糸魚川市の大火災への御見舞い、そして火を扱う心得について | Kunstmarkt von Heinrich Gustav  

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ドイツの首都Berlin、Brandenburg州及び比叡山延暦寺、徳島県鳴門市の公認の芸術家(画家) Heinrich Gustav(奥山実秋)の書き記した論文、随筆、格言集。

今月22日の午前10時半頃、新潟県・糸魚川市の中心部、大町の中華料理店から火事が発生した。
当時の強風で、近隣の住宅や店舗に次々と火が燃え広がり、遂には住宅、店舗、等150棟以上、約4万平方メートルが延焼する大惨事となった。
同市は避難勧告を発令し、大町2丁目と本町地区、等の363世帯744人が対象となった。
県と市は災害対策本部を立ち上げ、新潟県知事が自衛隊第12旅団に災害派遣要請を行った。
更に当市周辺の自治体から応援の消防車が続々と現場に駆け付けた。
政府は首相官邸の内閣危機管理センターに情報連絡室を設置し、情報収集に乗り出した。
同市消防本部によると、大惨事とは言え不幸中の幸いで死者は出ておらず、現場近くで11人が逃げる際、軽傷を負っただけで済んだらしい。
此の大火災は発生から約10時間後の午後8時50分にようやく鎮火状態になった様である。
余もテレビの映像で火災現場を見たが、さながら第二次大戦末期の焼夷弾による空襲被害を彷彿させる程悲惨な光景であった。
地元の目撃者の証言によると、出火元から最大で10cm程の燃える木の破片が飛来し、僅か30分程度で100m先の家屋に引火して新たな火災が次々と起きたと言う。

専門家の検証によると、此れ程大規模に延焼した原因として以下の事を挙げている。
1:火事現場になった所の多くの建物が密集している事。
2:当寺強風が吹いた上に、火災で発生した気流も加わって火が燃え広がった事。
3:糸魚川市の消防本部が比較的小規模で、初期消火に駆けつけた消防車が僅か6台であった事。

しかしながら此れ程までの大火災があったにも拘わらず、逃げ遅れる人もいなくて死者が皆無であったのは、矢張り其れなりの理由があった様である。
と言うのはここ糸魚川市では南風が強く吹くので、過去にも此の南風に煽られて1928年に105棟、1932年には380棟を全焼させる大火災が起きている。
其れ故に当地では昔から「南風が強い時には火事に気を付けろ。」との教訓が市民の間で広まっているらしい。
又、地元住民の団結が強く「互いを気遣う関係」が普段から出来ている事も、窮地を脱する要因になった様である。

余は個人的には新潟県・上越市がオーストリアのLilienfeldと姉妹都市である事から1996年夏のスポーツ交流団の訪問の際、両市の交流の為のドイツ語通翻訳を務めさせてもらった。
更に1998年の長野オリンピックの際にも上越市が選手やLilienfeldからの一本杖スキー団を迎え入れた時のドイツ語通翻訳を務めさせてもらった。
以前に其の様な縁があったので、せめて今回の糸魚川市の大火災に対し、御見舞いだけは申しておきたい! 
参考に2011年3月に起きた「東北大震災」の折に余が書き記した以下の同ブログ2件の記事、「東日本大震災への御悔やみと御見舞いそして助言」、

並びに「大震災被災者の為のストレス診断表」

を参考に御覧頂きたい。
被災地では是れから不慣れ且つ不便な状況の中で大変かも知れないが、とにかく被災者の方々が其の健康を出来るだけ維持して、復興の為に精進され、再び平和な日常生活を取り戻される事を願ってやまない!

火事を未然に防ぐ為の心得として、先ず火の性質を知っておく事である。
余は少年時代よりしょっちゅう火遊びに興じていたし、又、今日でも我が家の別荘の庭に設置してあるドラム缶の焼却炉でほぼ毎週焚火をしているので、此れに関しては一般人より長けている。
メラメラ火は燃える空間が狭い程、温度が高くなる。 実に野焼きよりも釜戸や焼却炉の方が早く物を燃やしてしまう。
メラメラ火はお互いに引き付け合う。 複数の場所で火が出ると、これ等はお互いに近寄る様に燃える。
メラメラ火事現場の狭い空間で大きな火が燃え出すと、上に向かって竜巻の様な動きをする。
メラメラ火は密閉された空間で可燃性の一酸化炭素ガスが溜まった状態の時に窓やドアを開ると、一気に酸素を吸収し爆発を起こす。 (Backdraft現象)
メラメラ火は水や消火器がなくても、酸素を完全遮断すれば消える。 例:火の上から金属のバケツを被せる、スコップ等で土又は泥を被せる。
更に当たり前の事を書く様だが、

火を使う場所には必ずすぐ近くに水や消火器等を常備しておく事

燃え易い物をそばに置かない事、

火を使う時には決して其の場を長時間離れない事、

火の後始末は念入りにしておく事、等である。

其れ故に余は我が館(3階建て、部屋数11室)に於いては、台所、洗面所、風呂場、トイレ以外の水道の無い全ての部屋に必ず1つの水の入った「霧吹き」を置いている。

何故なら、今まで余の実験した限りでは直径50cm、高さ30cm程度の火なら、霧吹き1台で簡単に消せるからである。

諺の「備えあれば患いなし」の如く、たとえ屋内で火が出ても即座に消してしまえば、「大火事」には至らないのである。

此度の大火災の報道を見て、改めて火の恐ろしさを認識する人も多いのではないかと思われる。
しかし最も恐ろしいのは、火の性質及び扱い方をを知らない者が火を使う事なのである!

人間は日常生活を平穏無事に過ごしている事が当たり前の様に思ってしまい勝ちであるが、実は「平穏無事」である事は大層幸せな事なのである。
今回の様な大火災や地震、洪水、其の他の自然災害、更には戦争、紛争、動乱、等の人為的災害を経験する事によって、改めて平穏無事な生活の有難味をつくづく感じるのである。
そして其の為には「平穏無事」である事に感謝し、大切にするだけでなく、常日頃から禍の元になる要素をいち早く見つけ出し、取り除く事を心掛けておかねばならない。

 

2017年1月の追伸:
大火災から大凡一か月が過ぎて、被災地では既に焼失した民家の残骸の撤去作業が進むだけでなく、一部の地元企業では早復興に向けての活動を再開している所もある。
彼等の「不屈の精神」は誠に見聞きする者にも勇気や希望を与えてくれる感動的な物がある。
とにかく一刻も早く被災地の人々が安心出来る生活を取り戻せる事を願って止まない!


当画像は我が地元の近所の真言宗・別格本山にて、毎年3月第1週の土曜日に開催される「五大明王」を祈祷する「斉燈護摩」(さいとうごま)の様子である。

撮影した一瞬、燃え上がる炎があたかも不動明王の御使いである龍が天に上る姿を彷彿させる形となっていた。

此の様にメラメラ「火」は人間の扱い方次第で崇高な物にも、有益にも有害にもなる事を、常日頃から心得ておかねばならない。


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