こんにちは~
グレッグ映画の余韻で、「Love Letter」を見ようか…と思ったのですが、まだ他の映画で上書きしたくなくて、まずは、ず~っと見たくて、最近ネトフリに来た、李安監督の名作「ブロークバック・マウンテン」を見ました
恥ずかしながら、台湾が生んだ巨匠「李安監督」作品については、タイトルぐらいしか知らなくて、知ってからは機会があれば、見るようにしていて、今まで5作品見ています。
TaiwanPlus無料配信 電影 囍宴(ウェディング・バンケット)/ 1993年
TaiwanPlus無料配信 電影 飲食男女(恋人たちの食卓)/ 1994年
BSプレミアム 臥虎藏龍(グリーン・デスティニー) / 2000年
ディズニー+ Life of Pi(ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日) / 2012年
今回、6作目となるこの作品、さすがにタイトルとどういう映画なのかは知っていましたが、李安監督作品であることは最近まで知らず、そして、主演の一人、 ヒース・レジャー については、その後の彼の悲運は知っていたものの、この映画にでていることは全く知らなかったです。さらに アン・ハサウェイ も出ていたんですね
ホントに何も知らなくて恥ずかしいぐらいですが、さすが名作、見てよかったです。
Brokeback Mountain (15th Anniversary) | Heath Ledger and Jake Gyllenhaal Form a Bond
感想ですが、ネタバレになりますので、イヤな人は読まないでください
物語のバックグラウンド…
時代は1963年
舞台は、政治的に保守色の濃いワイオミング州(ということは、宗教的にも保守なのでしょうか、わたしはそうなのかな❓と思いました。違っていたら教えてください。)主要産業は酪農で閉鎖的な村社会
さらに、主人公の二人の生育環境は、貧しく、 教育 という点においても恵まれておらず、金銭的にも苦しく…
アジアや日本では家父長制や道徳観、倫理観がありますが、アメリカはやはり キリスト教社会 であり、今から60年前、同性愛を 禁忌 とする考えは、当たり前のことで、そのことで、 イニス(ヒース・レジャー) も ジャック(ジェイク・ギレンホール) も苦しんでいて…
特に イニス にとって、幼少時の体験は、恐怖以外の何物でもないですよね…
そして、 ジャック には過去に付き合っていた人と引き裂かれた経験があり…
queer なのか❓ queer でないのか❓
二人の考え方に共通していたのが、閉鎖的村社会において、 表向き は、 異性愛者 として生きていくこと…
そこには、キーワードとして queer というのがあったかなと、思います。
(この映画は、今使われている LGBTQ のずっと前に描かれたものですよね。)
二人とも 自分はqueerでない との主張は譲らないんですよね、でも、同性愛=queer だとは刷り込まれている。
この当事者ですらの(当事者だからこそ❓の)ガチガチの価値観が、 とても悲しく思いました。
それだけ、彼らを縛っているのが 村社会 であり、 宗教 であり、そして、やはり 教育 ではないのか❓と思いました。
二人とも be動詞がおかしいです。 We was とか平気で言ってますし、 be動詞の否定形 は、全部 ain't です。三単現もついてなかったりします。
方言❓かもですが、後々のハガキのたどたどしさからも、やはり、 教育 をしっかり受けられなかった環境も、二人が最後まで表立って行動を起こせなかった理由の1つじゃないかな~と思いました…。
わたしにはわからないけれど、だから、二人にとって女性との関係は浮気のカウントには入らないんですよね…
これは、 アルマ( ミシェル・ウィリアムズ) や ラリーン(アン・ハサウェイ) もだし、 キャシー( リンダ・カーデリーニ) と、女性にとってもあまりにも屈辱的で、悲しいことですよね…
どう 努力しても報われない …
誰にも相談できない…
キャシー に至っては、本当の別れの意味がわからない…
カモフラージュ のつもりじゃないのかもしれないけれど、同じ女性として、自分の愛した男性が、まったく自分の方を見ていなかったと知らされるのは本当に辛いだろうと思いました。
ラリーン もわかってましたよね…最後、 ジャック が亡くなってしまったから、許せたのかな…と思いました。
だけど、 ジャック なりの イニス への思いもすごかった…
女性との関係はノーカウントだけど、会いに行って拒否されたら、仕方なく、メキシコ国境でプロの男娼相手に…
だけど、 ラリーン の友だちの夫 の誘いは 本気 に入るから、関係を持たない…
わたしはこの場面で ラリーン は薄々思っていたことが 決定打 になったのかな~❓と思いました。
どう考えても、奥さんを前に「奥さんの友だち」とダンスはしないよね…ということは、奥さんが他の男とダンスしてもかまわないってこと…
そして、ダンスで、 ジャック の真実を知ったのは ラリーン だけじゃなく、 友達の夫 も…
イニス は メキシコ での ジャック の行動に嫉妬してたけど、 ジャックなり に イニス への操はたててたつもりだったのかな~と思いました。
ジャック は イニス に比べて金銭的には恵まれていたかもしれないけれど、だからこそ、余計に心の中は「虚しさ」しかなかったんじゃないだろうか❓と思いました。
そして、 イニス が、 ジャック のそこまでの思いに気づいたのは、彼が亡くなった後だった…
亡くなれば、 法的 には何も残らない…
いや、亡くなったことさえ、郵便局に行くまで知りえなかった…
表面上は、世間的には、あくまでも 友達 として、つかず離れずの関係でしかなかった二人…
亡くなってもなお、堂々と…でなく、 クローゼット の中に ジャック への思いを閉じ込めていた、でもその思いが永遠になった イニス の姿が、とても苦しかったです。
架空の地名に込められた思い
恥ずかしながら、アメリカの地理、地名に疎く、この地名が架空のものだとは、ウィキで知りました。
この「架空の地名に込められた思い」とは何なんだろう❓と今も考えています。
中文でこの映画は「斷背山」
この山にだけ、閉じこめた思い
まさに自分のバックボーンを断ち切って、フェイクの世界に戻っていく…
そんな意味があるのかな…と思いました。
この映画はすで21世紀に入ってから上映されたにも関わらず、当時、ものすごい物議を醸していたんですね…
この映画をどう見るか、ウィキの日本語、中文、英語をざっと見ただけでもいろいろあったようです…
わたしは、当時はそんな論争があったことすら知らなかったです。
今だからこそようやく落ち着いて見ることができてよかったな~と思いました。
これからは、この映画を普遍的な愛の物語として見られる時代になってほしいですし、いろいろな愛の形への理解が深まるといいな~と思いました。
ただ、またここから一歩というとどうだろう❓という問題がまだまだあるんですけどね、実際は難しいですよね、そんなに簡単に解決する問題じゃない、だからこそ、問題提起を止めてはいけないと思います。