我が個展の結果:「新たなる大勝利と外れた三つの思惑」 | Kunstmarkt von Heinrich Gustav  

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ドイツの首都Berlin、Brandenburg州及び比叡山延暦寺、徳島県鳴門市の公認の芸術家(画家) Heinrich Gustav(奥山実秋)の書き記した論文、随筆、格言集。

今年の10月8日より鳴門市ドイツ館にて開催されていた我が個展

ドイツの教会と日本天台寺院』は11月27日を以って無事終了した。

そして29日に親類の幼馴染に車で、我が個展の片付けに連れて行ってもらって来た。

以前の記事でも書き記した事だが、余は2010年以来、専ら天台寺院を描いて来いている故、其れ以来ドイツを題材にした作品は殆ど手掛けていない。
其の上、ドイツを描いた作品は悉く過去にドイツ館にて展示しており、最早当館にてドイツ作品の新作を公開する事は出来なくなっている。
其れ故に余は今年を以って鳴門市ドイツ館に於ける我が芸術活動を終了させるつもりであった。
(因みに11月29日は下らぬ語呂合わせから「いいにくい事を言う日」らしい。)

余は既に鳴門市ドイツ館で2008年以来、毎年恒例の公共事業として開催しているのだから、もうそろそろ地元県民には「マンネリ事業」として飽きられると予測していたのだが、いざドイツ館へ行くと、主任さんから今回の我が個展の入場者が何と※5918人もあった事、多くの入場者達からの余の作品への賞賛、そして将来への期待の声を聞かせてもらい、当館に於ける余の芸術活動(個展)が必要不可欠である事も知らせてもらい、来年以降も引き続き個展を当館で開催する要望を承諾した次第である。(外れた思惑・其の壱)
(※昨年の日本国内に於ける我が個展の入場者数の新記録5330人を更新し、此れにて同館に於ける2003年以来続いている我が個展は、今回の9回目で通算29303人の入場者を動員した。
此れを1年に平均すると3226人となり、徳島県の総人口が約78万人で、通算入場者29303人の内約27%(7912人)が同県内から来ているで、此の数で割ると、当県民の約98人に1人が必ず余の個展を見に来てくれている事になる。)

本当を言えば、当館での活動を終了して、現在進行している天台寺院を主題にした芸術活動に専念したいと願っていた。
ただでさえ我が個展がドイツ館の行事の中で最も多く集客出来るらしいので、増して今回も入場者数の新記録を塗り替えた為、当館からの期待が更に高まる状況になってしまい、今後の個展開催の要請をとてもではないが断り切れなかった。(外れた思惑・其の弐)

今年の個展は入場者数5918人と、「芳名録」に書き込まれた124名全員からの賞賛の言葉だけで見れば「大勝利」と言うべき成果であった。
しかし、余の今回の一番の目的は、自分の業績、名声、人気を高めるよりも、我ら天台宗の仏教思想を一人でも多くの人に伝える事であった。
にも拘らず、今回の個展では誠に残念ながら、思想上での期待した程の成果は得られなかった。
余は今回の個展に依って何人もの人々が天台仏教に関心、共感の念を示してくれる事を、大僧正・小林隆彰猊下及び我が菩提寺・成願寺の住職で親友の甘露和尚にも報告申し上げようと願っていたのだが、此の様な結果になり誠に申し訳無き思いである。(外れた思惑・其の三)

余が自分の天賦の才能や超絶技巧に溺れた(自惚れた)作品を描き、天台仏教について自ら書き記した解説文が物足りなかったのも理由かも知れないが、全く凡人共は我が作品の表面上の美しさや精巧さに魅せられるのみで、其れ等の作品に込められている理念、思想、等を殆ど汲み取れていなかった模様である。
真の芸術とは目に見える表面だけで鑑賞するのではなく、目に見えないmetaphyisisch(形至上の)要素も知覚して、初めて正しく本質が理解出来るのである!
正に天台仏教の「三観」(空観:目に見える物の真実を把握する、仮観:目に見えない物の真実を把握する、
中観:前記両方の「観」を融合し兼ねる)の理論の如く也。

此の思いを我が身内に打ち明けると、我が母上は「世の中の人達が貴方と同じ様に高尚な人ばかりだと、貴方の存在価値は薄くなります。多くの人々が貴方の個展を見に来て感動、感謝してくれれば、それだけで世の為、人の為になっているんです。」言ったし、我が親類も「大勢の人達から喜ばれ、期待されるのは、仕事をしていて一番幸せな事よ。だから実秋君の個展はこれからも(ドイツ館で)続けて行くべきよ。」と言ってくれたし、甘露和尚も「たとえ天台仏教が徳島で余り伝わらなくても、真言宗の圧倒的に強い徳島で天台の展覧会を開いて、多くの人達が実秋さんの絵を見たくて来てくれた事 自体が大 成功であり、素直に喜べばいいんです。 又、展覧会に来る人達は実秋さんを「ドイツの画家」として、日本人には描けない作品を描いていると見て、感動、感謝しているんです。」と言ってくれた。
これ等の賞賛、期待、及び励ましを頂き、余はドイツ館に於ける我が個展を今後も続ける事を改めて決心した次第である!
 

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