Distance~時を超え距離を超えた二人の物語 -23ページ目

第11話〜発覚

翌朝、みきの母親が出かけるからと階段を上がってきた。

いつもと違う様子を感じたのか、みきの母親は部屋に入ってきた!

「あなたたち!なにしてんの!」
「どうしてふたりでいるの!」

どこかに隠れる余裕ないまま、布団の中のふたりは見つかってしまった。
言い訳などあるはずがなかった。

慌てた母親は居間に戻り、
父親に報告していることが2階の部屋まで聞こえてきた。

「見つかっちゃたね‥‥どうしよう」
「うん、やばいな」

間もなく居間に呼ばれ、みきの父親からこっぴどく叱られ、責められた。
しかし、それだけでは済まない話になった。

厳格なみきの父親は今夜、
ひろの家に抗議に行くと言った。
ひろにはそれを止める理由も見当たるはずはなかった。

そしてその日、ふたりはずっと海にいた。
帰ったらきっと、ふたりがそれぞれに親たちからこっぴどく叱られることは明白だった。
ひろはみきのことが心配だった。

もしかしたら付き合っていることも止められ、
比較的緩やかだった門限も厳しくなり
思うように逢うことができなくなると思った。

「どうしよう、家に帰りたくない‥‥」

みきはそう、呟いた。

「うん、でもそんなわけにはいかないよ」

ひろはみきの肩を寄せて言った。

それ以上の会話はなかった。
しばらく黙ったままだった。
しかし、帰らないわけにはいかない‥‥

ひろはみきにこう言った。

「どうせ叱られるんだ、潔く帰って叱られよう」
『う、うん』
「よし、今日は早く帰ろう」

いつもより、相当早い時間にみきを送り届けた。
ルームミラーに映るみきの姿に切なさを感じた。









第10話〜帰らないで‥‥

夏も終わりのある夜
いつものようにひろはみきの家に遊びに行った。
家に入る時は必ず両親に挨拶をしていた。

あまり遅くなっては失礼になるからと、ひろは帰る支度をした。
でも一緒にいたかった。

「もう帰らないと‥‥」
『もう少し一緒にいて』
「うーん、んじゃ、あと10分」

そんな毎日が続いていたけれど、この夜は少し違った。

「帰らないで」
『そりゃ、まずいよ』
「おれも一緒にいたいけど‥‥」
『泊まっていっちゃえば?」
「バレたらどうするんだよ』
「大丈夫、大丈夫」

そうしてふたりでまた抱き合ったまま眠りについた。

しかしそれは翌朝、バレることに‥‥




第9話〜海へ

季節が変わってもいつもふたりは一緒だった。
一緒にいられるだけで良かった。

夏のある日、
ふたりは広い砂浜の海岸で2泊3日のキャンプをすることにした。
これだと外泊をする口実には簡単だったからだった。

テントや食材を用意して積み込むのが楽しかった。

みきはテントの杭を打ち込むひろの背中を頼もしく思えた。
そして背中から抱きついた。

「ひろ!」
「おいおい、危ないじゃねえかよ」

ふたりとも最高に幸せな瞬間だった。

夕暮れ時、海へ向かって走って行くみきの後ろ姿を見てひろは、
みきが愛おしく思えた。
そして走り寄ってみきを背中から抱きしめた。

「みき!」
「あっ、びっくりした!」

ふたりにとって最高に幸せな時間だった。

やがてオレンジ色の太陽は、
空と海とふたりを染めていった。

そしてこのまま時が止まって欲しいと思った。


生まれて良かった 同じ時代に
ごまかせない あなたを知った日から
生まれて良かった 地球のすみに
ごまかせない あなたに逢えた日から‥‥


海へ‥

第8話〜初めての夜

新しい年になった。

仕事を終えたあと、ひろはみきの家に初めて遊びに行った。
みきの好きな音楽を聴きながら過ごしていた。
ふたりはまたいつものようにキスをした。ずっと抱き合った。

そしてふたりは当たり前のように、結ばれた。

そのときはまだ、
お互いに初めての相手だということを知らずにいた。
再会から1年たった寒い夜だった。

「ずっと一緒に、いつも一緒にいれたらいいな」
『うん、ずっと一緒にいたい』

ひろはみきを離したくなかった。
みきはひろと一緒にいたいと呟いた。
ずっと抱き合っていたかった。

雪の降るある夜のドライブのときだった。

温泉街のはずれのモーテル街を走っていたとき、
ひろはみきに茶目っ気たっぷりにこう言った。

「モーテルってどんなとこなんだろ?」
『どうなんだろうね』
「入ってみようか」
『えっ?』

みきの返事を待たずにひろはクルマを入れた。
ふたりは朝までずっと抱き合って眠った。

そんな日々が多くなっていった。


You And Me まるで Bookend
You And Me ふたつでひとつ‥‥

1982 jan,





第7話〜いつも一緒に

初めてのキスから二人の気持ちは急接近していった。
ほとんど毎日、仕事を終えた夜は一緒にいた。
いつも一緒にいたかった。

やがて冬になった。

みきはひろの職場へアルバイトとして入った。
出勤はいつも一緒。ひろの残業がなければ帰りも一緒だった。
それが何よりも嬉しかった。
職場ではふたりの中は公認で、みんな暖かかった。

みきを家に送り届ける瞬間はふたりにとって一番嫌いな時間だった。
ずっと一緒にいたかった。
家の前にクルマを着けると別れが惜しいからひろは、
また加速して走り出す。

その回数がだんだんと増えていった。
クルマから降りるのが、クルマから降りて行くのが辛かった。
いつものように別れのキス。
その時間もだんだんと長くなっていった。

しかし、ふたりにはそれ以上の進展はなかった。

そして新しい年になった。