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先月までフジテレビで「警視庁いきもの係」というドラマを放送していた。これは警視庁総務部総務課・動植物管理係という架空の部署を舞台にした物語だった。
でも実は警視庁には「生きものがかり」が存在する。生きものがかりは通称で、正式には警視庁生活安全部生活環境課環境第三係という。生活安全部生活環境課環は2002年に創設された比較的新しい部署で、主に産業廃棄物の不法投棄の取り締まりや、絶滅のおそれのある動植物の密輸・売買事件などの捜査を行なっている。
著者の福原氏は、2014年に希少野生動植物密売捜査において全国で唯一、警察庁指定広域技能指導官に指定されている現役の捜査官だ。
元々動物好きで、学生時代は獣医学部を目指していたが、夢破れて警察官の道へ。
1988年、32歳で私服警官になり、保安係に任命される。当時の保安係は覚醒剤、賭博事犯、拳銃保持、危険物やゴミの不法投棄といった公害問題事件などを扱っていた。
福原氏は当時の上司から「一人前になりたければ、自分でネタを取ってこい!」とハッパをかけられる。
そんな時に出会ったのが、「絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関するの取り締まり要領について」という通達だった、
いわゆるワシントン条約にもとづく、希少な野生動植物の取引違反を取り締まるように、ということだ。
大の動物好きだった福原氏は、これこそが自分がやるべきネタだ!と直感し、その後この分野に関する様々な事件に取り組み、エキスパートへとなっていく。
この本の中では、福原氏が生きものがかりを立ち上げるまでの道のりや、実際の事件例などを交え、この部署の活躍を描いている。
扱っている事案は特殊かもしれないが、実際の捜査方法の組み立て方や、犯罪の裏を取る方法、協力者との信頼関係の築き方など、一般的な犯罪事件での捜査と同じ手法だと思われ、具体的で分かりやすい、なるほど、犯罪者とはこうやって追いつめていくのだな、とよく分かる。
実際に密輸され売買された動植物は、詳細なイラストと福原氏の思い入れのあるコメントで紹介されていて、本当にこの人は動物が好きなんだなあ、と思わせる。
それにしてもこんなにもたくさんの種類の希少動植物が日本国内に密輸され、売買されていることに驚かされる。
僕も動物好きなので、レッサーパンダを自宅で飼いたくなる気持ちも分からんではないが、動物を人間の私利私欲の犠牲にしてはいかんよなあ。