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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。

前回に引きつづく形で、
今回も「地方分権」について、
内橋克人氏の『悪夢のサイクル』から、
想定できることを学んでいきたいと思います。

 早速ですが、
内橋克人『悪夢のサイクル』
「第五章 日本のシカゴ・ボーイズ」(p.139-140)から引用してみたいと思います。


”地方自治体は 財源確保のために
地方債の発行を認められています
 
 これは企業の社債と同じように、いずれ税金で返済されるべき、自治体の借金です。
 
 この地方債は、現在は
国が一元的に返済の保証をして
できるだけ自治体によって金利に違いがないようにしています
さらに発行した地方債の償還には 
国が交付税で援助しています。

けれども「地方分権21世紀ビジョン懇談会の提言によれば、
今後それらはすべてやめることになります。

公募地方債の発行条件の統一交渉を即座に全廃すべきである」
公営企業金融公庫の廃止後は、国は新たな政府保証を行なわない
「十年後までに地方債の完全自由化を実現する
それに伴い、
新発地方債に対する交付税措置を全廃すべき
である」
と言っています。

 これまでのように国が地方の面倒をみるのはやめ
その代わり 
それぞれの自治体が
自主的に物事を決定したり実行したりしてよい
という考えです。

いわば地方分権とのバーターで
国からの援助をやめるということです。
それが懇談会の言う、「自由責任」の意味のようです。
 
 そうなると財政力の弱い、たとえば島根県の寒村だとか、鹿児島県の沖の離島だとかの自治体地方債を出そうとすれば
利回りはとても高くなってしまうでしょう
(※1 「市場原理と地方自治体」(補注1)-「債券の利回り」について-

 今までは郵貯簡保などの資金を使って
財政投融資を通じて
地方債を引き受けてきました

その仕組み小泉内閣による郵政民営化によってこれからなくなっていくわけです
(※2
 補注2「郵政民営化見直し・亀井靜香・政権交代劇、」

郵政民営化
実に深刻な問題を背景に抱えていて、
これまで地方債を引き受けてきた郵貯、簡保
がなくなると
その分は民間の債券市場から調達する
ということになります。
市場から調達すれば、完全な市場メカニズムの中に地方債も入っていくことになり、
債権を購入する相手は
もちろん民間金融機関であり、
彼らは私的利益を追求するわけですから、
倒産リスクの高い自治体の債権ほど利子が高くなるわけです。


 これは中小企業、零細企業であればあるほど、大企業に比べて利子負担が高くなるのとまったく同じです。
非常に高い利息を、しかも全額、自治体の収入の中から支払わなければなりません
そういう市場メカニズムの中に
自治体財政を組み込んでしまう

という考え方です。


これは税制のフラット化

(※3 「フラット税制」(「市場原理と地方自治体」補注3

個人の所得に及ぼしたのと同じ影響を、
自治体間でもたらします[高樹註:≒地域間格差(の深刻化)]
規制緩和」が中央と地方の格差を広げるということを、第一章でのべましたが、
地方自治の市場化によって
さらに中央地方格差は広がるでしょう。
 
そもそも、二〇〇兆円を超える地方債の残高をつみあげていった、つまり借金を野放図につみあげていったのは、地方の責任ではないか、そう考えるかたもいるでしょう。

 しかし、それは違うのです

鍵は八〇年代後半から始まったアメリカからの内需拡大の要請バブルの発生にあります。その事は次章で詳しく論じます。

(『悪夢のサイクル』(文春文庫)「第六章 バブル再考」のこと)

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  高樹辰昌


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