こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

夜の蒸し暑さで、夜によく眠れない方も多いのではないでしょうか?

 

夏の時期は仕方がない・・・というのも事実ですが・・・

「睡眠」は、昔よりも健康を維持するには、とても重要であると考えられているようです。

 

ロンドンの庶民生活を描いた作家て、『靴屋の休日』という喜劇の作家でも知られるトーマス・デッカー(Thomas Dekker)は、次のような名言を残しています。

 

Sleep is the golden chain that ties health and our bodies together  

 

「睡眠は健康と私たちの体を結び付ける黄金の鎖である」

 

皆様の体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

「睡眠」が健康に及ぼす影響は、最新の医学では次のように報告されています。

 

まず、「 睡眠時間」は、心血管疾患、糖尿病、免疫機能、認知機能に対して因果関係を持つことが明確に証明されているというのですね

(参考1)。

 

 特に注目すべきは、短時間睡眠(7時間未満)が心血管疾患の直接的な原因となることが実証されている・・・というのは、ちょっと驚きです(参考2)。

 

アメリカ心臓協会は、2022年に「睡眠」を「Life’s Essential 8(人生に必要不可欠な8項目)」に追加し、血圧、コレステロール、血糖値と同等の重要性を持つ「心血管健康指標」として位置づけたのですね。

 

このことは、「睡眠医学」において歴史的な転換点と考えられています。

アメリカ心臓協会の指針では、7-8時間の睡眠が最適であり、この範囲から逸脱すると心血管疾患リスクが段階的に上昇するというのですね(参考2)。

 

    (AIで画像を作成)

 

このような結果は、46万人を対象とした解析で「睡眠時間」と「心筋梗梗塞」の因果関係が実証されたそうです。

 

その結果は、次のようになります。

 

短時間睡眠(6時間未満)は心筋梗塞リスクを20%増加させたというのです(参考3)。
 

また、睡眠時間1時間増加当たり、冠動脈疾患リスクが26%低下することも報告され、これは従来の観察研究で見られたU字型関係とは異なり、短時間睡眠のみが因果的にリスクを増加させることも示されています。

 

それ以前の観察研究では、「睡眠時間」が長くても、心血管障害のリスクが高まる可能性が指摘されるというU字型のような関係があると

考えられていました。

 

しかし、これらの大規模試験の結果からは・・・

長時間の睡眠により、リスクが高まることはなく、短時間の睡眠のみが因果的にリスクを増加させることが示されたのだそうです。

 

これらの心血管障害の 病態生理学的メカニズムは、次のように報告されています。

 

 炎症経路の活性化が中心的役割を担うとされていまして・・・

 

「睡眠不足」により、C反応性タンパク質(CRP)、インターロイキン-6(IL-6)、TNF-αなどの炎症マーカーが上昇し、「動脈硬化」を促進(そくしん)するのだそうです。

 

 また、血管内皮細胞の機能障害を介して一酸化窒素(NO)産生が低下し、血管内皮依存性血管拡張能が障害されるのだそうです(参考4)

 

 

さらに自律神経系の失調により交感神経活性が亢進し、心拍変動性が低下し、(参考5), これにより血圧上昇リスクが高まり、長期的な心血管疾患発症につながるとも報告されているのですね(参考6)。

 

これだけの根拠が「睡眠時間」は7時間はとった方がよい・・・と

強く強調されるようになった背景なのですね。

 

睡眠不足による糖尿病、免疫機能への影響は、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記> 7月8日

 

今朝は青空が広がり、皇居の近くを車で通った時に「蝉(せみ)」の鳴き声が聞こえていました。

蝉の声が聞こえてきますと・・・本格的な夏が到来したのかな〜などと思ったりします。

 

今回は「心筋梗塞」という、一見(いっけん)無関係な疾患の発症が「睡眠時間」に関係がある・・・というお話をさせていただきました。しかし、実は「心筋梗塞」ばかりでなく、他にも多くの疾患の発症が「睡眠」と関係があるのではないか・・・と報告されているのですね。

 

本文内でもご紹介しましたが、「睡眠時間」と「2型糖尿病」の発症の関係は、明確化されています。

「2型糖尿病」とは、生活していく中で、発症していく、通常の「糖尿病」ということになりますね。

 

48万人を対象とした大規模な解析で、5時間以下の睡眠で「糖尿病リスク」が37%増加することが示されています(参考7)。

この理由として、「睡眠時間と質」の低下は、インスリン抵抗性の増加、グルコース耐性の低下などの糖尿病リスクの増加と関連していることも報告されています(参考8)

さらに不規則な「睡眠」習慣は、2型糖尿病の発症リスクを高めることも報告されています(参考9)

では、短時間の睡眠が「免疫」に影響するかというと・・・答えは「Yes」となります。

短時間の「睡眠」が免疫力の低下を引き起こすという報告は、実は

多く存在します。睡眠不足や短時間睡眠は、「免疫システム」の働きを弱め、感染症のリスクを高めることが報告されています。

例えば、自然な短時間の睡眠は「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」の活性低下やT細胞機能の変化と関連し、免疫応答のバランスが崩れることが観察されています(参考10,11)。

さらに、睡眠不足は「炎症性サイトカイン」の増加や慢性的な低レベルの炎症状態を引き起こし、心血管疾患や代謝疾患などのリスクも高めると考えられています(参考12)。

では、睡眠時間の短いことは、「老化」の進行スピードには、影響を与えるのでしょうか?

短時間の「睡眠」が「老化」を早めてしまうことは、近年の研究で明確に報告されています。

 

特に、1日6時間未満の睡眠や不眠症状は、「エピジェネティック年齢(生物学的な老化指標)」の加速と密接に関連しており、実年齢よりも生物学的に高齢となる状態が観察されています(参考13)。

さらに睡眠時間が短い人は、脳の萎縮や認知機能の低下がより早く進行することも示されています。さらに、中年期からの短い睡眠は、後年の「認知症リスクの増加」とも関連していると報告されています(参考14)。
 

いかがでしょうか?「睡眠時間」を削ってでも、勉強をしたり、仕事を頑張ることが「美徳(びとく)」とされた時代が確かにあったのかもしれませんが・・・現在では、充分な睡眠をとる心がけが重要なのかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い


 

参考)

!)Physiol Rep ​​2017 Dec;5(23):e13498. 

Skeletal muscle insulin signaling and whole-body glucose metabolism following acute sleep restriction in healthy males

Emma Sweeneyら

 

2)Front Cardiovasc Med. 2022 Aug 11:9:930000.

Associations between sleep duration and cardiovascular diseases: A meta-review and meta-analysis of observational and Mendelian randomization studies

Shanshan Wangら

 

3)J Am Coll Cardiol. 2019 Sep 10;74(10):1304-1314

Sleep Duration and Myocardial Infarction

 Iyas Daghlasら

 

4)Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2021 Jan 1;320(1):H29-H35. Sleep deprivation and endothelial function: reconciling seminal evidence with recent perspectives

Joshua M Cherubiniら 

 

5)Life(Basal). 2025 Jan 7;15(1):60.

The Effect of Sleep Disruption on Cardiometabolic Health

 SeokHyun Hongら

 

6)J Am Coll Cardiol. 2020 Mar 10;75(9):991-999.

Sleep Irregularity and Risk of Cardiovascular Events: The Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis

Tianyi Huangら


7)Diabetes Care. 2015 Mar;38(3):529-37.
Sleep duration and risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of prospective studies
Zhilei Shanら

 

8)Metabolism. 2018 Jul:84:56-66.
Sleep influences on obesity, insulin resistance, and risk of type 2 diabetes
Sirimon Reutrakulら

 

9)Sleep Med Rev. 2022 Apr:62:101594.
 Effects of sleep manipulation on markers of insulin sensitivity: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
Nina Sondrupら

 

10)Commun Biol. 2021 Nov 18;4(1):1304.
Role of sleep deprivation in immune-related disease risk and outcomes
Sergio Garbarinoら

 

11)Brain Behav Immun. 2011 Oct;25(7):1367-75.
Short natural sleep is associated with higher T cell and lower NK cell activities
Elinor Fondellら

 

12) MedComm . 2023 Apr 30;4(3):e252.
Multiomics analysis of human peripheral blood reveals marked molecular profiling changes caused by one night of sleep deprivation
Chongyang Chenら

 

13)Psychosom Med. 2024 Jun 1;86(5):453-462.
Short Sleep and Insomnia Are Associated With Accelerated Epigenetic Age
Cynthia D J Kustersら

 

14)Sleep. 2014 Jul 1;37(7):1171-8.
Sleep duration and age-related changes in brain structure and cognitive performance
June C Loら

 

           (東京タワーのある風景)

              (筆者撮影)

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                (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

 

                  (上差し 筆者がセレクトした夏の夜のJazzの曲)

 

 

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                <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月最後の休日の午後であるわけですが、梅雨明けをしたのでしょうか、夏の青空が広がっています。

 

夏の到来(とうらい)が早いな思うと同時に、2025年も

既に(すでに)半年が経って(たって)しまったことに少し驚いています。次のような言葉を思い出しました。

 

“Time is what we want most, but what we use worst.”

 

「時間は私たちが最も欲するものだが、最も下手に使ってしまうものでもある。」

 

これは、「ウィリアム・ペン」は、17世紀イギリスに生きた宗教家であり、彼は、自らの信念を貫き、誰もが「良心のままに自由に生きること」を目指した社会を築こうとした人物です。のちにペンシルベニア州創立の立役者であったとされています。

彼の名言には、他にも

 

「苦痛なくして勝利なし、いばらなくして王座なし」があります。これは、困難や苦難を乗り越えることなしに、成功や栄光は得られないという意味です。

 

その理念は、今日の民主主義や人権の土台にもつながったとも言われています。

 

一年の折り返し。6月最後の休日に、少しだけ立ち止まって、これまでの時間の使い方を振り返ってみたくなりました。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

                

今回は、「ビタミンD3」についてのお話をしてみたいと思います。

 

 最近の研究で、私たちが日光を浴びた(あびた)時に作られる

「ビタミンD3」が、単に骨を丈夫にするだけでなく、細胞レベルで老化を遅らせる重要な働きをしていることが報告されています。

 

特に注目されているのは、細胞の「寿命時計」とも呼ばれる

「テロメア」を守る働きです。 

 

「テロメア」は、染色体の末端にある特殊なDNA構造でしたよね。

 

 その特徴は「TTAGGG」という6つの塩基配列が数千回繰り返された構造をしており、染色体の両端に存在します。

このDNA配列にはタンパク質が結合して、染色体の末端を保護するキャップのような役割を果たしているのでしたよね。

 

また、細胞分裂の際に重要な遺伝情報が失われることを防いでいます。

もし、染色体に「テロメア」がなかったとしますと、染色体同士が融合したり、遺伝子が損傷を受けたりする可能性があると考えられています。

 

一方で、「ビタミンD3」とは、どのようなものなのでしょうか?

 

その前に「ビタミンD」について、お話をしておこうと思います。

 

「ビタミンD 」は、脂溶性ビタミンの一種であり、カルシウムやリンの腸内吸収を促進することで骨の健康を維持するほか、多くの生物学的機能に関与することが知られています。

 

ヒトにおいて重要なビタミンDには、植物由来の「ビタミンD₂」と動物由来の「ビタミンD₃」があります。

 

 このうち。「ビタミンD3」は、皮膚で「紫外線」を浴びることで作られたり、食事から摂取されます。体内では段階的に変化し、最終的に最も活性の高い形になります。まず肝臓で第一段階の変化を受け、次に腎臓で最終的な活性型に変わります。

 

この活性型が、全身の細胞にある「ビタミンD受容体」という鍵穴に結合して、さまざまな遺伝子のスイッチを入れる役割を果たすわけですね。

 

興味深いことに、この「ビタミンD受容体」は骨や腸だけでなく、免疫細胞、心臓、血管、前立腺、乳腺など全身の様々な細胞に存在していることが示されています。

 

これは、ビタミンD3が骨の健康を超えた幅広い生理機能を持つと考えられているわけです。

 

「テロメア」に再び、話を戻しますと・・・「テロメア」は。細胞の寿命を決める重要な構造 でもあるわけです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんでは、約10-15キロベースの「テロメア」の長さがあるわけですが、大人では約5-10キロベースと長さが短くなっているのですね。

 

なぜ、テロメアは、短くなっていくのか?・・・と言いますと、

 細胞が分裂するたびに、DNA複製の仕組み上の制約により、テロメアは少しずつ短くなっていくからですね。

1回の細胞分裂で、50-200塩基程度ということが知られています。

 

これは「末端複製問題」と呼ばれる現象で、DNAを複製する酵素の特性によって避けられません。

 

また、活性酸素や炎症などのストレスによっても短縮が加速されます。

「幹細胞」や「生殖細胞」など限られた細胞 では、「テロメラーゼ」という酵素(こうそ)があり、テロメアを延長することが可能なのですが、大部分の体の細胞では活性が低いため、ほとんど機能していません。

 

    (AIで画像を作成)

 

このために通常の体細胞亜h、細胞分裂が生じる度(たび)にテロメアの長さは短くなり、やがて、「限界(げんかい)に達すると

細胞は分裂を停止し、「老化細胞」になるわけです。

 

正常な体細胞が分裂できる回数に上限があることを示した重要な生物学的概念が、「ヘイフリック限界(Hayflick limit)」であることは、以前のブログでお話をさせていただいたと思います。

 

「老化細胞」は、増殖を停止するだけでなく、炎症性物質を大量に分泌するようになります。

 

これを「老化関連分泌表現型(SASP)」と呼びます。短期的には組織修復に役立ちますが、慢性的に続くと周囲の細胞にも悪影響を与えることから、「老化細胞」は「ゾンビ細胞」と呼ばれたりもするわけですね。

 

では、「ビタミンD3」は、上記に示したプロセスにどのような

「テロメア」を守る仕組みがあるのでしょうか。

 

 直接的な「テロメア」の保護メカニズム は、次のようなものになります。

 

大規模な調査研究により、血液中のビタミンD濃度が高い人ほどテロメアが長いことが一貫して報告されています。

 

ある研究では、ビタミンD濃度が最も高いグループと最も低いグループで、約5年分の老化に相当する差が認められたと報告するものもあります。 

 

この理由として、「ビタミンD受容体」がテロメラーゼ酵素の遺伝子を直接制御することが分かっています。

 

興味深いことに、正常な細胞では「テロメラーゼ」を活性化して細胞を守る一方、がん細胞では逆に抑制して増殖を止める働きする可能性が指摘 されています。

 

また、「ビタミンD3」は、マイクロRNAという小さな調節分子を通じて、遺伝子の発現を細かく調整するとされています。

これにより、細胞の状況に応じて適切に「テロメラーゼ」の活性を制御しています。 

 

また、活性酸素などの「酸化ストレス」からの保護作用があることも知られており、 性酸素は「テロメアDNA」を特に攻撃しやすい性質があるそうですが、「ビタミンD3」は、「Nrf2」という転写因子を活性化することで、細胞の抗酸化防御システムを強化します。

 

また、「ビタミンD3」は、ミトコンドリアの機能を改善し、効率的なエネルギー産生と活性酸素の除去を促進することも報告されているのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>7月1日
 

7月になりましたね。いつもでしたら「梅雨」の季節なわけですが、

いきなり、夏の暑さが始まりましたね、長い夏となりそうです。

 

今回は、近年の「老化研究」の進歩により、「ビタミンD3』が単なる骨代謝調節因子を超えて、細胞レベルでの「老化抑制」や「寿命延長」に重要な役割を果たしていることが明らかになってきたのですね。

「ビタミンD3」とは、どのようなものであったでしょうか?
この話題は、以前にもブログ内でお話をしたことがあるかもしれませんね。

「ビタミンD」には、D2とD3の2種類がありますが、ヒトの体内ではビタミンD3が主に利用されます。「ビタミンD3」は、日光を浴びることで皮膚で生成されるほか、魚介類や卵黄などに含まれています。
サプリもありますし、「骨粗鬆症」に対する薬剤としても用いられます。

「ビタミンD」は、「活性型ビタミンD3」になると、小腸からの

「カルシウム」の吸収を促進させ、骨量の減少を抑えるとされるのですが、これらの薬剤は体内で「活性型ビタミンD3」とほぼ同様の作用をあらわす薬剤とされているのですね。

そして、こうした「ビタミンD3」が「テロメア」の分解速度を低下させ、細胞老化の進行を遅延させる可能性があるということが報告され、注目されているのですね。

「テロメア」の短縮については、以下のようなことが知られています。

○短縮の程度 
ヒト体細胞では1回の分裂で約50-200塩基対短縮する

○生涯(しょうがい)で、体細胞は、約50-70回の分裂が可能であるとされています

○臨界(りんかい)の長さ(約4-6kb)に達した時点で「老化細胞」になるか、或いは、「細胞死(アポトーシス)」のどちらかになるわけですね。

ところで・・・通常の体細胞の「テロメア」を伸ばすことができるか?・・・という疑問を持つ方は多いと思います。この答えとしては、理論的には「可能」です。

例えば、体細胞内に「テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)」を細胞に導入すると、「テロメア」を延長できることが研究で示されています。

しかし。この方法は確かに「テロメア」を延長できるわけですが・・・「癌細胞」が無限に増殖する能力獲得と同じメカニズムのため、細胞の「がん化リスク」が高まる可能性があると考えられています。

これらのことから寿命を伸ばすためには・・・「テロメア」を伸ばすのではなく「テロメア」が短縮するスピードを低下させることが重要であるということになりますよね。

実際にどのようなことが報告されているのでしょうか?

血中ビタミンD(25(OH)D)濃度が高い人は、白血球テロメア長(LTL)が長い傾向が複数の観察研究で示されています。

 

これは、ビタミンDの抗炎症作用や細胞老化抑制作用が関与している可能性があります239。(参考1)

また、女性を対象とした大規模研究では、ビタミンD濃度が高い群でテロメア長が有意に長く、5年分のテロメア老化抑制効果に相当する差が認めらたことを報告しています(参考2)

また、透析患者を対象とした研究では、活性型ビタミンD治療を受けている患者は、治療を受けていない患者よりもテロメア長が有意に長いことが示されています(参考3)

大規模な疫学研究では、以下のようなことが報告されています。
例えば、女性双生児コホート(2160人)研究で、「ビタミンD」濃度が高い群は、低い群よりもテロメア長が有意に長く、5年分のテロメア加齢に相当する差が認められたと報告されています(参考2)

さらに・・・D-Health Trial(オーストラリア、約1500人)試験:高齢者に月1回ビタミンDサプリメントを4~5年投与しても、「テロメア」の長さに有意な変化は認められなかったという報告もあります

(参考4)。

「ビタミンD」の血中濃度が高いとテロメア長が長い傾向が観察されていますが、活性型ビタミンDやサプリメントによる直接的な効果は一貫していません。関連性はあるものの、因果関係や臨床的意義については今後の研究が必要であるわけですが・・・オーストラリアの約1500人の高齢者に月1回ビタミンDサプリメントを投与しても、「テロメア」の長さに変化がなかった結果を見ますと・・・もちろん、今後の研究が必要であるわけですが・・・

その結果が出る頃には・・・残念⁉︎間に合わないんだよな〜なんて、考えてしまいますね。

まあ、その〜私は3年前に重い荷物を持った時に「圧迫骨折」をして、その際に「骨粗鬆症」と診断されて、「活性型ビタミンD」を処方されて、服用しているので・・・別に残念に思う必要はないかもしれませんね爆  笑

今後、「テロメア」を延長するという「抗老化治療」は主に研究段階にあるとされているので、将来的には可能になるかもしれません、


しかしながら、その臨床応用には、安全性の確立が必要ですので、その実用化には時間がかかることが予想されるのだそうで、・・・

こちらの方は、残念⁉︎ 間に合わないんだよな〜なんて、考えてしまいますね。

今回も最後までお付き合いいただきまして
ありがとうございましたお願い

 

参考)

1)1)J Frailty Aging. 2021;10(1):2-9.
The Relationship Between Vitamin D and Telomere/Telomerase: A Comprehensive Review
M Zareiら

 

2)Am J Clin Nutr. 2007 Nov;86(5):1420-5.
Higher serum vitamin D concentrations are associated with longer leukocyte telomere length in women
J Brent Richardsら

 

3)Clin Ther. 2012 Apr;34(4):849-56.
Assessment of the potential role of active vitamin D treatment in telomere length: a case-control study in hemodialysis patients
Mercè Borrasら

 

4)4)PLoS One.2022 Feb 24;17(2):e0264337.
Leukocyte telomere length as a compensatory mechanism in vitamin D metabolism
Deniz Agirbasliら

 

 (以前のphoto:  旧小笠原伯爵邸の中庭の風景)

              (筆者撮影)

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                (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

 

                  (上差し 筆者がセレクトした夏の夜の3Jazzの曲)

 

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

梅雨の季節は終わっていないのでしょうが、なんとも鬱陶しい(うっとうしい)気候に思えてしまいますね。

 

「地球温暖化」により、今後の気候は未知数である・・・という、いささか不気味(ぶきみ)な予想もありますが、そんな言葉は30年前にも誰かが言っていたような気もするのは、私だけでしょうかね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

(AIで画像を作成)

                

 

さて、今回は「海馬(かいば)」についてのお話をしてみたいと思います。

「海馬」は、脳に入力された情報を一時的に保持し、その後、「大脳皮質」に長期記憶として保存する役割を担って(になって)いるというお話を以前にも、ブログ内で話題にさせていただきましたね。

 

もう少し詳しい(くわしい)お話をしますと・・・

「海馬」は確かに(たしかに)」「記憶の形成」において中心的な役割を果たしますが、実は、そのプロセスはもう少し複雑であると考えられています。

 

では、どのように複雑なのか・・・と言いますと、次のようなものになります。

 

日常の「短期記憶」の段階では、情報は主に「前頭前野(ぜんとうや)」などの「大脳皮質(だいのうひしつ)」という領域で一時的に保持されます。

例えば・・・先ほど、お湯を沸かし、コーヒーを淹れた(いれた)カップは、キッチンにあるといった情報でしょうか(あくまでも、例えですが・・・このような記憶は「海馬」に蓄積(ちくせき)しない可能性もあります。

 

本来の「海馬」の役割は、新しい情報を受け取り、それを既存の知識と関連付けて「記憶の統合」を行うことです。海馬は記憶の「インデックス」のような働きをするとされています。

 

例えば・・・今朝は「コーヒー」の入ったマグカップを私の部屋に持ち帰り、ソファーに座り、時間をかけて飲んだわけですが、豆の種類は「ハワイコナ」という豆でした。

もちろん、南国風のフルーティーなものでして、美味しいのですが

私としては、「軽い」イメージが残ったわけです。

もちろん、これは私の印象でして、「ハワイコナコーヒー」は、ハワイ島コナ地区で栽培されるアラビカ種のコーヒーで、世界三大コーヒーの一つとされているので、美味しいはずですが・・・

同じ南国風なら、「マンゴージュース」の方が良かったりしてなどと考えていたわけです。

 

まあ、数時間前のことなので、ここまでお話できるのですが・・・

おそらく、まだ、「大脳皮質」に記憶はあって、「ハワイコナコーヒー」は、南国風であり、世界三大コーヒーの一つではあるが、自分の味覚には、あまり合わなかった・・・という記憶が、「海馬」での処理を経て(へて)、情報が「大脳皮質」の様々な領域に分散して保存されるのだそうです。

 

つまり、正確なお話をするとすれば・・・「海馬」は記憶の「一時保管庫」ではなく、むしろ「記憶」を組織化し統合する「司令塔」的な役割を持っており、「長期記憶」は「大脳皮質」の複数の領域に分散して保存される・・・ということになります。

 

               (AIで画像を作成)

 

では、この重要な働きを持つ「海馬」が加齢とともに「萎縮(いしゅく)」していくと聞いたら・・・とても、不愉快(ふゆかい)に思う方も多いと思います。

 

実際には、年齢を重ねるにつれて、海馬の萎縮は自然に進行する可能性があります。

 

もちろん、「海馬」が萎縮(いしゅく)していくのは、加齢ばかりではありません、加齢以外に次のような要因があると考えられています。

 

1)アルツハイマー病

 

アルツハイマー病では、脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、神経細胞を破壊することで、「海馬」が萎縮すると考えられています。

 

2)血管性要因

 

高血圧、高脂血症、糖尿病などの血管系の病気は、脳の血管を傷つけ、「海馬」の萎縮を促進する可能性があるとされています。

 

3)ストレス

 

強いストレスは、「海馬」の神経細胞に悪影響を与え、萎縮を促進する可能性があると考えられています。

 

では、「海馬」の萎縮があると、「記憶」の保存は、本当に難しくなるのでしょうか?

 

残念ながら・・・「海馬の萎縮」は、記憶機能に深刻な影響を与えるとされています。

 

新しい記憶の形成への影響がメインとなるのですが・・・「海馬」が萎縮すると、新しい情報を「長期記憶」として定着させることが非常に困難になります。

これは「前向性健忘(ぜんこうせいけんぼう)」と呼ばれ、新しい出来事や学習内容を覚えられない状態を指します。

 

日常生活では、数分前の会話や昨日の出来事を思い出せないといった症状として現れます

 

比較的最近の記憶(数年以内)は失われやすくなるとされています。

 

一方で、子供時代や若い頃の古い記憶は比較的保たれることが多いのですが・・・これは、古い記憶はすでに「大脳皮質」に十分に統合されているためであると考えられています。

 

「海馬の萎縮」は加齢により、誰でも進行するもので、仕方がないものではあるわけですが・・・ただ、運命を受け入れて、ボオ〜と過ごすしかないのでしょうか?

 

日本は、世界の中でも「超高齢化社会」であるわけですから・・・

皆で、ボオ〜としているわけにもいきませんね。

 

実は、「海馬」の老化では、炎症・免疫応答、ストレス応答、代謝低下、シナプス機能障害など多様な分子変化が起こり、これが認知機能低下や神経変性疾患のリスク増大に直結する可能性が指摘されています。その結果として、「萎縮」してしまう可能性もあるということになります。

 

「iPS細胞由来エクソソーム」には、特定の遺伝子やタンパク質の変動を抑制し、いわゆる「老化脳」の新たな治療物資となる可能性があると考えられているのですね。

 

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記 > 6月24日

 

記憶の定着には、脳の「海馬(かいば)」が重要であるというお話を

させていただきました。



(図はお借りしました)

 

私たちの生活に密接に結びついている「海馬」ですが、上の図に示すように20〜30代より萎縮が始まり、50代を過ぎると加速度的に体積が減少すると言われています(参考1)。

「海馬」は。脳の内側にある「側頭葉」に位置しており、左右の脳半球に一つずつ存在します。具体的には、側頭葉の奥深くにあり、

タツノオトシゴのような形状をしていることから「海馬」と
名付けらたことは、以前もブログ内でお話をしたことがあるかもしれませんね。

「海馬」の働きは、新しい情報を受け取り、それを既存の知識と関連付けて「記憶の統合」を行うことであるとお話をしましたが、例えますと、「海馬」は記憶の「インデックス」を作るような働きをしていると考えることもできます。

本文内で、コーヒーのお話をしましたが・・・「ハワイコナ」という銘柄(めいがら)の味のイメージが保存されるだけではなく、私の好きなコーヒーの銘柄「キリマンジャロ」の印象よりも、味は華やか(はなやか)であるが、私には甘ったるい感じがする・・・とか、ドリップではなく、「ハワイコナ」の豆をひいて、粉の状態のものをサイフォンでコーヒーを作った方が、素敵な味が出たかも・・・などと、多くの関連する記憶とともに、記憶が統合(とうごう)されて、「インデックス」化された状態で、大脳皮質に残るということになるわけです。

「海馬」の萎縮が進むと、新しい出来事を覚えることが困難になるというお話を本文内でお話をしたのですが、
その他には「空間認知」の障害というものが出現することが知られており、慣れ親しんだ場所でも
方向感覚を失ったりします。これは海馬が「空間記憶」にも重要な役割を果たしているからということになります。

ところで、「海馬」の萎縮は、なぜ、起こるのでしょうか?
これは、単に高齢になったから小さくなるというわけではなく、加齢に伴い海馬では、さまざまな老化関連遺伝子やタンパク質が活性化・変動することが知られています。
主に炎症、免疫応答、代謝、シナプス機能、ストレス応答に関わる分子が顕著に変化し、これが認知機能低下や神経変性疾患のリスクを増大させているわけですね。

例えば・・・「海馬」における加齢関連遺伝子およびタンパク質には、タンパク質キナーゼ、転写因子、および神経保護機能を持つ遺伝子の調節異常が含まれると報告されていますし(参考2)、

コルチゾンをコルチゾールに還元する酵素である「海馬」の「HSD11B1(HSD11B1)」タンパク質の発現が加齢に伴い増加することは、神経細胞の喪失や認知症を引き起こすというとされています(参考3)。
 

さらに加齢に伴い「海馬」に発現する遺伝子は、免疫応答、免疫グロブリンG結合、および細胞膜成分に関連していると報告
されています(参考4)。

このような病態が、加齢に伴う「海馬」の縮小があるわけですね。
では、この病態に対して、「iPS細胞由来エクソソーム」は、どのような効果を示す可能性があるのでしょうか?

「iPS細胞由来エクソソーム」の「海馬」に対する効果で、実際に証明された神経保護・新生効果は、次のようなものに
なります。

最新の研究では、「ヒトiPS細胞由来神経幹細胞(hiPSC-NSC)由来のエクソソーム」が海馬神経新生に対して「明確な有効性」を示しています。


例えば・・・炎症性モデル(LPS投与)で減少した海馬神経新生指標が、ヒトiPS細胞由来神経幹細胞(hiPSC-NSC)由来のエクソソーム」投与により、正常レベルまで回復したり、海馬神経新生の定量的改善いずれも有意に改複したことが報告されており、その効果は、鼻腔内投与により脳全体への効率的な分布で実現可能であったと報告されています(参考5)。

さらに複数の分子メカニズムによる神経保護作用や抗酸化・抗アポトーシス作用も確認され、以下の効果が示されています(参考6)。

- **miRNA-21-5p、miR-103a-3p**:抗アポトーシス効果
- **miRNA-148a-3p**:異常タウリン酸化の抑制
- **Hemopexin**:ミトコンドリア機能保護、ROS毒性軽減
- **Pentraxin 3(PTX3)**:神経保護・抗炎症作用

他にもミトコンドリア機能回復作用や脳内の炎症性サイトカインの産生を抑制**することで、神経新生に必要な成長因子の保護神経幹細胞にとって好適な微小環境を作り出す作用が報告されています。


他にもヒトiPS細胞由来のエクソソームに特徴的な優位性が報告されているのですが、詳細は、またの機会に詳しくお話をしてみたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)
1)Clinical Trial Cereb Cortex. 2005 Nov;15(11):1676-89. .
Regional brain changes in aging healthy adults: general trends, individual differences and modifiers
Naftali Razら

 

2)Front Aging Neurosci. 2018 May 23:10:153. 
Integrative Analysis of Hippocampus Gene Expression Profiles Identifies Network Alterations in Aging and Alzheimer's Disease
Vinay Lankeら

 

3)Front Aging Neurosci. 2024 Mar 15:16:1328543. 
Age-related increase in the expression of 11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 1 in the hippocampus of male rhesus macaques
Alejandro Lomnicziら

 

4)Front Neurosci. 2022 May 25:16:915907. 

Gene Expression Profiles of the Aging Rat Hippocampus Imply Altered Immunoglobulin Dynamics
Panagiotis Giannosら

 

5)Journal of Neuroinflammation (2023) 20:297
Extracellular vesicles from hiPSC-NSCs canprevent peripheral infammation-induced cognitive dysfunction with infammasom inhibition and improved neurogenesisin the hippocampus
Gunel Ayyubovaら

 

6)Stem Cell Research & Therapy (2025) 16:191
Extracellular vesicles from hiPSC-derived NSCs protect human neurons against Aβ42 oligomers induced neurodegeneration, mitochondrial dysfunction and tau phosphorylation
Shama Raoら

 

 

         (麻布台ヒルズ 休日の風景)

              (筆者撮影)

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                (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

 

 

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       <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

6月も半ばとなっていますね。暦に目をやりますと・・・

明日の16日からは、七十二候で「梅子黄(うめのみきばむ)」となることに気が付きました。

 

「梅(うめ)」は、古くから日本人に身近な植物ですが、もともとは花よりもその実が万病に効くとされ、奈良時代に薬用植物として中国から伝わったといいます。
 
梅雨に入り、身体の免疫力が落ちるこの時期、クエン酸が豊富で疲労回復、食欲増進の作用がある梅干しは、古くから重宝(ちょうほう)されてきたそうです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

                                             (AIで画像を作成)

 

さて、今回は敢えて(あえて)「食べない時間」を作ることが、健康の維持につながる・・・というお話をしてみたいと思います。

 

私たちは日々、「健康に良い食材」や「美容に効果的な食事法」といった情報に囲まれて暮らしています。

さまざまなメディアでは、「抗酸化作用のある食品」「腸内環境を整える食物繊維」「脂肪を燃やすタンパク質」などが盛んに取り上げられ、何を“食べるか”が健康の鍵(かぎ)として語られていますね。

「何を多く摂取(せっしゅ)すれば健康になれるのかということばかりが話題にされることが多いわけです。、

 

しかしながら、近年の研究では、「”食べないこと”=空腹状態」が持つ生理的な役割に注目が集まっているのですね。

これは、決して“断食のすすめ”ではありません。
むしろ、一定の時間、敢えて(あえて)食べないことで、ヒトの体が本来持っている「自己修復機能(じこしゅうふくきのう)や免疫機能が活性化されるという考え方になります。
 

                                          (AIで画像を作成)

 

生理学的に、空腹状態は体に「代謝的ストレス」を与えます。
これは一見ネガティブなように思われますが、実はこのストレスが、体を強化し適応させる「ホルミシス(Hormesis)」という現象を引き起こします。

「ホルミシス(Hormesis)」は、「少量の有害なストレスが、生体に有益な適応反応を引き起こす現象」を指します。「毒も少量なら薬になる」という概念に近く、適度なストレスが生体の防御機能を活性化させ、結果的に健康増進につながるという生物学的現象です。

 

この「ホルミシス(Hormesis)」のメカニズムを一部、紹介しますと

次のようになります。

 

1. 適応的ストレス応答

軽度のストレスは以下の防御システムを活性化します。

  • 抗酸化酵素(SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ)の活性上昇
  • DNA修復機構の強化
  • オートファジーの促進

2. ミトコンドリア機能の改善

  • 軽度の酸化ストレスがミトコンドリアの生合成を促進
  • エネルギー産生効率の向上
  • 細胞のストレス耐性増強

3.シグナル伝達経路の活性化

  • Nrf2経路:抗酸化応答の主要な転写因子
  • FOXO経路:ストレス耐性と長寿に関連

 

4. NK細胞の活性の増加

 

5.サーチュイン遺伝子の活性化

 

いかがでしょうか?一定の時間「空腹を保つ」・・・ある程度の空腹を保つだけで、これだけのメリットが出ることに驚かれた方も多いと

思います。

 

「腹いっぱいになるまで食べないと、力(ちから)がでない」とおっしゃる方は多いのですが・・・上記の「ホルミシス(Hormesis)」のメカニズムを見ますと・・・敢えて(あえて)食べない時間を作った方が調子がよくなるんじゃないか・・・と思えたりもします。

 

私が注目しているのは、「NK(ナチュラルキラー)細胞」の活性が増加することです。もちろん、ミトコンドリア機能の改善効果も注目すべきところですが・・・ね。

 

「NK細胞」は、生まれながらヒトが持っている「自然免疫」系に属するリンパ球であり、「癌細胞」、「ウイルス感染細胞」、そして、

「老化細胞」を非特異的に攻撃(こうげき)・排除(はいじょ)する能力を持ちます。

 

標的を自然に識別(しきべつ)し、攻撃するために「体内の見張り役(サーベイランスシステム)」とも呼ばれています。

 

とは言っても「NK細胞の数」は少ないわけですね。よく「NK細胞」の数を増やすことが重要である・・・なんて、おっしゃる方がいるのですが、これは間違い(まちがい)なのですね。

 

その証拠(しょうこ)と言ってはなんですが・・・高齢者では、若いヒトと比較して、「NK細胞」の数は多くなることが知られています。

 

このブログ内でも再三(さいさん)強調していますが・・・重要なのは「NK細胞の数」ではなく「活性度(cytotoxic activity)」なのですね。

 

つまり、「NK細胞」が、どれだけ機能的に働いているかがポイントになるわけです。次のようなデータも報告されています。

 

          (図はお借りしました)

 

次のようなデータも報告されています。これは、年齢と「NK細胞」の活性の変化を表した図となります。

 

これを見ますと・・・男女ともに20歳ぐらいが「NK細胞」の活性が最も高く、それ以降は、加齢にともなって「NK細胞の活性」は低下していくことが分かっています。

 

そして、ある程度まで「NK細胞の活性」が低下していきますと・・・

今度が「癌の発生率」が増加してくることが確認できますね。

 

話を戻しますと、いくつかの研究により、断続的な空腹(インターミッテント・ファスティング)によって、「NK細胞」の活性が向上(こうじょう)することが示唆(しさ)されています。

 

これは空腹時に分泌されるケトン体やアディポネクチンなどの代謝産物が、「NK細胞」の機能を刺激することによると考えられています。

 

また、老化に伴い蓄積(ちくせき)する「老化細胞」を「NK細胞」が除去する能力も空腹によって高まる可能性があり、このことは、多くの加齢関連疾患や慢性炎症の予防にとって、とても重要な意味を持つとも考えられているのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>6月17日

 

夏のような暑い日が続いてますね。食事の摂取は控える(ひかえる)にしても、水分を充分にとることは「熱中症」を予防することは、重要ですね。

 

ヒトの3大欲求とされるもので、真っ先に挙げられるのは「食欲」であるわけですし、「食事」からいかに必要なカロリーや
栄養素を得ることは、生命維持に不可欠なことであると考えられています。

 

それなのに「食事」を摂取(せっしゅ)を制限することが、健康状態をよくする可能性がある・・・と聞いても、多くの方が疑問に思うのは、当然かも知れません。

一定時間の食事の制限を行うことを「間欠的な断食(インターミッテント・ファスティング)」と呼びます、

 

この「間欠的な断食は、体重管理や代謝の改善を中心に、さまざまな健康メリットが期待できる食事法と考えられているわけです。

その主な効果は、体重減少、心血管・代謝リスクの低減、インスリン感受性の向上などが挙げられます。

 

体重管理や代謝の改善を中心に、さまざまな健康メリットが期待できる食事法で、主な効果は、体重減少、心血管・代謝リスクの低減、インスリン感受性の向上などが挙げられます(参考1).
また、血圧、インスリン抵抗性、酸化ストレスの低下が一貫して認められています(参考2)。

ほとんどの断食法(隔日断食、5:2ダイエット、時間制限食)は、1〜8%の体重減少と10〜30%のエネルギー摂取減少をもたらすと考えられているそうで、それにより内臓脂肪の減少や、肥満・2型糖尿病患者での体脂肪分布の改善が報告されています(参考1)
 

そして、これらの効果が発現する理由として、「ミトコンドリア」の健全化や「DNA修復」に関与する細胞機構を活性化することが示されています。

こうした効果は、「間欠的な断食」ばかりでなく、「カロリー制限」(Cにも認められることが知られていまして、細胞のストレス応答経路を活性化し、DNA修復能力の向上やミトコンドリアの健康維持に寄与することが知られています(参考1,2,3)。

また、こうした「ミトコンドリア」機能の改善やエネルギー代謝の促進、酸化ストレスの低減を通じて、加齢や神経変性疾患の予防に役立つ可能性がある報告されています(参考3)。

 

「間欠的な断食」の効果は、「ミトコンドリア」の機能に影響を与えるだけでなく、「免疫機能」,「サーカディアンリズム(概日リズム)」,「老化」に多面的な影響を与えることが示されています。


「サーカディアンリズム(概日リズム)」が調整されることから「サーチュイン遺伝子(SIRT1、SIRT3、SIRT6など)」を活性化することが複数の研究で示されています。この活性化は、代謝改善や抗酸化作用、老化防止などの健康効果と関連しています。

例えば、「間欠的な断食」は、肝臓や網膜、脳などで「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)のmRNAやタンパク質発現を増加させ、SIRT1の活性も大きく上昇することが報告されています。

また、同様に脂肪組織や肝臓で「サーチュイン3遺伝子(SIRT3」)の増加 させ、ミトコンドリア機能や脂質代謝の改善に寄与すると考えられています。参考文献は省略しますが、まとめますと、以下のようなものになります。

SIRT1    増加    代謝改善、抗炎症、長寿
SIRT3    増加    ミトコンドリア機能改善
SIRT6    維持が重要    代謝改善、脂肪組織の適応

このように一定時間の断食や食事摂取カロリーを減らすことは、「ミトコンドリア」機能の改善やエネルギー代謝の促進、酸化ストレスの低減をもたらし、

 

さらに「免疫機能」の改善や、「サーカディアンリズム(概日リズム)」の調整による「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)の活性化などの抗老化作用の促進などというメリットばかりと言えるのかも知れませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただき

誠にありがとうございましたお願い

参考)
1) Trends Endocrinol Metab. 2024 Feb;35(2):125-141. 
Common and divergent molecular mechanisms of fasting and ketogenic diets
Antonio Paoli ら

2)Mech Ageing Dev. 2020 Jun:188:111238.
 12 days of in vivo caloric reduction can improve important parameters of aging in humans
Alica Schöller-Mann ら

3)Ageing Res Rev. 2017 Oct:39:46-58.
 Impact of intermittent fasting on health and disease processes
Mark P Mattson ら

4)Diabetologia. 2021 Jul;64(7):1674-1689. .
Fasting and fasting-mimicking treatment activate SIRT1/LXRα and alleviate diabetes-induced systemic and microvascular dysfunction
Sandra S Hammerら
 

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(週末の銀座 和光 時計台の見える風景)

              (筆者撮影)

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     (上差し 筆者がセレクトしたピアノJazzの曲)

 

 

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      <今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

いよいよ、梅雨(つゆ)の時期に入りそうですね。

あと3日もしますと、暦の七十二候では「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」となります。

 

梅雨の時期に腐った草が蒸れて(むれて)、「蛍(ほたる)」になると考えられていたことに由来するようです。

 

「蛍(ほたる)」が、光るのは・・・「ルシフェリン」という発光物質と「ルシフェラーゼ」とが混ざり、そこにホタルが吸った「酸素」が結びついて起きる化学反応が起こるからなのだとか。

 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 (AIで画像を作成)

 

前回のブログは、「ミトコンドリア」が産生する「ATP」の量が減少することで「老化」が進行するという説を「ミトコンドリア老化仮説」について、お話をさせていただいたわけです。

 

その中で「ミトコンドリア」の機能を改善することができれば、「老化細胞」の一部は、正常細胞に近いものとなり、少なくとも「老化細胞」が分泌する炎症物質は「細胞老化随伴(ずいはん)分泌表現型(Senescence-Associated Secretory Phenotype:SASP)」を改善できる可能性があるとお話をさせていただきました。

 

そして、この「ミトコンドリア」の機能を改善させる可能性のあるものとして・・・NMN、NAD+、5-ALAの投与は、それぞれ異なる作用機序を通じてミトコンドリア機能を改善し、老化関連障害を緩和(かんわ)する可能性を持つ可能性があるとお話をさせていただいたのだと思います。

 

そこで、今回は「5-ALA」の持つ作用機序についての話題にしたいと思います。

 

「5-ALA」の正式な名称は「5-アミノレブリン酸(5-Aminolevulinic acid, 5-ALA)」というものになります。

 

「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」は、生体内で自然に産生される非タンパク質性アミノ酸であり、ヘム合成経路の最初の前駆体として機能します。

 

この「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」は、「ミトコンドリア」での

エネルギー産生に重要な役割を担い、ヘムという物質のもととなるアミノ酸です。ヘムは、酸素を運ぶヘモグロビンや、エネルギーを生成する呼吸鎖複合体など、生命活動の鍵となると考えられている物質となると考えられています。

 

「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」は、医療や健康分野で多様な用途が研究されているアミノ酸の一種です。近年、や疲労感の軽減、酸化ストレスの改善など、さまざまな効果が注目されています。

 

その安全性については、「5-ALA」は生体内で自然に産生される物質のため、比較的安全性が高いとされていますが、「5-ALA」の投与で光に対する感受性が高まるため、「5-ALA」の投与後は、強い光を避ける必要があるとされています。

 

実際に重大な副採用は認められていないとされているものの、光過敏症(4.6%)、肝機能障害(1.1%)の副作用が報告されています(参考1)

 

  (AIで画像を作成)

 

「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」の健康に対する影響としては、以下のようなことが報告されています。

 

1.慢性疲労・気分改善

 

1)疲労・無気力、抑うつ、全体的な気分障害スコアも改善する(参考2)

 

2)5-ALAの8週間摂取で、慢性的な身体的疲労感や怒り・敵意の感情が有意に軽減する(参考2)


 

2.LOH(加齢男性性腺機能低下症)症状の改善

 

5-ALAの8週間摂取で、LOH症状の総合スコアがプラセボより有意に改善したという報告がある(参考3)

 

LOH症状(Late-onset hypogonadism)は、加齢男性性腺機能低下症候群とも呼ばれ、中高年男性に見られるテストステロン(男性ホルモン)の低下によって引き起こされる症状群です。

 

  • 体脂肪の増加、特に内臓脂肪の蓄積
  • 疲労感や体力の低下
  • 性機能の低下(性欲減退など)
  • 抑うつ気分や気分の落ち込み
  • イライラしやすさ
  • 集中力や記憶力の低下
  • 意欲の減退

などが起きる可能性があるわけですが、このような尿状に対して、「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」が有効なのではないか・・・というわけですね。

 

また、健常者の激しい有酸素運動時に「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」を摂取しますと・・・「抗酸化能」が有意に改善するということも報告されています(参考4)

 

また、「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」の投与は、「免疫細胞の活性化」と「ミトコンドリアのATP産生」に明確な影響を与えることが示されています。

 

実際に「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」と「鉄剤」を併用することにより、「腫瘍浸潤T細胞の活性化」細胞傷害性分子(グランザイムB)、サイトカイン(IL-2、IFN-γ)産生が増加することが報告されています(参考5)

 

と聞きますと・・・癌の治療に応用できるのではないかと思ったりするのですが・・・実際に細胞障害性T細胞(CTL)を活性化することも報告されています。

 

しかしながら、「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」は、マクロファージの抗炎症型(M2)への分化を促進し、炎症抑制や組織修復に関与することが報告されているのですね(参考6)


 

この話題は、以前のブログ内でもお話をしたのですが・・・臓器癌(固形癌)の周囲には、「癌関連線維芽細胞(CAF)」というものが存在し、「腫瘍微小環境(TME)」というものが形成されていましたね。

 

「腫瘍微小環境」とは、腫瘍またはがん細胞を取り囲む、免疫細胞、血管系細胞、線維芽細胞などの様々な細胞が作り出す複雑な環境を指します。

 

この環境は、免疫抑制性の性質を持つばかりでなく、抗がん剤の効果の減弱、そして、癌の増殖や遠隔転移などを促進するがありましたね。

 

この「腫瘍微小環境」の性質を助けているのが、「M2型マクロファージ」でしてた。

 

繰り返しになりますが、少しだけ復習しておきますと・・・

 

多数の「マクロファージ」が、癌細胞周囲に存在しています。このようなマクロファージ は「腫瘍随伴マクロファージ(Tumor-associated macrophage: TAM)」と呼ばれています、

 

通常の場合、免疫細胞の「マクロファージ」は、 通常の場合、その活性化の様式から、M1型とM2 型に分けられます。

 

「M1型マクロファージ」は、持続的または過剰な活性化を起こしており、癌などの組織に損傷を起こせる可能性は高いわけです。

 

しかしながら、「腫瘍微小環境」内にある「腫瘍随伴マクロファージ( TAM)」は、「M2型マクロファージ」になっていることが報告されているわけですね。

 

この「M2型マクロファージ」、宿主の免疫応答を抑制、および組織リモデリングの促進、組織内の代謝と内分泌シグナル伝達を改善する増殖因子および、IL-10, TGF-β, Prostaglandin E2などの「抗炎症性因 子」の産生や「制御性T細胞」の浸潤を促す ことで

「抗腫瘍免疫」、つまり、癌を排除しようとする免疫を抑制したり、種々 の血管新生因子の産生によって「新生血管」を誘導することで、

 

がん細胞の増 殖に都合の良い微小環境を作ることに役立っているのですね。

 

癌の治療では、「腫瘍微小環境」内にある「腫瘍随伴マクロファージ( TAM)」を免疫抑制型「M2型マクロファージ」から活性型の「M1型マクロファージ」に変えていくことが重要であるわけですので・・・

 

「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」は、マクロファージの抗炎症型(M2)への分化を促進する作用のあることは、癌の治療を困難にする可能性があるということになりますね。

 

ちょっと、話が脱線(だっせん)してしまいましたが・・・

 

「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」は、加齢に伴うミトコンドリア機能低下を回復させ、ATP産生やエネルギー代謝あいしゃを向上させることは示されています。

 

加齢マウスで、5-ALAを経口投与すると、ミトコンドリア機能の低下(ATP産生低下、酵素活性低下)が回復し、インスリン抵抗性や耐糖能異常も改善されました。

 

6週間の5-ALA投与でミトコンドリア機能が十分に回復し、効果は投与中のみ持続したことが報告されています(参考7)

 

なかなか、「5-ALA(5-アミノレブリン酸)」には、さまざまな作用があるのですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>6月10日

 

雨が止んで(やんで)おり、開けた窓からは穏やかな(おだやかな)風が入ってきます、
今宵(こよい)は、とても良いニュースを見つけ、しばらくは関連する文献などを眺めて(ながめて)いました。

そのニュースは共「共同通信」のニュースで、大阪大学の研究チームが「がん関連線維芽細胞(CAF)」のみに働きかけ、免疫抑制
物質を制御することに成功したというものですね。
 

実際にマウスの実験では、癌腫瘤の縮小が認められたそうで、癌に対する完全な治療の実施が可能になる・・・ことが期待できるとその記事の中では、述べられていました。

「がん関連線維芽細胞(CAF)」が制御(せいぎょ)できれば、抗がん剤の投与量も減らすことができますし、免疫細胞が接触し、癌細胞を破壊することもできますね。


また、癌細胞と「がん関連線維芽細胞(CAF)」で構成される「癌微小環境」では、マクロファージが、免疫抑制型の「M2型」から、

活性型の「M1型」に変化するという論文も多くありますので、癌細胞を免疫細胞が認識し、攻撃しやすくなる可能性が高いと考えられます。

マクロファージが、免疫抑制型の「M2型」のままでは、免疫細胞が

癌組織の前を素通り(すどうり)して、癌細胞を認識できないケース

もあると報告されていましたので、「癌微小環境」では、マクロファージを活性型の「M1型」に変化させることは、「免疫細胞」の併用することで、治療効果を格段に(かくだんに)向上させる可能性も出てくることになります。

 

以前にブログ内で、糖尿病に対する薬剤である「メトホルミン」が、「癌微小環境「内のマクロファージを免疫抑制型のM2型から、M1型に変える働きがあるというお話をしたわけですが・・・
 

それよりも有効な方法になることが期待できそうですね。

なので・・・本文内で「5-ALA」では、「癌微小環境」内のマクロファージが免疫抑制型のM2型になってしまう可能性があるとお話したのですが、将来、「癌関連線維芽細胞」自体をコントロールできるようになりますと、まったく話が変わってくる可能性がありますね。

話を戻しまして・・・ところで、「ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」は、体内で「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」に変化するわけですね。


この「NAD+」はエネルギー代謝や老化、細胞修復など多くの生理機能に関与するという重要な役割はあるのですが・・・

加齢とともに「NAD+」の量が低下することが知られています。

 

「NAD+」の量が減れば(へれば)・・・7つある「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」の発現量が低下し、「ミトコンドリア」でのATPの産生量も低下してしまいますよね。

 

そして、「NMN」を補給しますと、体内で速やかに「NAD+」へと変換され、NAD+プール(貯留量)が、増加することが分かっているのですね(参考8)。

では、加齢により「ミトコンドリア」からのATP産生も低下している状態では「NMN」や「NAD+」の投与は有効なのでしょうか。

「NAD+」やその前駆体である「NMN」の投与は、加齢などで機能が低下した「ミトコンドリア」であっても、再度、ATP産生を回復させることが報告されています。

このようなメカニズムは、次のように報告されています。

「NAD+」や「NMN」は、加齢などで機能が低下した「ミトコンドリア」であっても、「NAD+」のプール(貯蔵)を増やし、「サーチュイン3遺伝子(SIRT3)」などのNAD+依存性酵素を活性化することで

 

「ミトコンドリア」のタンパク質の脱アセチル化や抗酸化酵素活性化、ATP産生促進などをもたらすことで、ATP産生を回復させる

ことが報告されています(参考9)。


とくに「サーチュイン3遺伝子(SIRT3)」などのNAD+依存性酵素を活性化することは、「ミトコンドリア」の機能を向上させ、ATP産生が増加することが報告されています。


NAD+依存性酵素とは、NAD+が存在することで、はじめて活性化されるという意味ですね。

この「サーチュイン3(SIRT3)依存性」のメカニズムは、特筆(とくひつ)すべきものであると言えるかもしれません。

「サーチュイン3(SIRT3)」はNAD+の存在下にはたらく、脱アセチル化作用があり、「ミトコンドリア」内で代謝、酸化ストレス、細胞生存に関与する多数のタンパク質の機能を調節していると考えられています。

具体的には、(ちょっと細かい話になりますが・・・)

「サーチュイン3(SIRT3)」は、「ATP5O」と「ATP5A1」という2つの「ミトコンドリア」のATP合成酵素を活性化することで、エネルギー産生を増加させると考えられています。

また、「サーチュイン3(SIRT3)」は、SOD2のK68アセチル化を除去してSOD2を活性化し、ミトコンドリアの「活性酸素」を軽減することが知られています(参考10)
 
「ミトコンドリア」は、エネルギーであるATPを産生すると同時に「活性酸素」などを産生するために・・・エネルギーを産生しながらも、自分自身の「ミトコンドリアDNA」が壊されていく(こわされていく)という悲しい運命がありましたよね。

 

「サーチュイン3(SIRT3)」は、この「活性酸素」の影響を減らす力があるというこよになります。

また、「NAD+」は、ミトコンドリアに対しての直接的な作用もあることが知られています。
それは、老化により機能低下のある「ミトコンドリア」の「電子伝達系」という部分に対し、この能力を改善する作用があることも確認されています。

なかなか、難しい話になるのは承知(しょうち)の上で、少しまとめてみますと・・・


「NMN」や「NAD+」が、「老化したミトコンドリア」のATP産生を増加できるわけですが、

これは、「サーチュイン3(SIRT3)」遺伝子の活性化による酵素調節と、「NAD+」が「ミトコンドリア」の電子伝達系という部分に

直接働きかけて、これを改善するという2つの「複合的なメカニズム」が働く(はたらく)ためであるということになりますね。


では、本文内でご紹介した「5-ALA」と「NAD+」のATP産生メカニズムの違いとは、どのようなものなのでしょうか?

作用機序の根本的な違いを簡単に言いますと・・・


    •   5-ALA: (構造的改善 )- 電子伝達系の構成要素を増やす
    •    NAD+: 機能的改善 - 既存の酵素系の活性を高める


「5-ALAは」は「量的改善」を、そして、「NAD+」は「質的改善」をもたらす異なるアプローチで、ATP産生を向上させると言えるかもしれませんね。


何が言いたいかといいますと・・・

「5-ALAは」と「NAD+」は、作用機序が根本的に異なるため、併用(へいよう)することで、相乗効果(そうじょうこうか)が期待できる可能性があるということになりますね。

 

なかなか、今回の話題はヘビーな感じでした笑い泣き爆  笑笑い泣き爆  笑​​​​​​​

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Eur J Pharm Sci. 2023 Sep 1:188:106493.

Microneedle-assisted transdermal delivery of perfluorotripropylamine-based oxygenated emulsion gel loaded with 5-aminolevulinic acid for enhanced photodynamic therapy of cutaneous squamous cell carcinoma

Lialiang Zhangら

 

2)Sci Rep. 2020 Sep 29;10(1):16004.

Reduction of fatigue and anger-hostility by the oral administration of 5-aminolevulinic acid phosphate: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel study

Fumiko Higashikawa 

 

3) J Neurosurg. 2023 Oct 13;140(4):987-1000. 

Use of 5-ALA fluorescence-guided surgery versus white-light conventional microsurgery for the resection of newly diagnosed glioblastomas (RESECT study): a French multicenter randomized phase III study 

Teiebaud Picartら

 

4) Int. Mol Sci. 2024 Jan 12;25(2):988. 

The Impact of 5-Aminolevulinic Acid Supplementation on Redox Balance and Aerobic Capacity 

Norio Sagaら

 

5)Vet Immunol Immunopathol. 2022 Sep:251:110473.

The effect of 5-aminolevulinic acid on canine peripheral blood mononuclear cells 

Masaya Igaseら

 

6)Theranostics. 2023 Aug 28;13(14):4802-4820. Guanghui Jin

5-aminolevulinate and CHIL3/CHI3L1 treatment amid ischemia aids liver metabolism and reduces ischemia-reperfusion injury

Guanghui Jinら

 

7)PLos One. 2018 Jan 24;13(1):e0189593. 

5-aminolevulinic acid (ALA) deficiency causes impaired glucose tolerance and insulin resistance coincident with an attenuation of mitochondrial function in aged mice

Shinichi Saitohら

 

8)Cell Metab. 2011 Oct 5;14(4):528-36. 
Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice
Jun Yoshino ら

 

9) Exp Neurol. 2020 Mar:325:113144..
NAD+ precursor modulates post-ischemic mitochondrial fragmentation and reactive oxygen species generation via SIRT3 dependent mechanisms
Nina Klimova ら 

 

10) Front Cell Neurosci. 2024.

The role of SIRT3 in homeostasis and cellular health
Dennison Trinh et al.

 

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         (休日の朝;丸の内仲通りの風景)

             (筆者撮影)

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(Sptifyのポドキャスト:文章作成後、Notebook KLMにて、AIによる音声を作成:テスト配信)

 

 

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