こんにちは、内科医 ひとちゃんです
あと数日しますと・・・具体的には、29日(金)は「中秋の名月」で満月となっるそうです。
3年連続で満月の日付と一致しますが、次に中秋の名月と満月の日付が一致するのは2030年9月12日と7年も先になるそうです。
晴れるとよいですね。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
秋本番となりますと・・・「食欲の秋」という言葉もあるぐらいですから、美味しい食事を楽しみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
そして、食事の味を引き立てる脇役(わきやく)といえば・・・
「お酒」となりますね。
適量にしようと思っていた「お酒」も、ついつい、飲み過ぎてしまった・・・という経験がある方も多いと思います。
過度な飲酒が、体に様々な悪影響を及ぼすことは・・・いまさら、ご説明するまでもないと思いますが・・・簡単にお話をしておきますと、次のようになります。
1. 肝臓の損傷
アルコールは肝臓に直接的な損傷を与え、肝硬変や肝臓がんのリスクを高めます。
2. 心臓病
過度の飲酒は高血圧、心臓病、脳卒中のリスクを増加させます。
3. 消化器系の問題
アルコールは胃の粘膜を刺激し、胃炎や胃潰瘍を引き起こす可能性があります。
4. 精神的健康問題
アルコール依存症、うつ病、不安障害などの精神的健康問題のリスクを増加させます。
5.癌
口腔がん、喉頭がん、食道がん、乳がんなど、様々な種類のがんのリスクが増加します。
6. 栄養不足
アルコールは栄養素の吸収を妨げ、栄養不足を引き起こす可能性があります。
7. 免疫系の低下
過度の飲酒は免疫系を弱め、感染症に対する抵抗力を低下させます。
では、眠気を誘うための「寝酒(ねざけ)」としての少量のアルコールを飲むことで、良質な睡眠をとることは可能なのでしょうか?
少量のアルコールであり、それでぐっすりと眠れるなら良いではないか?・・・というわけですね。
さらに「睡眠薬」を服用するよりは、よっぽどマシではないか?
・・・というわけですね。
答えは・・・「 NO 」となります。
確かにアルコールは、一時的にリラックス感をもたらし、眠りを誘う効果がありますね。
睡眠導入剤として使用する方が多いのも分かる気がします。
しかし、アルコールは実際には「睡眠の質」を低下させることが知られています。
なぜ、「睡眠」の質を低下させてしまうのでしょうか?
その理由は以下のような理由になります。
1. レム睡眠の妨害
アルコールは、「レム睡眠」を妨げます。
「レム睡眠」は、夢を見る睡眠段階であり、記憶、学習、気分の調整に重要な役割を果たします。
「アルコール」により「レム睡眠」が減少すると、翌日の気分や認知機能に影響を及ぼす可能性があります。
2. 睡眠リズムの乱れ
「アルコール」は、体の生物学的時計を乱す可能性があります。
生物学的時計とは・・・「概日リズム(サーカディアンリズム)」のことでしたよね。
これにより、自然な睡眠覚醒リズムが乱れ、不規則な睡眠パターンや不眠症を引き起こす可能性があります。
3. 呼吸障害
「アルコール」は、筋肉をリラックスさせる効果があり、これにより「喉(のど)」の筋肉もリラックスします。
これが「睡眠時無呼吸症候群」のリスクを増加させる可能性があります。
4. 夜間の覚醒
「アルコール」には「利尿作用」があります。
この作用により、夜間にトイレに起きる回数が増え、睡眠が中断される可能性があります。
上記にあげた理由から、「アルコール」は「睡眠」の質を低下させ、長期的には、本格的な「睡眠障害」を引き起こす可能性があるとも考えられています。
良質な睡眠を確保するためには、就寝前のアルコール摂取を避けることが望ましいと言われるのは、こうした理由からなのですね。
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
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<ブログ後記>9月26日
あと数日もしますと9月も終わり、そろそろ本格的な秋の季節となるかもしれませんね。
美味しい食事を引き立てるのは、ワインや日本酒かもしれませんし、
秋の夜長を誰かと語らうのにシャンパンやウイスキーは必須と考える方も多いと思います。
そして、そのまま眠りにつくこともあるかもしれませんね。
それをアルコールが睡眠の質を悪くするなどと、ゴッチャゴッチャ言っているのを聞くと「なんとも無粋(ぶすい)な奴だ」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
ちょっと、タイミングが悪かったなあ〜と反省しています。
下に示す論文では、アルコールが引き起こす健康への害について、
次のようなことを述べています。
2013年に発表された『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM-V)第5版では、これまで使われていたアルコール乱用とアルコール依存という用語が統合され、「アルコール使用障害(AUD)」と呼ばれる単一の病態に統合されたそうです。
この「アルコール使用障害(AUD)」は、深刻な健康状態であると考えられており、アルコール全般は米国において予防可能な主要死因のひとつと考えられるようになっているのだそうです。
世界的には、アルコールの有害な使用は、年間全死亡の約5.9%を引き起こし、世界的な疾病負担の5.1%がアルコール摂取に起因している というのですね。
アルコールへの慢性的な暴露は、心血管系、消化器系、神経系など、人体全体の複数のシステムに深刻な影響を及ぼす ばかりでなく、アルコールの大量摂取は、高血圧、動脈硬化、あらゆる形態の脳卒中のリスクを著しく高めると考えられているようです。
「睡眠」に関して言えば・・・慢性的なアルコール摂取は、「睡眠」の質だけでなく、「総睡眠時間」をも低下させることが示されているそうです。
また、興味深い話題としては・・注目すべきは「アルコール使用障害(AUD)」は、腸内細菌叢を変化させる可能性もあり、その結果、神経炎症が生じる可能性があることであると述べられているのですね。
もちろん、食事の際の引き立て役として、少量のアルコールを飲むことが、必ずしも「アルコール乱用」と「アルコール依存」という「アルコール使用障害(AUD)」につながるわけではないと思います。
ただし、夜に眠るために「アルコール」ばかり、頼っていますと・・・これは、どうかなぁ〜なんて思ったりもしますね。
なぜなら・・慢性的なアルコール摂取は、「睡眠」の質だけでなく、「総睡眠時間」をも低下させることが常識であるわけですからね。
昨夜は、よく眠れなかったから、今晩は若干、アルコールの量を多くして、ぐっすりと眠りたい・・・と考えがちですよね。
こんな夜が続きますと・・・これは、ひょっとして「アルコール使用障害(AUD)」につながったりするかもと思ったりもします。
Alcohol is the anesthesia by which we endure the operation of life.
アルコールとは、私たちが人生の作業に耐えるための麻酔である。
というアイルランドの文学者「ジョージ・バーナード・ショー」の名言には、心惹かれる(こころひかれる)ものはありますが・・・ね。
今回も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました
参考)
1. Biomedicines. 2022 May 21;10(5):1192.
Alcohol Use Disorder: Neurobiology and Therapeutics
Waisley Yangら
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小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
新潟大医学部卒
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