こんにちは、内科医ひとちゃんですニコニコ

 

3月最後の休日の午後になっています。

暦をみますとその七十二候は「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」となっています。

その意味は、冬の間鳴りを潜めていた雷が春の訪れを告げるように遠くの空で鳴り始める頃なのだそうです。

 

「春雷(しゅんらい)」とは、ひょっとして、今頃からの季節の雷(かみなり)をそう呼ぶのか?・・・と調べたところ、「春雷」は、

「立春(りっしゅん)」から「立夏(りっか)頃までに発生する雷で、「春雷」は、春の到来を伝えるともいわれるそうです。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

(AIで画像を作成)

 

今回は「動脈硬化(どうみゃくこうか)」は、改善するか?という話題をとりあげてみたいと思います。

 

「動脈硬化」とは、動脈血管壁が厚く硬くなり、弾力性を失っていく慢性的な病態を指しますよね。

 

さらに細かく言いますと

 

1.内膜の肥厚

血管内膜にコレステロール、脂質、細胞残骸などが蓄積(ちくせき)する。

 

2.中膜の変性

血管壁の弾性繊維(エラスチン)が減少し、硬化する

 

3.プラーク形成

脂質コア、炎症細胞、平滑筋細胞などからなる隆起性病変の形成

 

4.石灰化

進行した病変では血管壁にカルシウム沈着が起こる

 

などのことが生じるとされています。もちろん、これらのことが改善せずに進行すれば・・・冠動脈閉塞による「心筋梗塞(しんきんこうそく)」、脳動脈の閉塞(へいそく)や破綻(はたん)による「脳梗塞(のうこうそく)」や脳出血が生じるリスクが高くなりますよね。

 

もちろん、「動脈硬化」の初期(しょき)には、無症状であることが多いものの、進行すると重篤な(じゅうとく)な循環器疾患や脳血管障害の原因となります。

 

この「動脈硬化」を改善することは、可能である(かもしれない)・・・と聞くと驚く方もいらっしゃるかもしれません。

 

なぜなら、これまでの常識(じょうしき)では、飽和脂肪酸や精製炭水化物を減らし、不飽和脂肪酸、食物繊維、抗酸化物質を含む食品を増やす(地中海式食事など)食事療法や

週に150分以上の中等度有酸素運動(ウォーキング、水泳など)を定期的に行うこと、そして、禁煙、内臓脂肪型肥満の解消、アルコール摂取の制限が必要と言われてきたからですね。

 

これらを守ることが「動脈硬化」の進行を食い止めることができる・・・というわけです。

もちろん、これらのことは重要であることに変わりはありません・

 

(AIで画像を作成)

 

しかしながら、進行を食い止める・・・と言われても、漠然(ばくぜん)としており、心のモヤモヤ感が残っていたのは、私だけではないはずです。

 

最近になり、「動脈硬化」を改善することは可能なのではないか?・・・という考え方が出てきているのですね。

 

どのようにして、「動脈硬化」を改善することができるのでしょうか?

それは、「血管内皮細胞」の機能を改善することで、動脈硬化を改善することは可能ではないか・・・とする考え方なのですね。

 

(図はお借りしました)

 

確かに血管の内側を覆って(おおって)いる「血管内皮細胞」の障害(内皮機能不全)は動脈硬化の進行において極めて重要な役割を果たして(はたして)いることが知られています。以前にもブログ内でご紹介したかもしれませんが・・・

「血管内皮細胞」の障害が動脈硬化を進行させるメカニズムは、次のようになります。

 

  1. バリア機能の喪失:
    • 健常な「血管内皮細胞」は、血液成分と血管壁の間のバリアとして機能し、この障害により、LDLコレステロールの血管壁への侵入と蓄積が促進される
  • 血管調節機能の障害:
    • 一酸化窒素(NO)産生の減少により血管弛緩能が低下し、内皮由来収縮因子(エンドセリンなど)の産生増加する。このことが、血管トーヌスの異常をもたらし、高血圧を悪化
  • 炎症反応の促進:
    • 接着分子(VCAM-1、ICAM-1など)の発現増加
    • 単球/マクロファージの内膜への侵入と泡沫細胞化
    • 炎症性サイトカインの産生増加
  • 血栓傾向の亢進:
    • 抗血栓性表面の喪失
    • 組織因子などの凝固促進因子の発現
    • 血小板活性化と凝集の促進
  1. 血管平滑筋細胞への影響:
    • 平滑筋細胞の増殖・遊走を制御する因子のバランス崩壊
    • 中膜から内膜への平滑筋細胞の移動と増殖促進
  2. 酸化ストレスの増加:
    • 活性酸素種(ROS)の産生増加
    • LDLの酸化修飾促進
    • 抗酸化防御機構の機能低下

これらの変化が相互に作用し合って、動脈硬化プラークの形成と成長を促進します。そのため、「血管内皮細胞」の機能保護と改善は動脈硬化予防の重要な治療標的となっています。

 

では、どのような方法が「血管内皮細胞」の機能を改善する可能性が指摘(してき)されているのでしょうか?

 

現在、注目されている方法は、次のようなものです。

 

A)運動療法

 

特にストレッチング運動は、「血管内皮細胞」機能を改善し、動脈硬化の予防に寄与することが示されています..

 

B)薬物療法と栄養補助

 

ビタミンCや抗酸化物質、l-アルギニンなどの栄養補助は、内皮機能を改善し、動脈硬化のリスクを低減する可能性が指摘されています。

 

C)サーチュイン1(SIRT1)遺伝子の活性化

 

サーチュイン1(SIRT1)遺伝子は、多様な生物学的機能を持つNAD+依存性脱アセチル化酵素をコードしていますが、一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性化により、血管内皮細胞の機能改善すると考えられています。

 

D)幹細胞療法

 

「幹細胞療法」は、「血管内皮細胞」の修復を促進し、血管の機能を回復させる可能性があることが報告されています。

血管内を循環する「間葉系幹細胞」が血管の損傷を修復し、「血管内皮細胞」の機能を改善することが示されています。

 

とくにD)の幹細胞治療が「血管内皮細胞」の機能を改善させる・・・という話には、驚く方も多いと思うのですが、「血管内皮細胞」を正常化させる手段として、最も有望(ゆうぼう)と考えられているのですね。

 

続きは・・・後日の話題にさせていただきたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記>4月1日

4月になったわけですが、関東甲信地方の平野部では冷たい雨が降り、東京都心では真冬並みの厳しい寒さとなっていますね。

今回は「動脈硬化」は改善するかもしれない・・・というお話をさせていただきました。
以前のブログでご紹介したことがありますが、「動脈硬化(どうみゃくこうか)」は、加齢とともに進行する血管の状態変化です。
どのような変化が起こるのか?・・・と言いますと、血管の内壁に脂質(特にコレステロール)が蓄積し、血管が硬く狭くなる状態ということになりますね。

加齢によって起こる血管の変化は、以下のようなものになります。

1)血管の弾力性の低下
2)細胞修復機能の低下
3)慢性的な軽度の炎症状態
4) 酸化ストレスの増加


「血管」は、皮膚の真皮層や各臓器に網(あみ)の目のように広がっていて、1人のヒトの血管の総延長距離は約10万キロメートル(約100,000km)と言われています。これは地球を2周半近く回れる距離に相当するわけですね。

・・・と考えますと、各種の臓器細胞を再生が可能になったとしても、「血管」が年齢相応に老化して、「動脈硬化」を起こしているとしますと・・・その効果は半減してしまうかもしれませんよね。

実際にその具体的な影響は、次のようなものになると考えられています。

A)組織の壊死リスクの増加
 極度の血流制限により、せっかく再生された組織が虚血状態となり壊死する可能性があります。

B)機能低下 
臓器は構造的には再生していても、血流不足により本来の機能を十分に発揮できません。

C)線維化の促進(そくしん)
慢性的な血流不足は組織の線維化を促進し、臓器の柔軟性と機能をさらに低下させると考えられます。

そうしますと、今の血管の「動脈硬化」の進行を抑制させるか、あるいは、それを改善していく方法があるのか?・・・という疑問が各国の研究者たちに出てくるのも、当然なのかもしれませんね。

加齢に伴う「動脈硬化」はある程度避けられないプロセスと言えるわけですが、本文内でも、ご紹介をしたように・・・「生活習慣」の改善(かいぜん)によって、「動脈硬化」の進行速度を大幅に遅らせることが報告されています。

しかし、もう少し欲張って(よくばって)、この生活習慣の改善以上の効果を上げられるものはないのか?・・・と皆が考えたというのは、自然な流れなのかもしれません。


きっかけのひとつは、ハーバード大学のデビット・A・シンクレア教授の著書『LIFE SPAN 老いなき世界』の中に書かれている多くの驚くべき研究結果が紹介されたからでしょうか?

それまでは、ヒトには寿命(じゅみょう)というものがあり、加齢に伴い、活動力が低下し、気力を失い、一定の期間が経てば(たてば)、ヒトの一生は終わっていく・・・という考え方が主流(しゅりゅう)であったわけです。

ところが・・・「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」や「NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」を補充し、各種臓器の細胞のATP産生を増加させて、


「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」の活性を高く保つことで、ヒトは120歳まで生きることが可能だ・・・とデビット・A・シンクレア教授などが示したことで、皆が健康で長生きをする「ウェルビーイング(Well-being)」を目標にするような気もします。

そんな傾向が強くなるなかで・・・血管の老化」つまり「動脈硬化」については、生活習慣の改善が重要という主張は、少し「ナマぬるい」と感じていた研究者が多くなったような気もします。

「幹細胞治療」が「血管」の「老化」のプロセスを逆転させる・・・という主張は、いかにも「夢物語(ゆめものがたり)」に思えます。

しかしながら、いくつかの論文や報告の中では、次のようなことが報告をされています。

例えば、「(間葉系)幹細胞」が、広範囲に失われた「血管内皮細胞」を修復する能力を持っていることが示され、「幹細胞療法」が血管疾患の治療の有望な選択肢であり、将来的には組織再生、つまり動脈の内側を覆う内皮を修復して血管系の機能を回復するのに役立つ可能性があることを示していますし、
さらに「動脈硬化」による血管内皮細胞の障害に対する「(間葉系)幹細胞(MSC)」の投与が有効であることを示しています(文献1).


また、別の論文でも「(間葉系)幹細胞(MSC)」が動脈内皮細胞を横断する能力を持ち、化学誘引物質やせん断応力の影響を受けることが示されています。これにより、間葉系幹細胞(MSC)が動脈硬化のような炎症性疾患において治療的に利用できる可能性が示唆されています(文献2)

また、脂肪由来の「(間葉系)幹細胞(MSC)の投与が動脈硬化の治療において安全で効果的であることが示され、治療後、患者の脂質プロファイルや動脈硬化の指標が改善したと報告しています(文献3)

 

これらを見ますと、「(間葉系)幹細胞」の投与は、「血管内皮細胞」の機能低下を改善することで、「動脈硬化」を改善させる可能性は

大いに(おおいに)ある・・と言えそうですが・・・ね。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

(参考文献)
 1)Trends Cardiovasc Med. 2007 Oct;17(7):246-51.
 Stem cell therapy for vascular disease
Benjamin Adamsら

 

2)PLoS One. 2011;6(9)
Mesenchymal stem cells exhibit firm adhesion, crawling, spreading and transmigration across aortic endothelial cells: effects of chemokines and shear
Giselle Chamberlainら

 

3)Stem Cell Res Ther.2020 Dec 11;11(1):538.
Autologous adipose mesenchymal stem cell administration in arteriosclerosis and potential for anti-aging application: a retrospective cohort study
Hiroki Ohtafら
 

 

(以前のphoto:千鳥ヶ淵の桜)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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○自分の皮下脂肪から組織を採取し、「間葉系幹細胞」を培養して、自分自身の組織内に投与する「幹細胞治療」を開始しました。

 

 

 

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

「春分の日」を過ぎてからの休日の午後は、よく晴れています。

本州付近は高気圧に覆われ(おおわれ)ており、各地で20℃を超えているようです、

桜の開花は、すでにしているのかもしれませんが、満開までの時間は、今後の天候に左右されるにだとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

今回は「睡眠(すいみん)」についてのお話をしてみたいと思います。

 

では、「睡眠」はどのようなものでしょうか?

 

「睡眠」って、眠る(ねむる)ことだよね・・・と思われた方も多いのではないでしょうか。

 

「睡眠」の重要な目的は、「大脳(だいのう)」に休息(きゅうそく)を取らせる意味が大きいとされています。

「大脳」は、毎日、絶え間ない精神活動や運動制御 を行なうため、たくさんのエネルギーを費やし(ついやし)ながら活発に働いています。 
そのために、「 休息」する時間を必要とします。
それが「睡眠」の大きな意味なのではないか・・・と考えられているのですね。
とはいえ、「睡眠」で「脳全体」が完全に休むわけではありません。 

「大脳」は休んでも、生命維持活動を司る(つかさどる)「脳幹部(のうかんぶ)、および「大脳」の一部は働きを続け、昼間とは違ったモードで活動をするのです。

 

少し話題は変わるのですが・・・「脳幹部」には重要な機能がありまして・・・呼吸、循環、血圧などの生命維持に関わる機能を制御意識や覚醒(かくせい)レベルを調整する働きがあるのですね・

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

「睡眠中」の「大脳」活動モードは2種類ありまして、それが「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」となるわけですね。

「レム睡眠」は、体が眠っていながらも、「大脳」は 活発に働いており、記憶の整理や定着が行われますが、体はもっとも休まる時間です。 一方、「ノンレム睡眠」では、「大脳」も休息していると考えられ、脳や肉体の疲労回復のために重要とされています。

 

脳は活発に働く「浅い眠り」でして、「ノンレム睡眠」は大脳の活動がほとんど停止する深い眠りでして、後者が「大脳」の真の休息ということになります。

「夢」をみている時には、「レム睡眠」の時間帯でして、まぶたの下で眼球が急速で動くと聞いたことがある方も多いと思いますが、この眼球の動きを「眼球運動 (Rapid Eye Movement) 」と呼びまして、この頭文字(かしらもじ)をとって、「レム(REM)睡眠」と呼ばれるわけですね。

実際の睡眠中は、長い「ノンレム睡眠」の間に、短い「レム睡眠」が現れ、それは一晩に4~5回繰り返されるのが通常とされているのですね。

 

長くなってしまいましたが・・・ここまでが、これまでの常識ということになります。

 

現代の睡眠医学研究によって、睡眠には、さらに重要な役割があることが明らかになってきているのですね。

 

この続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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< ブログ後記>3月25日

 

本格的な春の季節がやってきたようです。ポカポカな陽気になんとなく幸せな気持ちになりますよね。

 

「春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず)」は、中国の唐代の詩人、孟浩然(もうこうねん)の詩「春暁(しゅんぎょう)」の冒頭部分に由来しているそうですが・・・夜の時間も過ごしやすく感じてしまいます。

 

「春眠暁を〜」の意味は、春の夜が眠り心地よく、朝が来たことに気づかず寝過ごしてしまうという意味ですね。

今回は、「睡眠」を取ることの重要性について、お話をさせていただきました。

 

「睡眠」は、健康と認知機能(にんちきのう)において重要な役割を果たすと考えられていますが、その具体的な機能は完全には理解されていません。
しかしながら、近年のさまざまな研究は、「睡眠」が記憶の統合(とうごう)や健康維持に大きな役割を果たすことを示しています(参考1)。
例えば、「短期記憶」が「長期記憶」に変換(へんかん)されるプロセスは「記憶の固定化(こていか)」と呼ばれています。

そのシステムを見てみますと、以前にブログ内でもご紹介したように
 初期段階では「海馬(かいば)」が中心的役割を果たし、その後時間をかけて「大脳皮質(だいのうひしつ)」に記憶が転送・再構成されます。

さらに 情報の繰り返しや定期的に思い出すことにより、記憶は

長期化していきます。

では、この記憶のメカニズムに「睡眠」は、どのように関与してくるのでしょうか?

睡眠中、「ノンレム睡眠」のうち最も(もっとも)深い眠りの時を「徐波睡眠(じょはすいみん)」というのですが、このときは、「副交感神経系」が優位になり、その反対に「レム睡眠中」は「交感神経系」の活動が高まるとされています。
これらの自律神経系の状態変化は、異なるタイプの記憶の処理と固定化に影響します

ちょっと、難しいのですが・・・例えば、強いストレスや恐怖を経験した後、その夜の睡眠中に「交感神経」系の活動が過剰(かじょう)になると、情動記憶(特に恐怖記憶)が過度に強化される可能性があります。

一方、リラックスした状態での睡眠では、「副交感神経」の活動が適切に働き、バランスの取れた記憶処理が行われやすくなるそうです。

「自律神経(じりつしんけい)」は、現在、非常に注目されているわけですが・・・単に身体機能を調節するだけでなく、「記憶」の質と種類を選択的に強化する役割も果たしていることは驚からされます

(参考2)。

では、「睡眠」が充分(じゅうぶん)に取れていないと、どのような影響があるのでしょうか?

「睡眠不足」は、認知機能の低下を引き起こし、また、学習した情報の保持が困難になります(参考3)
また、それ以上に 睡眠不足や睡眠障害(不眠症、睡眠時無呼吸症候群など)は、心血管疾患や代謝疾患のリスクを高めることが知られています。
心血管疾患へのリスクとは、次のようなものが報告されています(参考4)。
具体的には、以下のようなものが報告されています。

1)血管内皮機能障害

睡眠障害は血管内皮機能を低下させ、動脈硬化の進行を促進します。
 

2)炎症マーカーの増加

「睡眠不足」は全身性の軽度炎症状態を誘発し、CRPやIL-6などの炎症マーカーが上昇します。これらは心血管疾患の独立したリスク因子となります。

また、代謝疾患へのリスク増加もあり、次のように報告されています。

3)インスリン抵抗性の増加

短期間の睡眠制限でさえもインスリン感受性を低下させ、血糖コントロールを悪化させます。


4)食欲調節ホルモンの変化

「睡眠不足」は、「レプチン(満腹感を促進)」の減少と「グレリン」(空腹感を促進)の増加をもたらし、過食と体重増加につながります。


5)脂質代謝異常

 「睡眠障害」は、脂質プロファイルを悪化させ、特に「LDLコレステロール」と「トリグリセリド(TG)」の上昇に関連します。


6)メタボリックシンドロームとの関連:

7時間未満の睡眠は、メタボリックシンドロームのリスクを約1.5〜2倍に増加させるという研究結果があります。

 

高齢者の「睡眠不足」は、さらに大きな影響がありそうです。

高齢者の「睡眠不足」は、高血圧、糖尿病、肥満、うつ病、心臓病、脳卒中といった多くの健康問題のリスクを高めることが確認されています。

さらに、記憶障害や認知機能の低下、免疫機能の低下、転倒や事故のリスク増加にもつながる可能性があり、全体的な生活の質を大きく損なうことがわかっているそうです(参考5,6)

どうやら「眠れない」という「睡眠障害」は高齢者にとっては、より深刻なものであるようです。

 

昔、眠らなくて死んだ人はいないわけだから、明日までにこの2つの論文を読んできてね・・・とか、朝まで遊んで、仕事に行けばいいじゃない・・・こともあったような気もしますが、どうやら、これは、時代的にも、医学的にもNG (エヌ ジー)であるようですね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

 

<参考>

1) Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Nov;119(44)
  The functions of sleep: A cognitive neuroscience perspective
  Katharine C Simonら

 

2)Brain Res.. 2000 Dec 15;886(1-2):208-223.
   Why do we sleep?
   T J  Seinnowskiら

 

3)Am J Respir Crit Care Med. 2019 Mar 15;199(6):P11-P12.
   What Is Sleep Deprivation?
   Anuja Bandyopadhyayら

 

4)Sleep Med Clin. 2021 Sep;16(3):485-497.
 Sleep and Cardiovascular Risk
Lyudmila Korostovtsevaら
   
5)Clin Geriatr Med. 2018 May;34(2):205-216.
Sleep Disorders in the Elderly
Kathleen Yaremchukら

6)Sleep. 1995 Jul;18(6):425-32.
Sleep complaints among elderly persons: an epidemiologic study of three communities
D J Foleyら

(夜の東京タワー )

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

3月も半ば(なかば)になり、暦(こよみ)を見ますと七十二候は

「菜虫化蝶(なむしちょうになる)」となっています。

 

「なむし」は、あぶらなや大根などの葉につく青虫のこと、モンシロチョウの幼虫などが代表的なのだそうです。

 

蝶(ちょう)は、幼虫からサナギを経て成虫となるその劇的な変化によって、輪廻転生や復活、長寿などの象徴とされてきたそうです。

 

そして、本格的な春の到来(とうらい)は、多くの花を咲かせますね。フランスのファッションデザイナー、クリスチャン・ディオールは、次のような言葉を残しています。

 

After women, flowers are the most lovely thing God has given the world.

 

花は神が世界に与えたものの中で、女性の次に最も愛らしいものである

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

 

今回は「肌の保湿(ほしつ)機能」と「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」の関係についてのお話をしてみたいと思います。

 

「線維芽細胞」は、皮膚の「真皮層」に存在して、「コラーゲン」や

「エラスチン」、そして、「ヒアルロン酸」を作り出しますね。

 

        (図はお借りしました)

 

image

 (図はお借りしました)

 

一方で「肌の保湿機能」とは、肌が水分を保持(ほじ)して、乾燥を防いで外部刺激から保護する機能です。

健康な肌は「角質層(かくしつそう)」に水分を蓄え、バリア機能を維持することで、潤いを保ちます。具体的には、以下の要素が関わります。

 

1)皮脂膜:水分蒸発を防ぐ保護膜

 

2)天然保湿因子(NMF):アミノ酸や尿素などが水分を角質層内に保持する。

 

3)細胞間脂質(セラミドなど):角質細胞の間を埋め、水分蒸発を防ぐ

 

これらが十分に機能していると、肌の水分量は保たれ、乾燥や肌荒れを防ぐことができるのだそうです。

 

 (AIを用いて画像を作成)

 

では、ここに「線維芽細胞」がどのように関わってくるのか?

言い換えれば、加齢によって「線維芽細胞」の機能が低下しても、皮膚の保湿機能を保つことができるのか?・・・ということになります。

 

一般的に40歳をすぎると、「線維芽細胞」の機能は衰えたり(おとろえたり)、「老化細胞」が増加し、これにより、コラーゲンやエラスチンの産生量が低下し、それにより皮膚のシワやタルミが出現すると言われていますね、

 

では、「線維芽細胞」は肌の保湿という側面に対しては、どのような効果を持つのでしょうか?

 

1)コラーゲン:肌の弾力を保ち、水分を引き付ける土台を作ります.

 

 

2)エラスチン:肌の伸縮性を保ち、ハリを維持します。

 

3)ヒアルロン酸:水分を大量に保持し、肌の潤いを保つために重要な役割を果たします。

 

このように真皮層にある「線維芽細胞」は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などは、肌のはりを保ち、シワやタルミをつくらせないだけではなく、

コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は、肌の潤いを維持する上で非常に重要な役割を果たしているのだそうです。

 

では、真皮層にある「線維芽細胞」の老化は、肌の保湿機能に対して、どのような影響を与えるのでしょうか?

 

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

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<ブログ後記>3月18日
 

先ほどまで、ニュースを読んでいました。そうしますと・・・

明日水曜日は、雪のお天気になるのだとか。

本当に雪になれば、「名残り雪(なごりゆき)」になるなあ〜などと
考えておりました。春にふる雪を「名残り雪」と呼ぶのですね。


さらに某紙では「NK細胞は、癌に効果がない」と識者の解説をしていましたが、
世界的な「NK細胞」についてのコンセンサスは、ナチュラルキラー(NK)細胞は、癌化に関連した表面マーカーを認識することによって癌細胞を殺すことができる。 
NK細胞は抗体やT細胞応答を増強し、効果的な抗がん剤となる。 
臨床試験では、血液悪性腫瘍や固形癌の治療にNK細胞を用いる有望な結果が示されているのですね(参考1)

もちろん、NK細胞を集めて培養するだけではダメで、「NK細胞の活性」を増加する処理を行わなければダメなわけですが。

<参考>
1. Review Nat Rev Drug Discov. 2020 Mar;19(3):200-218. 
NK cells for cancer immunotherapy
Noriko Shimasaki ,Amit Jain ,Dario Campana ら

これをもとに多くの知見が進められ、今後はCAR-T療法ならぬ、CAR-NK療法が出てきている時代であるのに、これらをすべて無視しているわけです。

現時点の研究者が取り組んでいる問題点は、臓器に存在する固形癌の周囲を取り囲んでいる「癌関連線維芽細胞」の強固な壁をどうするか?などであるわけですね。

 

「Review Nat Rev Drug Discov. 」とは、世界的な「Nature(ネーチャー)」に関連する創薬や薬剤開発分野に従事する全ての人を対象とした月刊誌です。 業界全体をカバーする最高品質の総説と展望にする雑誌ですね。

一方、岡山大や名古屋大などの研究チームの発見は、とても斬新(ざんしん)なものでした。
 

その内容は、肌の弾力を保つのに重要なタンパク質「コラーゲン」は、これまで考えられていた皮膚の深い部分「線維芽細胞」だけではなく、表面側でも作られているということだけではなく、

「保湿」も、真皮層にある「線維芽細胞」だけでなく、「ケラチノサイト」も「保湿」に関与している可能性を指摘しているのですね。


これも「Nature」系の国際誌「Nature Communications(ネーチャーコミュニケーションズ)」 に発表されたそうです。このジャーナルは、生物学、物理学、化学および地球科学のあらゆる領域における高品質な研究を出版するオープンアクセスジャーナルとなります。

まだ、ウーパールーパーでの実験なのですが、おそらく、ヒトも同じであろうという推測もなされているようです(共同通信より)


これまでの様々な研究で、「線維芽細胞」が皮膚の構造維持、創傷治癒、線維化において重要な役割を果たす一方、皮膚表面の「ケラチノサイト」との相互の連携作用があると考えられ、これが、

皮膚の恒常性維持(こうじょうせいいじ)を行う上で重要であるとも
すでに示されていたので、もしかすると、そんな連携が明らかにされたのかな〜と思っています。

上のニュースは、ともかく、本文内で述べた「皮膚線維芽細胞」を正常化させることは、皮膚の「保湿」作用を改善する可能性があります。


本文内でもご紹介しましたが・・・「線維芽細胞」は真皮層に存在し、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外マトリックス成分を産生します。

 

これらの成分は、皮膚の構造を支え、水分を保持する能力に直接関わっているのですね。
 

特に「ヒアルロン酸」は、その分子量の1000倍もの水分を保持できるため、皮膚の水分量維持に重要な役割を果たしています。加齢や紫外線などの外的要因によって線維芽細胞の機能が低下すると、これらの保湿成分の産生が減少し、皮膚の乾燥につながります。

では、さらに「線維芽細胞」が「老化」していくと「皮膚」はどうなってしまうのでしょうか?
 

残念ながら、「線維芽細胞」も老化していくわけですね。
 

これにより、「保湿機能」は低下するばかりでなく、老化した線維芽細胞(老化細胞/セネッセント細胞)は、以下のような変化を示すとされています。

1)ヒアルロン酸の産生低下

老化線維芽細胞はヒアルロン酸の合成能が低下するため、皮膚の水分保持能力が減少します。
 

2)コラーゲン産生の質的・量的変化

老化線維芽細胞はコラーゲン産生量が減少し、また産生されるコラーゲンの質も変化します。これにより真皮の構造が変化し、水分維持機能が低下します。


3)炎症性因子の分泌(SASP)

老化細胞は老化関連分泌表現型(Senescence-Associated Secretory Phenotype, SASP)と呼ばれる炎症性サイトカインやケモカイン、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)などを分泌します。これらは周囲の健康な細胞にも悪影響を与え、皮膚全体の保湿機能を低下させます。
 

4)エラスチン産生の低下

弾力性を維持するエラスチンの産生も低下し、皮膚の弾力性と共に水分を保持する能力も減少します。

これらの変化により、老化線維芽細胞が増加した皮膚では、バリア機能の低下、水分保持能力の減少、そして結果として乾燥肌や小じわの増加などの症状が現れやすくなります。

なんとか、この状態を改善できないか?・・・現時点的の研究者たちの課題なのかもしれません。
理論的には、線維芽細胞を正常化させることで皮膚の保湿機能は改善する可能性が高いと考えられているそうです。

現在、分かっていることは、ヒトの皮膚には、SFRP2 と FMO1 という 2 つの主要な線維芽細胞集団がありそれぞれ異なる形態を持ち、マトリックス沈着、炎症、結合組織細胞の分化において役割を果たしていること(参考2)


2).J Invest Dermatol. 2018 Apr;138(4):802-810. 
SFRP2/DPP4 and FMO1/LSP1 Define Major Fibroblast Populations in Human Skin
Tracy Tabib ら

また、皮膚内で異なる機能を持つ異なる線維芽細胞サブポピュレーションは、表皮からの 「Wnt 制御シグナル」に反応し、創傷治癒および癌の進行中の結合組織の変化を説明できる可能性があると考えられています。(参考3)

「Wnt 制御シグナル」の変化が・・・まあ、これくらいにしときましょう。
 

参考)

3. Trends Cell Biol. 2015 Feb;25(2):92-9. 
Understanding fibroblast heterogeneity in the skin
Ryan R Driskellrら

いずれにしても、ヒトの皮膚の「線維芽細胞」は、毛髪の発達、傷の修復、生体工学など多
様な機能を発揮し、皮膚生物学の理解と皮膚の再生のための資源の提供に重要な役割を果たして
いるというのが現在のコンセンサスになりますね(参考4)

4. Cell. 2021 Jul 22;184(15):3852-3872.
Fibroblasts: Origins, definitions, and functions in health and disease
Maksim V Plikusら

今回も最後までお付き合いいただきまして
誠にありがとうございましたお願い

 

(ホテル アマン東京 ロビーの桜)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

医学博士, 内科医

(総合内科、リウマチ専門医)

(新潟大医学部卒)

 

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

先週は大雪になるなどという予報がありましたが、都内近郊は雪が積もることもなく、ホッとしました。

 

温暖化の影響で、これまでの気象データが役に立たないものになっているのではないか・・・などと少し心配になったりもします。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

 

さて、春もようやく本番ということになりそうですが、この時期になりますと、そろそろ、「健康診断」があるなあ・・・と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

前回は「肥満」と「サーカディアンリズム」を話題にしたわけですが、今回は「肥満」とも関係のある「脂肪肝(しぼうかん)」と「動脈硬化(どうみゃくこうか)」の2つの疾患を話題にしてみたいと思います。

 

まずは、「脂肪肝」と「動脈硬化」の2つの疾患の関係性は、どのようなものがあるのでしょうか?

 

詳しく見ていきますと、次のような重要なポイントがあります。

 

1) 共通の根本原因

 

メタボリックシンドローム(肥満、インスリン抵抗性、高血圧、脂質異常症)が両方の疾患の共通基盤となっています。

 

2) 2つの疾患の関係性

 

「脂肪肝」では、肝臓での脂質代謝異常が起こり、これにより血中の「悪玉コレステロール(LDL)」と「中性脂肪(TG)が増加し、これにより、「動脈硬化」のリスクが高まります。

 

3)炎症プロセスの存在

 

「脂肪肝」では、肝臓内の炎症が慢性化しており、「炎症性サイトカイン」が放出されます。これらの炎症物質は、「血管内皮細胞」の機能障害を引き起こし、「動脈硬化」の初期段階を促進(そくしん)

します。

 

3. 酸化ストレスの増加

 

両疾患とも「酸化ストレス」の増加が特徴で、これが組織損傷と疾患進行に寄与(きよ)します。

「酸化ストレス」とは、DNAさえも破壊する「活性酸素(種)」になりますね。

 

4.相互強化作用

 

「脂肪肝」は、「動脈硬化」のリスク因子となり、逆に「動脈硬化」は、肝臓への血流を減少させることで、「脂肪肝」を悪化させる可能性があるとも考えられるようになってきているのですね。

 

実際に「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」は、独立した心血管疾患リスク因子として認識されるようになっています。

 

少し補足(ほそく)しますと・・・非アルコール性脂肪性肝疾患」とは、「脂肪肝」の原因のひとつであり、アルコール依存症以外の原因によって、肝臓に脂肪が蓄積している 場合に生じるとされている肝疾患なのですね。 

 

 

(AIを用いて画像を作成)

 

いかがでしょうか?「動脈硬化」の進展は、狭心症や心筋梗塞などの

「冠動脈疾患(かんどうみゃくしっかん)の発症につながりますし、

「脂肪肝」は、肝硬変(かんこうへん)や「肝臓癌」にもつながっていくことが知られています。

 

これらの「脂肪肝」と「動脈硬化」は、どちらもそのようにならないようにした方が良いわけで、「脂肪肝」は改善しておく方が良いし、

「動脈硬化」は改善、もしくは進行しないようにすればよいわけです。

 

なんだか、タイヘンな感じがするなあ〜と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

実は、「脂肪肝」と「動脈硬化」の2つの疾患に対する「予防」や「治療」のアプローチは、とても似てまして(にてまして)、生活習慣の改善(食事改善、運動の増加、適正体重の維持)が基本となります。

 

最も簡単(かんたん)なのが・・・「脂肪肝」も「動脈硬化」も食事摂取カロリーを減らすことが有効とされるのですが・・・

やっぱり、簡単ではないですよね〜爆  笑

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<  ブログ後記  >3月11日
 

窓の外に目をやりますと、音もなく雨が降ったり止んだり(やんだり)を繰り返しているようです。
 

さて、今回は「脂肪肝」や「動脈硬化」の予防・改善させるものは、「食事摂取(しょくじせっしゅ)カロリー」を減らすことであるというお話をさせていただきました。
 

「そんなことかい」・・・と思う方も多いかもしれませんね。
 

「食事摂取カロリー」を減らせば、「皮下脂肪型肥満」でも「内臓脂肪型肥満」であっても体重は減るでしょうし、それによって、血圧が低下するかもしれません。また、「糖尿病」の血糖コントロールを改善したり、また、「糖尿病」になることを予防することも
できる・・・

 

だから、「脂肪肝」や「動脈硬化」の予防・改善させるのは、当然のことだ・・・と考える方も多いかもしれません。

しかしながら、あなたの最適(さいてき)な食事摂取のカロリーは、どのぐらいですか?・・・と、聞かれた時に正確にその数字を言える方は少ないかもしれません。

適正な食事の摂取カロリーを割り出すには、以下の要素を考慮(こうりょ)する必要があります。

通常の場合、基礎エネルギー消費量 BEE (または基礎代謝量 BMR) と活動係数、 ストレス係数の乗数から算出する方法もありますが、これは複雑な計算が必要なので、

「適正体重」を用いて、カロリー計算を用いる場合が多いかもしれません。この方が簡単に計算できますので・・・ね。


「適正体重」は、最も健康で長く生きることができるとされる

「BMI 22」を基準として、現在、自分の体重の体重がどの程度オーバーしているのか?

 

また、適正なカロリー数はどの程度なのかを知ることができます。

 

少しだけ、ヤヤコしい話をしてみます。

 

 

上記のサイトで、まず、「適正体重」を算出してもらいます。

そして、この数字と「身体活動量係数」を用いて、食事による適正なエネルギー摂取量を知ることができます。

【適正なエネルギー摂取量】= 【適正体重(kg)】× 【身体活動量係数】

「身体活動量係数「とは、以下のようになっています。


軽労作: 25-30 kcal/kg
普通の労作: 30-35 kcal/kg
重い労作: 35-40 kcal/kg

身体を酷使(こくし)するようなスポーツ選手や重労働の方は<重い労作: 35-40 kcal/kg>に当たるのですが、デスクワークが多い方は<軽労作: 25-30 kcal/kg>となります。
 

もう少し分かりやすく、お話をしますと

○軽労作(週1-3回の軽い運動)
○普通の労作(週3-5回の中程度の運動)
○重い労作(週5-7回のハードな運動)〜(肉体労働や一日2回のトレーニング)
となります。

ほとんどの方はどんなに仕事が忙しくて、日々疲れる(つかれ)を感じる方であったとしても、デスクワークが多い方は「軽労作」になってしまうことが多いわけです。
 

そうしますと、「身体活動量係数」は、25-30 kcal/kgとなるわけです。

例えば、172cm , 73Kgの方が健診で「脂肪肝」を指摘され、食事を減らしてくださいとアドバイスを受けたとします。仕事はデスクワークが多いとします。


詳しく計算をしてみると    適正体重は65.08kgとなり、実際には+7.92kgの体重オーバーがあるわけでして、
BMIは、    24.68 となるわけです。
 

この場合、食事のカロリーを減らす目的は、現在の体重を適正体重に減らすことですから、
 

【適正なエネルギー摂取量】= 【適正体重(kg)】× 【身体活動量係数】の式に当てはめますと

65.08kg×25〜30 となります。しかし、摂取カロリーをできるだけ減らした方が「脂肪肝」は
改善しやすいわけなので、【身体活動量係数】を25にします。

そうしますと・・・65.08 × 25= 1627 Kcal となります。これが1日の適正な食事のカロリー
となります。もちろん、この中にはアルコール類なども含まれます。
これは、無理だよ〜とおっしゃる方がいると思いますが・・・

この適正カロリーは、「糖尿病」の治療を行う際に併せて行うことが必要な食事療法の1日のカロリーとほぼ、同じカロリー数となるわけですね。

もちろん、このカロリーの中で、必要な栄養素をとらなければいけません。タンパク質や脂質、野菜などですね。

これが、なかなか、難しいと言えます。


そこで、JTKクリニックでは、栄養士さんによるオンラインの食事指導を行う準備を進めているわけですが、この御紹介は、またの機会にしたいと思います。

「食事のカロリー」と「脂肪肝」、そして「動脈硬化」の関連を指摘する海外の論文も多数あるのですが、そのご紹介も、別の機会にしたいと思います。

今回も最後までお付き合いいただきまして
誠にありがとうございましたお願い

 

(東京丸の内 仲店通り)

(筆者撮影)

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 理事長、院長  

小笠原  均  (Hitoshi Ogasawara)   

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こんにちは、内科医ひとちゃんですウインク

 

3月に入り、昨日からはは春本番のような陽気になっています。

残念ながら、明日3日と明後日4日は、全国的に天気が崩れ

「寒の戻り(かんのもどり)」がありそうなのだとか。

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?    

 

               (AIを用いて画像を作成)

 

さて、今回は「サーカディアンリズム(概日リズム)」の乱れは「肥満(ひまん)」と関係があるかもしれない・・・というお話をしてみたいと思います。

 

「サーカディアンリズム」とは、どのようなものであったでしょうか?少しだけ、おさらいをしてみたいと思います。

 

「サーカディアンリズム」は、約24時間周期で変動する生体リズムのことですよね。

これは多くの生物に見られる内因性の生物学的プロセスで、以下のような特徴がありました。

  1. 睡眠-覚醒サイクル、体温変動、ホルモン分泌などの生理機能を調節します
  2. 主に脳の視交叉上核(SCN)によって制御されています
  3. 光などの外部環境の手がかり(zeitgeber「時間を与えるもの」と呼ばれる)によって調整されます

この「サーカディアンリズム」が乱れると、睡眠障害、気分の変化、認知機能の低下、さらには長期的な健康問題(心臓病や糖尿病のリスク増加など)を引き起こす可能性があると考えられています。

 

これ以外でも「サーカディアンリズム」の乱れは、「免疫力」の低下を引き起こすことも報告されているのですが、そればかりでなく、

「肥満」リスクを高めることが科学的研究で示されているのですね。

 

              (AIを用いて画像を作成)

 

実は「サーカディアンリズム』を生み出す生物学的なメカニズムとして、私たちは「体内時計」を持っています。

 

この「体内時計」は、単に「睡眠(すいみん)」と「覚醒(かくせい)』のサイクルだけでなく、消化酵素の分泌、血糖値の調整、脂肪の貯蔵と燃焼など、エネルギー代謝の多くの側面を制御していルことが知られています。

 

このために「サーカディアンリズム」に乱れ(みだれ)が生じると、

次にあげる異常が生じやすくなることが知られています。

 

1)ホルモンバランスの変化

 

サーカディアンリズムが乱れると、食欲を調節する重要なホルモンであるレプチン(満腹感を伝える)とグレリン(空腹感を刺激する)のバランスが崩れます。夜型の生活や睡眠不足はグレリンの増加とレプチンの減少を引き起こし、過食につながります。

 

2)インスリン感受性の低下

 

 体内時計の乱れは,膵臓の「インスリン分泌パターン」と筋肉や脂肪組織の「インスリン感受性」に影響します。

 

夜間の光曝露(ひかりばくろ)や不規則な食事パターンは、いわゆる「インスリン抵抗性」を高め、血糖値の上昇と脂肪蓄積を促進します。

 

3)脂肪細胞の機能変化

 

脂肪組織自体も強い「サーカディアンリズム」を持っていることが知られています。

 

体内時計の遺伝子(CLOCK, BMAL1など)の発現異常は、脂肪細胞の「代謝活性」を変化させ、脂肪の蓄積を増加させることが研究で示されています。

 

4)腸内細菌叢への影響

 

「腸内細菌」も日内変動パターンを持っていて、食物の消化や栄養素の吸収に影響します。

 

不規則な食事時間は「腸内細菌」のバランスを乱し、カロリー吸収の効率を高めることがあります。

 

それは、本当かいな〜と思うわけですが・・・すでに各国の臨床試験などで、次のようなことが分かっているのだとか。

 

 

・交代勤務者(特に夜勤)は一般人口と比較して肥満率が25-30%高いというデータがある。

 

・慢性的な社会的時差ボケ(週末と平日で睡眠スケジュールが大きく異なる状態)が、BMIの上昇と相関する。

 

・実験動物において、体内時計遺伝子をノックアウト(発現をストップ)すると、高脂肪食摂取時の「体重増加」が顕著(けんちょ)になることが示されている。

 

・一日の睡眠時間が6時間未満の人は、7-8時間睡眠の人と比較して肥満リスクが55%高いという報告がある。

 

といった具合(ぐあい)です。

 

では、最後に「肥満」であることは、「サーカディアンリズム」に影響を与えないのでしょうか?

 

残念ながら・・・「サーカディアンリズム」と「肥満」には

双方向(そうほうこう)の関係があると言われています。

 

つまり、「肥満」が「サーカディアンリズム」に影響を与えると同時に、「サーカディアンリズム」の乱れが「肥満」のリスクを高めることが確認されています。

 

なかなか、厄介(やっかい)な問題ですね。

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

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<ブログ後記  > 3月4日

どうやら、外は強い風が吹いており、「霙(みぞれ)」になっているようです。

今回は、「サーカディアンリズム(概日リズム)」と「肥満」の関係についてのお話をさせていただきました。


「サーカディアンリズム」は、本文内でもご紹介しましたが、他の生物と同じようにヒトにも約24時間周期で変動する「体内時計」が存在することが分かっています。
 

この「体内時計」は、「視交叉上核(SCN)」という脳の一部で調整されるわけですね。
「視交叉上核(SCN)」は、「マスター時計」として機能し、肝臓、心臓、筋肉などの様々な臓器や組織にある「末梢時計」を同調させることが分かっています。


これにより、体全体のリズムが調整されるわけですが、睡眠・覚醒サイクル、ホルモン分泌、体温調節など、多くの生理機能をコントロールしています。

そして、この「マスター時計」を刺激するのは、網膜(もうまく)からの光の情報でありまして、網膜視床下部路(RHT)という部分を通じて「視交叉上核(SCN)」に伝達されます。


特に、網膜にあるメラノプシン含有網膜神経節細胞(ipRGCs)が青色光に敏感に反応し、「視交叉上核(SCN)」に信号を送ります。
 

光などの刺激によって、このリズムは外部環境と同調する・・・と分かりにく位かもしれませんね。外部環境とは、ヒルかヨルかなどということなるでしょうか。
 

つまり、朝の起床時に太陽の光を浴びると、まず「視交叉上核(SCN)」の「マスター時計」がリセットされ、その後、さまざまな臓器の「末梢時計」もリセットをされるというわけです。

これらの「マスター時計」や「末梢時計」などが作り出す24時間のリズムが「サーカディアンリズム」ということになりますね。
 

この「サーカディアンリズム」が、免疫細胞の活動の日内変動を起こしたり、免疫組織にも日内変動を起こすなど、ヒトの「免疫システム」にまで影響を及ぼすというのですから、驚きます。


話は少しそれますが、「NMN」や「NAD+」は、この「サーカディアンリズム」を調整することが知られています。
 

そのメカニズムは、以下のようになります。

「NAD+」は、「SIRT1(サーチュイン1)」というタンパク質の補酵素として機能します。補酵素とは、酵素タンパク質と結合して、その機能が充分に発揮させます。

「SIRT1(サーチュイン1)」は、「時計遺伝子」であるBMAL1やPERなどを脱アセチル化することで、「サーカディアンリズム」を調節します。
「時計遺伝子」とは、生物の体内時計(サーカディアンリズム)を制御する遺伝子群のことでしたね。。これらの遺伝子は約24時間周期の発現パターンを示し、生物の生理機能や行動に日内変動をもたらストされています。

「SIRT1(サーチュイン1)」の注目すべき働きは、「DNAの修復」でしたが、「時計遺伝子」を介して(かいして)「サーカディアンリズム」を調整する作用もあるわけですね。

話を「サーカディアンリズム」と「肥満」の関連に話を戻しますと・・・次のようなことが報告されています。

ある論文では、日常生活におけるサーカディアン活動リズムの乱れと肥満関連指標との関連を検討しておりまして、
それによれば、「サーカディアンリズム」の活動の乱れが、体脂肪率やBMIの増加と関連していることを報告しています(文献1)

また、別の論文では、睡眠の乱れと「サーカディアンリズム」の乱れがエネルギー代謝と肥満にどのように影響するかを検討しています。
 

それによりますと・・・睡眠不足や乱れが「サーカディアンリズム」の乱れを引き起こし、それがさらにカロリー摂取の増加やエネルギー消費の減少につながって、「肥満」のリスクを高めると報告されています(文献2)

また、あるレビュー(総説)では、「サーカディアンリズム』の乱れが肥満や代謝疾患の発症にどのように寄与するかを示しています。特に、食事のタイミングや高脂肪食が代謝の時間的調整を乱し、「肥満」を促進することを述べています(文献3)

そして、別の論文では、「サーカディアンリズム」が栄養代謝にどのように影響するかを検討しています。
特に、「サーカディアンリズム」の乱れが、肥満や代謝疾患の発症のリスク因子となることを報告しています(文献4)

参考となる論文は、他にも多くあるわけですが・・・それらをまとめますと、「サーカディアンリズム」の乱れは、肥満や代謝疾患のリスクを高めることが多くの研究で示されて(しめされて)います。
 

特に、シフトワークや不規則な睡眠、遅い食事時間などが「肥満』のリスクを高める要因として挙げられています。
 

本文内では、「肥満」から「サーカディアンリズム」が乱れることもあるとお話をしたわけですが、多くの論文の中では、「サーカディアンリズム」の乱れが、「肥満」や「代謝疾患』の発症や、ときには、物事に集中できない、無気力などの精神的な不調にも及ぶことも述べられたりもしています、

 

やはり、人生の限られた時間をめいっぱい有効に活用し、楽しく過ごしていくためには、規則正しい生活リズムと適正な食事カロリーの摂取(せっしゅ)を心がけ、そして、充分な睡眠時間を確保することで、「サーカディアンリズム」を正常化していくことが重要なのかもしれませんね。

 

今回も最後までお付き合いいただきまして

誠にありがとうございましたお願い

参考)
1)Obesity reviews 18, 15-24, 2017
Role of sleep and circadian disruption on energy expenditure and in metabolic predisposition to human obesity and metabolic disease
AW McHill, KP Wright Jrら

2)Obes Rev. 2017 :18 Suppl 1:15-24. 
Role of sleep and circadian disruption on energy expenditure and in metabolic predisposition to human obesity and metabolic disease
A W McHillら


3.Review Int J Mol Sci. 2019 Mar 30;20(7):1597. 
Off the Clock: From Circadian Disruption to Metabolic Disease
Eleonore Mauryら

4. Nutrients 2022 Jul 29;14(15):336. 
The Circadian Regulation of Nutrient Metabolism in Diet-Induced Obesity and Metabolic Disease
Lauren N Woodieら

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 理事長、院長  

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