先週に引き続き肥薩線について、

  • 川線と山線
  • 観光に特化して山線を復旧

の観点から考えてみます。

 

川線と山線

そもそも肥薩線とは、

熊本県八代市の八代駅から鹿児島県霧島市の隼人駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(地方交通線)

wikipediaでは説明されていますが、今回復旧が決まったのは、

 

八代駅(熊本県)                       
 ↓ ※通称「川線」/途中に13駅(省略)
人吉駅(熊本県) 

 ↓ ※通称「山線」/途中に13駅
大畑駅(熊本県):梅・桜・スイッチバックで有名
 ↓
矢岳駅(熊本県):矢岳トンネル(土木学会選奨土木遺産)
 ↓        
真幸駅(宮崎県):2015年1日平均乗車人員2人
 ↓    
吉松駅(鹿児島県):以下~隼人迄は運行中/吉都線乗り換え
 ↓
栗野駅(鹿児島県)
 ↓
大隅横川駅(鹿児島県)
 ↓
植村駅(鹿児島県)
 ↓
霧島温泉駅(鹿児島県)
 ↓
嘉例川駅(鹿児島県):駅舎と弁当が有名
 ↓
中福良駅(鹿児島県)
 ↓
表木山駅(鹿児島県)
 ↓
日当山駅(鹿児島県)
 ↓    
隼人駅(鹿児島県): 日豊本線乗り換え


の内で、球磨川沿いを走るから通称「川線」と呼ばれる(青で表記した)八代~人吉間であることは先週の記事で書いた通リです。


それに対して、人吉から隼人までの山の中を走るから「山線」と呼ばれる区間の一部である、

人吉─吉松間(35・0キロ)については今後、別途協議する。

となったことも書きました。(吉松~隼人間は現在も運行中)

2020年の豪雨水害では、

被害が軽微

だったものの、

鹿児島県湧水町や宮崎県えびの市などは、山線の先行復旧を要望。その際、JR九州からは「一体での復旧」と断られた。

ので我慢してきたことを南日本新聞さんがオンライン記事で報じています。

更には、2024年3月27日の定例会見でJR九州の社長が、

  • 山線は鹿児島県、宮崎県を加えた別の会議体が必要
  • 復旧の際は山線、川線が一体

という少々癖玉的にも見えるものの原則を語ったことについては暇坊主さん、まこりてさんが動画で説明してくれています。

暇坊主さんは、

山線の復旧は調整が困難

と言っていますし、まこりてさん

肥薩線復旧危ぶまれる

を先の動画のタイトルそのものにしています。

加えて、暇坊主さんの動画に対して、

JR九州からすれば「山線は?」(容赦無い正論)で引き伸ばして県のトップが変わるなどを待って復旧論自体が立ち枯れするか完全な三セクになるのを狙ってんだろうなと

とコメントが書き込まれる始末です。

ところが、2024年4月3日の会議においては、一転して、

肥薩線、八代─人吉間の鉄路復旧で基本合意

と決まったので後で思ったのは、


川線(八代~人吉)と山線(人吉~吉松)は

一体ではなかったのか?


ということです。

だからか、暇坊主さんが2024年4月3日の第7回JR肥薩線検討会議を受けて急遽上げられた動画では、

  • 川線だけの盲腸線となってもJR九州が復旧を受け入れられる(損しない)ほどの条件を引き出したのか?
  • 川線を先に決めたのは、山線での協議でアドバンテージを握るため?

と資料を使って疑問を呈すも、

JR九州が川線復旧のみを先に決定したというのも何か裏がありそうです。

と控えめな発言に留めておられますが、それならば、


熊本県とJR九州の間で

「山線の復旧について無理をしない」と合意した

或いは、

「山線も川線と同様の復旧方式とするように

宮崎県・鹿児島県に働きかける」と合意した


のではないかと当ブログがズバリ愚察します。


観光に特化して山線を復旧

当ブログは山線も推進派です。

確かに、先に引用しましたが真幸駅(宮崎県)の2015年1日平均乗車人員が2人であることや、人吉~吉松間では駅から半径500m以内の人口が、

  • 大畑(熊本県): 0人
  • 矢岳(熊本県):14人
  • 真幸(宮崎県):19人

と暇坊主さんが指摘していることを聞くと日常利用の期待はできませんが、鉄道は繋がっていることに意味が有ります。

では、


どうやって山線の復旧を目指すのか?


ですが、当ブログでも以前に提案したのと同様のことが暇坊主さんの動画のコメントに答えとして書き込まれていて、

観光用のアトラクションとして残すみちを目指す方が良いと思います。人吉を起点に大畑か矢岳までを往復する観光鉄道として残せば人吉の集客に一役買うかもしれません。その際は鉄道法による鉄道ではなく、あくまでもアトラクションにする事で維持費を節約する必要があるでしょう。

とか、

山線区間は三大車窓地点~大畑駅あたりをトロッコ観光路線化くらいが客も呼べて丁度いいのでは。

などをベースに考えればよいのです。

幸いというか、

人吉駅から大畑駅の間の58.5km付近で築堤が、約20m程崩落

という情報が確かなら、誰が負担するかは別にしても復旧費用は少なくて済みます。

つまり、人吉~大畑~矢岳~真幸~吉松~(4駅)~嘉例川~(3駅)~隼人駅を運行する途中滞在型の観光専用列車として運行させればよいのです。

鉄道協議会日誌さんの情報によれば、2019年度の人吉~吉松の赤字は2億7,000万円です。(吉松~隼人の採算は一旦外します。)

元々の売り上げが幾らなのかは分かりませんが、仮に、2両編成(定員86名×2)で走らせていた「いさぶろう・しんぺい号」相当の車両を人吉~隼人間で土日で一日2往復させるとすると、1年間で17,888人の観光客に楽しんでもらうことができます。

仮に単価を5,000円としたら、それだけで年間約9000万円の売り上げです。

先の赤字は「いさぶろう・しんぺい号」も含む売り上げから経費を引いた上での数値だということは承知していますが、ハイシーズンは価格を上げるとか、平日は修学旅行やインバウンド需要に開拓するとかで、赤字幅を段階的に縮小して行く工夫は必要です。

以上を踏まえて要点をまとめる以下のようになります。

  • 人吉~隼人の観光専用列車として運行する 
  • 以下などの駅では従来以上に滞在時間を増やし
    -大畑:駅構内/周辺施設の見学と買い物・飲食
    -矢岳:矢岳トンネルの学び
    -嘉例川:名物弁当の提供と駅周辺の散策
    などのアクティビティを提供する
  • アミューズメント事業の経験者に事業展開を任せる


大畑のスイッチバック、梅や桜の美しさのことは当ブログで何度も紹介していますし、矢岳トンネル

 

のことを全国の土木工学専攻の学生や工業高校の土木科の生徒だけでなく小中高校生が実際に現地に来て学んで欲しいのですし、嘉例川駅の風情



を楽しむことも良い体験です。

そして何よりも、当ブログが提案している、くまがわライナーや宮崎新幹線人吉駅の利用増に繋がりますし、人吉球磨そのものへの関心を高めるの大きく貢献する筈であり、だから山線(人吉~吉松間)の復旧を強く提案するのです。