こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

朝から気持ちのよい青空が広がっていましたね。

 

私は、窓を大きく開けて、そよ風と鳥のさえずりを聞きながらしばらくの間、コーヒーを飲みながら、ボ〜としておりました。

ずいぶんと無駄に時間を過ごしてしまったな〜と反省した次第(しだい)です。

 

しかしながら、イギリスの銀行家、ジョン・ラボックという人物は、次のような言葉を残しています。

 

Rest is not idleness, and to lie sometimes on the grass on a summer day listening to the murmur of water, or watching the clouds float across the sky, is hardly a waste of time.

 

休息は怠惰(たいだ)ではない。夏の日に草の上で横になって

水のせせらぎを聞いたり、雲が空を横切るのを眺めることは、ほとんど時間の浪費(ろうひ)ではない

 

今日は、日曜日であることを忘れていて、夜になってからブログを書いています。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?   

 

 

                                    (AIで画像を作成)

 

さて、今回は「癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast:

CAFs)に対する治療戦略が見えてきたので、その話題にしたいと思います。

 

「癌関連線維芽細胞(CAFs)」とは、固形癌(膵臓や肝臓などの臓器に発生する癌)の周囲に産生され、癌が増殖しやすくする「腫瘍微小環境(しゅようびしょうかんきょう)」を作りだす働きをしています。

 

実際に癌の治療で「抗がん剤」による治療を行う際にも、「抗がん剤」に対する「薬剤耐性(やくざいたいせい)」を早期に誘導したり、

「抗がん剤」の効果を低下させてしまうことが報告されています。

 

また、癌に対する「免疫細胞治療」を行う際にも、「免疫細胞」の活性を低下させてしまったり、癌組織自体が「免疫細胞」に認識されなくするような作用があることが報告されているわけです。

 

上記のようなことから、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」の破壊することが癌治療の「有効性」高めると考えられてきたのですね。

 

その理由は、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」が「腫瘍微小環境」において、「癌細胞」が生存し、増殖するために、以下のような多くの役割を果たしているからと考えられています。

 

1)細胞外マトリックスの再構成と腫瘍の固さの増加により、「癌細胞」の成長と転移を促進する

 

2)成長因子やサイトカインの分泌を通じて、「癌細胞」の増殖と生存をサポートする

 

3)免疫抑制性の微小環境を形成し、「抗腫瘍免疫応答」を妨げる

 

4)「薬物耐性(やくざいたいせい)を発達させ、化学療法や標的治療の効果を減少させる

 

といった具合です。

 

つまり、「癌の治療」を標準治療のひとつである「抗がん剤」で行う際でも「免疫細胞治療」を用いるとしても「癌関連線維芽細胞(CAFs)」は、立ちはだかる壁になっていたわけですね。

 

(AIで画像を作成)

 

癌に対する「免疫細胞治療」は、「抗がん剤」では破壊することのできない「癌幹細胞(がんかんさいぼう)を破壊できるメリットはあるわけですが・・・

 

「癌関連線維芽細胞(CAFs)」が存在しますと、「免疫細胞」が癌細胞に接触(せっしょく)することが困難となったり、「免疫細胞」の活性が低下してしまうことも報告されています。

 

こうした病態は、一般的に「難治性」と考えられる「膵臓癌」で多く認められるのですが、他にも乳癌、肺癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、幹細胞癌、頭頸部癌において、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」は、治療効果を低下させる主要な因子と考えられているわけですね。

 

私自身も、ず〜〜と、「癌関連線維芽細胞(CAFs)」を破壊する方法がみつからなければ・・・治療効果が限定的なものになる・・・と最近は、少し焦り(あせり)を感じていたわけです。

 

JTKクリニックでは、「GCリンフォッテック」社のご協力をいただき、「癌の患者」さんに対して、抗がん剤治療と併用する形で、免疫細胞による治療を行なっています。

 

この「免疫細胞」は、当院独自の方法でありまして、自己血由来の

「NK細胞」と「CTL(細胞傷害性T細胞)」を同時に投与するものとなります。

この方法は、癌細胞の破壊効率を高める可能性があると考えられるもので、確かに一定の効果はある結果となっています。

 

その詳細なメカニズムを挙げれば、それは効果がありそうだね・・・とご理解いただけると思いますが・・・これは、長くなりますので、またの機会にしたいと思います。

 

「癌関連線維芽細胞(CAFs)」に話を戻しますと・・・これまでに

経口糖尿病薬「メトホルミン」は、「癌線維芽細胞(CAFs)」に対して有効な作用を示すことが、複数の研究で報告されています。

 

「メトホルミン」は、「癌線維芽細胞(CAFs)」の活性化や炎症性分泌、腫瘍細胞との相互作用を抑制し、腫瘍の進行や治療抵抗性を低減する効果が期待されているのだそうです。

 

少し詳しく見てみますと・・・

 

1.炎症性サイトカインの抑制

 

「メトホルミン」は、「癌線維芽細胞(CAFs)」が、分泌するIL-6やTGF-βなどの炎症性サイトカインの発現を抑制し、腫瘍細胞の化学療法耐性や増殖促進を防ぎます(参考1.2.3)。

 

また、「メトホルミン」は、腫瘍内の変異してない細胞の表現型を調節することで、癌の進行を抑制する可能性も示されています(参考4)

 

さらに「メトホルミン」が癌組織内の癌関連線維芽細胞(CAF)を含む微小環境で、マクロファージを「M2型」から「M1型」に変換する作用について、複数の論文が報告しています。

 

このことは、「M2型」マクロファージの減少により、腫瘍免疫抑制環境が改善され、「細胞障害性T細胞(CTL)の腫瘍内浸潤が増加し、抗腫瘍免疫が強化されることにつながることが確認されています(参考5,6)。

 

少し理解しにくいかもしれませんが、通常の「癌線維芽細胞(CAFs)」が多くみられる固形癌では、その組織内にあるマクロファージは「M2型」となっている場合が多いとされています。

 

「M2型」マクロファージの役割は、「免疫抑制」の傾向となるため、

免疫細胞を投与したとしても、免疫細胞が「癌組織」や「癌細胞」を

認識できないという現象が生じるとされていたのですね。

 

「メトホルミン」は、マクロファージは「M2型」から「M1型」に変え、免疫細胞が「癌組織」や「癌細胞」を認識できるようにするという働きもあるというわけです(参考5,6)

 

経口糖尿病薬「メトホルミン」は、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させることでも知られるユニークな薬剤でして、

「抗がん剤」で行う際でも「免疫細胞治療」を用いるとしても、大きな壁となる「癌関連線維芽細胞(CAFs)」の問題をクリアできることが、ただの偶然とは思えないのは、私だけでしょうか?

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>5月6日

 

大型連休の最終日は、残念ながら雨の降るお天気となってしまいましたね。

今回は「癌関連線維芽細胞( CAF)」のお話をさせていただきました。

 

「癌関連線維芽細胞( CAF)」と通常の皮膚真皮層にある「線維芽細胞」には、いくつかの重要な違いがあります。

 

 

   通常の「線維芽細胞」は、主に組織の恒常性維持(こうじょうせい)の維持(いじ)に関わりますが、「癌関連線維芽細胞( CAF)」は、通常の「線維芽細胞」と同じものが、「腫瘍微小環境(TME)」でのサイトカインや成長因子によって活性化されています。

 

活性化されていることから、「癌関連線維芽細胞( CAFs)」の遺伝子発現プロファイルも変化していまして、α-SMA(α-平滑筋アクチン)、FAP(線維芽細胞活性化タンパク質)、FSP-1(線維芽細胞特異的タンパク質-1)などの活性化マーカーを高発現しています。

 

また、「癌関連線維芽細胞( CAFs)」では、通常の「線維芽細胞」と比べて、より多くの「細胞外マトリックス(ECM)」タンパク質や、VEGF、HGF、IL-6などの成長因子やサイトカインを分泌していることが知られています。

 

これらのサイトカインは、癌の進行や転移を促進すると考えられています。

 

代謝についても、「癌関連線維芽細胞( CAF)」、癌細胞と同様に「解糖系」という部分が亢進(こうしん)しています。

 

これにより、「乳酸(にゅうさん)などの代謝産物を産生します。

これはがん細胞の増殖に有利な微小環境を形成すると考えられているのですね。

 

「癌関連線維芽細胞( CAF)」の治療抵抗性(ちりょうていこうせい)」への関与ですが・・・

 

「癌関連線維芽細胞( CAF)」は、化学療法や放射線療法に対する癌細胞の抵抗性を高める因子を分泌すると考えられています。

 

さらに「癌関連線維芽細胞( CAF)」は、「免疫抑制性サイトカイン」を分泌し、各種の「腫瘍免疫応答」を抑制することで、癌細胞が免疫監視(めんえきかんし)から逃れる(のがれる)のを助けているのですね。

 

これらのことより、「免疫細胞」を用いた治療の際ばかりでなく、

「標準治療」の抗がん剤で癌を治療する際にも「癌関連線維芽細胞(CAF)」は、治療の大きなネックとなるわけですね。

 

それに加えて、本文内でもご紹介しましたが、「癌関連線維芽細胞( CAF)」が増殖する組織では、「マクロファージ」は、M2型に偏る(かたよる)傾向があるとされています。

 

このメカニズムについては、以下のようなものになります。

 

「腫瘍微小環境(TME)」では、マクロファージは主に2つの表現型(M1型とM2型)に分化することが知られています。

 

そして、「癌関連線維芽細胞( CAFs)」が多く存在する腫瘍微小環境では、マクロファージは、より頻繁にM2型に分極化することが分かっています。

 

      (左がマクロファージ M2の多い状態で、免疫細胞が癌を認識

  できない。右がマクロファージ M1が多くなり、免疫細胞が

  癌を認識しやすくなる)

 

 

これは以下の理由によります。

 

「癌関連線維芽細胞(CAF)」は IL-6、IL-10、TGF-βなどの免疫抑制性サイトカインを分泌し、マクロファージのM2型への分化を促進します.

「M2型マクロファージ」は、抗炎症性、免疫抑制の性質を持つことで、腫瘍促進的な特性を持ち、がんの進行を助ける環境を作り出します。

 

つまり、これらの「癌関連線維芽細胞(CAF)」と「M2マクロファージ」は、癌の進行において重要な役割を果たします。

 

そして、実際に「癌関連線維芽細胞(CAF)」と「M2マクロファージ」の両方が腫瘍の成長、血管新生、浸潤、転移を促進する因子を産生します。

 

一方、「メトホルミン」は2型糖尿病の治療に広く使用されるビグアナイド系の経口血糖降下薬です。

特徴としては、インスリン抵抗性の改善や肥満を伴う糖尿病患者に特に有効であるとされています。

また、低血糖のリスクが比較的低いことや心血管系疾患リスクの低減効果が報告されてます。

 

その作用機序として、

  • 肝臓での糖新生を抑制
  • 末梢組織(特に筋肉)でのインスリン感受性を改善
  • 腸からのブドウ糖吸収を抑制

などが知られています。

 

これらの作用に加えて、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し、NAD+合成酵素NAMPTの発現を上昇させることで、

細胞内の「NAD+」のレベルを増加させます。

 

「NAD+」は、皆さまもご存知のように・・・

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の基質であり、NAD+の増加は「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化につながるとされています。

 

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、転写因子の脱アセチル化を介して多くの細胞機能に関与し、代謝制御やストレス応答などの生理作用を持ちます。

 

余談になりますが・・・動物モデルでは、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化により、糖尿病や心血管系疾患、神経変性疾患などの加齢関連疾患の発症を抑制する可能性が示されています。

 

つまり、「メトホルミン」は。AMPK経路を活性化することでの「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性に高め、その結果として

代謝改善だけでなく、老化関連疾患の予防や寿命延長にも関与している可能性があると考えられています。

 

 

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化というならば、「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」の投与でもよいのではないか?・・・と考える方もいらっしゃると思います。

 

確かに「NMN」は、 サーチュイン1遺伝子を活性化するとともにATPを産生します。

このATPは、免疫細胞の活性を高め、癌への攻撃能力を高めそうですよね。

しかし、実際には、そうはならないようです。

癌細胞にもATP.が供給され、癌細胞の増殖能や変異能、そして、転移能を高めてしまう可能性も指摘されています。

実は、この問題は、まだ結論が出ていません。

 

それと比較し、「メトホルミン」は「癌関連線維芽細胞(CAF)」の

活性や腫瘍促進作用を抑制し、腫瘍微小環境の改善や治療効果の向上に寄与することが示唆されています。

 

「癌関連線維芽細胞(CAF)」を標的とした新たな治療戦略の一つとして、「メトホルミン」の活用が期待されているわけですね。

 

実際に「メトホルミン」をシスプラチンなどの抗癌剤や放射線治療と併用することで、「癌関連線維芽細胞(CAF)」に起因(きいん)する治療抵抗性や腫瘍促進作用を抑制し、治療効果を高める可能性があると報告されています(参考7.)。

 

また、癌細胞の多くが「DNAの守護神」と呼ばれるp53遺伝子の変異が起きており、正常に機能しなくなっている場合が多いのですね。これにより、癌の増殖に歯止めがかからなくなっているわけです。

 

 

「メトホルミン」は、癌細胞にp53遺伝子に異常があっても、この癌細胞の増殖を抑制し、癌細胞にアポトーシスを起こさせることも報告されています(参考8)

 

また、抗腫瘍免疫を刺激することは、癌を抑制するための魅力的なアイデアであると報告する論文もあります(参考9)

 

このなかでは、以下のようなことが述べられています。

 

「腫瘍微小環境(TME)」における主要な抗腫瘍免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK)と同様にCD4+およびCD8+T細胞である。 

 

これらの細胞とは対照的に、制御性T細胞(Tregs)、骨髄由来抑制細胞(MDSCs)、がん関連線維芽細胞(CAFs)、腫瘍関連マクロファージ(TAMs)は、いくつかの分子を放出し、抗腫瘍免疫細胞を抑制し、がん細胞の浸潤と増殖を刺激する。 

 

抗糖尿病薬として知られる「メトホルミン」は、「腫瘍微小環境(TME)」」の抗腫瘍免疫細胞と原腫瘍免疫細胞の両方を調節することができる。 

 

それは、「メトホルミン」は、「CD8 + Tリンパ球(CTL)」と「NK細胞」の増殖を誘導する能力がある。 

 

一方、「メトホルミン」はTAMs、CAFs、Tregsへの分極を抑制する。 「メトホルミン」はまた、免疫系細胞の抗腫瘍活性を刺激する一方で、癌細胞と免疫抑制細胞の連絡を遮断する形で、癌治療を有利にする可能性がある。

 

 

「腫瘍微小環境(TME)」の相互作用と分泌物は、腫瘍の血管新生と転移の進行において中心的な役割を果たしている。 

 

癌の進行を抑制するためには「腫瘍微小環境(TME)」内の相互作用を抗腫瘍免疫に有利なように調節する必要がある。 抗腫瘍免疫細胞、特に「CD8 + T細胞」と「NK細胞」の増殖と活性を高める必要がある。 

加えて、Treg、ATM、CAF、MDSCの免疫抑制作用を緩和する必要がある。 

なぜなら、免疫抑制細胞とがん細胞との相互作用は、免疫抑制サイトカインやその他の様々な分子や発生因子の放出を増加させ、遊走、血管新生、転移につながるからである。

 

「メトホルミン」投与後のCD8 + T細胞におけるAMPK発現は、免疫チェックポイントの抑制とIFN-γの放出において重要な役割を果たしている。

「 メトホルミン」は、がん細胞におけるMHC-1分子の発現を調節し、「NK細胞」の抗腫瘍作用を補助することができる。 

 

メトホルミンはTAMs、CAFs、Tregs、MDSCsの免疫抑制作用を抑制できるという新たな証拠が示されている。 これらの細胞は、IL-10、TGF-β、VEGF、HIF-1、PD-L1、およびCTLやNK細胞の活性を減弱させる他のいくつかの分子の供給源である。 

 

メトホルミンはIL-10、TGF-β、その他のサイトカインTh2の放出を阻害し、がん細胞や免疫抑制細胞の増殖を抑える。 

 

これらの細胞の抑制は、EMT、血管新生、がん細胞の遊走の減少とも関連している。 さらに、成長因子の阻害は、がん細胞のアポトーシスを誘導しやすくする。

 

「メトホルミン」のこのような特性は、乳癌、神経膠芽腫、膵臓癌のような免疫抑制細胞の多い癌に有用であると考えられる(文献6)

 

 

・・と論文内では、述べられています。羅列(られつ)となってしまったわけですが・・・「メトホルミン」の作用が、「癌関連線維芽細胞(CAF)」や「腫瘍微小環境(TME)」を変化させ、癌組織の持つ強固

な防御壁をどのようなメカニズムで破壊していくかが述べられています。

 

 

もちろん、今後も検証を続けていく必要があるとは、述べられているわけですが・・・ね。

 

そして、「メトホルミン」は糖尿病薬であり、最も注意すべきことは、「低血糖」の状態になってしまうことですね。

 

私自身は「総合内科医」として、糖尿病の治療をする際には必ず「メトホルミン」を含めるようにしています。

私の大好物である「サーチュイン遺伝子」を活性化しますのでね。

使いやすいお薬ではありますが、「低血糖」にならないわけではありません。

 

また、「メトホルミン」を投与し始めると、「CD8 + T細胞(CTL)」と「NK細胞」の増殖と活性を高める反面(はんめん)、化学療法や放射線治療後には、

骨髄抑制(こつずいよくせい)状態にあるために、これたの細胞が枯渇(こかつ)する傾向になり、効果が発揮(はっき)できない可能性がある・・・と論文の中では、述べられています。

 

としますと・・・JTKクリニックが行なっている自己血由来の「CD8 + T細胞(CTL)」と「NK細胞」を培養して、同時に投与する方法は、

癌に対する免疫治療というよりは、枯渇(こかつ)した細胞をせっせと補充(ほじゅう)する治療になってしまうのかもしれません。

 

癌の「細胞免疫治療」というと・・・インチキだ、ペテン師だ、サギ師だ・・・と言われることが多いわけですが・・・

 

「メトホルミン」を併用して、仮に標準治療の「抗がん剤治療」

により、「癌」は縮小して、治療はうまくいっても・・・

 

徐々に「CD8 + T細胞(CTL)」と「NK細胞」などの免疫細胞が減っていってしまい、結局は、また「癌」が増大して、癌を征服(せいふく)できない結末になるのだとすれば・・・

 

抗がん剤の投与と「NK細胞」と「CD8 + T細胞(CTL)」を培養して投与していく方法を同時に行う方法は、科学的に考えて「矛盾(むじゅん)しているとは言えないんじゃ〜ないかな〜」なんて、思ったりもします。

 

なんだか、連休明けに提出する宿題のレポートのようになってしまいましたね。

 

きっと、いつまでも「癌関連線維芽細胞」の問題は、クリアできないだろうと思っておりましたので、この問題を解決する糸口が見えてきたような気がしています。

 

もちろん、癌は早期発見することが重要なのですが・・・ね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(参考)

1) Mol Cancer Ther. 2018 Jun;17(6):1291-1302.

 Metformin Suppresses Tumor Progression by Inactivating Stromal Fibroblasts in Ovarian Cancer

Sen Xuら

 

2)FASEB J. 2020 Aug;34(8):10860-10870. 

Metformin suppresses HIF-1α expression in cancer-associated fibroblasts to prevent tumor-stromal cross talk in breast cancer

Shan Shaoら

 

3)Oncol Res. 2024 Feb 6;32(3):477-487.

The anti-neoplastic effects of metformin modulate the acquired phenotype of fibroblast cells in the breast cancer-normal fibroblast co-culture system 

Samanneh Mostafaviら

 

4)Semin Cell Dev Biol. 2020 Feb:98:90-97. 

The multifaceted effects of metformin on tumor microenvironment

Ivana Kurelacら

 

5)Oncotarget. 2017 Mar 28;8(13):20706-20718. 

Metformin-treated cancer cells modulate macrophage polarization through AMPK-NF-κB signaling 

Chi-Fu Chiangら

 

6)Int Immunol. 2019 Mar 28;31(4):187-198. 

Metformin induces CD11b+-cell-mediated growth inhibition of an osteosarcoma: implications for metabolic reprogramming of myeloid cells and anti-tumor effects

Takenori Ueharaら

 

7)Food Chem Toxicol. 2017 Aug;106(Pt A):260-272. 

Metformin and caffeic acid regulate metabolic reprogramming in human cervical carcinoma SiHa/HTB-35 cells and augment anticancer activity of Cisplatin via cell cycle regulation

Malgorzata Tyszka-Czocharaら

 

8) CancerRes2007;67:(14).July15,2007

Systemic treatment with the antidiabetic drug metformin selectively impairs p53-deficient tumor cell growth

Monica Buzzai ら

 

9) J Cell Commun Signal. 2021 Oct.5;16(3):333–348. 

Targeting of the tumor immune microenvironment by metformin

Zihong Wu ら

(日比谷公園内の噴水)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

  <JTKクリニック・アンチエイジング>

上差し<内科医ひとちゃんが選んだJazzの曲>


 

上差し<内科医ひとちゃんが選んだピアノJazzの曲>

 

<今週、なんとなく聞いてみたい曲>

 

 

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<JTKクリニックからのお知らせ>

 

◯外来診療は予約制をとり、待ち時間が生じないようにしています。

 

◯ ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも可能です。

◯ 線維筋痛症に対するノイロトロピン等の点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております。(セカンドオピニオン診療も可)

 

○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

 

 

 

<JTKクリニック 所在地>

〒102-0083

東京都千代田区麹町4-1-5麴町志村ビル2階

電話 03-6261-6386

Mail:info@jtkclinic.com

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こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

大型連休が始まろうとしていますね。もう始まっている・・・という方も多いのかもしれませんね。

 

そういえば・・・最近は「GW(ゴールデンウィーク)」とは、あまり言われないな〜と考えていたのですが・・・

 

どうやら、「GW(ゴールデンウィーク)」という言葉は、

日本では2つの会社がこの言葉を商標として登録しているのだそうです。

一部のメディアが、4月末から5月初旬にかけての連休のことを「GW(ゴールデンウィーク)」ではなく、「大型連休」と呼ぶのは、できるだけ、企業の「商標」は使わない(一般名詞に置き換える)というポリシーを貫いて(つらぬいて)いるから・・・という理由のようです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?   

 

image

                                          (AIで画像を作成)

 

今回は・・・「ミトコンドリア」についての話題にしてみたいと思います。

 

「ミトコンドリア」は、生命活動に必要な「ATP(アデノシン三リン酸)」という細胞のエネルギー源を産生(さんせい)する重要な器官として知られていますね。

 

そして、この「ミトコンドリア」の「機能不全(きのうふぜん)」は様々な疾患の発症やヒトの「老化」に関連していると考えられています。

 

この「ミトコンドリア」は、約20億年前、「好気性細菌(こうきせいきん)」が、真核細胞に取り込まれて共生したと考えられているのですね(共生説)。

 

このため・・・「ミトコンドリア」は、ヒトの細胞とは独立した・・・独自のDNAと分裂機構を保持していることが知られています。また、「ミトコンドリア」のDNAは、母親から子に受け継がれる

性質を持つ(母系遺伝)であることも、以前のブログ内でお話をしたかと思います。

 

「ミトコンドリア」は、生命活動に必要なエネルギーを効率的に生産するという話題を先に挙げた(あげた)わけですが・・・このエネルギー産生ができなくなっていく理由も知られています。

 

「ミトコンドリア」が、エネルギー産生機能を失う主な理由は、遺伝的要因、加齢、酸化ストレス、電子伝達系の異常、カルシウム調節の障害、環境ストレス、そしてミトコンドリアの品質管理の低下などが挙げられます。

 

これらの要因が複合的に作用し、「ミトコンドリア」の「ATP」産生能力が低下すると考えられているのですね、

 

(AIで画像を作成)

 

ところで、私たちヒトは、知らず知らずのうちに

この「ミトコンドリア」の機能を低下させてしまう原因を作ってはいないか?・・・という疑問が出てきます。

 

「ミトコンドリア」は、ATPというエネルギー産生をすると同時に

「活性酸素種(ROS)」を産生し、「ミトコンドリア」自身のDNAに

傷害する・・・という皮肉(ひにく)な運命にあるわけですね。

 

だから仕方がない・・・と考えがちですが、実はヒトの都合で「ミトコンドリア」の「機能」不全を起こしてしまうことがあるのですね。

 

それが、ズバリ・・・「肥満」、とくに「内臓脂肪型肥満」ということになるわけです。もちろん、「皮下脂肪型肥満」なら大丈夫か? ・・・というと、そうではなく、「内臓脂肪型肥満」よりはマシというぐらいのことになります。

 

 

実際にに次のようなことが報告されています。

 

「肥満」や「過栄養」によって、「内臓脂肪型肥満」の状態になりますと・・・内臓脂肪組織では「ミトコンドリア」の形態異常や機能障害が進行し、代謝の柔軟性が失われることが知られています。

 

また、「内臓脂肪型肥満」の方の「内臓脂肪」では、ミトコンドリアのエネルギー産生能が顕著(けんちょ)に低下することが知られ、特に「脂肪肝」や「インスリン抵抗性」のある肥満者で顕著であると報告されています(参考1)。

 

また、「内臓脂肪型肥満」の方では、「ミトコンドリアの生合成」や酸化的リン酸化都いう「エネルギー産生経路」に関わる遺伝子やタンパク質の発現も減少することも報告されています(参考2)。

 

「内臓脂肪型肥満」において、「ミトコンドリア」機能の低下が起こりやすいのは、蓄積された「内臓脂肪」が全身に対して様々な悪影響を及ぼすためと考えられているようです。

 

その詳細なメカニズムは、その対処法(たいしょほう)と併せて、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>4月29日

 

今回は、「ミトコンドリア」について、お話をさせていただきました。「ミトコンドリア」の作り出すエネルギー「ATP」がなければ、ヒトの臓器も機能せず、「免疫力」を維持するなどは、夢のまた、夢ということになっていたのではないか・・・なんて、思います。


実際に・・・「ミトコンドリア」のDNAや細胞の核にあるDNAの変異は、「ミトコンドリア」の構造や機能に直接的な障害をもたらし、「ATP」産生の低下を引き起こします。

 

これらの異常は、単一臓器から全身にわたる多様な症状を引き起こしたり、心臓疾患の発症や老化に伴う「動脈硬化」を進展することがあると考えられています(参考3,4)。

 

その反対に・・・老化した細胞のミトコンドリアは、酸素消費効率が低く、ROS生成量が多く、細胞の損傷を悪化させるという報告もあります。(参考5)

 

上記に例を挙げたように・・・老化した細胞の「ミトコンドリア」は、酸素消費効率の低下、活性酸素種(ROS)の生成量の増加、ATP生成量の減少という特徴を示し、これらが細胞損傷や老化現象の進行に大きく関与しています。

 

このために「ミトコンドリア」の機能の維持や「活性酸素種(ROS)」は、老化や関連疾患の予防・治療において

重要なターゲットになっているわけですね。

 

では、この「ミトコンドリア」の障害などを補う(おぎなう)ために

どのような手法(しゅほう)を選択(せんたく)することが可能になる、または、研究されているのでしょうか?

 

最も興味深いのが「ミトコンドリア」の移植ということになります

 

ある文献によれば、近年、「ミトコンドリア」の機能不全を標的とした戦略が次々と開発され、臨床試験へと移行しています。損傷したミトコンドリアを健康なミトコンドリアで補充または置換するといった高度な介入は、様々な疾患の前臨床試験において有望な結果を示していると述べられています(参考6)。

 

また、「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド )」の前駆体(ぜんくたい)」であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)や「コエンザイムQ10」などのサプリメントは、酸化ストレスを軽減し、加齢に伴うミトコンドリアの衰退を改善することができるのではないかと考えられているようです(参考7.).

 

もちろん、有酸素運動や筋力トレーニングを含む「定期的な運動」は、「ミトコンドリア」のバイオジェネシス(新生)を刺激し、細胞内のミトコンドリアの数や質を向上させることが示されています。

 

これにより、エネルギー産生効率が向上し、細胞の健康が促進されます。

一方、「カロリー制限」は、オートファジー(細胞内の不要なタンパク質や損傷したオルガネラを分解・再利用する過程)を活性化することが知られています。これにより、損傷したミトコンドリアが除去され、健全なミトコンドリアの割合が増加します。

 

この両方のプロセスは、細胞のエネルギー代謝を最適化し、老化関連疾患のリスクを減少させる可能性があるのだそうです。

 

残念ながら、「内臓脂肪型肥満」がありますと「ミトコンドリア」の

再生を期待できない・・・と考える研究者も多いようです。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(参考)

1)Biochem Soc Trans. 2023 Apr 26;51(2):735-745. 

Mitochondrial DNA as inflammatory DAMP: a warning of an aging immune system?

Giada Zaniniら

 

2)Diabetes. 2015 Sep;64(9):3135-45. 

Impaired Mitochondrial Biogenesis in Adipose Tissue in Acquired Obesity

Sini Heinomenら

 

3)Multat Res. 1992 Sep;275(3-6):169-80. 

Association of mitochondrial DNA damage with aging and coronary atherosclerotic heart disease

M Carral-Debrinskiら

 

4) Int J Mor Sci. 2015 Jul 13;16(7):15918-53. Yuliya Mikhes

Mitochondrial Oxidative Stress, Mitochondrial DNA Damage and Their Role in Age-Related Vascular Dysfunction

Yuliya Mikhes

 

5)Int. J Mol Sci.2023 Jun 24;24(13):10591.  

Aging Triggers Mitochondrial Dysfunction in Mice

Frederico Luis Lima Rosa

 

6)Signal Transduct Target Ther. 2024 May 15;9(1):124.

Mitochondrial dysfunction: mechanisms and advances in therapy

Yao Zongら

 

7)Mol Neurobiol. 2024 Sep 4. 

The Potential of Mitochondrial Therapeutics in the Treatment of Oxidative Stress and Inflammation in Aging

Jitendra Kumar Sinhaら

 

 

(新緑の中の東京タワー)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

窓を開けて、外の音を聞いていますと・・・さまざまな鳥のさえずり

が聞こえています。

 

My favorite weather is bird chirping weather.

私のお気に入りの天気は鳥のさえずりだ

 

アメリカの作家、ハリエット・アン・ジェイコブズの言葉ですが、まさに休日の鳥のさえずりは、空が曇って(くもって)いても、快適に感じます。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

                                            (AIで画像を作成)

 

今回は、善玉コレステロールと呼ばれる「HDL-C(エッチディーエル・コレステロール)』を話題にしてみたいと思います。

 

まず、「HDL-C」は、どのようなものであるかを

整理してみたいと思います。

 

「HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール)」は、血中に存在するコレステロールの一種で、よく「善玉コレステロール」と呼ばれています。HDL-Cは血管内の余分なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ役割を持っており、「動脈硬化」の予防に役立つとされています。

 

「HDL-C」の主な機能と特徴を見てみますと・・・次のようなものになります。

  1. 血管壁からコレステロールを回収する
  2. 回収したコレステロールを肝臓へ運び、処理・排出する
  3. 抗酸化作用や抗炎症作用により血管を保護する
一般的に、「HDL-C」の値が高いほど心筋梗塞などの心臓疾患や脳梗塞などの脳血管障害のリスクが低くなるとされています。
 
では、「HDL-C」が低地であることは、どのように考えればよいのでしょうか?
 
 

(AIで画像を作成)

 

実は、「HDL-C」の低値は、さまざまな健康リスクと関連していると考えられています。以下にそのメカニズムを紹介したいと思います。

 

1)コレステロール逆転送の低下

 

「HDL」の主な機能は、末梢組織や動脈壁からコレステロールを肝臓へ運搬する「コレステロール逆転送」です。「HDL」の値が低いと、この機能が低下し、動脈壁にコレステロールが蓄積しやすくなると考えられています。

 

2.抗酸化作用の減弱

 

「HDL」には活性酸素を除去する「抗酸化作用」があります。

「HDL」が少ないと、「LDL(低密度リポタンパク質)」の酸化が進みやすくなり、酸化LDLが動脈壁に取り込まれて動脈硬化を促進します。

 

3.抗炎症作用の低下

 

「HDL」には炎症を抑制する作用がありますが、「HDL」が不足すると血管の炎症が進みやすくなります。この「炎症」は動脈硬化の進行を加速させると考えられています。

 

4.血管内皮細胞保護機能の低下

 

「HDL」は血管内皮細胞の機能を保護する作用がありますが、

「HDL」低値ではこの保護効果が弱まり、血管内皮細胞の機能障害を招き(まねき)ます。

 

5.血小板凝集抑制作用の減弱

 

「HDL」には血小板の凝集を抑制する作用があり、「HDL」が低いと血栓形成リスクが高まります。

 

上記にご紹介したように「HDL-C」の低値は、動脈硬化や「血管年齢」の高齢化、血栓形成、そして、「血管内皮細胞」の機能障害を起こす可能性があるのですね。

 

以前のブログ内でもご紹介したのですが・・・

 

「血管内皮細胞」は、一酸化窒素(NO)やプロスタサイクリンなどの血管拡張物質、およびエンドセリンなどの血管収縮物質を分泌して、血管の収縮や拡張を調節しています。

 

また、血液の凝固を抑制し、血栓形成を防ぐ(ふせぐ)という重要な機能を持っています。

 

「HDL-C」の低値は、このような重要な働きを持つ「血管内皮細胞」

も機能不全状態にしてしまうわけです。その他にも、動脈硬化や「血管年齢」の高齢化を起こしてしまうわけですね。

 

ところで、上記の文章内で、「HDL(高密度リポタンパク質)』と書いたわけですが・・・HDL-C(高密度リポタンパク質コレステロール)との違いは、どのようなものなのでしょうか?

 

その答えは・・・以下のようなものになります。

 

「HDL」は血液中に存在するリポタンパク質の一種で、タンパク質とさまざまな脂質(コレステロール、リン脂質、トリグリセリドなど)で構成される粒子そのものを指します。

 

これは血液中でコレステロールなどの脂質を運ぶ「運び屋」の役割を果たしています。

 

一方、「HDL-C」は特に「HDL」に含まれるコレステロール成分のみを指します。つまり、「HDL-C」は高密度リポタンパク質によって運ばれるコレステロールの量を測定した値です。

 

医療検査では通常、「HDL-C」の値が測定されます。

 

これは血中の「HDL」が運んでいるコレステロールの量を数値化したもので、心血管疾患のリスク評価において重要な指標となっています。

簡単に言いますと・・・

  • HDL:リポタンパク質の粒子そのもの(運び屋)
  • HDL-C:HDLによって運ばれているコレステロールの量(積荷の一部)

健康診断の結果表では、HDL-Cと表記されることが多いですが、これらは同じものを指しています爆  笑


健康診断のデータでは、「LDL-C(悪玉コレステロール)」や「TG(中性脂肪)」ばかりが注目をされるわけですが、「HDL-C」にも注目していく必要があるのですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月22日

 

今回は「HDL-C」について、お話をさせていただきだきました。

 

低HDL-C血症は、血液中の「HDLコレステロール」の値が基準値より低い状態を指します。一般的に男性では40mg/dL未満、女性では

40mg/dL未満の場合に「低HDL-C血症」と診断されます。

本文内でもご紹介したように「低HDL血症」は、心血管リスクを高める重要な因子であり、生活習慣の見直しなどが必要になると考えられています。

 

「低HDL血症」に対しては、まず生活習慣の改善が推奨されます。特に有酸素運動や飽和脂肪酸の摂取制限、オメガ3脂肪酸の摂取が効果的とされています (参考1)

 

 

薬物治療では、以前は、「ナイアシン」や「フィブラート系薬剤」がHDL上昇効果を示すとされていましたが、

大規模臨床試験(AIM-HIGH試験など)が施行された結果、

約3年間の追跡期間中に高コレステロール血症に対して強力な改善作用を持つ「スタチン療法」に「ナイアシン」を追加しても、HDLコレステロール値とトリグリセリド値が著しく改善したにもかかわらず、臨床的利益の増加は認められなかった( AIM-HIGH ClinicalTrials.)

という結果がありました。(参考2)。

 

「フィブラート系薬剤」についても同様の結果であり、 近年は

「HDL-C」の量よりも、質・機能が注目されるようになりました。

 

また、Madsenらの研究(2017)では、「HDL-C」が高くても、「LDL-C」値が高い場合には心血管疾患のリスクは減少しないことが明らかにされました (参考3)

 

 

一方で、「HDL-C」の値が高ければ、常に「動脈硬化」のリスクが低いとは限らないという認識も重要です。研究対象者は心血管疾患の既往歴や重篤な合併症がな合計631,762人を対象としたもので、

HDL-C」 値が高い人 (男性では 70 mg/dl 以上、女性では 90 mg/dl 以上) は、非心血管疾患による死亡の危険性が高まったことか分かった(参考4)というのですから、この結果には少し驚きます。

 

この理由は「HDL-C」のすべてが「LDL-C」の運び屋ではないため「HDL-C」が多すぎても逆に「動脈硬化」が進むという理由や以下のような理由があるのだそうです。

 

1.機能不全のHDL-Cの存在

 

 高HDL-Cを持つ患者は、機能不全のHDLを持っている可能性があります。これは、HDLが通常の保護機能を果たさず、逆に心血管疾患のリスクを高める可能性があることを示唆しています。

2.非従来型のリスク因子

 

高HDL-Cを持つ人々は、従来のリスク因子では認識されない非従来型のリスク因子を持っている可能性があります。これにより、心筋梗塞などの「虚血性心疾患(IHD)」のリスクが高まることがあります

 

3.コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性の低下

 

高HDL-Cを持つ人々は、LCAT活性が低いことが多く、これも「虚血性心疾患(IHD)」関連しています。LCATはHDLの機能に重要な役割を果たしており、その活性が低いとHDLの保護効果が減少する可能性があります(参考4)


 

なんのこっちゃ・・・となるわけですが、上記に記載してきた内容から、「低HDL-C血症」は心血管リスクを高める重要な因子であり、生活習慣の見直しや全身性の代謝改善が求められるのは事実です。

 

しかしながら、「HDL-C」は「高ければ良い」という単純な指標ではなく、その質や他の脂質パラメータ(特にLDL)と合わせて総合的に評価する必要があるということが、最新の国際的な知見となるそうです。

 

実際に・・・LDL-C-C/HDL-C比率は、冠動脈疾患や脳卒中の予後、心血管疾患の重症度評価において重要な指標です。特に高い比率は、心血管疾患のリスク増加と関連しており、予防や治療の指標として有用である可能性があると考えられています。

 

軽い気持ちで、善玉コレステロールである「HDL-C」のお話をしようと思ったわけですが・・・それをまとめるのは、案外(あんがい)、

難しいものでしたえーんえーんえーんえーん笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

ここから、「NMN」や「NAD+」の投与が「HDL-C」のバランスを保つという話にもっていきたかったのですが・・・

興味深い文献がありました。その内容は、以下のようなものです。

 

複数の研究によると、NAD+前駆体(NAD+を体内で生成するための物質)の投与は、HDL-コレステロール値を有意に増加させる効果があることが示されています。2021年2月までに実施された40件の臨床試験のメタ分析では、NAD+前駆体の補充はHDL-C値を顕著に増加させることが示されたというものです。

 

これらのお話は、また、別の機会にお話をしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

【参考文献】

 

1)Rev Cardiovasc Med. 2021 Dec 22;22(4):1523-1533.

Effects of aerobic, resistance, and combined exercise on metabolic syndrome parameters and cardiovascular risk factors: a systematic review and network meta-analysis

Minyu Liangら

 

2)New Engl J Med. 2011 Dec 15;365(24):2255-67.

Niacin in patients with low HDL cholesterol levels receiving intensive statin therapy

William E Bodenら

 

3)J Am Coll Cardiol. 2016 Nov 8;68(19):2073-2083.

High-Density Lipoprotein Cholesterol and Cause-Specific Mortality in Individuals Without Previous Cardiovascular Conditions: The CANHEART Study

Dennis T Kgら

 

4)Clin Chem. 2010 Jul;56(7):1128-37.

High pre-beta1 HDL concentrations and low lecithin: cholesterol acyltransferase activities are strong positive risk markers for ischemic heart disease and independent of HDL-C

Amar A Sethiら

 

image

(メズム東京 デッキからの風景)

(筆者撮影)

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こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

4月半ば(なかば)近くの休日の午後となっています。

朝から、シトシトと雨が降っています。

 

今日4月13日(日)は満月だそうで、また、4月の満月は英語圏の国々では、「ピンクムーン」と呼ばれるそうです。

 

「ピンクムーン」は、『恋愛運を上げる』や『好きな人と結ばれる』といった、恋愛にまつわるジンクスがあるそうですが、残念ながら

関東では、それを見ることができなさそうですね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

(AIで画像を作成)

 

今回の話題は「老化細胞」の除去(じょきょ)について、お話をしてみたいと思います。

 

「老化細胞(senescent cells)とは、細胞分裂を永久的に停止し、特殊な表現型へと変化した細胞でしたね。

細胞分裂を永久的に停止した理由は、「テロメア」がある一定の短さに達すると分裂は起こらなくなるという理由がありましたね。

 

最近では、「テロメア」の短縮の進行には外的要因も影響することが分かっています。

例えば、過剰栄養が「高コレステロール血症」等を起こして「動脈硬化」を増悪させることにより、寿命を短くするは知られていますが、

 

「テロメア」に関しても、細胞分裂が短時間に起こるためにその短縮が早まることが確認されています。生活習慣(高コレステロールの食事等)を改めることで、元の細胞の寿命をある程度維持できると考えられています。

 

他にも「老化細胞」が産生されるケースがあります。

テロメア短縮がなくても老化細胞は生成されるわけですね。

 

では、どのような場合にテロメア短縮なしで「老化細胞」が作られるのでしょうか?

 

それには、以下のようなメカニズムがあります。

 

1) DNA損傷(放射線、化学物質など)

2)酸化ストレス(活性酸素種の過剰生成)

 

3) 代謝ストレス(栄養過多など)

4)がん遺伝子誘導性老化(OIS: Oncogene-Induced Senescence): 

 

4)は、RAS遺伝子やRAF遺伝子などの「発がん遺伝子」の異常な活性化によって誘導されます。これは『癌の抑制機構(よくせいきこう)として機能するわけです。

 

つまり、「老化細胞」は、テロメア短縮、DNA損傷、酸化ストレス、発がん遺伝子の活性化などの様々な要因によって誘導されるわけですね。

癌細胞の約85-90%では『テロメラーゼ(テロメアを伸長する酵素」が活性化しています。正常な体細胞ではテロメラーゼは基本的に不活性ですが、癌細胞では「hTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)遺伝子」の発現が再活性化し、テロメアの長さを維持・延長します。

 

ならば、正常細胞に「hTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)遺伝子を導入して、それを活性化させれば「老化細胞」はなくなるんじゃないか?・・・とおっしゃる方がいるわけですが・・・これでは、DNA損傷やがん遺伝子が活性化され「癌細胞」になる可能性のある細胞までも甦らせて(よみがえらせて)しまうわけですから、

「老化細胞」は消滅(しょうめつ)させる方がよい・・・ということになるわけですね。

 

「老化細胞」は、若い時には組織修復やがん抑制に重要な役割を果たしますが、加齢とともに蓄積し、周囲の健康な細胞や組織に悪影響を及ぼします。

これは主に老化細胞が分泌する「SASP」が慢性炎症を引き起こし、組織の機能低下や様々な老化関連疾患(関節炎、動脈硬化、糖尿病など)の発症・進行に関与するとされているのですね。

 

 

(AIで画像を作成)

 

近年は、老化細胞を選択的に除去する「セノリティクス」と呼ばれる治療法の研究が進んでおり、老化関連疾患の新たな治療戦略として期待されているのですね。

 

では、「老化細胞」が除去された後、その組織は、どのような変化が起きると考えられているのでしょうか?

 

多くの組織では、周囲の健康な「幹細胞」や「前駆細胞」が活性化され、失われた細胞を補充するプロセスが自然に始まると考えられています。

また、「老化細胞」の除去により、「SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype)」と呼ばれる炎症性因子の分泌が減少し、周囲の微小環境が改善されることで、組織の自然な再生能力が促進されることが多いと考えられています。

 

しかし、これは、細胞密度が高く、少数の老化細胞が除去されても、残りの健康な細胞が機能を維持できる場合に限るということになります。

 

ただし、大量の「老化細胞」が一度に除去された場合や、再生能力が低下した高齢者の組織では、細胞の「補充メカニズム」が十分に機能しない可能性が出てくるわけです。

 

以前のブログでもお話をしましたが・・・

 

大量の「老化細胞」が一度に除去され、かつ再生能力が低下した高齢者の組織で細胞の補充メカニズムが十分に機能しない場合、以下のような問題が生じる可能性があると考えられています

 

1)組織構造の脆弱化

 

老化細胞は組織内で構造的な役割を果たしていることがあり、急激な除去により組織の構造的完全性が損なわれる可能性があります。

特に高齢者では新しい細胞による置換が遅いため、この問題が長期化することがあります。

 

2) 機能的細胞の減少

十分な補充がなければ、その組織や臓器の機能細胞総数が減少し、機能低下につながります。

 

3)創傷治癒の遅延

老化細胞は炎症性であるものの、組織修復プロセスの初期段階で一定の役割を果たします。高齢者の再生能力低下と相まって、創傷治癒(

そうしょうちゆ)が遅延する可能性があります。

 

4)免疫監視の変化

老化細胞の急激な除去は局所的な免疫環境を変化させ、特に高齢者では免疫バランスの乱れを引き起こす可能性があります。

 

組織特異的な障害を見てみますと・・・

  • 肝臓:肝再生能力の低下による肝機能不全
  • 皮膚:表皮の薄化や皮膚バリア機能の低下
  • 骨:骨量減少や骨折リスクの増加
  • 血管:血管壁の弱体化とそれに伴う出血リスク

このような問題があるために、現在の「老化細胞除去(セノリティクス)研究」では、これらのリスクを最小化するために、急激な除去ではなく段階的・選択的な除去や、組織再生を同時に促進する併用療法などが検討されています。

 

組織再生を同時に促進する併用療法が、「(間葉系)幹細胞」の投与

や間葉系幹細胞由来のエクソソームの投与と考えられているのですね。

 

本当に「(間葉系)幹細胞」の投与や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」の投与が「老化細胞除去」の細胞補充に機能するのでしょうか? 

答えは「Yes」なわけですが、続きは次回の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月15日

 

今回の話題は「老化細胞」を破壊する際のお話をさせていただきました。

 

もちろん、ヒトにおける大規模な臨床研究はまだ限られていますし、

長期的な有効性のデータが不足しているのも事実です。

 

しかしながら、「老化細胞」を完全に消滅させることができる日は、それほど、遠い未来ではないと考えられています。

そして、仮に(かりに)それが実現すると、次のようなことが起こることが予想されています。

  • 慢性炎症の減少(炎症性サイトカインによる「炎症老化」の軽減)
  • 組織の線維化の抑制
  • 幹細胞機能の回復促進
  • 組織の再生能力の改善

そして、マウスなどの動物モデルでは、「老化細胞除去」により「健康寿命」などが延長することが示されているばかりでなく、

加齢に伴い発症する疾患(糖尿病、心血管疾患、神経変性疾患など)の発症や進行スピードを抑制することが報告されています(参考1)。

 

こうした分野は、急速に発展しており、ヒトへの応用も可能である可能性が高いと考えられているのですね、

「セノリティクス(老化細胞を標的とした薬剤)」の開発や臨床応用が進められているというのが、現状となります。

 

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、老化細胞表面の異常な分子パターンを認識(にんしき)するとされています。

 

ちょっと難しく感じるかもしれませんが・・・具体的には、主に「NKG2D受容体」が、老化細胞上の「ストレス誘導性リガンド(MICA、MICB、ULBPsなど)」や「老化細胞」に特有のDAMP(Damage-Associated Molecular Patterns)を認識し、老化細胞を破壊することが分かっています(参考2)

 

「NKG2D受容体」は、NK細胞のみに発現しているわけではない・・・というと話がややこしくなるので、やめておきますね。

 

では・・・「老化細胞」を破壊した後に組織障害を起こさないために

どうするか?・・・ということになるのですが・・・これは、本文内でも触れた(ふれた)ように・・・自分自身の脂肪から採取した「間葉系幹細胞」の補充(ほじゅう)や「間葉系幹細胞由来のエクソソーム」がよいのではないか・・・という報告が多いのですね。

 

老化細胞の除去において、「間葉系幹細胞(MSC)」が存在する場合、いくつかのメリットがあります。特に、「間葉系幹細胞(MSC)」による若返りや「老化細胞」の除去が、再生医療における治療効果を高める可能性があることが報告されています。

それは、次のような理由があげられています。

 

1.再生能力の向上

 

 「間葉系幹細胞(MSC)」は、多能性を持ち、自己再生や分化能力があるため、老化細胞の除去後に組織の再生を促進することができます(参考3,4)

 

2.免疫調節効果

 

MSCは免疫調節機能を持ち、炎症を抑制することで、老化細胞の除去後の組織環境を改善します(参考5)

 

3) 老化細胞の除去と若返り

 

老化したMSCを除去または若返らせることで、治療効果を向上させることができます。例えば、CD26の抑制により、MSCの老化を遅らせ、治療効果を高めることが示されています(参考6)

 

というように・・・細胞の除去において、間葉系幹細胞(MSC)が存在する場合、いくつかのメリットがあります。特に、MSCの若返りや老化細胞の除去が、再生医療における治療効果を高める可能性があることが報告されているのですね。

 

間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソームについても、また、違った機序で、老化細胞の除去と併用することの有用性が報告されているのですが、これは、またの機会にしたいと思います。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

参考)

1)Nature Med.. 2018 Aug;24(8):1246-1256. 

Senolytics improve physical function and increase lifespan in old age 

MIng Xuら

 

2)Aging(Albany NY). 2016 Feb;8(2):328-44.

NKG2D ligands mediate immunosurveillance of senescent cells

Adi Saglyら

 

3)Front Cell Dev Biol.. 2020 Jun 3:8:364.

Mesenchymal Stem Cell Senescence and Rejuvenation: Current Status and Challenges

Xueke Zhoulら

 

4)Front Cell Dev Biol.2021 Nov 25:9:772476.

Editorial: Mesenchymal Stem Cell Senescence and Rejuvenation

Yuelin Zhangら

 

5)Biology (Basel). 2022 Nov 18;11(11):1678.

Aging and Mesenchymal Stem Cells: Basic Concepts, Challenges and Strategies

Maria Fraileら

 

6)Front Cell Dev Biol. 2020 May 5:8:258.

 Senescence in Mesenchymal Stem Cells: Functional Alterations, Molecular Mechanisms, and Rejuvenation Strategies

Jing Liuら

 

(桜の季節の東京タワー)

(筆者撮影)

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こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

先ほどまで、雨が降っておりましたが、それも止んで、明るい陽射し

が戻っています。

 

雨の後の桜や木々の緑は、とても鮮やか(あざやか)なものに感じますね。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    


 

(AIで画像を作成)

 

4月に入り、新しい生活にやる気が満ち溢れ(あふれ)ている・・・方も多いかもしれませんね。

 

その反対に・・・春が来たというのに仕事や生活にやる気が湧かない(わかない)という方もいらっしゃるかもしれませんね。

そのような方は、まず、「肥満」を解消してみる・・・というのは、いかがでしょうか?

 

「肥満」と「うつ傾向」になぜ、関係があるのか?・・・と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、国立精神・神経医療研究センターの研究によると、うつ病群ではBMI30以上の肥満の割合が1.61倍も多いという結果があるそうです。

 

というわけで、今回の話題は、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化は、「肥満」の解消につながる可能性がある・・・というお話をしてみたいと思います。

 

実は、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化と「肥満」の予防効果については、「可能性」というよりは、かなり、そうであることが証明されていることなのですね。

 

では、なぜ、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」活性化が「肥満」を解消するのでしょうか?

 

(AIで画像を作成)

 

 

その理由には、複数の重要なメカニズムが関与していると考えられています。

 

1. 脂肪代謝の促進

  •  脂肪酸酸化(脂肪燃焼)を促進します
  •  PPARα(脂肪酸代謝の調節因子)の活性化を介して脂肪分解を増加させます
  •  肝臓での脂肪合成を抑制します
 
「脂肪酸酸化」とは、体内で脂肪酸をエネルギー源として分解・利用するプロセスです。一般的に「脂肪燃焼」とも呼ばれるこの代謝過程は、主にミトコンドリア内で行われます。
「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化がないとしても、絶食や低炭水化物食時や長時間の有酸素運動でも「脂肪酸酸化」は起こるのですが、「サーチュイン1(SIRT1)遺伝子」の活性化している状況では、同様の状況になりやすくなるということになりますね。

 

 

2. ミトコンドリア機能の向上

  • PGC-1αの活性化によりミトコンドリアの数と機能を増加させます
  • エネルギー消費量(基礎代謝)が上昇します
  • 褐色脂肪組織の活性化により熱産生が増加します

PGC-1αは、ペルオキシソームプロリフェレーター活性化受容体γ共役因子1αというものでして、エネルギー代謝に関わる遺伝子の発現を調節する転写コアクベーターというもので、ミトコンドリアの生合成を促進し、筋繊維の分化を調節する役割を担って(になって)いるとされています。

 

3. インスリン感受性の改善

  • インスリンシグナル伝達を強化します
  • 筋肉や肝臓での糖取り込みを促進します
  • 血糖値の安定化に寄与します

インスリン感受性の低下とは、体の細胞がインスリンホルモンの作用に対して反応が鈍くなる状態のことですので、「糖尿病」になりやすくなりますね。そして、インスリン感受性の増加は「糖尿病」の状態改善につながります。

 

4. 脂肪細胞の分化調節

  • 白色脂肪細胞の分化を抑制します
  • 褐色様脂肪細胞(ベージュ細胞)への変換を促進します
  • 内臓脂肪の蓄積を減少させます
白色脂肪細胞と褐色様脂肪細胞の違いは、以前にブログ内でお話をしたかもしれませんが・・・白色脂肪細胞の機能は、エネルギー貯蔵が主な役割で、アディポカインを分泌することが特徴であるのに対し、

褐色様脂肪細胞では、熱産生が高く、エネルギー消費型の代謝に関与していることが知られています。

 

「アディポカイン」とは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称で、肥満や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に関わっていましたよね。

 

5. 炎症反応の抑制

  •  肥満に伴う慢性炎症を軽減します
  •  炎症性サイトカインの産生を抑制します
  •  マクロファージの活性化を調節します

6. 食欲調節

  • 視床下部での食欲調節系に影響を与えます
  • レプチン感受性を改善し、満腹感を強化します
 
レプチン感受性とは、脳(主に視床下部)や末梢組織が、「レプチン」のシグナルにどれだけ適切に反応できるかという能力を指しますね。
 
正常なレプチン感受性を持つ人では、体脂肪が増加するとレプチン濃度が上昇し、それが脳に食欲を抑え、エネルギー消費を増やすよう指示します。
肥満者の多くは血中レプチン濃度が高いにもかかわらず、その作用が十分に発揮されない「レプチン抵抗性」の状態にあります。これをレプチン感受性の低下状態と呼びますね。

 

これらの作用により、SIRT1の活性化は脂肪燃焼の促進、脂肪蓄積の抑制、インスリン感受性の改善、そして肥満関連の慢性炎症の軽減に寄与します。レスベラトロールなどのSIRT1活性化物質やカロリー制限が肥満対策として注目される理由はここにあるのですね。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月8日
 

都内の桜は、ほぼ、満開になっているようです。

今回は、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」を活性化させることが、肥満の解消につながる可能性がある・・・というお話をさせていただきました。

 

そして、その作用は「肥満」の解消だけではない・・・というお話もしておきたいと思います。少し整理をしますと、次のようになります。


「NMN(ニコチンアミド モノヌクレオチド)」や「NAD+(ニコチンアミドジヌクレオチド)」の投与を行うと、「サーチュイン遺伝子」が活性化され、ミトコンドリアでの「ATPの産生」が高まりますね」。

 

サーチュイン(Sirtuin)遺伝子は、「長寿遺伝子」と呼ばれるもので
7つある「サーチュイン遺伝子」から作られる「サーチュインタンパク(SIRT1-7)」は、細胞内のさまざまな生物学的プロセスに関与していることが知られています。

 

例えば、酸化ストレスに対する応答、エネルギー代謝、老化、細胞の生存と死、DNA修復、炎症応答など、多岐(たき)にわたる機能を持っているのですね。

また、最近では次のようなことも知られています。

「サーチュイン遺伝子」は、細胞内の酸化ストレスと抗酸化シグナルの重要な調節因子として機能します。

 

例えば、SIRT1、SIRT3、SIRT5は、活性酸素種(ROS)から細胞を保護し、SIRT2、SIRT6、SIRT7は酸化ストレスに関連する遺伝子やメカニズムを調節することが分かっています。

このなかでも「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」最も注目されていると言ってもよいかもしれません。

以前にもブログ内でご紹介したことがあるかもしれませんが、「サーチュイン1遺伝子(SIRT 1)」は、「サーカディアンリズム(概日リズム)の調節において中心的な役割を果たし、「時計遺伝子」の発現を調整していることが知られています(文献1)。

また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化は、癌の増殖を抑制するという報告もあります。

 

「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」活性化されますと、「Th17細胞」という種類の細胞が減少し、腫瘍内の血管新生が抑制される・・・が働くと考えられてるのですね。
腫瘍内に新しく作られる血管は、癌組織に栄養を運ぶ血管ですので、これが減少すれば、癌細胞の増殖が抑制されるというわけです(文献2)。

 

また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」が活性化すると、癌に対する「細胞障害性 T 細胞(CTL)」の浸潤の免疫効果が増加するという報告もあります(文献3)。

 

癌以外にも「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、代謝、内分泌機能、免疫反応などのさまざまな生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たしており、さまざまな疾患における薬理学的および自然な調節の有望なターゲットとなっていることも報告されています(文献4)。

例えば、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、DNA損傷応答の調節において多面的な役割を果たし、この機序として、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、ヒストンと非ヒストンの両方の標的を「脱アセチル化」することで DNA 修復に重要な役割を果たすことも報告されています(文献5).


また、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」血管内皮細胞の機能維持において多面的な役割を果たし、酸化ストレスの抑制、血管の老化防止、血管新生の調節、血管の弛緩促進、炎症反応の抑制を通じて、心血管の健康を支えています。

 

これらの機能は、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」心血管疾患の予防や治療において重要なターゲットとなる可能性を示しています。

 例えば、「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」は、他の分子を調節して相互作用することで血管の老化を防ぎ、血管機能を促進し、心血管疾患を促進する内皮細胞の老化を防ぐ上で重要な役割を果たすことが報告されいます(文献6)

その逆に、動物実験ラットによる報告ではありますが・・・「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」活性を低下させると・・・

その結果は、「血管内皮細胞」の機能障害を引き起こし、血管壁における 「活性酸素種( ROS )no産生を増加させて、血管老化の病態を引き起こすと報告されています(文献7)

 

このように「サーチュイン1遺伝子(SIRT1)」の活性化は、「肥満」を改善させるばかりでなく、DNAの修復、免疫力の向上、内分泌機能の調整、「血管内皮細胞」の機能改善などによる「動脈硬化」の改善にもつながる可能性があるものと考えられるわけですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

(参考)
1)Cell. 2008 Jul 25;134(2):317-28.
 SIRT1 regulates circadian clock gene expression through PER2 deacetylation
Gad Asherら

 

2)Cell Rep. 2017 Apr 25;19(4):746-759.
Sirtuin-1 Activation Controls Tumor Growth by Impeding Th17 Differentiation via STAT3 Deacetylation
Emeric Limagneら

 

3.)Br J Dermatol. 2025 Feb 18;192(3):481-491.
Spatial proteomics reveals sirtuin 1 to be a determinant of T-cell infiltration in human melanoma
Jan-Malte Plackeら

 

4)4)Front Cell Dev Biol. 2020 Nov 19:8:589016.
 The Versatility of Sirtuin-1 in Endocrinology and Immunology
Fahmida Rashaら

 

5)Int J Mol Sci. 2019 Jun 28;20(13):3153.
The Role of SIRT1 on DNA Damage Response and Epigenetic Alterations in Cancer
Débora Kristina Alves-Fernandesら

 

6)Cells. 2024 Sep 1;13(17):1469.
The Multifaceted Role of Endothelial Sirt1 in Vascular Aging: An Update
Roberto Campagnaら

 

7).Biochem Pharmacol. 2013 May 1;85(9):1288-96.
SIRT1 inhibits NADPH oxidase activation and protects endothelial function in the rat aorta: implications for vascular aging
María José Zarzueloら

 

 

(東京ガーデンテラス紀尾井町の桜)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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