization of virus-mediated immunogenic cancer cell death and the consequences for oncolytic virus-based immunotherapy of cancer
    Jing Maら

     

    4)Int J Mol Sci. 2024 Apr 25;25(9):4691.
    Molecular Circuits of Immune Sensing and Response to Oncolytic Virotherapy
    Darshak K Bhattら

    5) Viruses. 2016 Feb 4;8(2):43.
    To Infection and Beyond: The Multi-Pronged Anti-Cancer Mechanisms of Oncolytic Viruses
    Kevin A Cassadyra

    6)Trends Cancer. 2024 Feb;10(2):135-146.
     Integrating innate and adaptive immunity in oncolytic virus therapy
     Kristin DePeauxら

     

    7) Mol Ther. 2021 May 5;29(5):1668-1682.
    Beyond cancer cells: Targeting the tumor microenvironment with gene therapy and armed oncolytic virus
    Peter Kok-Ting Wanら

     

    8)Curr Pharm Biotechnol. 2012 Jul;13(9):1817-33.

    Bugs and drugs: oncolytic virotherapy in combination with chemotherapy

    Sonia Tusell Wennier

     

    (麻布台ヒルズからの東京タワー)

    (筆者撮影)

     =================================

     院長  

    小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

    医学博士, 内科医

    (総合内科、リウマチ専門医)

    (新潟大医学部卒)

     

     

     

    image

     

             Instagram

     

     

              <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

     

     

     =====================

    <JTKクリニックからのお知らせ>

     

    ◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

     

    ◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

    ◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

     

    ○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

     

    <JTKクリニック 所在地>

    〒102-0083

    東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

    電話 03-6261-6386

    Mail:info@jtkclinic.com

    =================================

    こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

     

    気がつけば、7月もあと数日となっています。

    暦も二十四節気(にじゅうしせっき)は「大暑(たいしょ)」となることに気がつきました。

     

    「大暑(たいしょ)」は、1年のうちで最も暑い期間とされていることから、連日の気温が体温以上になっている「天気図」にも納得した次第です。

     

    皆さまの体調は、いかがでしょうか?

     

     

    (AIで画像を作成)

     

    今回は「動脈硬化(どうみゃくこうか)」についての新しい話題について、取り上げてみたいと思います。

     

    まず、「動脈硬化」は、どのような状態をいうのかを少し復習しておきたいと思います。

     

    「動脈硬化(atherosclerosis)」は、動脈の血管壁に脂質やコレステロールが蓄積し、血管が厚くなり硬くなる「慢性炎症性疾患」でしたね。この結果、血管内腔(ないくう)が狭くなり、血流が阻害(そがい)される状態でしたよね。

     

    「動脈硬化」の進行過程は、「血管内皮細胞」の細胞の障害から始まります。

    その後、血管壁へのコレステロールの沈着から始まり、炎症反応を経てプラークの形成へと進み、最終的には血管の狭窄や閉塞を引き起こします。これが様々な循環器系疾患の基盤となるわけですね。

     

    (図はお借りしました)

     

    このような病態の進行を抑制し、血栓の形成を予防するために以下のようなう薬剤を用いて、「LDLコレステロールを低下させる」ことが第一目標とされているわけですね。

     

    スタチン系薬剤(LDLコレステロールを低下させる)

    フィブラート系薬剤(中性脂肪を低下させる)

    抗血小板薬(血栓形成を制御)

    降圧薬(高血圧の管理)

     

     

        (AIで画像を作成)

     

    最近になり、「動脈硬化」の治療について、考え方の変化があったというのですね。

     

    「PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha)」という物質が、「動脈硬化」の病態形成と治療において中心的な役割を果たしていることが分かってきたそうです。

     

     

    最新の研究知見により、PPARαの抗炎症作用 が従来考えられていた脂質代謝改善効果よりも重要であることが明らかになり、 治療戦略の根本的見直しが進んでいるのだそうです。

     

    「PPARα」とは、どのようなものかと言いますと・・・

     

    「PPARα(ピーピーエーアールアルファ)」は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(Peroxisome proliferator-activated receptor alpha)の略で、主に肝臓、腎臓、心臓、骨格筋に発現する核内受容体の一種です。脂肪酸代謝や炎症反応などに関与し、脂質低下薬の標的として知られています。

     

     「PPARα」が動脈硬化を改善するメカニズムがどのようなものかは、後日の話題にいたしますが・・・

     

    どうやら、「間葉茎幹細胞」由来のエクソソームが、この

    「PPARα」に関与している可能性があるというお話をご紹介したいと思います。

     

    素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

     

    それでは、またバイバイ

    --------------------------------------------------------------------

    < ブログ後記 >7月29日

    「動脈硬化(atherosclerosis)」というと・・・「悪玉コレステロール(LDL-C)高値」などを連想する方が多いかもしれませんね。

    LDL-C高値の「高コレステロール血症」や中性脂肪(TG)高値の「高TG血症」の状態が確認されますと・・・スタチン系薬剤(LDLコレステロールを低下させる)やフィブラート系薬剤(中性脂肪を低下させる)を服用することを勧められるのが、一般的な内科的な治療の流れとなっています。

    しかしながら、最新の研究結果では「動脈硬化」の病態形成やその進行は「PPARα(ピーパーアルファ)」というものが、強く関与していることが分かってきたのですね。

    この「PPARα遺伝子」は、糖・脂質代謝や細胞の分化と密接に関係している遺伝子群の発現を調節する「転写因子(てんしゃいんし)となります。

    「PPARα」は、多くの代謝経路を制御しており、主に以下の機能を持つとされています。

    「脂質代謝」に関わる遺伝子の発現を調節することで、血中脂質を改善する作用を持っています。具体的には、肝臓や筋肉などで脂肪酸の利用を促進し、血中のトリグリセリド(中性脂肪)を低下させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる働きがあります(参考1)。


    また、「PPARα」の遺伝子の活性化は、「脂肪肝」の肝機能障害を改善させる可能性も報告されています(参考2)

    「PPARα」の具体的な作用機序をみてみますと、次のようになります。

    1)遺伝子発現の調節

    活性化された「PPARα」は、特定の遺伝子(アポAI、AII、AV、Cなど)の発現を促進または抑制します。

    2)脂質代謝の改善

    これらの遺伝子発現の変化により、肝臓での脂質合成が抑制され、脂肪酸の分解が促進され、血中のトリグリセリドが低下します。また、HDLコレステロールの合成も促進されます。


    さらに・・・上記のような機序による「PPARα」の活性化による効果は、どのようなものになるのでしょうか?

     

    それは、以下のような作用となります。

    脂質に対する作用

    【1】血中TG(トリグリセリド)の低下

    肝臓でのTG(トリグリセリド)合成が抑制され、血中のTG(トリグリセリド)濃度が低下

    【2】HDLコレステロールの増加

    HDLコレステロールの合成が促進され、血中のHDLコレステロール濃度が上昇


    【 3】その他の効果

    脂肪酸の利用促進、炎症反応の抑制、インスリン抵抗性の改善など

    抗炎症作用

    【1】NF-κBシグナル伝達経路の抑制による「炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)」の産生抑制
       抑制
    【2】ロイコトリエンB4(LTB4)のクリアランス促進による炎症抑制 

    【3】「血管内皮細胞」の炎症反応を制御(参考3)

    【4】血管壁へのマクロファージをアポトーシスを起こさせることで、マクロファージの浸潤と活性化を抑制 (参考4)

    血管壁への直接な作用

    【1】内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性化による血管拡張作用

    【2】接着分子(VCAM-1、ICAM-1)の発現抑制によるマクロファージの血管壁への浸潤抑制

    【3】マクロファージでの泡沫細胞形成の抑制

    などが知られている。「PPARα」の活性化をすることにより、LDL-C値、TG値の値に関係なく、「動脈硬化」の進行が抑制される可能性が指摘されています。

    実際に以下のようなことが、現時点で検討されているそうなのですね。

    「PPARα」の肝細胞特異的遺伝子導入は、脂質代謝と炎症の両方を同時に制御する画期的なアプローチとして、動脈硬化治療に革命的な可能性を秘めていると考えられています。

    実際に動物を用いた研究では、複数の動物モデルでコレステロール30-50%減少、TG値の40-70%減少、プラーク面積32-75%縮小という劇的な改善を実証し、分子レベルでの多面的治療効果が確認され
    ているのだそうです。

    ところで、「PPARα」遺伝子と「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の関係は、主に肝疾患や動脈硬化などの疾患モデルで注目されています。

    間葉系幹細胞(MSC)には、骨髄由来、脂肪由来、臍帯由来、歯髄由来など、様々な種類がありますね。
     

    話を戻しますと・・・「間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソーム」の投与は、「PPARα」を活性化する可能性があることが報告されているのですね。

    「PPARα」遺伝子と「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」の関係を見てみますと・・・
     

    「間葉系幹細胞(MSC)由来エクソソーム」、は、特に肝臓疾患モデルにおいて、以下のようにPPARαの発現を回復・増加させることが示されています。

    「ヒト臍帯MSC由来エクソソーム」は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスの肝臓で低下したPPARαタンパク質発現を回復させ、炎症抑制や肝障害の改善に寄与する(参考5)、

    このように「間葉系幹細胞」に由来するエクソソームの投与は、「PPARα遺伝子」の発現を増加させることが知られており、「動脈硬化」を改善させる可能性が考えられているのですね。

    ヒトは生まれた時から、徐々に「動脈硬化」に進行していくことが分かっていますので、その進行を強く抑制できるのは、なんとも夢のある話に思えますね。

    今回も最後までお付き合いいただきまして
    誠にありがとうございましたお願い

     

    参考)

    1)Cell Physiol Biochem.2018;51(6):2760-2775.
    Targeting PPARα for the Treatment and Understanding of Cardiovascular Diseases
    Shuzhen Liら

     

    2)Pharmacol Res. 2023 Jun:192:106786.
     Roles of the peroxisome proliferator-activated receptors (PPARs) in the pathogenesis of nonalcoholic fatty liver disease (NAFLD)
    Yuan-Ye Qiuら

     

    3)Oxid Med Cell Longev. 2021 Feb 25:2021:2045259.
    PPAR _α_ Targeting GDF11 Inhibits Vascular Endothelial Cell Senescence in an Atherosclerosis Model
    Fangfang Douら

     

    4)  J Biol Chem. 1998 Oct 2;273(40):25573-80.
    Activation of proliferator-activated receptors alpha and gamma induces apoptosis of human monocyte-derived macrophages
    G Chinettiら

     

    5)Stem Cell Res Ther. 2022 Nov 12;13(1):517.
    Human umbilical cord mesenchymal stromal cell-derived exosomes protect against MCD-induced NASH in a mouse model
    Ying Shiら

     

     

    (レインボーブリッジと東京タワー)

    (筆者撮影)

     =================================

     院長  

    小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

    医学博士, 内科医

    (総合内科、リウマチ専門医)

    (新潟大医学部卒)

     

     

                    (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

     

                      (上差し 筆者がセレクトした夏の夜のJazzの曲)

     

     

    image

     

                 Instagram

     

             <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

     

     

     =====================

    <JTKクリニックからのお知らせ>

     

    ◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

     

    ◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

    ◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

     

    ○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

     

    <JTKクリニック 所在地>

    〒102-0083

    東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

    電話 03-6261-6386

    Mail:info@jtkclinic.com

    =================================