HIV(エイズ)検査の受け方 -5ページ目

HIV(エイズ)検査の受け方

HIV(エイズ)検査を受けようとする人に、検査の申し込み方法や注意点などを紹介するブログです。

またまたブログの更新が止まったままで大変申し訳ありません。

お詫びのしるし(?)に今日はあなたに最新情報をお届け致します。


昨日、2月7日に発表されたばかりの「2010年エイズ動向報告」から主要数値をご紹介致します。

元ネタはこちらから⇒『エイズ動向委員会報告』


1.HIV感染者/エイズ患者


まずは2010年の新規HIV感染者と新規エイズ患者の件数からご紹介します。


◇新規HIV感染者 (  )内は2009年実績

1,050件  (1,021件)


◇新規エイズ患者 (  )内は2009年実績

453件    (431件)


新規のHIV感染者は過去3位、エイズ患者は過去最多となってしまいました。

すなわち、今でも日本国内においてはエイズ感染は拡大しているということです。

単純に言えば、毎日、毎日、日本のどこかで4人以上がHIVに感染していることになります。

(むろん、表に出てきた数字だけの計算です。実際にはもっと多いはず・・・・)


2.いきなりエイズ


先ほどご紹介したエイズ患者とは、「いきなりエイズ」の発症件数を意味しています。

あなたは「いきなりエイズ」をご存知ですか?


自分がHIVに感染していることに気がつかず、エイズを発症してから気がつくことを言います。

文字通り、「いきなりエイズ」状態です。


エイズ動向委員会から発表される新規エイズ患者とは、過去の新規HIV感染者と重複しない

ようにカウントされます。


例えば、2005年に新規HIV感染者として報告された人が、2010年にエイズを発症しても

新規エイズ患者とは報告されません。2度カウントされることはないのです。

その場合には新規HIV感染者の病変として任意に報告されるだけです。


従って、新規エイズ患者とはHIV感染者を飛び越して「いきなりエイズ」となった患者さんです。


3.怖い「いきなりエイズ」


2010年においては、HIV感染者の約30%が「いきなりエイズ」だったことになります。

今の抗HIV医療においては、エイズ発症前に検査でHIV感染が見つかればエイズの発症を

抑えることが出来るようになりました。(正確には遅らせる)


しかし、「いきなりエイズ」の場合にはすでにエイズを発症しての治療開始となります。

全ての病が早期発見・早期治療が大事であるように、HIV感染もまた早期発見・早期治療が

大事です。


エイズを発症する前から治療に入るのと、エイズを発症してから治療に入るのとでは、

その後の治療経過に大きな差が出ることがあります。


文字通り早期のHIV検査があなたの命を救うことになるかも知れません。


エイズ動向委員会から発表された「2010年エイズ動向」では、この他にどんな感染ルートが

多かったのか、またどんな年齢層でHIV感染が多かったのか、など詳しい情報が報告されて

います。


「もっと知りたい!」


と思われるあなた、申し訳ありませんがこちらからご覧頂けますか。


⇒『HIV(エイズ)検査完全ガイド』


私が必死で作った表やグラフで詳しく説明しています。


こうしたデータが出るたびに言われることですが、先進国でHIV感染者が増加しているのは日本

だけらしいです。


むろん、絶対数は少ないのですが増加傾向に歯止めがかかりません。

医療が進んで、かつてのような致死的疾患ではなくなったせいもあるのでしょうか。


HIVやエイズに対する関心が薄くなっているのかも知れません。

保健所などで行うHIV抗体検査を受ける人も2009年、2010年と2年連続で減少しています。


検査を受ける人が減れば、「いきなりエイズ」が増える可能性が高くなります。


HIV感染が致死的疾患ではなくなったと言っても、危険な感染症であることに間違いなく、いったん

感染すれば今のところ完治する方法はありません。


抗HIV医療が進んだと言っても障害治療となります。

どうぞあなたはHIVに感染しないよう、そして「いきなりエイズ」を発症しないようご注意ください。


何に注意したらいいのか?


そんな疑問のあなたもどうぞこちらから

⇒『HIV(エイズ)検査完全ガイド』












またまたブログの更新をさぼってました。大変申し訳ありません。最低でも週に1回は更新すると

公言したのに、前回更新から何と2ヶ月も経過してしまいました。トホホホ・・・本当にウソついて申し

訳ありませんでした。ちょっと心を入れ替えて更新します。


さて、今回は「HIV感染は年代を選ばない」と言うお話です。あなたはHIV感染、と言うと、どの年代を

イメージしますか?


たいてい、20代や30代をイメージするのではないでしょうか。あるいは最近のセックス事情も考慮

して、10代後半とイメージするかも知れません。


では、実際にどの年代にHIV感染者やエイズ患者が多いのか見てみましょう。

データは2009年の実績です。(エイズ動向委員会資料による)



◆2009年 年代別 新規HIV感染者


10代     2%

20代    30%

30代    42%

40代    15%

50代     8%

60歳以上  4%


◆2009年 年代別 新規エイズ患者

10代     0%

20代     8%

30代    38%

40代    24%

50代    19%

60歳以上 11%


こんな年代別の報告件数となっています。ぱっと見た感じ、新規HIV感染者については、何となく

イメージ通りでしょうか。


でも、エイズ患者については少し意外じゃないですか?50代や60歳以上に意外とエイズ患者が

多いと思いませんか?


それはHIVに感染してからの潜伏期間があるから、どうしても年齢は高くなるだろう、そう思われ

ますか?


今回ご紹介したエイズ動向委員会の資料では、新規エイズ患者というのはHIV感染している

ことが分からずに、「いきなりエイズ」を発症した人の件数です。


例えば、2008年にHIVに感染したことが分かって、2009年にエイズを発症した人のケースを

含みません。あくまでも2009年に「いきなりエイズ」と分かった人の件数です。


そうして見ると、新規エイズ患者における、50代、60歳以上の比率って高いと思いませんか?

つまり、その年代で「いきなりエイズ」と分かる、と言う事は次の事実を物語っています。


50代、60代でも性行為によってHIVに感染し、自分が感染したことに気が付かず検査も受けず、

「いきなりエイズ」を発症する人が全体の30%もいる。


なぜ50代、60歳以上にもエイズ患者が多いのでしょうか。色んな原因がありますが、

一口で言えば


「HIV感染は年代を選ばない」


と言うことです。例えば閉経を迎えた女性であってもHIVには感染します。妊娠の心配がないからと

コンドームなしのセックスを行えばそれだけ感染リスクは高まります。


また、中高年の人がHIV検査を受けることをためらうケースも多いかも知れません。

実際に私もそうでしたし、私の知人もそうでした。50歳以上の中高年はHIV感染やエイズに対する

危機感が薄く、また情報も若い人より少ない。その上、世間体を気にするのです。


そうしたことで、HIV感染の不安を持っていたとしても検査を受けずに、「いきなりエイズ」を発症

することもあります。



前にこのブログでもご紹介しましたが、HIV感染からエイズ発症までの期間がどんどん短く

なっているそうです。以前はエイズの潜伏期間と言えば5年から10年くらいでした。


それが今では2年とか3年になっているのだそうです。「いきなりエイズ」を発症する前にHIV検査で

感染が分かれば、エイズ発症を抑える薬があります。


自分でHIV感染に不安を持つ人は当然ですが、不安はなくても感染の機会を持った人はHIV検査を

受けることをお勧めします。


中高年に限らず、「いきなりエイズ」を発症した人の多くは、


「まさか自分が・・・・」


と絶句されるのだそうです。あなたの身にそんな絶句が訪れないことを願っています。


年代別のエイズ資料をもっと見たい、と思う人はどうぞこちらから。


⇒「HIV(エイズ)検査完全ガイド」


ではまた次回まで。













皆さん、残暑いかがですか?

私は九州在住なのですが、朝晩は少しだけ暑さもマシになってきました。

何より、夜の虫の声がどんどん大きくなってきました。

日中の暑さからは想像出来ませんが、秋は確実に近づいています。


さて、今回は私の体験談をご紹介しようと思います。

HIVと帯状疱疹、全身の発疹についてのお話です。


ちょっと、恥ずかしくてブログネタに出来るような内容ではないのですが、もしかしたら、皆さんの中の

誰かには参考になるかも知れません。


そう思うので、思い切って記事にしてみます。


実は、私は過去にHIV検査を受けたことがあります。

自分で自分のHIV感染を、かなり濃厚に疑っていました。


それは、HIV感染の可能性がある、行為をやってしまったからです。

海外の風俗で遊んだのです。しかも・・・・コンドームなしで。

危ないのは百も承知で、コンドームも用意していたのですが、お酒の勢いで途中、外れてしまって・・・


でも、当時の私は全く、HIV感染を心配していませんでした。

根拠のない自信、無知なるがゆえの勘違いです。


それから数年して、あるブログでHIV急性感染症を知り、がぜん怖くなりました。

あまりにも、HIV急性感染症に似た症状を過去に体験したことを思い出したからです。


HIV急性感染症と言うのは、私たちがHIVに感染すると、数週間後に現れる、風邪などによく

似た症状のことです。


頭痛、発熱、下痢、喉の痛み。倦怠感を感じることもあります。そして、帯状疱疹(たいじょうほうしん)や

全身に発疹が出ることもあります。


実は私は、今書いた症状のほとんどを、2ヶ月の間に発症しました。

発症した当時は、HIV急性感染症なるもの自体を知らなかったので、何も怖くなく、それぞれ

病院で治療を受けて治しました。


でも、数年後にブログを読んで、これはただ事ではないとパニック状態に陥りました。

HIV急性感染症に違いない、HIVに感染していたんだ・・・・そう思い込んでしまいました。


その大きな理由が、帯状疱疹と全身の発疹だったのです。

どちらも生まれて初めての経験、発症であり、風俗で遊んでから数週間の後の発症でした。


帯状疱疹って、どんな症状かご存知ですか?

身体の左か右の、どちらか片側にチクチク刺すように痛みと発疹が出る病気です。

原因はヘルペスウイルスです。


私たちの多くは子供の頃に水ぼうそうにかかります。これは1回かかると、免疫が出来て

再発することはありません。


でも、ヘルペスウイルス自体はまだ体内の神経節と言うところに隠れているのです。

普通に健康な人だと、免疫力の方が強くてウイルスはじっとしています。


ところが、何かの原因で免疫力が低下すると、突然このヘルペスウイルスが暴れ出して

帯状疱疹を発症するのです。


この、免疫力が低下して、と言う原因に、HIV感染が当てはまるのですね。

めったにかかる病気じゃないと思ったので、これはHIV感染の兆候だ・・・・・そう思い込みました。


そして、全身の発疹がありました。

これも、ある日突然です。夕方に、まず腕がかゆくなりました。

それはら足首にうつって、あっという間に首から下、まさに全身が真っ赤になるくらいの発疹です。


自分で自分の姿を見て、目まいがしそうでした。

全く初めてのことで、原因に思いあたるふしがありませんでした。


翌日に病院にいったのですが、その時にはもう発疹は引いていて、原因も分からずじまいでした。

その後、一度も発疹はおきていません。


しかし、生まれて初めて、しかもHIV急性感染症と思われるような症状が連続して出たのです。

何も知らなかったときには、怖くも何ともなかったのですが、HIV急性感染症を知ってしまうと

話は違います。


自分はきっと、HIVに感染している・・・・


その思いはどんどん大きくなりました。HIV検査を受けなくては・・・そう思うのですが、検査結果が

陽性と出たら・・・そう思うと怖くてどうしても保健所に行けませんでした。


それから数ヶ月も悩み、迷った挙句に、ついにHIV検査を受けました。

結果は幸いにも「陰性」でした。


あれほど怪しい症状があった、私でしたが陰性だったのです。

やっぱり、HIVに感染しているかどうかは、検査を受ける以外には絶対に分からないんだと、

改めて思いました。


私とは逆に、何も症状が出なくてもHIVに感染している人もいます。

HIV急性感染症は必ず発症するとは限らないのです。


つまり、どっちにしてもHIV感染は検査を受けてみないと、分からないのです。


もしかしたら、今現在、HIV検査を受けようか、どうしようか迷っている人がいるかも知れません。

あの日の私のように。


結果が怖くて保健所に行けない人の気持ちは、痛いほどよく分かります。

帯状疱疹と全身の発疹を経験して悩んだ私には、怖さが分かるのです。


これは、当事者でないと分からないでしょう。

勇気を出して検査に行った方がいい・・・それは、分かり切った理屈です。

でも、理屈じゃ分かっていても怖いものは怖い。


検査を受けるか、受けないか。

最後に決めるのは、あなた自身です。



今日の記事、もっと詳しく読みたい人はこちらからどうぞ。


⇒HIV(エイズ)検査完全ガイド・ ・・・もっと詳しく当時の模様を記事にしています。




今回は、感染ルート別のHIV感染確率についてお話します。


私もそうでしたが、皆さんが保健所に行ってHIV検査を受けよう、あるいは検査キットを購入しようと思うのは、HIV感染の可能性に心当たりがあるからですよね。


HIV感染の感染ルートは3つです。性行為感染、血液感染、母子感染。中でも性行為感染が圧倒的に多いのですが、丸きり性行為の経験がない人は、当然ですがHIV感染の可能性は限りなくゼロです。


しかし、たった1回でも性行為をした経験のある人は、確率の高い、低いはあってもHIV感染の可能性があります。コンドームを使っていたとしてもです。(当然、コンドームありだと、限りなく感染確率は低い)


一口に性行為感染といっても、相手や行為によってHIV感染の確率はかなり異なります。この辺りは、エイズ動向委員会と言う組織が、長年に渡って調査をしており、かなり蓄積されたデータがあります。


HIV感染者が感染したルートで、最も件数が多いのは男性同士の性的接触です。これは、避妊の必要がないのでコンドームを使わないことがあるのと、アナルセックスを行うことが多いからです。


コンドームを使わないと感染確率が高いのは当然ですね。体液(精液)中にHIVが存在するのですから。

また、アナルセックスの感染確率が高いのは、傷や出血を伴うからです。もともと直腸は性行為で挿入されるような構造になっていないので、傷ついたり出血しやすいのです。


傷口からはHIVが容易に侵入してくるし、出血した血液中にもHIVが存在します。こうした理由で、男性同士の性的接触はHIVの感染確率が高くなっています。


では、その感染確率は実際どのくらいでしょうか。広島に「中四国エイズセンター」と言う、エイズの治療や研究を行う組織があります。ここのホームページには、行為別のHIV感染確率が載っています。


こちらからどうぞ⇒「中四国エイズセンター HIV検査について」


この記事によると、アナルセックスのHIV感染確率は、1%から3%だそうです。この感染確率は、性行為感染の中ではダントツに高い確率です。


例えば、男女間の性行為で、アナルセックスがなければHIVの感染確率は0.1%程度です。オーラルセックスでの感染確率はもっと低くて0.01%から0.1%の間だそうです。


(以上の感染確率はホームページのグラフから私が読みとった数値なので、だいたいの目安です。正確ではありません。正確には元データをご確認下さい)


ただ、これらの感染確率がどんなデータから算出されたものかは分かりません。単純に考えると、確率のお話なので、分母と分子が分からないと計算出来ません。


つまり、それぞれの行為を行った回数と、それによって感染した件数のデータが必要です。私が思うに、それを正確に調べ上げるって不可能だと思います。それも、まとまった量のデータとしては無理でしょう。


従って、ある範囲でサンプリング、及び推計で計算しているのではないでしょうか。それゆえ、専門書や公的医療機関のサイトなどで目にする感染確率は、かなりバラツキがあります。


最後に一言。

どんなにHIV感染確率が低くても、それはHIV感染の安全性を意味するものではありません。感染確率が低い行為でも、たった1回で感染するときは感染します。


後で後悔しないように、ご用心されてください。


今回はHIVの感染確率のお話でした。もっと詳しく知りたい人はこちらからどうぞ。


⇒HIV(エイズ)検査完全ガイド









日本でどのくらいHIVに感染する人がいて、どのくらいエイズを発症している人がいるかを調べて報告しているのが「エイズ動向委員会」 です。


この委員会では、保健所でHIV抗体検査を受ける件数も調査しています。その調査結果によると、最近は保健所での検査件数が減少傾向にあるそうです。


エイズ動向委員会のデータを私がグラフにしてみました。下のグラフをご覧下さい。

ここ3年間のHIV検査件数を、1月から6月までの上期で比較してみました。


HIV(エイズ)検査の受け方-保健所

(グラフ1)保健所等におけるHIV抗体検査件数


グラフを見れば、一目瞭然ですね。2008年からどんどん件数が減少しています。

2009年は2008年に対して15%減りました。

その2009年に対して、今年上半期は26%の減少です。いったい、どこまで減少するのやら。


2009年にHIV検査を受ける人が減ったのは、新型インフルエンザの影響だと言われました。

確かに、あの騒動の中では、保険所に行ってHIV検査を受けるのはちょっと、ためらいますね。

ただでさえ、人の集まる場所はインフルエンザをうつされそうだし、根拠はないけど保健所は更に危ない感じ。


また、保健所の方も新型インフルエンザの予防に追われてHIV検査まで手が回らなかった面もあったようです。

しかし、今年に入ってからは、どうでしょうか。

皆さんの周りで新型インフルエンザの影響を何か感じますか?

私はあまり感じません。


保健所でのHIV検査件数が減っているのは、社内全体としてHIV、エイズに対する関心が低くなっているのではないでしょうか。


「私には関係のない、どこか遠いところのお話・・・・」


みたいな感覚がないでしょうか。だけど、HIVは、いつ、どこで、誰が感染しても不思議ではないのです。

根拠のない自信、大いなる勘違い、それって怖い。


エイズ研究で有名な本田美和子医師も言われています。


「私の診たエイズ患者さんのほとんどは、まさか自分が・・・思ってもみなかった、そう言われます」


HIV感染が分かったり、いきなりエイズを発症して、初めてわが身が当事者であったことを知ります。

いくら医療が進歩しても、いまだにHIVに感染すると完治出来ないことには変わりありません。


予防に勝る治療なし。早期発見、早期治療。どうぞ、少しでも不安や心当たりがあれば、HIV検査を受けることをお勧め致します。


8月24日に「エイズ動向委員会」から2009年のエイズ動向の詳細が発表になりました。詳しくご覧になりたい人がいれば、どうぞこちらから⇒「HIV(エイズ)検査完全ガイド

「HIV感染者・エイズ患者の現状」 と言うページで詳しくお伝えしています。2009年にHIVに感染した人は、どんな感染ルートだったのか、またどんな年齢層に多かったのか、などのデータがご覧頂けます。


さて、夏休み特別シリーズ、HIV・エイズの歴史を語るも最終回、その4です。今回はエイズ治療の歴史をふり返ります。


本題に入る前に、前回の「エイズパニック」の記事の中に、一部事実誤認があり、お詫びと訂正をさせて頂きました。非常に重要な部分でのミスであり、大変申し訳ありませんでした。お詫び致します。


さて、エイズ治療の歴史ですが、これを語るには1つのグラフを見て頂くのが一番分かり易いでしょう。


HIV(エイズ)検査の受け方-7


このグラフは、1988年から2008年までの20年間に、エイズ患者で病変して亡くなった患者の人数をグラフ化したものです。(エイズ動向委員会報告による)


ただし、各医療機関からの任意の報告による集計のため、エイズで亡くなった方が全員カウントされている訳ではありません。また、エイズ患者で、エイズ以外の原因で亡くなってもカウントされています。

以上の2点から、正確さには欠けるのですが、大まかな傾向は見てとれます。


エイズ治療における大きな分岐点は1996年から1997年頃でした。それまでは、HIVに感染すると5年から10年の潜伏期間を経てエイズを発症し、発症後2年ほどで死に至ると言う、致死的な疾患でした。


従って、1997年までは、HIV検査で陽性となった人への告知は、ある意味死の宣言に近いものがありました。当時の保健所などで使用していた告知マニュアルを見ると、その緊迫感が伝わってきます。


1993年に厚生省が作成した、医療関係者向けの「エイズ相談マニュアル」には告知の仕方をマニュアル化しています。その中には、次のように書かれています。


「近い将来(半数が10年以内)エイズとして発病し、死に至る可能性が高いことを告知する」


この告知を患者が受け入れるよう、HIV感染、エイズ発症の仕組みを詳しく説明せよとあります。しかし、どんな説明を受けたとしても、たやすく告知内容を受けいれることは出来なかったのではないでしょうか。それはほとんど、死の宣告に等しかったのですから。


ところが、1997年を境に状況は一変します。HAARTと呼ばれる、多剤併用法が確立され、3種類の薬を同時に服用することによって体内のHIVをコントロール出来るようになったのです。つまり、HIVに感染してもエイズ発症を防ぐことが出来るようになりました。


ちなみに、2009年にエイズが原因で亡くなったと病変報告された人数は6名でした。(ただし任意報告のため、実際の死亡数合計は不明)

このように抗HIV治療の進歩によって、HIV感染は死に直結するものではなくなりました。早期発見により早期治療が開始出来れば、それまでと変わらない普通の生活が出来るようになったのです。


これをもって、エイズは死の病から慢性疾患に近い病になった、と表現している記事さえ見かけるようになりました。ただし、薬の服用はかなりシビアであり、ひと月に3回から4回の飲み忘れがあっただけで薬が効かなくなる恐れがあるのです。


これは、HIVが非常に変異しやすいウイルスであるため、常に血液中の薬の濃度をある基準以上に保っておかないと、その薬に対して耐性をもつウイルスへと変異してしまうからです。


しかし、仕事や学校に行きながらの服用であれば、絶対に飲み忘れがないようにすることは非常に困難でもあります。その困難さを乗り越えて、治療を続けなくてはなりません。


むろん、副作用の問題もあります。一般には、コルステロール値が上がる、肝機能障害が出る、手足がしびれる、痩せてしまう、うつ状態になる、などの症状が見られるそうです。ただ、個人差が大きくあるようです。


以上、エイズ治療の歴史についてお話しました。1997年を境にして、その前と後ではまるで治療法が変わり、その効果も決定的に差がありました。


今やエイズは、早期発見、早期治療が出来れば死の病気ではなくなったと言えます。


今回のお話も、もっと詳しく知りたい、とご希望の人は、ぜひこちらから⇒「HIV(エイズ)検査完全ガイド



以上、4回に渡って夏休み特集、「HIV・エイズの歴史を語る」と題して、「エイズを初めて知る」、「薬害エイズ事件」、「エイズパニック」、「エイズ治療」、この4つをお届け致しました。


最近はHIV検査を受ける人の数も減少しており、社会全体がHIVやエイズに対して関心が薄れてきているのではないかと言われています。


エイズが死の病でなくなったことも、関心を薄れさせる一因となっているかも知れません。しかし、いまだに完治することのない病であり、いったん感染すれば身体の中のHIVを完全に駆逐することは不可能なのです。


だとすれば、やはり予防に勝る治療なし、HIV感染には十分な予防対策が必要だと言うことです。








訂正とお詫び


本記事の中に事実誤認があり、お詫びして訂正致します。神戸で起きたエイズパニックの記事で、亡くなったエイズ患者の女性が、「風俗店で働いており、マスコミがその店をつきとめ女性のお客探しを行った」と記事に書きましたが、これは事実ではありません。


確かに女性が売春行為を行ったとして、マスコミはお客探しを行ったのですが、風俗店で働いていたとか、マスコミがお店を見つけたと言う事実はなく、私の誤認でした。


更に、最も重要な点を書き損じていました。この女性が亡くなったあと、ご遺族が一連の報道に対して名誉棄損で裁判を起こし、判決では売春行為そのものがなかったと認定されている点です。


以上、お詫びして記事を訂正致します。


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前回の「薬害エイズ事件」に興味を持って頂いた人がけっこう多くて、沢山のアクセスを頂きました。

つたない文章を読んで頂いてありがとうございます。


では、今回はその3として、「エイズパニック」をお届け致します。今から約25年前、いったい日本中でどんなことが起きていたのか、お話します。


そのパニックは、松本⇒神戸⇒高知と連続して起きました。



1.松本事件

1985年(昭和60年)、日本で初めてエイズ患者が報告されます。それまでは海の向こうのお話と思っていた私は、ついに来たか、そう思いました。遅かれ早かれ、時間の問題とは思っていたけど、ついにその時が来た、そう思ったのです。


そして、翌1986年(昭和61年)、パニックは突然起こりました。長野県松本市で働いていたフィリピン女性が、フィリピンに帰国後、HIVに感染していたことが判明しました。


しかも、そのフィリピン女性が、松本市でお客を取って売春行為をしていたことが分かります。すると、マスコミ各社が大勢松本に押し掛け、フィリピン女性の名前や写真を報道しました。そして、女性が働いていたお店をつきとめると、彼女のお客探しを始めます。


そして、お客だったと噂された男性は、付近住民から村八分にされる差別と偏見を受けるハメになったのです。また、この当時、松本市内では海外から働きにきている女性は皆、HIV感染者であるかのごとく扱われ、飲食店、スーパー、銭湯などの入場を断られるようになりました。


更には松本市内在住と言うだけで、他県のホテルや旅館の宿泊を断られてしまう騒ぎまで起きます。今からは到底信じられない騒ぎですが、当時のHIV、エイズに対する知識や理解度は極めて低く、情報も不足していました。まるでHIV感染はインフルエンザと同じような扱いだったのです。



2.神戸事件


そして、松本でパニックが起きた翌年、1987年(昭和62年)には、神戸でパニックが起きます。

この年、日本人女性初のエイズ患者が報告されたと、厚生省が発表しました。その女性患者は発表の後に亡くなるのですが、松本の時と同様、マスコミが大挙して神戸に押し寄せました。当時の記録では、亡くなった女性の葬儀にまでカメラが入ったとあります。


そして、日本人女性初のエイズ患者の実名、顔写真を報道したのです。更にその女性が多くの男性客をとって売春行為を行っていたと報道され大騒ぎとなります。松本の時と同様、相手の男性客探しが始まりました。このとき、不安になった男性たちがHIV抗体検査に大挙して駆け込んだそうです。


しかし、後に亡くなった女性患者のご遺族が一連の報道に対して名誉棄損の裁判を起こし、判決では女性に売春行為の事実はなかったとされました。まさに個人のプライバシーや人権など、差別と偏見の中で消し飛んでいたのです。


当時の新聞やテレビの扱いは、エイズの恐怖をあおるばかりで、しかもエイズ患者の二極化を生みました。つまり、血友病患者は輸入の非加熱製剤でHIV感染した被害者であり、風俗でHIV感染したのは自業自得と言わんばかりの扱いだったのです。もっと言えば、感染を広める加害者扱いでした。


これも信じられない話ですが、当時は医療機関さえもHIV感染者、エイズ患者に対して偏見と差別を持つ所が多くあり、患者の受け入れを拒否する病院があったのです。



3.高知事件


神戸でパニックが起きたのが87年の1月でしたが、翌月の2月、今度は四国は高知で騒ぎが起きます。

HIVに感染した女性が妊娠している、と言うニュースが週刊誌で報道されます。当時は、HIVとエイズの区別もなく、多くはエイズと言う表現のみが使われていました。エイズウイルス、エイズに感染する、といった具合です。


松本、神戸と同様、マスコミが今度は高知に集まりました。例によって、患者の名前や写真を手に入れようとします。しかし、今回は前2件とは違って、最後まで患者のプライバシーは守られました。過去の行きすぎた報道から、学んだのだと思います。


そして、赤ちゃんは母子感染することなく、無事に産まれました。ただ、この母親がHIV感染した相手は、血友病患者であり、非加熱製剤の犠牲者でした。血友病患者は全てHIV感染者のごとく扱われ、二重の意味で犠牲となったのです。


この一連のパニック騒動の最中、マスコミの主張は二次感染を防ぐため、HIV感染者、エイズ患者のプライバシー侵害は止む無し、と言うものだったようです。ワイドショーや週刊誌はこぞって特集を組んでいました。


しかし、考えてみると、こうして作りだされたパニックによって、二次感染が防げるはずがありません。差別と偏見を生み出しただけです。


今考えてみると、当時のエイズパニックの背景には、1つの事実と1つの誤解があったのではないでしょうか。

1つの事実、それは、当時エイズは死の病気でした。今のような治療法は確立されておらず、HIVに感染すると5年から10年の間にエイズを発症し、その後2年くらいで死に至る病気でした。


当時、テレビで放送されるエイズ患者は、アメリカの末期患者で、かなり映像的には悲惨な印象でした。エイズ自体をよく知らないときに、繰り返しその映像を見せられた私は、エイズに対する恐怖心ばかりが大きくなっていったのを覚えています。


1つの誤解、それはHIVの感染ルートです。HIV感染者を医療機関までが受け入れを拒んだのは、HIV感染を恐れたからに他なりません。学校、ホテル、飲食店、銭湯、病院までもがHIV感染者を差別扱いしました。


まるでインフルエンザと同じ、空気感染すると思っていたかのような扱いです。実際には、普通の生活する分にはHIV感染者との共同生活で感染することはありません。


以上のような1つの事実と、1つの誤解がマスコミによって煽られ、エイズパニックとして広まったように思います。


現在では、むろんこんなエイズパニックは起きません。しかし、差別や偏見が全くないとは言えません。記憶に新しいところでは、今年の4月、愛知県の大手病院でHIV検査で陽性になった看護師に対して、病院側が退職勧奨していたことが分かりました。


専門家ばかりの医療現場でのこの差別です。本質は25年前と何も変わっていないではないかと思ってしまいます。


以上が、今から25年ほど前に日本で起きた「エイズパニック」でした。

では、次回は抗HIV治療の変遷をお話したいと思います。


例によって、すぐに先を知りたい、もっと詳しく知りたい、と言う人はこちらからどうぞ。


⇒「HIV(エイズ)検査完全ガイド」





このブログはHIV(エイズ)検査の受け方をご案内することを主な目的としています。

ただ、ここ数回は夏休み特集として、「HIV・エイズの歴史を語る」シリーズをお送りしています。


今回はその2として「薬害エイズ事件」をお届け致します。


1.被害者である血友病患者


アメリカで初めてエイズ患者が見つかって騒がれ始めた1981年から4年が過ぎた1985年、日本でも2名のエイズ患者が死亡し、その感染源が輸入血液製剤ではないかと報道されました。


これが後に「薬害エイズ事件」と言われた事件の始まりでした。


皆さんは「血友病」と言う病気をご存知でしょうか。薬害エイズ事件の犠牲者となったのは、この血友病の患者さんたちだったのです。


血友病とは、一言で言うと出血した血が止まらない病気です。私たちが怪我をして出血しても、自然と血が止まるのは、血液凝固因子と言う因子が働くからです。しかし、血友病の患者さんたちは、生まれつきこの凝固因子が欠乏していたり、異常があったりして血が止まらないのです。


この病気を根本的に完治させる治療法はなく、不足している凝固因子を注射によって補うことしか出来ません。

そして、1978年に非加熱製剤が登場するまで、血友病の患者さんたちの平均寿命は20歳を下回り、また日常生活も非常に厳しいものでした。


この病気の対処療法として、最初は輸血をしていました。しかし、患者さんたちに足りないのは血液全てではなく、凝固因子だけなのです。当然、不足している凝固因子を補おうとすれば、余分な成分まで多く補充してしまいます。この弊害があったのです。


次にクリオ製剤が登場します。クリオ製剤は血友病患者に必要な凝固因子を血液から濃縮したものでした。従って、それまでのように、単に血液を輸血するよりはずっと効率よく凝固因子を補充することが出来るようになりました。


ただ、それでも余分な成分が完全に除去出来た訳ではなく、限界がありました。そして、1970年代に登場したのが、非加熱製剤です。これは、凝固因子だけを精製し、しかも普通の血液よりも凝固因子を濃縮したものでした。


この非加熱製剤は、血友病患者には大変な希望の光をもたらしました。クリオ製剤は点滴であり、病院に行くしかなかったのですが、非加熱製剤は自宅で自分で注射することが認められたのです。つまり、出血と同時にすぐ凝固因子を補充出来るようになりました。血友病患者さんも普通に生活出来るまでになったのです。


ただ、そこまで濃縮するために、精製過程において、凝固因子をムダに捨ててしまうことが避けられず、大量の血液をその材料として必要としました。つまり、多くの人の血液が混じって作らていたのです。


そして、HIVに汚染された血液もその中に混じり、血友病患者はHIVに感染していくのです。当時、HIVに感染した血友病患者は1400人あまり、亡くなった患者は500人を超えたと言われています。画期的な利便性の裏で、致命的なリスクを背負っていたのです。


のちに非加熱製剤に代わって加熱製剤が登場し、HIV感染の危険はなくなります。


どうして、こんな悲惨な事態になってしまったのでしょうか。この原因をめぐって「薬害エイズ事件」は裁判で争われることになるのです。


2.薬害エイズ「3つのルート」


この悲惨な状況をまねいた原因、責任の追及先として3つのルートがありました。


①帝京大ルート

帝京大 安部医師が業務上過失致死罪で起訴されます(1996年)。非加熱製剤の危険性を知りながら、現場の医師が非加熱製剤を使用するのを止めなかった過失が問われました。

当時、安部医師は血友病治療の最高権威であり、多くの血友病専門医を指導する立場にありました。更には国が編成した「エイズ研究班」の班長でもあったのです。

そういった立場にいながら、危険な非加熱製剤の使用と止めなかったとして過失が問われたのです。


②厚生省ルート

厚生省生物製剤課長、松村明仁氏が業務上過失致死罪で起訴されます(1996年)。厚生官僚の「不作為」が責任追及された裁判として注目されました。非加熱製剤がHIV感染の可能性があると知りながら、かつ安全性の高い加熱製剤が使用出来る状態にあるのに、製薬会社に対して非加熱製剤の回収、承認取り消しなどの指示・命令を出さなかった「不作為」が問われました。


③ミドリ十字ルート

ミドリ十字と言う製薬会社の歴代社長3人が業務上過失致死罪に問われました(1996年)。

1986年、HIV感染の恐れのない加熱製剤が認可された後も、HIVに汚染された非加熱製剤の回収指示を出さず、結果HIV感染者を生み、死亡させた過失を問われました。


以上が「薬害エイズ事件」の3ルートです。3ルートが起訴された1996年、テレビ、新聞などのメディアは連日大きくこの事件を取り上げました。テレビのワイドショーでも連日の放送だったのを記憶しています。


特に、帝京大の安部医師については、そのキャラもあって極悪非道な医師、と言う扱われ方でした。しかし、安部被告には2001年、一審無罪の判決が出ます。検察は即日控訴をします。


結局、この帝京大ルートは、安部医師が公判中の2005年に死亡し、公訴棄却となります。

厚生省ルートは2008年に最高裁で有罪が決定します。(一部は無罪確定)

ミドリ十字ルートについては、2005年に実刑が確定します。(被告1名は2001年に病死)


結局、「薬害エイズ事件」とは、当時の医学水準で非加熱製剤がHIV感染の原因として危険と知り得たかどうか、これが争われました。


つまり、3ルートともに起訴された罪名は、「業務上過失致死罪」なのです。と言うことは、当然配慮すべき注意を怠る重大な過失を犯したかどうかが問題となります。


安部医師ら被告側は、当時の医学では非加熱製剤の危険性を知るものはおらず、止む得ない対応であったと主張しました。当時の学界の記録、論文、世界的なHIV権威者の証言などが証拠として使われました。


一方、検察側もまた、当時の医学レベルではHIV感染の危険を当然知り得たとして主張しました。この両者の主張については、当時の事情、背景を詳しく解説した書物が出版されています。


「薬害エイズ事件の真実」

編者:武藤 春光、弘中 惇一郎    現代人文社(2008年)  ¥2,000+税


安部医師の完全無罪、検察とマスコミのでっちあげを主張する一冊です。かなり突っ込んだ論拠をはって、説得力のある内容になっています。ただし、編者が当時の安部医師の弁護団のメンバーであり、私の正直な感想として、完全に安部医師無罪を納得するまでには至りませんでした。


『薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?』

筆者:櫻井よしこ他   中央公論新社(2001年)   ¥700+税


まさに「薬害エイズ事件の真実」とは対極にある一冊です。安部医師の一審無罪を受けて出版された本です。この本もあらゆる角度から「薬害エイズ事件」の責任追及に切り込み、説得力のある一冊となっています。



結局、この2冊を読んでみても、医学的にも法律的にも素人の私には決定的な結論は出せませんでした。

ただ、結果として血友病患者の多くに感染者、死亡者を出したことは紛れもない事実であり、言われのない差別と偏見を受けたこともまた事実です。



薬害エイズ事件では、感染した血友病患者自身も裁判を起こし、今までに1,380人あまりが和解に至っています。しかし、今なお3名の患者は和解に至らず、過去の事件ではなく今も闘っているのです。



以上が「薬害エイズ事件」です。少しは当時のことをお分かり頂けたでしょうか。

では、次回はシリーズその3として、「エイズパニック」をお届けしたいと思います。











今日から数回に渡って、夏休み特集、『HIV・エイズの歴史を語る』をお届け致します。


日本に初めてエイズのニュースが登場したのは、たぶん1982年ごろです。今から28年前ですね。

当時小学校の高学年だった人は、現在30代後半になっています。つまり、現在そのくらいの年齢以上の人はエイズが登場した当時を覚えていると思います。


しかし、20代までの人は完全にリアルタイムではご存知ないでしょう。その後に書物やネット上の記事ではご覧になっているかも知れませんが。


そこで、この夏休み特集として、1980年代にエイズが登場してから日本で起きた、エイズパニックや、薬害エイズ事件、エイズ治療の変遷など、HIV・エイズの歴史を振り返ってみたいと思います。


初回の今日は、「エイズを初めて知る」です。


エイズが世に知られたときは、ちょっと異常でした。1981年、アメリカでカポジ肉腫カリニ肺炎の患者が何人か見つかります。患者は男性の同性愛者に多く、しかも免疫不全に陥っていました。しかし、なぜ免疫不全に陥っていたのかは不明でした。


翌1982年には薬物常用者の間でもこの原因不明の免疫不全患者は広がりを見せます。そしてこの免疫不全の症候群を「エイズ」と命名したのです。ちなみに、名前をエイズとつけたのはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)でした。


しかし、この時点でもなお、エイズの病原体は解明されていませんでした。1984年になって、ついに原因がHIVであることが解明され、同時に感染しているかどうかを検査する方法も確立されたのです。


この当時、日本のメディアの伝え方は、およそワンパターンだったと記憶しています。エイズ患者は男性の同性愛者か、薬物常用者に限定されている、といった内容です。それ以外の人々にとっては、自分の身近に迫る病気だと思っていませんでした。


ただ、毎回テレビに映し出されるエイズ患者の映像は、とても悲惨なものでした。カポジ肉腫やカリニ肺炎の末期の患者が映し出されていたのです。


各メディアは、発症すれば治療の方法がなく、確実に死に至る恐怖の病気だと伝えました。しかも、患者が同性愛者や薬物常用者に限定されていると言う報道です。これが、HIV感染者、エイズ患者に対する偏見と差別を生みました。


1986年、87年に日本で起きたエイズパニックは、まさに偏見と差別の象徴のような出来事だったのです。

確かに、まだHIVやエイズに対する正しい知識や情報が少なかった、と言うこともあります。


今なら常識中の常識のようなことでも、当時は知らなかったのです。とにかく、エイズは怖い病気で、患者に近づくとそれだけで危ない、みたいなとんでもない誤解を多くの人がしていました。


最初は男性の同性愛者や薬物常用者の間で流行している特別な病気、しかも海の向こうのアメリカの話、と全く他人事のように思っていた日本人。むろん、私もその一人です。


しかし、ついに1985年、日本でも初のエイズ患者が見つかります。しかも、その感染ルートは性行為で誰にでも感染することが知られていきます。


ここからエイズの歴史に残る「エイズパニック」が起きるのです。

では、この続きは次回と言うことで・・・


いや、そんな小出しにするな!と言う人には、一気公開こちらから⇒「HIV(エイズ)検査完全ガイド」

ここにHIVやエイズの歴史にまつわる記事があります。


では皆さん、猛暑のおり、くれぐれも体調にはご用心されてください。お盆の帰省の人、ご苦労様です。





今年の3月以来の更新です。はぁ・・・なんと、5か月ぶりです!

でも、久しぶりに、アメブロのマイページを訪れてちょっと感激しました。

この5ヶ月間、ほったらかしだったのに、なんと毎日何人かのアクセスが続いているのです。


こりゃもう、私的には本当に予想外、びっくりしました。

ほったらかしのブログにもかかわらず、アクセスして読んでくれた人、本当にありがとうございます。

少し、心入れ替えて更新します。


とは言え、出来ないことはお約束しても・・・と、言うことで最低でも1週間に1回は絶対に更新します。


では、さっそく、HIVやエイズの情報を皆さんにお届けすることにしましょう!


再開の1回目は、とても気になる情報です。


HIVの潜伏期間が短くなっている!?


ほとんどの人がご存知だと思うのですが、私たちがHIVに感染すると、何も治療しなければ、だいたい

5年から10年くらいの潜伏期間を経て、エイズを発症します。

この間、感染した本人にはほとんど自覚症状はありません。エイズを発症するまで、気が付かない

ままです。だから、心配や不安があれば、保健所で検査を受けることが大事ですね。


ところが、この5年から10年と言われていた潜伏期間が、どんどん短くなっているのだそうです。


ニュースソースはこちら⇒「日経メディカル オンライン」


無料の読者登録が必要です。ログインして「性感染症」のページをご覧頂くと、

「短くなったエイズ発症までの猶予期間」と言う記事があります。



その内容を、ここで簡単にご紹介しましょう。


国際医療研究センター戸山病院エイズ治療・研究開発センター長の岡氏によると、1988年当時、

HIVに感染した人で、感染後3年以内に抗HIV治療を開始する必要があった人は、ほぼ2人に1人の割合

だったそうです。


それが、2007年には、10人中8人以上は治療開始が必要になっているのだそうです。

ちょっと、分かりにくいので補足説明をします。


私たちがHIVに感染したことが分かっても、すぐに薬を飲んだり入院したりなどの治療はしません。

私たちの免疫力を検査して、いろんな感染症にかかる心配がなければ、何も治療せずに普通に

生活できます。


でも、段々と免疫力が低下してくると、そのまま放置すればエイズ指標疾患と呼ばれてる感染症に

かかります。そのため、免疫力を回復させるための治療を開始します。


このとき、免疫力の目安になるのが、CD4と言う値です。普通、健康な人はだいたい、700から

1300くらいの値です。


それが、HIVに感染して、免疫力が低下するとCD4の値はどんどん下がります。

この値が350から200くらいまで下がると、危険レベルなので薬で治療を開始する訳です。


先ほどのセンターでは、350と言う値を目安にしているそうです。

つまり、HIVに感染して、CD4の値が350を下回るまでの時間が短くなってきているという

お話です。


350を下回って、治療を開始しなければエイズを発症しますから、つまりはエイズ発症までの

潜伏期間も短くなっていると言うことになります。


では、どうしてエイズ発症までの潜伏期間が短かくなってきたのでしょうか。

同記事によると、エイズ自身が、人間の免疫機能から逃れるような変異をしているのだそうです。


HIVに限らず、いろんなウイルス、細菌などが私たちの体内に侵入すると、免疫機能が働いて

外部からの侵入者を攻撃します。そのおかげて、私たちは健康でいられるのです。


このとき、体内の免疫細胞は、どれが敵で、それが味方なのかを目印を見て判断します。

味方の細胞まで破壊しては大変ですからね。


ところが、今までHIVを見分けていた目印が、HIVの変異によって見つけられなくなって

しまったのだそうです。そのため、免疫細胞はHIVを攻撃することが出来ず、HIVが体内で

コピーを作る速度が速まった、と言う訳です。


ちょっと、話を分かり易くするのに正確さを欠いているかも知れませんが、記事を要約すると

だいたい、そんなところです。


細かい専門用語の解釈はともかく、HIVに感染してからエイズ発症までの期間が短かくなると

すれば、いったいどんなことが起きるでしょうか。


今まで以上に、「いきなりエイズ」が出てくる可能性が高くなります。

HIV感染は早期発見、早期治療でエイズ発症を抑えることが出来ます。


どうぞ、少しでも不安や心配があれば、検査を受けて下さい。


なお、本日の情報をもっと詳しく知りたい方は、こちらからどうぞ⇒「HIV(エイズ)検査完全ガイド」

HIV・エイズ関連コラム(基礎情報)の中に詳細記事があります。


では、皆さん。全国的に猛暑が続いていますが、体調にはくれぐれもご注意ください。

ちなみに、私は今朝、5時半起きで庭の草刈りをして、死にそうでした。


では、また次回。