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写真家・石川梵さんの写真集「海人」については、このブログで何度も取り上げてきた。インドネシアのレンバタ島にあるラマレラ村で、約400年前から続く鯨漁の様子を記録した写真集だ。
その漁とは、小さな手漕ぎの船で沖へと出て鯨を探し、鯨を見つけたら長い竹竿の先に取り付けた鉄製の銛を、海に向かってダイブしながら打ち込む、原始的かつダイナミックな方法だ。
写真集「海人」では、その漁の一部始終を見ることができる。迫力なんてものではない。そこに写し出されているのは、人と鯨が対等な関係で命と命をぶつけ合う、魂のせめぎ合いだ。そして荒々しい中にも、命への敬虔な祈りが感じられる。
石川さんにとってはライフワークとも言えるラマレラでの鯨漁。今年、この漁を記録した映画「くじらびと」が公開される。石川さん自身が監督、撮影、編集を行った、渾身の作品だ。
当初は昨年公開予定だったのだが、コロナ禍のため公開が今年の9月に延期となった。僕はクラウドファンディングでこの映画を応援していたので、昨年試写会に招待していただいた。写真集「海人」の世界が、そのまま映画になったことに本当に驚き、感動した。ぜひ大きなスクリーンで観てほしい作品だ。
この映画の公開に合わせ出版されたのが、今回紹介する「くじらの子」。映画の撮影中に撮られた写真を中心に、ラマレラ村に暮らす10歳の少年エーメンの視点で、鯨漁や村の様子を描いている。エーメンは鯨漁師である父親に憧れ、将来は自分も鯨漁師になりたいと思っている。
ラマレラ村での鯨漁を記録したという点では「海人」と同じだが、子供の視点で描かれているこの写真集は、全体的に明るいトーンで、優しさと希望にあふれている。子供向けに作られてはいるが、大人が見ても十分に楽しめる。
特に「海人」は今では絶版になっており、中古本市場でもプレミア価格が付いてしまっている。そのため手頃な価格で手に入る「くじらの子」は、この鯨漁に付いて知るにはオススメの1冊。
この写真集を見たら、映画「くじらびと」も必ず観たくなるはず!