ソウルの路地裏のぞいてみれば -71ページ目

僕はこうして「なっち」と出会った(3)

日本法人社長をダッシュでまいた後、僕はなっちと落ち合った。


そして6月8日の当ブログに登場したピアノバーに入った。


以後、ここが僕たちの行きつけの店となる。



なっちはソウル近郊の議政府(ウィジョンブ)という町の出身。


日本へは語学留学で来た。


ただし、韓国人たちは独自のネットワークで、水商売の就業情報を共有している。


なっちは決して不法に働くために来日したわけではないが、留学のついでに、同じバイトをするなら割のいいものを・・・という感じで今の韓国クラブでバイトを始めた。


もっとも、毎日バイトをしているので、語学学校の方は午後からのコースを取っている。


まあ、どっちが本業だか分からない状態ではある。



なっちは決して「不良」ではない。


タバコは吸うし(韓国では女性がタバコを吸うのはけっこう勇気が要る)、初対面からパンマル(韓国語で「タメ口」という意味)だし、最新の日本のファッションを取り入れているし・・・



まじめに勉強しようという感じではないし、日本で特別な技能を身につけようという感じでもないし・・・



ちょっと軌道が定まっていない、将来のことはあまり考えていそうにない、イマドキの女の子、といった感じだ。



僕たちはそのまま朝まで過ごして、別れた。



寝不足の頭に、朝の上野の雑踏が響いた。




このときから、僕となっちとの付き合いが始まったのである。


(つづく)








僕はこうして「なっち」と出会った(2)

はっきり言って、なっちはかわいい。


当時なっちは24歳。日本の語学学校に留学中だった。(当時は学生ビザ。不法就労には変わりないが・・・ニコニコ


上野の場末の韓国クラブでは若い客は珍しいらしく、そしてそれ以上に、僕が韓国語を話したのがよかったらしく、なっちは僕のことを気に入ってくれた。


日本法人社長と飲めや歌えや、あれやこれやと大騒ぎし、夜10時半ころ僕たちは店を出た。


僕はいいだけ酔っ払って、もう帰りたかったのだが、日本法人社長が「もう1軒、もう1軒」とからむので、今度は小さなスナックで飲みなおすことになった。



(もうへろへろだった。けどビジネスのためだから、がんばらねば)



スナックへ入ってカウンターで飲んでいた僕に、携帯のメールが入った。


なっちからだった。


時刻は午後11時15分。


(以下、メールのやりとりです)



なっち:「今日は本当に楽しかった~。もうホテルですか?」


僕:「まだ飲んでるよ。今スナック。日本法人社長、酒強いよ~」


なっち:「私、お店12時までなんだけど、終わったらごはん食べに行かない?」


僕:「いいよ。終わったら連絡して」



これって、お誘い?ラブラブ


いや、そんなことないっしょ・・・




まあどうでもいいや。


飲むのも疲れたから、日本法人社長と別れるチャンスだチョキ



くらいの気持ちで、僕はなっちと「アフター」することになったのだった。


(つづく)

僕はこうして「なっち」と出会った(1)

ワーホリで入国し、ホステスとして働いている不届き者の「なっち」。


僕がなっちと出会ったのは昨年の2月だ。




当時、僕はある韓国製の機械を輸入すべく、プロジェクトを進めていた。


その機械メーカーの日本法人の社長に連れられて、上野を訪れたのである。


日本法人の社長は日本在住歴20年の韓国人で、上野の街ではけっこう“顔”だ。


その社長に上野の韓国料理店でごちそうになり、「さあhiroさん、上野の夜はこれからですよ~ 夜の街 」ということで、韓国クラブへ案内されたのだった。



それまで僕は、上野で飲んだことはなかった。当時の僕の主戦場は銀座で、上野の夜は初めての体験だった。

銀座の街しか知らない僕にとって、初めての上野の体験は衝撃的。


こんな無国籍な、chaoticな街があったなんて!!目


いっぺんにとりこになってしまったのだった。




そんな僕と日本法人社長。


社長行きつけの韓国クラブへ入った。



クラブと言っても、銀座とは違う。


ダダっ広いフロアにカラオケがガンガンカラオケ


まあ、でかいスナックといった雰囲気だ。 さすが上野。



日本法人社長には、お気に入りらしいお姉さん(推定年齢35歳)が付く。


僕は新規の客(連れの客)なので、当然、知っている女の子はいない。


推定年齢35歳のお姉さんが僕の席に呼んでくれたのが、なっちだった。


(つづく)

上野に入管が、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! (5)

いま思い返してみると、この日の上野は来たときから雰囲気がおかしかった。


上野の路上には何十人もの中国人女性がたむろし、「マッサージ」の呼び込みをしている。


普段ならしつこいくらい声をかけられるのに、この日はまったく声をかけられなかった。


みんなただ、路上にたむろして辺りをうかがっていたのだ。


韓国人のおっちゃんが、携帯で何事か仲間に連絡を取っている姿も目にした。





すべてはガサ入れのせいだったのだ。



◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

なっちは言った。


「結局、韓国人経営の店だと目をつけられるんだよ。だから日本人経営の、それも目立たない小さな店じゃないと、もうヤバくて働けないよね。ねえhiro、どこかそういう店知らない? hiroなら銀座とか新橋とか、いろいろ遊んでるから知ってるでしょ?もうこのままじゃ何もできないし、安心して働けないよ~」




前にも書いた。


僕は不法にホステスとして働いたり、ニセモノのビザを持って滞在している韓国人や中国人をたくさん知っている。偽装結婚している中国人も知っている。

この街には、そしてこの国には、そんな外国人が山ほどいるのだ。



だからなっちがホステスとして違法に働いていることは、いちいち目クジラを立てる気もないし、説教する気もない。それはなっちの自己責任の問題だ。



だけど、働く店を紹介するとなると話は別だ。それは犯罪に加担することになる。店にも迷惑をかける。




僕は心の中で思った。


「なっち・・・ワーホリで来てるんでしょ?ワーホリがなぜ若い人にだけ門戸が開かれてるか分かる? まじめに働けよ・・・・(^_^;)」



(完)




(注)


実際には膨大な数の韓国人が、ワーホリを名目に、でも実際はホステスとして日本に稼ぎに来ている。















上野に入管が、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! (4)

話は戻って、入管が入ったとき。



なっちは当然、いつものように店で接客していた。


そこへ仲間の情報網からガサ入れの一報。




さー大変!!  ( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚




なっちは取る物もとりあえず、ダッシュで店を出た。


髪はセットしていたので、あわてて崩して降ろす。服も大急ぎで着替える。


そしてロッカーの名札(韓国語の本名)をひきちぎり(証拠隠滅)、非常階段から1階へ下りた。



1階には「警視庁」腕章のおにーちゃんがいる。呼び止められて身元を確かめられたらヤバイ。


それでお客さんの一人と待ち合わせ、一緒に自分も客のフリをしてビルの外へ無事に逃げおおせた。





入管が入るときは、まず客を装った捜査員が店へ入る。


見た目学生の若いおにーちゃんがその役を担当する。


(ビルの1階に立っていたおにーちゃんが、その役だ)


そして不法就労の現場を押さえると、どっと捜査員がなだれ込むのだ。


(これを警戒して、「一見さんお断り」の韓国クラブがけっこうあるという)





一方、働く資格のあるホステス(結婚ビザ、永住権者)は、何もあわてることはない。


不法就労ホステスを逃がしてしまえば、店は通常営業である。


僕が最初になっちの店に行った時も、店は何食わぬ顔で営業を続けていた。



ただミョーに年増のホステスばかり(彼女たちは結婚ビザを持っている)だったが・・・・




(つづく)



解説:


入国管理局は法務省の組織で、警察の組織ではない。


にもかかわらず、ビルの1階に「警視庁」腕章のおにーちゃんがいたのはなぜだろうか。


不法就労・不法滞在を取り締まるのは入管の仕事だが、そこに「偽造ビザ」や「偽装結婚」、そしてそれを売買・仲介する「裏組織」が絡む場合は、警察の管轄となる。


したがってガサ入れは通常、警察と入管が連携して行うことになるのだ。