こんにちは、内科医ひとちゃんです![]()
10月になりましたね。10月は「神無月(かんなづき)」と呼ばれるわけですが、その理由は、八百万(やおよろず)の神々が出雲地方に集まって会議をするために、留守になるからだとか。
言い伝えられる日程をみますと・・・
10月1日(または9月30日)に各地を旅立った神様たちは、10月10日ころに出雲に到着して、出雲大社に向かう・・・というものですが、変化のはやい時代ですから、今では、もう少しだけスピードアップしているのでは・・・
などと思ってしまいました。
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
今回は、免疫細胞の中でも重要とされる「NK(ナチュラル・キラー)細胞」についてのお話をしてみたいと思います。
「NK(ナチュラル・キラー)細胞」は、どのような細胞であったで しょうか?
少しだけ、復習をしておきたいと思います。
「NK細胞(Natural Killer cell)」は、免疫系の一部であるリンパ球の一種となりますが、その数は、あまり多くはありません。
白血球の20~40%程度を占めるリンパ球のうち、さらにその8〜20%が「NK細胞」とされていますので、血液中を循環している「NK細胞」は、かなり少ないといえます。
「NK細胞」は生まれつき、誰もが備わって(そなわって)いる「免疫システム」を構成する細胞のひとつでした。
生まれつき持っている免疫を「自然免疫」と呼びましたよね。
「NK細胞」は、特定の抗原に反応するための前もっての「トレーニング」を必要とせず、「NK細胞」はウイルスなどが侵入したきた際には、すぐに反応できる能力を持ち、ウイルスに感染した細胞ごと破壊することができます。
これと対照的な免疫細胞は、「T細胞」や「B細胞」などでして、これらは、後天的に獲得する「適応免疫」の免疫細胞となります。
これらの「適応免疫」の免疫細胞は、前もっての「トレーニング」により、はじめて「免疫応答」が可能となります。
前もっての「トレーニング」とは・・・実際にある感染症にかかったり、ワクチンなどにより「免疫」を得ることになります・
ウイルス感染や癌細胞に対する宿主防御に重要です。
「NK細胞」は、特定の抗原に反応するための前もっての「トレーニング」を必要としない点で、
T細胞やB細胞などの後天的に獲得する「適応免疫」の免疫細胞とは異なります。
話を「NK細胞」に戻しますと・・・「NK細胞」は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を攻撃・破壊する役割を持っています。
そして、「老化細胞」にも直接攻撃を加えて破壊します。また、NK細胞は免疫応答を調節する役割も持っており、他の免疫細胞の活動を調整することもあると考える研究者もいます。
では、なぜ「NK細胞」は「ウイルス感染細胞」や「癌細胞」が、破壊すべき異常な細胞であると認識できるのでしょうか?
(図はお借りしました)
上の図は「NK細胞」が異常な細胞を認識するメカニズムの1つを示しています。
実は、「ウイルス感染細胞」や「癌細胞」は、通常の細胞とは異なるパターンの分子を表面に表示していることが知られています。
この「通常の細胞とは異なるパターンの分子」こそが、「NK細胞」が攻撃をするための「目印」になる」わけですね。
具体的には、「ウイルス感染細胞」や「癌細胞」は「MHCクラスI分子」の表現が低下する傾向があります。
「MHCクラス分子」とは、私たちの細胞の表面に存在する「糖タンパク質」です。ヒトにおける「MHC分子」のことを「HLA(Human Leukocyte Antigen; ヒト白血球抗原)」といいます。
この分子は「自己」と「非自己」を認識するために重要な分子とされています。
正常な細胞には、きちんと「MHCクラスI分子」が細胞表面に出ているといえます。
これがなんらかの異常・・・「癌化」したり、「ウイルス感染」したり、「老化細胞」になってしまったりしますと・・・「MHCクラスI分子」の発現の状態が変化してしまうと・・・これを「NK細胞」が認識して、細胞ごと破壊する・・・ということになるわけです。
ここで、「癌細胞」や「ウイルス感染細胞」だけでなく、さらに「老化細胞」が加えられていることにも注目していただければと思います。
「MHCクラスI抗原」が低下することは・・・「NK細胞」が「癌細胞」「ウイルス感染細胞」「老化細胞」を認識に関与する重要な役割を果たしているのですね。
もちろん、それだけではありません。
例えが、「ストレス応答分子」というものです。
細胞内外の「ストレス」に応答して特定の分子を発現することがあります。例えば、細胞内のDNA損傷や異常なタンパク質産生により、「ストレス応答分子」というもの発現され、これが「NK細胞」に認識されるというメカニズムは、「癌細胞」「ウイルス感染細胞」
「老化細胞」に共通するものになります。
「NK細胞」のはたらくメカニズムは、以上のようなものですが・・・問題は、数の少ない「NK細胞」の効果をいかにして、最大限に引き出すか?・・・ということにありそうです。
素敵な1週間をお過ごしください![]()
それでは、また![]()
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<ブログ後記>10月3日
朝晩の空気は、秋の深まりを予感させる「ひんやり」とした空気を感じますね。
今回は「NK(ナチュラル・キラー)細胞」のお話をさせていただきました。英語の「Natural(ナチュラル)」の意味には、「生まれつきの〜」のという意味もありますので、「生まれつきの殺し屋」という意味になるかもしれませんね。
まるで「ゴルゴ13」に出てくる「デューク・東郷」のようなハードボイルド系の細胞を思い浮かべそうですが、実際はそうでもないかもしれません。
ウイルス感染細胞や癌細胞を見つけると、瞬時にこれらの細胞を破壊するわけですが・・・「NK細胞」の寿命は、たったの5〜7日間しかないわけです。
また、本文内でもご紹介したように「NK細胞」の数は、とても少ないわけですね。
こうした状況でも「ウイルス感染細胞」を破壊し、「癌細胞」を見つけては破壊するわけです。
そして、中年期以降は次々と発生してくる「老化細胞」も破壊しなければならないのですから、「NK細胞」は、明らかにオーバーワークになっているのは、一目瞭然(いちもくりょうぜん)と言えるかもしれません。
そこで・・・この状況に陥った(おちいった)「NK細胞」をなんとか、リカバリーできないか?・・・と考えるわけです。
もちろん、以前にブログ内でご紹介した「AHCC」もあります。
「AHCC」は、キノコの成分である「α(アルファ)ーグルカン」は、
NK細胞の活性を上昇させるだけでなく、「獲得免疫」の細胞障害性T細胞の活性も上昇させることが報告されています。
その他には、ないものか?・・・と論文を探していたところ・・・
下記の論文を見つけたのです。
この論文の詳細は、またの機会としますが・・・
一部の訳を抜粋しますと、以下のようなものになります。
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高齢B6マウスのNMN腹腔内投与によるNK細胞細 胞傷害活性の増強
加齢によってNK細胞活性が低下することが報告 されている(Di Lorenzoら 1999)。従って、老化 マウスではNMN投与によるNK細胞細胞傷害作用 が低下している可能性が考えられる。
そこで、 高齢(36週齢)のB6マウスを用い、NMN投与の 用量漸増試験を行った。マウスに1250、625また は313mg/kgのNMNを4日 間 腹腔内投与したとこ ろ、NK細胞活性が有 意に増強した。
注目すべきは、NK細胞 活性が有意に上昇したマウスでも、NK細胞の割 合が有意に増加しなかったことである。
(中略)
マウスに625mg/kgの NMNを経口投与したところ、NK細胞の細胞傷害性 が増強された。
この場合も、NK細胞の 割合はNMN処理によって有意に増加することはなかった(図3B)。
このように、NMNの腹腔内投与 と経口投与の両方が、高齢マウスにおいてNK細胞の 細胞毒性を増加させたが、細胞数は増加させなかっ た。
注目すべきは、NMN投 与後にNK細胞の割合が有 意 に 増加しなか ったことである。従って、NMNによるNK細胞活 性の増強は、主に個々の細胞における細胞毒性 活性の増強によるものと思われる。
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つまり、老齢なマウスにNMNを腹腔内投与した場合にも、経口投与した場合にでも、NK細胞の活性の増強を認めたが、NK細胞の数に変化はなかった・・・という結果となるわけですね。
少し補足しますと・・・腹腔内は血管が豊富なこともあり、そこに投与した薬剤は、血液中に入ります。
また、マウスの実験かあ〜と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、マウスは遺伝子のばらつきがヒトに比べて少ないので、薬剤などの効果を観察しやすいということが言えます。
とはいえ、すぐにヒトに当てはめるのは、ちょっと気が早い気もするわけですが・・・多分、同様の現象が生じている可能性もあるような気がしますね。
米国の小説家で、「大地」を書いた 「パール・S・バック」は、次のような言葉を残しています。
All things are possible until they are proven impossible.
不可能と証明されるまでは、どんなことでも可能である
今回も最後までお読みいただきまして
誠にありがとうございました![]()
参考)
1. Cell Communication and Signaling (2023) 21:261
Natural killer cells and their exosomes in viral
infections and related therapeutic approaches:
where are we?
Razizadeh et al.
(以前のphoto: 筆者撮影)
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理事長、院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士, 内科医
(総合内科、リウマチ専門医)
新潟大医学部卒
<JTKクリニック・アンチエイジング治療>
Instagram: jazz_1700
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