という記事がマイナビニュースさんに出ているのですが、その前におさらいをしておきます。
肥薩線においては、八代~人吉間(川線)の復旧は決まったものの、人吉~吉松(~隼人)間(山線)は未だこれからであることは、ココで書きました。
対して、JR九州社長の4月末の記者会見での発言が、
「熊本と宮崎、それに鹿児島の3県を交えて、早急に新しい会議体を設け、議論を進めるべきだ」と述べ、沿線自治体と速やかに協議に入りたいという考えを示しました。
とNHK熊本NEWS WEBで報道されています。
その後、ゴールデンウィークを挟んだこともあってか特に進展が無いようでしたが、冒頭に書いたように、先週の日曜日に、
JR肥薩線八代~人吉間は鉄道存続で合意、人吉~吉松間は存続危機か
というニュースが報じられていたので、その後半部分を今回の記事のタイトルとしました。
協議そのものが始まってもいないのに、何故「存続危機」になるのかが分かり難いと思いますが、
人吉~吉松間の大部分が熊本県にあって、鹿児島県や宮崎県の関与する部分が短いこと。
熊本県が復旧論議を人吉駅で区切ってしまった。
の2つが原因であると同ニュースで指摘しています。
詳細な経緯についてはリンク先を読んで欲しいのですが、ココでも示した路線の一部を使って説明します。
八代駅(熊本県)
↓ ※通称「川線」/途中に13駅(省略)⇒復旧が確定
人吉駅(熊本県)
↓ ※通称「山線」
大畑駅(熊本県):梅・桜・スイッチバックで有名
↓
矢岳駅(熊本県):矢岳トンネル(土木学会選奨土木遺産)
↓ =4.5km
真幸駅(宮崎県):2015年1日平均乗車人員2人
↓ =4km
吉松駅(鹿児島県):以下~隼人迄は運行中/吉都線乗り換え
復旧が必要な青字の距離が短いし、此れ迄も熊本県が中心に進めて来たので、「人吉~吉松(山線)も熊本県に八代~人吉間(川線)とコミコミで考えて欲しい」と鹿児島県と宮崎県が思っているのかもしれません。
だから、
「いつまでに山線の議論をして、いつまでに再開させていくか、目標はあるか」という質問に対し、「具体的には無い」と回答。(鹿児島県知事)
「協議の枠組みについて特に話があるわけではない」と答えた。(宮崎県知事)
という聞きようによっては、やる気ナシナシのように思えてしまうのですが邪推かもしれません。
でもこうなると膠着状態に入りますし、まさかとは思いますが、八代~人吉(川線)の着工に影響を与えてるようなことがあってはいけません。
特に、鹿児島県は今年の夏に知事選挙があるので票になり難いことは言いたくないのかもしれませんし、肥薩おれんじ鉄道(八代~川内間)の運営に於いて、
本当にこれが最後ですよ…経営難続く三セク「おれんじ鉄道」への財政支援
と南日本新聞が伝えているケースと同じになってしまうことを懸念している可能性もあります。
また、宮崎県も(先の路線にあるように)「1日平均乗車人員2人」の駅に力が入らないのは分かります。
しかし、繰り返すようですが、
鉄道は繋がっていることに意味が有ります。
のであり、だからこそ山線も復旧させなければならないのです。
それに、JR九州の社長の呼びかけに応じない訳にはいきませんから、熊本県が動いて、国土交通省、JR九州、鹿児島県、宮崎県、熊本県の関係者が集まる場を設け、それぞれの意見を出しあって議論を重ねることを早急に開始します。
そして、最終的な合意目標は、
- 山線(人吉~吉松)も上下分離方式とする。(熊本県、宮崎県、鹿児島県)
- 観光特化型路線とする。(ココを参照)
- 鉄道の運行はJR九州が担当するが、くまがわ鉄道への移管も何れ検討する。
- 各区間で赤字が発生した場合は、鹿児島県、宮崎県、熊本県が応分の負担をする。
- 復旧費用は国土交通省と熊本県、鹿児島県、(宮崎県)が負担する。
です。
最後の復旧費用については、
被災箇所は熊本県が28件、鹿児島県が1件となっている。
ことを元にしています。
でも真の狙いは、
宮崎新幹線の建設において
八代~人吉経由を確定させる為に宮崎県を取り込む
ことです。
そこまで見据えてシナリオを書いた上で、
- 山線(人吉~吉松間)の復旧方式を確定させる
- 川線(八代~人吉間)の復旧計画の具体化を進める
- 宮崎新幹線の整備新幹線化を図る
としていただくようお願いします。