明けましておめでとうございます。

本年も宜しくお願いします。

さて、昨年の最後は「肥薩線と宮崎新幹線」で終わりましたが、その時に紹介した、

熊本県の復興方針案

について書かれた文書を読み、既に当ブログで提案したことを参考にしながら質問や追加提案をして行きます。

1. 球磨川の自然を眺めながら食事などを楽しめる観光施設の整備

人吉市内に、球磨川くだりの拠点としてHASSENBA(旧名・発船場)があるのですが、同様の施設を他にも設けようとのことです。

具体的な場所は決まっていないのかもしれませんが、肥薩線の八代~人吉間で

清流球磨川の雄大な自然を眺めながら食事や買物、観光体験などができる

ということなら、球磨村が最適で復興支援にもなりますが、本件は項5で改めて書きます。


2. 人吉駅前に鉄道ミュージアム「MOZOCAステーション868」を中核とした地域の観光拠点を整備し、肥薩線と連携した旅行商品を組成

鉄道関連の施設を作ることは賛成で、当ブログの案を

SL人吉を始め、近隣で展示されている車両も集めて「SL博物館」が作り、2015年に設立された(現在は無料の)人吉鉄道ミュージアムmozocaステーションと合体

ココで書きましたが、人吉駅構内での移動ルートの整備も含めて検討願います。

3. 音楽祭・芸術祭等のイベントを開催し、肥薩線と連携した旅行商品を組成

先行事例として【人吉球磨のひなまつり】を挙げ、これら等の

従来のイベントを拡大

を計画しておられるようですが、その従来イベントの現状をシッカリ分析する必要があります。

また、「別府アルゲリッチ音楽祭」のようなインパクトがあるイベントは簡単ではないでしょうから、例えば、

  • 音楽祭:地元出身の演奏家のミニコンサートを一定期間に集中させる
  • 芸術祭:人吉球磨をテーマにした作品を描いてくれる芸大生を招待する

のようなことを今から始めたらどうでしょう。

4. 引退するSL人吉に代わる観光列車を導入

東武鉄道が復活させた【SL大樹】を先行事例として挙げていますが、ココで書いたように、SL人吉が引退せざる負えないのはメンテナンスの問題であるからで、当ブログの考えを繰り返すようですが、

「のんびりした列車の旅」から「快適な列車の旅」への転換を目指す

為の「観光列車を導入」でなければなりません。

但し、土日主体の観光だけでは収益化が難しいでしょうから、人吉~八代~新八代~熊本(~阿蘇くまもと空港)を結ぶ「くまがわライナー(くまもとライナー)」の機能を兼ね備える必要が有ることはココで説明しています。

また、その初期投資、つまり車両製造の費用負担(?)を熊本県が引き受けるようなので、

  • 転換クロスシートor近鉄LC(ロングシート・クロスシート)の採用
  • パノラマ機能を有すること ※参考「えちごトキめきリゾート雪月花
  • くまがわ鉄道の車両のように内装に凝る必要はない ※参考

の三つを設計の要望に盛り込みましょう。

5. 肥薩線と球磨川を一望するビュースポットの整備

先行事例として【只見線】を挙げておられますし、

肥薩線と球磨川を一望するビュースポット

に相当する場所があるとするなら、項1で書いたように球磨村でしょう。

ただ、駅からのアクセスを検討する必要がありますし、周遊を考えると球泉洞とパッケージにするのも一案ですが、初期投資と運営が市町村となっているので、熊本県の支援の元で球磨村が主体的に動いていただくことになるのでしょう。

6. 歩いて周遊できる魅力的な観光街区の整備(人吉駅前など)

人吉駅前に限らず人吉球磨全体に言えることなのですが、観光スポット間の周遊性が欠けていますし、駅前も閉店したままの土産物屋や観光と関係が無さそうな建物・施設などを含めて土地利用の全体を見直す必要があります。

また、

従来自家用車で通過していた観光客に対し鉄道を利用した下車観光へと誘導

を目標とするのなら、肥薩線再開を待つのではなく、以前にココでも書いたように、駅前に駐車場を複数個所用意して、自家用車で人吉球磨に来る観光客をお迎えすることでパークアンドライド成らぬパークアンドウォークを今から始めましょう。

7. 多様なニーズに応えた宿泊施設の整備・拡張

説明から、

  • インバウンド観光客や教育旅行客の誘致も見据えた、団体向けの宿泊施設を整備・拡張
  • 富裕層向けの高級宿泊施設の整備・拡張等

の二つを狙っているようなのですが何れがメインなのかが分かりませんし、後者は外部資本を誘致するということなのでしょうか?

また、教育旅行客は当ブログも賛成なのでココで案を出していますが、現在ある宿泊施設の閑散期に修学旅行で埋めるような施策から始められる筈ですし、観光庁の資料に於いて、

団体旅行(パッケージツアー)から個人旅行(FIT)への移行 

となっているのに、今更、団体客を狙うのはトレンドに逆行していないのでしょうか?

8. 駅に地域住民と観光客が集い・交流できる場の整備

駅前に人を集めるには足が必要なので、項6で書いたような駐車場を今から整備すれば、観光の起点になります。そして何れ肥薩線が再開したら、来る手段を鉄道に変えて貰えば良いだけで、どんな街でも、Hubとなる場所が必要なのです。

また、ココでも提案していますが、人吉温泉観光協会を「人吉球磨観光協会」に変更して、人吉球磨全体の旅行案内の機能を強化しましょう。

9. 日本遺産など特徴的な自然・文化資源を活かした景観・環境の整備(青井阿蘇神社、球泉洞周辺など)

自然遺産・文化遺産と調和した景観・環境を整備すること

とのことですが、今までできなかったのは、

立地適正化計画等への適切な反映を行う

ことをしてこなかったからなのであれば、その理由の確認から始めましょう。

また、駅前だけでなく九日町界隈の土地利用や人吉市の景観条例の見直しもお願いします。

10. 自然を活かした観光地のPR活動(球磨川沿いのキャンプ場、渓流ヴィラITSUKI、遙拝八の字広場、御立岬公園など)

説明にある

関係地域一体となったPR活動(Webサイトの構築、広告出稿等)

に対しては賛成ですが、誰が/どこの組織が主体となるのかを明確にする必要が有ります。

また、熊本県出身のヒロシさんが出演しておられる

を拡大して、球磨川沿いのキャンプ場を巡って貰った動画を配信すれば、潜在顧客の開拓に繋がります。

11. 湯前まんが美術館・ブルートレインたらぎなどの文化施設・産業遺産のPR活動

個別の観光スポットのPRは大事なことですが、今までの活動を見直すことから始めましょう。肥薩線の再開は、熊本県の要望通リになったとしても10年先なわけで、当面は自家用車or高速バスで来る観光客を多く引き込むことが目標です。

12. 社会科見学・修学旅行等の教育旅行誘致

項7で書いたことと重複しますが、当ブログでは、ココココで、

  • 鉄道型修学旅行
  • 災害復旧見学型修学旅行
  • 震災・防災学習型の修学旅行

を提案していますので、是非、ご一読下さい。

また、当面は、観光バスを使った旅行提案になるのでしょうが、くまがわ鉄道と肥薩線が再開の後は、人吉球磨内での足を鉄道に置き換えればよいのです。

13. サイクルツーリズム拠点の整備

サイクルツーリズムとは、

訪れた地域を自転車で回ることで、ツーリング、グルメ、名所旧跡めぐりから聖地巡礼など、多種多様な旅の目的に対応できます。

Spaceship Earthに書かれていますが、

  • 自分の自転車を持ってきて人吉球磨を回る
  • 必要に応じて自転車を借りて人吉球磨を回る

の二パターンが有ります。

前者に対しては、項6で書いた駐車場整備と、鉄道への持ち込みについて、ココで書いたことを参考に検討して頂ければ良いでしょう。

また、後者に対しては、多良木町について書いたココの記事の最後の方を参考にして下さい。

14. 特徴的な周遊旅行商品の設計・販売(相良三十三観音めぐり、花火大会等のイベントや、人吉温泉、日奈久温泉、川・山・海の景勝地等と連携した旅行商品など)

周遊旅行商品とはガイド付きのパッケージ型を作って販売しようとしているのでしょうか?また、その場合の販売ルートはどのように考えているのでしょうか?

ただ、周遊旅行は今でも出来る範囲があるわけで、先ずは、周遊モデルコース(移動手段を含む)の紹介から始めてみたら如何でしょう?

15. 鉄道やクルーズ船で訪れるインバウンド観光客向け旅行商品の設計・販売(JAPAN RAIL PASSとの連携など)

海外の観光地にある現地催行ツアーをイメージしているのでしょうか?或いは、前項と同様のパッケージ型を目指しているのでしょうか?

ただ、外国人向けの場合には言葉の問題を解決する必要があるので、先ずは日本国内在住者向けの項14を先行させて、軌道に乗った段階で多言語化するのが無難だと考えます。

16. 駅から観光地までのフィーダー交通の整備(バス、カーシェア、パーソナルモビリティなど)

人吉球磨の観光地の多くは、駅から離れたところにあるのが大半でしょうから、ここも地域循環バスの投入等を含めて検討する必要がありますが、前々項の周遊モデルコースと一緒に考えればよいでしょう。

17. 公共交通共通のフリーパスの販売

対象としては、JR九州、くまがわ鉄道、産交バスでしょうが、山江村が運行している、やまえ乗合バス「まるおか号」や走行ルートが決まっている乗合タクシーも含めて検討されたら如何でしょう?
 

19. 肥薩線のくま川鉄道への直通運転

ということは、本来の路線である大畑方面への運行は諦めたのでしょうか?その場合、その先の宮崎県や鹿児島県とは話がついているのでしょうか?

人吉以南は一般利用者が更に少ないからなのかもしれませんが、嘗ての「いさぶろう・しんぺい」だけでは採算は合わないでしょう。


尚、今回順番を変えたのは、熊本県案と私の提案には違いがあるからで、

  • くまがわ鉄道が肥薩線も使って、湯前~人吉~八代の生活路線を運行
  • JR九州は、(前記の)くまがわライナーで都市間交通を担当

を再度検討願います。

18. 肥薩線の新八代駅への直通運転

前項に書いたように、くまがわライナーが人吉~八代~新八代を結んで九州新幹線に連絡するというのが当ブログの提案です。

よって、くまがわ鉄道に運営を担当して貰う湯前の~人吉の列車は八代を終点とすることで良いと考えます。

20. 肥薩線の通勤・通学時間帯の増発

肥薩線が通勤・通学の足となるためにも、くまがわライナーの投入しかありません。このあたりについても、ココで通勤通学需要を開拓について書いていますので、是非参考にして下さい。

21. 鉄道とバスの役割分担に向けた路線バスの運行形態見直し

鉄道とバスの路線が一部で重複していることは以前に指摘しましたが、

  • 鉄道:湯前~人吉~八代の動脈
  • バス:各地域の循環型

にすることが必要で、ココに書いたシャトルバスもその一例ですし、項16の解決にも役立ちます。

22. パークアンドライドに向けた駅前駐車場の整備

パークアンドライドは、単に駅前に駐車場を設けることではなく人吉球磨の交通システムの一部としての位置付けなので、先に全体の設計をする必要があります。また、その際には、ココを参考にしていただければ幸いです。

23. 肥薩線サポーター制度や、ふるさと納税で、肥薩線の復旧・利活用を目的とした寄附を募集

金銭的なことよりも、先ずは肥薩線ファンを増やして組織化することから始めてみては如何でしょう。というのも、ある程度のファン数を確保した上で、様々な施策を打って行った方が効果的だからです。

24. 肥薩線を舞台としたテレビ番組やCM等を誘致

くまがわ鉄道に関して書いた記事において、

映画やドラマのロケでも使ってもらえたら

と書きましたが、先ずは地道な広報活動から始めて、何れ人吉球磨全体をカバーするフィルムコミッションのような組織を設けることを検討願います。

25. ラッピング列車(くまモン、マンガキャラクター等)やイベント列車(焼酎列車等)の運行

運賃以外に収入の道を広げることは重要ですが、誰が担当になって責任を負うのかをハッキリさせておく必要があります。いわゆる広告集めも簡単な仕事ではないからです。

26. 自治体職員等の通勤・業務移動時の鉄道利用勧奨

以前に書いたココの記事を読んで欲しいのですが、

各勤務地迄のシャトルバス/巡回バスを走らせる実験

の結果を踏まえて、希望者を募れば良いでしょう。

 

また、県庁等への出張時にJRの切符を支給する方法に改める為にも、くまがわライナーが必要です。

27. 「ノーマイカーデー」の設定

設定するのは構いませんが、公共交通で通勤することが出来ない人に無理強いはできません。

なので、前項に書いたシャトルバス/巡回バスを整備した上で、自家用車を使わなくても通勤できる人へのインセンティブ与える方が現実的だと思います。

28. 鉄道利用に向けた説明会・イベント実施

鉄道を含めた公共交通機関が必要であることの認知を高めることは重要です。何故なら、人吉球磨在住者の相当数が自家用車を使った生活に慣れきっているからです。

また、イベント等については、外部の専門家の力を借りる必要があるでしょう。

29. 地域の特産品を鉄道で福岡等へ輸送し、魅力をPR

JR貨物のwebsite

によると八代に貨物駅があるようですが、人吉からの運び方が門外漢の私には分かりません。

ただ、当ブログでは、くまがわ鉄道が湯前~人吉~八代間を運行することを提案していますがその車両の一部に貨物に載せる貨客混載という方法が導入できないかを考えてみたらよいかもしれません。

そして、将来的にはココで書いた宮崎新幹線を走る貨物車両が物流を担えば、更なるスピードアップが実現するでしょう。

30.数値計画と実行部隊

題記の資料には29.までしかありませんが、キリを良くする為に私が30.を付け加えることにします。

まず、全てに対して、数値計画が必要です。

例えば、パークアンドライドを推進する為に人吉駅前に駐車場を設けるにしても、総観光客数の何%に利用して貰うのかを明らかにして、それに見合った台数スペースを確保する必要がありますし、自治体職員等の通勤を公共交通にシフトさせるのなら、何人を目標にするのか?そして結果として、どれだけの売り上げ増と二酸化炭素削減ができるのかを見えるようにしてみましょう。

また、この29項目の実行部隊が必要です。特にシステム全体を設計する人と外部の組織/会社と交渉できるスキルを持った人を確保し、ある程度は任せきるくらいでないと計画は実現しません。