「 徳川家に伝わる 徳川四百年の内緒話 」
德川宗英 (とくがわ むねふさ 1929~)
株式会社文藝春秋 2004年8月発行・より
「徳川」 という名字は、本来、旧字の 「德」 という字を使う。
戸籍でもそうなっており、これはわたしの家だけでなく、宗家も徳川慶喜家もみな、旧字の 「德川」 が正しい。
ところが、正しいはずの字がまったく使われなくなってしまった。
「齋藤さん」 のように頑固に旧字を使っている人もいるが 「德川」 の場合は、小説も映像もすべて勝手に新字にされ、正しい字を書こうものなら、
「自分の名前をまちがえるなんて、本当に徳川の一族なの?」
と疑わしい目で見られたりする。
わたしのところに来る年賀状でも、正式の旧字で宛て名を書いてくださる方は、ほとんどいない。
しらべてみたら、去年いただいた五百通ほどの年賀状のうち、横棒の入った 「德川」 を書いてくださったのは、たった四人だった。
実際、わたしのパソコンでも徳川の旧字は一度目では出てこない。
「徳田さん」 や 「徳江さん」 の場合は一度目で旧字でも出てくるのだが、なぜか 「德川」 はすぐには出ない。
そこで、そのまま横棒のない 「徳川」 を使ったりしているくらいだ。
いまや、教科書や歴史書でもすべて 「徳川」 で統一されているし、ご宗家でも新字体の 「徳川」 も使っておられるので、わたしもこれでいいかと思っている。
夕方 鹿が道の真ん中を歩いていましたが・・・・・ 7月9日の三条通り
自動車が来たので歩道を歩きます