上野に入管が、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! (3)
ピアノバーへ入っても、なっちは興奮が収まらない。入管のガサ入れがよっぽど怖かったのだろう。
韓国語で次から次へとしゃべりまくっている。
途中からなっちの先輩アガシも合流した。先輩アガシはなっちとは別の店で働いている。
二人で興奮して、またしゃべりまくる。
彼女たちの話を総合すると、こうだ。
今回、入管のガサ入れがあったのは、なっちの店ではない。同じビルの地下にある、大きなクラブだという。
しかし、一軒にガサ入れがあると、その情報はまたたく間に上野中に広まる。
蛇の道はヘビ。
韓国人たちの情報網は一瞬で機能するのだ。
そして、「入管が来た」という情報が入ると、不法滞在者・不法就労者は一斉に店から脱出するのである。
ここで、不法滞在・不法就労について整理しておこう。
なっちは25歳。日本へはワーキングホリデー・ビザ(略してワーホリ)で来ている。
彼女のビザは本物だ。だから不法滞在ではない。しかし、ワーホリではホステスとして働いてはいけない。
ホステスとして働けるのは、日本人と結婚している(結婚ビザ)か、永住権取得者のみだ。
だからなっちがホステスとして働くと「不法就労」ということになる。
(ふつうの仕事やアルバイトは全然かまわない。それがワーホリの目的なのだから)
一方、先輩アガシは「就労ビザ」を持っている。ただし、このビザはニセモノだ。
裏の業者(エージェント? マフィア? まあ何でもいい)に頼むと、20~30万円で手に入るらしい。
だから先輩アガシは「不法滞在」ということになる。
どっちにしろ、入管の摘発を受ければ、二人とも逮捕されて韓国へ強制送還だ。
僕はなっちや先輩アガシに限らず、不法にホステスとして働いたり、ニセモノのビザを持って滞在している韓国人や中国人をたくさん知っている。偽装結婚している中国人も知っている。
そういう外国人たちに会っても、いちいち驚いたりはしない。
この街には、そしてこの国には、そんな外国人が山ほどいるのだ。
(つづく)
上野に入管が、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! (2)
「こんにちは、ママ。なっちいる?」
するとママはちょっと困った顔をして、「いえ、それが・・・いないんです」と申し訳なさそうに言う。
「なんで?? 今日来るって連絡しといたんだよ」
するとママは僕の耳元で「実は・・・入管が来たの。だからなっち、逃げたのよ」とささやいた。
そうだったのかーーー( ・д・)/--=≡(((卍
1階にいたのは入管だったんだーーー。
とにかくなっちに電話しよう。
僕は急いでビルを下り、ふたたび1階のエレベーターホールへ戻った。
1階では、さっきの若い「警視庁」のおにーちゃんに、韓国人らしきおじさんがからんでいる。
「オーバーステイくらいどうだっていいだろっ。毎回毎回こんなことやって、何になるって言うんだよ」
おにーちゃんは相変わらず無表情。
この人、やっぱり警察官だったのね。見た目は学生だけど・・・(服装もパーカーにジーパンだった)
僕はそんなおじさんと警官を尻目に道路を渡り、なっちに電話を入れた。
幸い、なっちはすぐ近くにいて、すぐに落ち合うことができた。
時刻は午後10時半。とりあえずもうクラブは無理だから、僕たちは行きつけのピアノバーへ行くことにした。
(つづく)
上野に入管が、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! (1)
先週、東京へ出張した。
僕は仕事柄、月に1回程度、東京へ出張している。
東京には韓国人や中国人の友人が何人かいる。みんなにはそれぞれの事情があるが、概して、みんながんばって暮らしている。
最近、僕が東京で飲むのはもっぱら上野だ。天神下の交差点から松坂屋の向かい側あたりまで、びっしりと多国籍の店がひしめいている。
特に多いのが韓国の店だ。
焼肉から韓国家庭料理、そして韓国クラブまで、ちょっと歩くと、ここは韓国かと錯覚してしまう。
ハングルの看板もあちこちに出ている。
今回もいつものように、そんな上野の裏通りにある韓国クラブを訪れた。
この店では僕の知り合いの韓国アガシが働いている。
彼女、元・モー娘。の安部なつみに似ているので、「なっち」と呼んでおこう。
いつものようになっちに連絡して、ビルの2階にある店へと階段を上がろうとしたのだが、今日は何か雰囲気が違う。
ビルの入口には「警視庁」の腕章を巻いた私服の若いおにーちゃんが二人立っていた。異様な雰囲気の原因は彼らだったのだ。
酔客が「なにかあったの?」と問いかけても、「一切お答えできません」。
「どの店の捜査?」と聞いても、「具体的な名前はお教えできません」と無表情に答えるだけ。
最初は、酔っ払い同士のけんかでもあったのかな、と思い、何も気にせずに2階に上がり、僕は店のドアを開けた。
(つづく)
韓国の銀行
昨日までウリ銀行の商標問題について書いてきたので、今日は韓国の銀行について述べてみたい。
韓国ではIMF危機後、銀行の淘汰・再編が進み、政府主導による合併が繰り返された。
そのあたりの事情は日本とよく似ている。
日本ではバブル崩壊後の金融危機(1997年ころ)で、金融機関の破たんが相次ぎ、政府は銀行同士を合併させ、国際競争力を強化させる政策を推進した。
かつて13あった都市銀行は3大メガバンクに集約され、現在に至っている。
韓国では2000年ごろから同じような政策が推し進められ、15あった都市銀行(韓国では「市中銀行」と呼ぶ)が8行に集約されている。
韓国の銀行で資金量1位は国民銀行だ。
グレーのバックに黄色い文字で「KB」のロゴがある。ソウルの街を歩けば、いたるところにこの看板を見ることができる。
2位は新韓銀行。インチョン空港や金浦空港には両替窓口があるので、目にされた方も多いだろう。
昨日登場したウリ銀行は第3位。韓一銀行と韓国商業銀行が合併して誕生した。
以下、ランキングは企業銀行、外換銀行、ハナ銀行、SC第一銀行、シティバンク、となっている。
また、韓国は日本同様、農協も巨大金融機関だ。
「農協」は韓国語で「ノンヒョップ」というが、いたるところで農協の店舗やATMを見ることができる。
農協は資金量で第3位のウリ銀行に匹敵する規模を誇り、巨大スーパーも運営している。
日本とまったく同じ姿を見るようである。
ウリ銀行の商標は無効 大法院が判決(下)
ひとつ考えられるのは、次のような例だ。
今回の判決により、「ウリ銀行」という「商標」は無効になり、商標法の保護を受けることがなくなった。
つまり、他の銀行も「ウリ銀行」という「商標」で自由に商品やサービスを開発できるようになる。
たとえば国民銀行が、個人向けインターネット・バンキングサービスを開発し、そのサービス名を「ウリ銀行」と名づけて売り出すことができるようになるのだ。
「個人向けインターネットバンキング・ウリ銀行、サービス開始」といった具合に。
あるいは、クレジットカードに「ウリ銀行カード」という名前をつけて売り出すことができるようになるのだ。
(日本のどこかの銀行で、「マイバンクカード」という名前のカードがあったような気がする。それと同じイメージだ)
しかし、韓国で「ウリ銀行」と言えば、特定の銀行名を指す。このことは周知の事実で、「ウリ銀行」は韓国民なら誰でも知っている大銀行だ。
他の銀行が「ウリ銀行」という商品を売り出したら、それこそ消費者の間で混乱をきたす。
ウリ銀行が発足してからすでに7年。やっと判決が出ても、時すでに遅し。
当局の初期管理が甘かったと言わざるを得ないのではないだろうか。
もっとも韓国では、かつて「ウリ党」という政党があった。
こちらも政党名の「ウリ党」と、「我が党」を意味する一般名詞の「ウリ党」と区別がつかず、ややこしかった。
韓国人は「ウリ」という言葉が大好きなのだ。
そしてそれが固有名詞として認められてしまうところに、韓国の特殊性、不思議さを感じずにはいられない。
(完)